「弁護プラン: 仮処分申立」について

誹謗中傷の削除請求をする法的手段としては、通常の民事訴訟を選択することも可能ですが、民事訴訟の場合は時間がかかり、解決策として適しているとは言えません。
物理的、精神的、社会的に被害を受けている状況下で求められるのはスピードです。

そのため、法的に削除請求をする場合においては、迅速な手続きである民事保全法に定められた仮処分の手続きを利用するのが一般的です。

仮処分とは

仮処分とは、正式裁判の前に、裁判に勝訴したときと同様の状態を確保することができる手続きです。
仮処分といっても、裁判所が削除命令を発すれば、ほとんどの場合において命令を受けた相手方は削除に応じるため、その後の手続きは不要になります。
万一、相手方が削除に応じない場合には、さらに強制執行の手続きを取ることができます。

削除が認められるために必要なこと

削除の仮処分が認められるためには、①被保全権利と②保全の必要性の要件を満たさなければなりません(民事保全法13条1項)。
そこで以下、特に問題となる①被保全権利について説明します。

被保全権利とは、仮処分命令の発令などを通して、保全すべき権利のことをいいます。
削除請求の根拠となる権利としては、名誉棄損やプライバシー侵害、その他、著作権法や、商標法に基づく差止請求権なども考えられます。

特に事例が多いのは、名誉棄損を理由とする仮処分です。

削除の仮処分の可否については、書き込みの削除が表現の自由に対する制約であることから、その書き込みが債権者(削除を求める人)に対してのものであることが認められ(同定可能性)、かつその書き込みが債権者の権利を侵害するもの(権利侵害性)であることが必要です。
したがって、債権者としては、この同定可能性と権利侵害性を法的に理論構成して裁判所に削除を求めていくことになります。

仮処分申立の流れ

申立→審尋→立担保→仮処分命令の発令→執行となります。

命令を受けた相手方が削除に応じない場合には、執行の手続きを取ることができます。
執行の申立てをすると、相手方が削除するまで、裁判所が命じた金額を相手方に支払わせることができます。

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