InstagramやFacebookなど、さまざまなSNSでアカウントの乗っ取り被害が発生していますが、そのなかでもTwitterは、利用者数が多く、拡散性にも優れているため、特に被害が拡大しやすい傾向にあります。
仮にアカウントが乗っ取られてしまうと、自分だけではなく、フォロワーにまで危害が及ぶ可能性も。被害の拡大を防ぐためには、フォロワーの数に限らず、アカウント所有者全員が日頃からセキュリティ対策を徹底し、乗っ取り被害に遭わないよう警戒しておかなければなりません。
しかし、なかには、すでにアカウントが乗っ取られていたり、もしくは、乗っ取りの疑いがあったりする方もいるのではないでしょうか。
そんな方のために、本記事では、Twitterのアカウントが乗っ取られた場合の対処法や犯人の特定方法、さらに、乗っ取り被害に遭っていないかチェックする方法や日頃から実施すべき対策などについて解説していきます。第三者から乗っ取り行為を受けた場合、相手を罪に問える可能性もあるので、被害が大きい場合は泣き寝入りせずに適切な対応をしていきましょう。
Twitterの乗っ取りとは
Twitterの乗っ取りとは、悪意のある第三者が他人のアカウント情報を不正に入手し、正規のユーザーになりすまして、そのアカウントを勝手に操作することを指します。
一般的に、フォロワー数が多く影響力の高い企業や著名人の公式アカウントなどが狙われやすい傾向にありますが、個人アカウントだからといって狙われないとは限りません。
いつ、だれが、乗っ取り犯のターゲットにされるかわからないため、Twitterのアカウントを1つでも所有しているのであれば、その種類やフォロワーの数にかかわらず、自分のアカウントが乗っ取られないよう常に警戒する必要があります。
他人のアカウントを乗っ取る目的
それでは、なぜ犯人はわざわざ他人のアカウントを乗っ取ろうとするのでしょうか。
その目的は人によってさまざまですが、大半は詐欺をはじめとした金銭目的であるケースが多いです。たとえば、侵入先のアカウントで虚偽の投稿を行い、そのアカウントのフォロワーをフィッシングサイトなどに誘導して金銭や個人情報などをだまし取る。
さらに、情報の拡散性に長けたTwitterの特性を悪用して、フォロワーからフォロワーへと対象を移しながら、次々にアカウントを乗っ取っていくため、被害に遭ったユーザー1人ひとりが適切な処置を行わなければ、なかなか事態が収束しません。
なりすましや誹謗中傷目的
Twitterのアカウントを乗っ取って、被害者本人になりすまして、被害者の評判を貶めるような誹謗中傷の投稿をする目的の場合もあります。
このような場合にも、当該Twitterアカウントが被害者のものであると思われていれば、その投稿についても、被害者自身がツイートしたと思われてしまうなど、大きな被害を被ることがあります。
Twitterが乗っ取られることで起こりうる被害
実際にTwitterでアカウントが乗っ取られた場合、具体的には次のような被害を受ける恐れがあります。
・身に覚えのないツイートやダイレクトメッセージ(DM)が送信される
・勝手にフォロー・リツイート・いいね・ブロックなどの操作が行われる
・Twitterアカウントにログインできなくなる
・Twitterアカウントが転売される
1つずつ見ていきましょう。
身に覚えのないツイートやダイレクトメッセージ(DM)が送信される
乗っ取り被害の代表的な例として挙げられるのが、犯人によるツイートやダイレクトメッセージ(DM)の送信です。
前述のとおり、犯人は詐欺目的で他人のアカウントを乗っ取るケースが多いため、詐欺の対象者を増やすために、侵入先のアカウントで自分たちにとって都合の良い情報を流そうとします。
たとえ他人の手によって発信された情報だとしても、外見上はアカウント所有者本人が送信しているように見えるため、そのまま放置してしまうと、自分自身の信用度低下につながりかねません
勝手にフォロー・リツイート・いいね・ブロックなどの操作が行われる
ログイン権限を持った犯人の手によって、フォロー・リツイート・いいね・ブロックといった操作が行われるのもよくある被害の1つです。
たとえば、詐欺アカウントをフォローしていたり、詐欺関連の投稿をリツイートしていたり……。当人のあずかり知らぬところで、犯人の思うままに操作されてしまうため、場合によっては、犯罪に加担しているような印象を周囲に与えてしまう可能性があります。
Twitterアカウントにログインできなくなる
