「好き嫌い.com(すききらいドットコム)」は、芸能人や著名キャラクターなど有名人・有名作品の人気投票が行われるサイト。たとえばアイドルの推し活に励む方が、同じグループを好きな人と「好き」という感情を共有して盛り上がれる一方、嫌いという意見も自由に投稿できるので、時に誹謗中傷コメントなども散見されることで知られています。
当記事では、好き嫌い.com上で誹謗中傷されてしまった際の対策方法、当該コメントを削除依頼する方法、開示請求によりその投稿者の個人情報を特定する方法を解説します。
好き嫌い.comとは
好き嫌い.comとは、「好き嫌い.com運営事務局」が運営する、芸能人などの有名人、キャラクターについて、好き嫌いをほかのユーザーと共有できるサイトのことです。トップページには「あの有名人って本当に人気あるの?/みんなのホンネが集まる日本唯一のサイト。」と書かれてあり、ユーザー同士が本音で盛り上がれることを謳っています。
サイト構成は主に「好感度ランキング」「不人気ランキング」「トレンドランキング」の3つから成っており、それぞれ99位まで見ることができます。ほかにも「話題の人物」や「話題のタグ」から気になる人物・グループ、作品を見つけたり、最新投稿順に更新される「新着コメント」から今話題のテーマを確認したりすることが可能です。
しかしいずれも「好き」か「嫌い」かの投票をしないと詳細は確認することができません。投票は1人の人物やキャラクター、あるいは1つのグループ、作品に対して1日1回のみ。間違えて選択してしまっても訂正はできないので注意してください。
また投票すると、ほかのユーザーが書いたコメントを閲覧するだけでなく、自身もコメントすることができるようになります。ただし、短時間に繰り返し投稿しようとすると打ち込んだ内容が反映されなくなることもあるようです。
なおコメントは好き派のみ、あるいは嫌い派のみに切り替えて閲覧することもできますが、デフォルトではすべてが新着順に表示されているので、「ファン同士でスレッドを立てて盛り上がりたかったのに、アンチコメントを見て落ち込んでしまった」ということもありえます。
好きか嫌いかしか選べず中立派ではいられないというサイトの性質上、コメント欄はファンとアンチファンの対立が絶えないともいわれていますが、推し活に熱心な若者を中心に人気を拡大しているという側面も見られ、2022年には人気YouTuberのHIKAKINさんが動画内で取り上げたことで話題になったということもありました。
なお、運営者である「好き嫌い.com運営事務局」についてはメールアドレスしか記載がなく、どのような人物、あるいは組織が運営しているのかは外見上は、不透明です。
<h2>好き嫌い.comは誹謗中傷コメントが投稿されやすい
嫌い派によるアンチコメントだけでなく、意味不明な文字列を繰り返しただけの、いわゆる荒らしコメントも多く見られ、好き派のコメント欄も荒れていることがあります。
熱狂的なファンやアンチファンが集まると、どうしても互いの発言がエスカレートしてしまうのか、誹謗中傷やデマ、暴言も見受けられるのが特徴です。
1人で複数人になりすまして自作自演コメントを展開することもあり、公平性には期待できない部分が大きいでしょう。トピックによってはヘイトスピーチの温床といわれることもあるようです。
匿名で投稿が可能
好き嫌い.comは完全匿名。投票もコメントもだれが行ったのか、一見しただけでは特定することはできません。そのため、繰り返しになりますが複数人になりすますこともできます。つまり、ある有名人のファンが「この人の知名度をもっと上げたい」とよい情報だけを広めることも可能であれば、逆にアンチファンが「この人を貶めたい」と悪意をもって炎上させることも可能ということ。
それによってファンが増えたり、あるいはアンチファンが増えたりしても、きっかけとなった投稿者がだれなのかはほかのユーザーには知られないので、特に本人に大きな影響はないでしょう。それが発言をエスカレートさせる要因にもなりえそうです。
