食べログとは、ユーザーが飲食店を★の数で評価し、コメントとともに投稿する日本最大級のグルメレビューサイトです。購買支援サイトの「価格.com」などで知られる株式会社カカクコムが運営しています。
この記事では、事実無根の口コミや悪評を食べログ上に書かれた場合に、口コミ削除を依頼する手順について解説します。さらに、食べログに口コミの削除依頼をしても、削除してもらえなかった場合の対応もご紹介します。
食べログの口コミの影響力
食べログは2023年12月時点で、約85万件の飲食店情報を掲載しています。月間の利用者数は約9500万人。PV(ページの表示回数)は約20億7,121万にもなり、その影響力は非常に大きいと考えられます。
※ 食べログ利用者数参考:https://tabelog.com/advertisement
このように利用者が多く、大きな影響力を持つ食べログでは、ユーザーから良い口コミを書いてもらえれば集客につながります。一方で、悪い口コミが投稿されてしまったり、点数が競合店より下がってしまったりすると、訪問客が他店に流れ、飲食店の集客や売り上げに悪影響を及ぼすリスクがあります。
食べログのガイドライン違反の口コミは削除対象となる
食べログは、ユーザーが口コミを投稿する際に守るべきガイドラインを定めています。ガイドラインに違反している口コミは、食べログに削除依頼をすることで削除することが可能です。
ガイドライン違反に当たる口コミとは、どのようなものなのか、例文と併せて具体的に紹介します。
実際に食事をしていないユーザーの投稿
食べログの口コミガイドラインには「他のユーザーが読んで参考になる投稿を心がけ、そのお店で食事をした具体的な感想を投稿してください」という記載があります。
そのため、サービス面や施設のみに対しての口コミで、飲食を伴わないものはガイドライン違反に当たります。また、訪問日の入力のない口コミは、食べログ側の判断で削除することもあるようです。
(例)
「店員が清潔感のない身なりをしているので食事をせずに帰った」
「着席したのにいつまでも対応してもらえないので、そのまま出て行った。このお店の接客は最悪。」
事実関係の確認が困難、かつ他のユーザーやお店から「その内容は事実と異なる。」という連絡があった口コミ
お店に悪影響を及ぼすイメージや思い込みが元となった事実関係の確認が困難な書き込みは調査・削除の対象となります。
しかし、食べログ側で口コミの内容に対する事実確認は行っていないため、他のユーザーや店舗側から「その内容は事実と異なる。」という旨を、連絡する必要があります。
(例)
「この店のお肉を食べると必ず腹痛になる」
「経費削減のためエアコンを付けていない」
店舗の運営や経営についての内容が含まれ、情報に誤りがある場合
お店の運営や経営に対する誤った情報は、該当する店舗に多大な迷惑をかけることになります。ガイドライン上で運営や経営に関する投稿が禁じられているわけではありませんが、その内容が事実と異なる場合は、削除対象となります。
(例)
「このお店は〇〇グループ傘下である」
「このお店は来月値上げする」
衛生管理面に対するクレーム
衛生面が行き届いていないことに関する口コミの投稿はガイドラインで禁止されています。食中毒、髪の毛の混入、害虫の存在、食器の洗い残しなどの指摘が、これに該当します。こうしたクレームは、事実関係の確認が難しいほか、お店に多大な損害を与える可能性があるため、投稿が禁止されています。
たとえ注意喚起のための口コミだとしても、保健所等に連絡するよう食べログのガイドラインに記載されています。
(例)
「料理に虫が入っていた」
「従業員が調理前に手を洗っていなかった」
店舗の法律違反・契約違反に関する内容
食べログはあくまでお店での食事に対する口コミを投稿するサイトなので、お店が法律や契約等に違反しているといった問題は、関係機関などに連絡するようガイドラインに記載があります。
(例)
「クレジットカードで支払いをすると手数料を取られるので、加盟店契約違反だ」
「法律で販売・提供を禁止されている食品を提供している」
個人への誹謗中傷、店舗への断定的批判、及び不適切な表現
ガイドラインでは、批判を投稿する場合は個人の感想として主観的な表現をするよう求めています。誤解を招く恐れがあるため、文脈に関係なく断定的な表現は禁止されています。
また、他人の口コミに対して、非難・中傷・嘲笑するような投稿も禁止です。
(例)
「こんなまずくて汚い店には絶対に行かないほうがいい」
「このお店を美味しいと評価している人の味覚はおかしい」
店舗への個人的なクレームやトラブルに関する内容
トラブルがあったお店に対しては公正な判断が難しいため、口コミの投稿自体が禁止となっているため、責任追及や被害報告のような口コミは削除対象です。
また、共同購入クーポンのトラブル等についても、食べログの口コミで投稿するのは禁止となります。
(例)
「預けた傘がなかった。盗まれたに違いない」
「別の客と会計を間違えて請求された」
「クーポンサイトの内容とは異なる料理が出てきた」
法令に反する行為や犯罪行為等に結びつく口コミ
犯罪行為や、それを助長するような口コミの投稿は禁止されています。
(例)
「店主は高齢なので食い逃げしてもバレない」
「この店の付近は路駐しても、取り締まりを受けたことがない」