犯人によっては、正規のユーザーがログインできないよう、侵入先のアカウント情報を勝手に変更してしまう場合があります。後ほどお伝えする対処法で再びログインできるようになる可能性もありますが、それらの対象法で必ずしも解決できるとは限りません。永久に自分のアカウントを使えなくなってしまう可能性も十分にあり得ます。
Twitterアカウントが転売される
さらに悪質な犯人になると、乗っ取ったアカウントを第三者に転売するケースもあります。
特に、フォロワー数の多いアカウントは高値で売れやすく、転売を目的とした犯人に狙われやすいため要注意。そもそも、Twitterアカウントの売買は規約で禁止されていますが、残念ながらルール違反をする人がいることも事実なので、被害に遭わないよう、しっかり対策しておきましょう。
参照:Twitter「ヘルプセンター|プラットフォームの操作とスパムに関するポリシー」
Twitterの乗っ取り手口は大きく分けて2つ
Twitterにおける乗っ取りの手口は、主に2つ考えられます。
①不正ログイン
②アプリ連携
それぞれの仕組みを簡単に確認していきましょう。
①不正ログイン
1つ目の手口は、Twitterに登録しているパスワードが破られるケースです。
Twitterの場合、ログイン時にID(ユーザー名・電話番号・メールアドレスのいずれか)とパスワードを入力する必要がありますが、IDの1つとして設定されているユーザー名は、アカウント情報を見ればだれでも確認できます。つまり、犯人はパスワードさえ突破すれば、ログインできてしまうわけです。
複雑なパスワードを設定したり、2要素認証を有効にしたりしておけば不正ログインをある程度防げますが、予測しやすいような簡単なパスワードしか設定していない場合は、乗っ取られるリスクが高いといえるでしょう。
②アプリ連携
2つ目の手口は、アプリの連携による乗っ取りです。
Twitterには、外部サービスと連携できる機能が備わっています。たとえば、よくあるのが診断系のサービスです。
Twitter上で気になるツイートを目にし、アクセス先でその続きを見ようと思ったら「連携アプリを認証」や「○○があなたのアカウントを利用することを利用することを許可しますか?」といった認証画面が表示された、という経験のある方も多いと思いますが、なかにはこの機能を悪用してアカウントを乗っ取ろうとする悪質なサービスも紛れ込んでいます。
詳細を確認せずに安易に認証してしまうと、気づかぬ間にログイン情報を盗まれてしまう可能性があるため、アプリ連携時は細心の注意を払いましょう。
Twitterが乗っ取られていないかチェックする5つの方法
それでは、第三者による乗っ取りが疑われる場合、その事実をどのように確かめればよいのでしょうか。
ここで、自分のアカウントが乗っ取られていないか確認する手段を5つ紹介します。
①過去のツイートを確認する
②ダイレクトメッセージ(DM)を確認する
③ログイン履歴を確認する
④Twitterから身に覚えのない通知が届いていないか確認する
⑤正常にログインできるかどうか確認する
詳しく見ていきましょう。
①過去のツイートを確認する
まずは、過去のツイートをさかのぼり、心当たりのないツイートがないかチェックしてみましょう。前述のとおり、乗っ取り犯は侵入先のアカウントで情報を発信するケースが多いため、投稿した覚えのないツイートが紛れ込んでいる場合は、第三者に乗っ取られている可能性が高いです。
②ダイレクトメッセージ(DM)を確認する
乗っ取り犯のなかには、ダイレクトメッセージ(DM)経由で情報の拡散を狙うものも少なくありません。そのため、乗っ取りが疑われる場合は、過去のツイートだけではなく、ダイレクトメッセージ(DM)の送信履歴も忘れずに確認しておきましょう。
もし、自分のアカウントから不審なメッセージが送信されている場合は、すでに乗っ取られていると思ったほうがよいかもしれません。
③ログイン履歴を確認する
Twitterでは、過去のログイン履歴を確認することができます。少々手間はかかりますが、以下の操作を行うことにより、アカウントにログインした日時・場所・端末を確認することができるため、身に覚えのない履歴が残っていないか確認してみてください。
【パソコンの場合】
1.画面左のナビゲーションメニューにある「…」をクリックする。
2.「設定とサポート」を選択し、「設定とプライバシー」をクリックする。