炎上してしまった場合、その対象がもしデビューしたばかりのアイドルなどであれば、放置しておくことでよからぬ噂ばかりが広まり、芸能生活を送るうえで致命的な痛手となってしまうことも考えられます。
誹謗中傷は芸能人に対するものだけではない
悪意をもって投稿するユーザーは、「ブス」「キモイ」といったただの悪口にとどまらず、「あいつは整形している」「店で見かけたときに他人に暴力をふるっていた」など、嘘かどうかわからないことまで広める可能性があります。
このとき、対象の人物のイメージダウンにつながりかねないことは間違いないですが、芸能人だけでなく、YouTuberやインフルエンサーなど、ある程度名が知られている人であれば対象になりえることを留意しておきましょう。
だれでも有名人を追加申請することができるため、だれがターゲットになるかわからないのです。おそろしい話ではありますが、今の時代、ネット上で活動している人であれば、だれでも悪口の対象になりえるといえるかもしれません。
また、後述しますが好き嫌い.com上では、好き派と嫌い派で言い争いが生まれることも珍しくないのが現状です。そのときに相手が感情的になって、誹謗中傷や侮辱的なコメントを送ってくることもあるかもしれないことは覚えておくとよいでしょう。
ファン(好き)とアンチ(嫌い)によるコメント欄での言い争い
好き嫌い.comでは投票した人物やグループに対して書き込まれたコメントを20本ずつ閲覧することができ、それぞれに対して「good」か「bad」でリアクションすることもできます。もちろん自身もコメントを残すことができるので、それらの行動により、一層ファンとアンチファンの舌戦が過熱化することがあります。
ファンはアンチファンの、アンチファンはファンの意見を見ないように設定することもできるのですが、先述のとおりデフォルトではすべてのコメントが閲覧できる状態にあるため、つい反対意見が目についてしまい、応戦したくなるのかもしれません。
そのため、好き嫌い.comを訪れた多くのユーザーが悪口や誹謗中傷、あるいは差別的発言、ヘイトスピーチを目にすることになります。本人不在のなか、好き勝手にあれこれ言われてしまったら、対象の著名人からしたらたまったものではないでしょう。
好き嫌い.comのコメント投稿の注意事項
ここまで、好き嫌い.comは大きな火種を抱えたサービスのように説明してきましたが、とはいえこのサイト上で閲覧できる投票結果は、当然ながらそのユーザーたちによるものであり、ある種のバイアスがかかっているといえます。
自身の考えと合わない意見を見つけた際に、つい熱くなって反射的に反論するのではなく、「これは個人の考えであり、全人類の総意ではない」ということを念頭に置いておくべきでしょう。
一人ひとり思想や意識が異なるのは当たり前のことで、しかもわざと人が傷つくような言葉を使う人も本心から言っているとは限りません。少し離れて冷静な気持ちで眺めてみてもよいかもしれません。
また、あまりに白熱してしまった場合の対策か、短い間隔で連続してコメントを投稿しようとすると画面に反映されないようになっています。
利用規約やガイドラインは存在しない
実は好き嫌い.comには、ほかの掲示板やSNSのように利用規約が定められていません。なんとなくユーザー同士で認識している暗黙の了解みたいなものはあるかもしれませんが、運営事務局が提示している公式のルールなどは存在しないのです。
唯一「警告」といえるような点を挙げると、コメントを投稿しようとした際に、誹謗中傷・脅迫・わいせつ・荒らしにあたらないかどうかという忠告文と「本当にこのまま投稿しますか?」とメッセージが表示されるということ。
しかし、投稿時に制限されたキーワードがあるわけでもないので、すべてユーザーの任意で投稿可能です。だれかを傷つけるような言葉を使ってしまったとして、それも自己責任に問われるということなので、よく考えてコメントするようにしましょう。
好き嫌い.comで誹謗中傷コメントを書かれたときの対処法