プライバシーの侵害
お店関係者に関する口コミとして、他人に知られたくない経歴を暴露することは禁止されています。また、第三者のプライバシー侵害に当たる口コミについても削除対象となります。
(例)
「オーナーは〇〇駅の近くに住んでいる」
「シェフは前科持ち」
「女優の○○がよく来るらしい」
食べログ 口コミガイドライン
https://tabelog.com/help/review_guide/
不適切な口コミへの対応について
https://tabelog.com/help/infelicity/
食べログの口コミを削除依頼する方法とポイント
食べログにはガイドラインに違反するような不適切な口コミを報告する機能があります。口コミの削除申請の方法を以下で説明します。
1.削除したい口コミの下部にある「問題のある口コミを連絡する」をクリックします。
2.次に、「お問い合わせフォーム」(入力画面)が表示されたら、「お問い合わせ内容」と「メールアドレス」を入力します。
3.「上記の同意事項に同意の上、記入した内容を確認する」をクリックします。
4.「お問い合わせフォーム」(確認画面)が表示されたら、内容を確認の上、「送信」をクリックして完了です。
お問い合わせ内容に記載する内容
お問い合わせ内容として、何を記載するか迷った場合は、以下の例文を参考にしてください。
(例)
「お世話になります。レストラン〇〇の店長の××と申します。ガイドラインに違反した口コミがありますので、削除をお願いいたします。
2024年3月に訪問ID:△△さんの口コミに、「味もひどいし値段も高すぎる。この店はぼったくりだ。絶対に行かないほうがいい」と書き込みがありますが、全くの事実無根です。(URL:・・・・・・・)
この書き込みは、御社が定める削除ガイドラインで禁止されている「個人への誹謗中傷、店舗への断定的批判、及び不適切な表現」に該当します。削除対応をいただけますようお願い申し上げます。
該当の口コミ投稿のURL、違反箇所を明確に記載
食べログの運営側に該当する口コミを削除してもらうために、お問い合わせ内容には、
・削除してほしい口コミ投稿のURL
・食べログのガイドラインの、どの箇所に違反しているのか
などをわかりやすく明確に記載することが重要です。
食べログが口コミを削除してくれないケースの対処法
削除依頼を行っても、食べログ側でガイドラインの違反に該当していないと判断されてしまうと、口コミが削除されることはありません。また、削除依頼の内容に不備があり、削除されないケースもあります。
食べログが口コミを削除してくれなかった場合の対処法を見ていきましょう。
裁判手続きによって削除依頼をする
食べログに書き込まれた口コミがガイドラインに違反しているにもかかわらず、削除依頼から数週間経っても消えない場合は、削除申請の際に「なぜその口コミを削除すべきなのか」を上手く説明できていなかったことが要因だと考えられます。
こうした場合には、インターネット上の誹謗中傷への対応に強みを持つ弁護士に相談し、裁判手続きによって削除請求することを検討してみましょう。
裁判所に申し立てを行い、仮処分による削除命令を出してもらうことで、ほとんどの場合、口コミの削除に応じてもらうことができます。
もっとも、食べログでの削除依頼については、表現の自由や知る権利との関係で、社会的に妥当な口コミの削除は認められません。裁判所で削除が認められるためには、名誉毀損等に該当するような悪質な口コミである必要がある点に注意が必要です。
投稿者を特定することで、損害賠償請求ができる
誹謗中傷やプライバシー侵害、営業権などの権利侵害をしているような悪質な口コミをしている投稿者については、身元(氏名・住所・電話番号など)が判明すれば、その口コミによって被った損害賠償を請求することができます。
口コミ投稿者に損害賠償を請求するまでの流れは、以下の通りです。
1、まずは、食べログの運営会社であるカカクコムに対して、投稿者のIPアドレスの開示を求めます。
2、カカクコムが開示に応じない場合には、裁判所に対して発信者情報開示の仮処分命令を申し立て、IPアドレスを明らかにするよう命令を出してもらいます。
3、IPアドレスがわかったら、投稿者が契約しているインターネットサービスプロバイダに対して契約者情報の開示を求めます。ただ、契約者の個人情報を任意で開示してくれるケースはほとんどないため、「発信者情報開示請求訴訟」といった裁判を行う必要があることがほとんどです。
4、投稿者が特定できたら、内容証明で損害賠償を請求します。投稿者が支払いに応じなかった場合には、損害賠償請求訴訟を提起することとなります。
法的手段による解決を望む際は弁護士への相談を検討しよう
法的な手段による問題解決を希望する場合には、飲食店経営者の代理人として、口コミの削除申請を行うことが可能な弁護士の力を借りましょう。
食べログはユーザーへの影響力が大きいグルメサイトになります。口コミの内容次第では、お店の経営にまで悪影響を及ぼす可能性が高いため、そういった口コミが投稿された際は、迅速な対応が求められます。
自身で口コミ削除依頼を行ったが口コミが削除されず、どうしてもその口コミを削除したい場合。さらに口コミ投稿者への損害賠償請求を考えている方は、法律のプロフェッショナルである弁護士に相談するのがおすすめです。