3.「セキュリティとアカウントアクセス」をクリックする。
4.「アプリとセッション」をクリックする。
5.「アカウントアクセス履歴」をクリックする。
6.パスワードを入力すると、ログイン履歴が表示されます。
【スマホの場合】
1.画面左上のプロフィール画像をタップする。
2.「設定とプライバシー」をタップする。
3.「セキュリティとアカウントアクセス」をタップする。
4.「アプリとセッション」をタップする。
5.「アカウントアクセス履歴」をタップする。
6.パスワードを入力すると、ログイン履歴が表示されます。
④Twitterから身に覚えのない通知が届いていないか確認する
新しい端末から初めてログインしたり、不審なログインが検知されたりすると、Twitterからセキュリティ強化のためのメールまたはプッシュ通知が届きます。自分自身がログインしたタイミングと一致していれば特に問題ありませんが、心当たりのない通知が届いた場合は、第三者が不正にアクセスしているのかもしれません。
ただし、なかには公式Twitterを装った詐欺メールも存在するため、すべての通知を鵜呑みにするのは危険です。
メール内に記載されているURL経由でログインしてしまうと、アカウント情報を抜き取られてしまう恐れがあるため、ブラウザ検索からサイトにアクセスするなどして、フィッシング詐欺の被害に遭わないよう注意しましょう。
⑤正常にログインできるかどうか確認する
正しいIDやパスワードを入力してもログインできない場合は、乗っ取り犯によってログイン情報が書き換えられている可能性があります。特に、メールアドレスが変更されている場合は対処が難しいため、次項で紹介する方法で早急に対処しましょう。
Twitterの乗っ取り被害に遭った場合の対処法
ここからは、Twitterの乗っ取りが発覚した場合の具体的な対処法を紹介します。「ログインできる場合」と「ログインできない場合」に分けて詳しく見ていきましょう。
ログインできる場合
ログインできる場合の対処手順は以下のとおりです。
Step1.パスワードを変更する
Step2.メールアドレスを変更する
Step3.アプリ連携を解除する
Twitterの乗っ取りが疑われる、もしくは乗っ取りが発覚した場合は、一刻も早くパスワードを変更しましょう。ログイン情報を変更していない犯人は、正規ユーザーにばれないよう、元のログイン情報を利用して繰り返し侵入するケースが多いため、既存のパスワードを変更することで、その後の侵入を防げる可能性が高いです。
また、アカウントと紐づけられているメールアドレスの安全性が懸念される場合は、パスワードとともにメールアドレスも変更したほうがよいかもしれません。特に、Twitterと同じパスワードを利用している場合は、メールアカウントのパスワードも突破されている恐れがあるため、そのままにしておくのは危険です。Twitterとの紐づけを解除するとともに、念のためメールアカウント側のログイン情報も変更しておくとよいでしょう。
最後に忘れてはいけないのが、アプリ連携の解除です。ツイートやダイレクトメッセージ(DM)が勝手に投稿されている場合、連携先のアプリに権限を与えすぎている可能性があるため、不要なアプリとの連携は解除しておきましょう。
ログインできない場合
続いて、ログインできない場合の対処法を紹介します。
Step1.Twitterにパスワードのリセットをリクエストする
Step2.Twitterヘルプセンターに問い合わせる
乗っ取り犯にパスワードを変更され、アカウントにログインできない場合は、まずTwitterにパスワードのリセットをリクエストしてみてください。この方法であれば、ログインできない状態でもメール(アカウントに電話番号を登録している場合はショートメールも可)を通じてパスワードを変更することができます。
なお、パスワードをリセットしたい場合は、ログインページで「パスワードを忘れた場合はこちら」を選択するか、もしくは、Twitterのパスワードをリセットにアクセスし、案内手順に従って操作してください。
もし、上記の方法でパスワードをリセットできない場合は、Twitterヘルプセンターに問い合わせてみましょう。「アカウントへのアクセス」フォームに必要事項を記入し送信することで、アカウントの復活に向けた具体的な手順を教えてもらえる可能性があります。
Twitterの乗っ取りを防ぐために必要な5つの対策
前項でアカウントを乗っ取られた場合の対処法について解説しましたが、これらの方法で必ずしもアカウントを復活できるとは言い切れません。1度アカウントへの侵入を許してしまうと、二度とそのアカウントを使用できなくなってしまう恐れがあるため、乗っ取られてから後悔することがないよう、事前に対策を徹底しておきましょう。
なお、Twitterの乗っ取り対策としては、次のようなものが挙げられます。
①2要素認証を有効にする
②推測しにくいパスワードを設定する
③むやみにアプリの連携を許可しない
④不審なURLにはアクセスしない
⑤フォロワーの連続投稿に警戒する
上から順に詳しく確認していきましょう。
①2要素認証を有効にする
第三者による乗っ取りを防ぐために、まず設定しておきたいのが「2要素認証」です。ちなみに「2要素認証」とは、通常のIDやパスワードによる認証に加え、1度だけ有効な使い捨てパスワード(ワンタイムパスワード)を発行するなどして、性質の異なる2つの要素を用いて本人確認を行う認証方式です。
これを有効にしておけば、既存のパスワードが突破されたとしても、2つ目の認証で侵入を防ぐことができます。
設定方法は以下のとおりです。
【パソコンの場合】
1.画面左のナビゲーションメニューにある「…」をクリックする。
2.「設定とサポート」を選択し、「設定とプライバシー」をクリックする。
3.「セキュリティとアカウントアクセス」をクリックする。
4.「セキュリティ」をクリックする。
5.「2要素認証」をクリックする。
6.認証方法(テキストメッセージ、認証アプリ、セキュリティキー)を選択する。
7.パスワードを入力する。
8.認証コードを送信・入力すれば、設定完了です。
【スマホの場合】
1.画面左上のプロフィール画像をタップする。
2.「設定とプライバシー」をタップする。
3.「セキュリティとアカウントアクセス」をタップする。
4.「セキュリティ」をタップする。
5.「2要素認証」をタップする。
6.認証方法(ショートメール、認証アプリ、セキュリティキー)を選択する。
7.パスワードを入力する。
8.認証コードを送信・入力すれば、設定完了です。
②推測しにくいパスワードを設定する
アカウントを簡単に乗っ取られないようにするためには、推測しにくいパスワードを設定することも重要です。一般的に、パスワードは「英数字+記号を組み合わせた10桁以上の文字列」が安全とされているため、数字と記号を交えたり、文字数を増やしたりして、簡単には特定できないようなパスワードにしましょう。
③むやみにアプリの連携を許可しない
Twitterを利用していると、アプリの連携を促すような投稿に出会うことも珍しくありません。ただ、どれほど興味のそそられる内容だとしても、安易に外部アプリと連携を許可するのはNGです。
ほとんどのアプリは、認証前に必ず認証の可否を問う画面が表示されるので、そこに記載されている情報を隅々までチェックし、アプリの安全性を確認したうえで、認証を許可するか否かを判断するようにしましょう。
④不審なURLにはアクセスしない
タイムラインに流れてくる大量のツイートのなかには、明らかに怪しいURLを記載した投稿が紛れ込んでいることがあります。人の興味をそそるような内容が多いので、ついクリック(タップ)してみたくなるかもしれませんが、不審な投稿は乗っ取りの危険性があるため、スルーしたほうが無難です。
⑤フォロワーの連続投稿に警戒する
タイムラインに同じようなツイートが連続で投稿されている場合、フォロワーのだれかが乗っ取られている可能性があります。
知り合いの投稿だからといって安易に信用し、ツイートに掲載されているURLをクリック(タップ)してしまうと乗っ取り犯の次のターゲットにされてしまう危険性があるため、フォロワーが不自然な動きをしている場合は、少し警戒しておきましょう。
Twitterの乗っ取りは民事・刑事双方の責任を追及できる可能性あり
ここまで、乗っ取り行為の実態や乗っ取られた場合の対処法、乗っ取り被害に遭わないための対策などについて解説してきましたが、そもそもTwitterにおける乗っ取り行為に違法性はないのでしょうか。
結論からお伝えすると、Twitterに限らず、SNSの乗っ取り行為は、犯罪もしくは不法行為として成立する可能性があります。具体的にどのような罪に問うことができるのか、刑事・民事に分けて詳しく確認していきましょう。
Twitter乗っ取りの刑事責任
まず、他人のアカウントを乗っ取る行為は「不正アクセス禁止法」に該当する犯罪です。違反性が認められた場合、加害者は懲役または罰金といった刑罰を科されることになります。
なお、不正アクセス禁止法において定められている禁止行為は以下の5つです。
【不正アクセス罪】
「不正アクセス罪」は、不正アクセス行為そのものを禁止する条文です。不正アクセス禁止法第3条に定められており、本来アクセス権限を持たない人が、他人のIDやパスワードを利用してSNSやオンラインゲームなどにログインしたり、セキュリティホールを攻撃して内部に侵入したりした場合に成立します。
これに違反した場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
(不正アクセス行為の禁止)
第三条 何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
第十一条 第三条の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
【不正取得罪】
不正アクセス目的で他人の識別符号(IDやパスワードなど)を取得した場合、不正アクセス禁止法第4条に定められている「不正取得罪」が適用されます。
これに違反した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
(他人の識別符号を不正に取得する行為の禁止)
第四条 何人も、不正アクセス行為(第二条第四項第一号に該当するものに限る。第六条及び第十二条第二号において同じ。)の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得してはならない。
第十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第四条の規定に違反した者
二 第五条の規定に違反して、相手方に不正アクセス行為の用に供する目的があることの情を知ってアクセス制御機能に係る他人の識別符号を提供した者
三 第六条の規定に違反した者
四 第七条の規定に違反した者
五 第九条第三項の規定に違反した者
【不正助長罪】
不正アクセス禁止法第5条に定められている「不正助長罪」では、正当な理由なく他人の識別符号(IDやパスワードなど)を第三者に提供することを禁止しています。
これについては、相手方に不正アクセスの目的があることを知っているかどうかで罪の重さが変わり、その事実を知っている場合は不正取得罪(第4条)と同様に1年以下の懲役または50万円以下の罰金、その事実知らずに提供した場合は30万円以下の罰金が科されます。
(不正アクセス行為を助長する行為の禁止)
第五条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならない。
第十三条 第五条の規定に違反した者(前条第二号に該当する者を除く。)は、三十万円以下の罰金に処する。
【不正保管罪】
不正アクセス禁止法第6条に定められている「不正保管罪」では、不正に取得した識別符号(IDやパスワードなど)の保管を禁止しています。
これに違反した場合、不正取得罪(第4条)および不正助長罪(第5条)と同様に1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
(他人の識別符号を不正に保管する行為の禁止)
第六条 何人も、不正アクセス行為の用に供する目的で、不正に取得されたアクセス制御機能に係る他人の識別符号を保管してはならない。
【不正入力要求罪】
アクセス管理者を装って、不正に識別符号(IDやパスワードなど)の入力を要求した場合、不正アクセス禁止法第7条に定められている「不正入力要求罪」が適用されます。
簡単に説明すると、フィッシングサイトを公開したり、フィッシングメールを送信したりするのを禁止する条文です。
これに違反した場合、第4条~第6条の罰則と同様に1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
(識別符号の入力を不正に要求する行為の禁止)
第七条 何人も、アクセス制御機能を特定電子計算機に付加したアクセス管理者になりすまし、その他当該アクセス管理者であると誤認させて、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、当該アクセス管理者の承諾を得てする場合は、この限りでない。
一 当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。)を利用して公衆が閲覧することができる状態に置く行為
二 当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第一号に規定する電子メールをいう。)により当該利用権者に送信する行為
Twitter乗っ取りの民事責任
アカウントを乗っ取られたことによって何かしらの損害が生じた場合、被害者は不正アクセス行為を行った者に対して、民法709条に基づいて損害賠償を請求することができます。
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
ただし、損害賠償請求を行うためには、まず犯人を特定し、その犯人が不正アクセスを行ったという証拠を集めなければなりません。
刑事事件などにより犯人が判っている場合には、この損害賠償請求ができます。
また、Twitterを乗っ取った犯人が、当該アカウントで被害者になりすまし、誹謗中傷や被害者の名誉権やプライバシー権を侵害するような投稿をおこなっているような場合には、発信者情報開示請求により、犯人を特定できる可能性があります。
発信者情報開示請求は、高度かつ専門的な知識が求められるため、乗っ取り犯に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行いたい場合は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
ツイッターの乗っ取り犯を特定する2つの方法
最後に、乗っ取り犯を特定する方法を紹介します。
方法①警察に被害届を出す
方法②発信者情報開示請求を行う
詳しく見ていきましょう。
方法① 警察に被害届を出す
1つ目は、警察に相談して被害届を提出する方法です。
状況によっては被害届が受理されないケースもあるため、必ずしもこの方法で解決するとは限りませんが、被害届が受理された場合は、警察の捜査によって犯人が見つかる可能性があります。
方法② 発信者情報開示請求を行う
2つ目は、発信者情報開示請求の手続きを行い、犯人を特定する方法です。
ちなみに、発信者情報開示請求とは、インターネット上で誹謗中傷などの迷惑行為を働いた人の情報をプロバイダに開示するよう求める手続きのことを指します
Twitterで乗っ取り被害に遭った場合、まずはTwitter本社に乗っ取り犯のIPアドレス開示請求を行い、開示されたIPアドレスをもとにプロバイダを特定。その後、プロバイダに対して発信者情報開示請求の訴訟を提起し、開示された発信者情報をもとに乗っ取り犯を特定することになります。
Twitterを乗っ取った犯人が、当該アカウントで被害者になりすまし、誹謗中傷や被害者の名誉権やプライバシー権を侵害するような投稿をおこなっているような場合には、発信者情報開示請求により、犯人を特定できる可能性があります。
ただ、実際はかなり骨の折れる作業なので、独力ですべてを行うのは現実的ではありません。専門的な知識を求められる場面も多いので、発信者情報開示請求を行う場合は、ネットに強い弁護士への依頼を視野に入れたほうがよいかもしれません。
Twitterでアカウントの乗っ取りが発覚したら早急に対応を
拡散性の高いTwitterでは、悪意のある第三者の侵入を1度でも許してしまうと、乗っ取り犯によって発信された危険な情報が一気に広まってしまう可能性があります。また、この手口の厄介なところは、たとえ発信者が別の人物だとしても、外見上はアカウント所有者自身が発信しているように見える点です。
早急に対応しないと、さらなるトラブルに巻き込まれてしまう恐れがあるため、乗っ取りの疑いが少しでもあれば、すぐに動き出しましょう。
また、リアルタイムで乗っ取り被害に悩まされている場合は、法的措置をとるのも1つの手です。後半でお伝えしたように、SNSを乗っ取る行為はれっきとした犯罪であり、状況によっては相手を罪に問える可能性があります。相手を特定し、その罪の重さを認識させることで、再発防止につながることもあるので、第三者による攻撃を受けている方は、法的措置も視野に入れてその後の対応を考えましょう。
繰り返しになりますが、一連の手続きを独力で行うのは、そう簡単なことではありません。大変な気力と体力を要する作業であり、独力で解決しようとすると心身にかかる負担が大きくなってしまうので、1人で抱え込もうとせず、弁護士への相談も検討してみてください