好き嫌い.comで誹謗中傷コメントを書かれたときの対処法としては、以下の方法があります。
・非表示にする
・NGワードを設定する
・削除依頼をする
・開示請求で犯人を特定する
もし自身が好き嫌い.com上で誹謗中傷されてしまった場合、利用規約がないため対応に困ってしまうかもしれません。
とはいえ先述のとおり、ほかのユーザーが不快に感じるようなコメントをしないよう警告する側面はあるため、その内容に沿って削除依頼等の対応をすることは可能でしょう。
好き嫌い.comで誹謗中傷のうち、削除依頼と開示請求での犯人特定については、次章以下で解説をしていきます。
ここでは、
・非表示にする
・NGワードを設定する
という対策について、解説をします。
非表示にする
削除申請をする手間をかけるほどではないけれど、嫌なコメントを見つけてしまったというときは、当該コメントを非表示にすることができます。
方法は簡単。非表示にしたいコメントの上部にある「非表示」ボタンを押し、「1か月間このユーザーからの投稿を非表示にしますか?」というメッセージに対して「はい」を選択するだけです。
こうすることで、同一ユーザーによる投稿を1か月間は見なくてもすむようになります。ただし期間を過ぎると、再表示されるようになるため根本的な解決にはなりません。もちろんその1か月のあいだも自身のブラウザから見られないというだけで、ほかのユーザーには見えています。
ただ単純に「不快なコメントを見たくない」という場合や「自身の目に入らない限りは誹謗中傷されていても問題ない」という場合には適しているでしょう。
NGワードを設定する
好き嫌い.comのコメントには、ユーザーが個別にNGワードを設定することもできます。まずコメント欄下部の「NGワード設定」ボタンを押し、任意で制限したい語句を入力してから「保存」を押せば完了です。
ページごとに5つまで設定でき、たとえば「キモい」を登録した場合、投票対象に向けられた「キモい」だけでなく、ユーザー同士が言い争って相手に対して発した「キモい」にも制限がかかり、表示されなくなります。
ただし、非表示もNGワードも、設定したはずなのになぜか表示されるという意見も散見されるので、ブラウザ環境などによってうまく設定されないこともあるかもしれません。
好き嫌い.comで誹謗中傷コメントの削除依頼をする方法
ここでは、好き嫌い.comで、誹謗中傷コメントの削除依頼をする方法について解説します。
削除依頼の方法としては、以下の方法があります。
・通報する
・好き嫌い.comの運営者に削除依頼メールを送る
・送信防止措置の依頼書を送付する
・削除の仮処分などの裁判手続きを利用する
通報する
コメントを通報することも可能です。通報したいコメントの上部にある「通報」ボタンを押すと「本当に通報しますか?」というメッセージがポップアップ表示されるので「はい」を選択するだけ。
そうすることで一時的にコメントが削除されます。しかし完全に消えたわけではなく、ページを更新したり、ほかのデバイスから閲覧したりするとまた表示されるようになります。そのため一時的な解決であることを理解しておきましょう。
とはいえ、通報される数が一定数にのぼると完全に削除されると考えているユーザーもいるようなので、誹謗中傷されたら根気よく通報してみてもいいかもしれません。ただし削除に至る基準点などは明記されているわけではないので、確実性は高くないです。
好き嫌い.comの運営者に削除依頼メールを送る
悪質コメントに関してサイト上で行える最終手段は、運営者に直接メールで連絡することかもしれません。メールアドレスは「このサイトについて」のページに記載されているので、そこに氏名と連絡先、そしてコメントの内容、削除希望の旨を送信しましょう。
このとき、当該コメントのどういった部分が誹謗中傷や脅迫、わいせつ、荒らし、そのほかの違法行為にあたるのかなどをくわしく書いておくと、運営者も対応しやすくなるはずです。可能ならコメントが書かれたページのURLや投稿日時、状況説明も併記できるとなおよいでしょう。
ただし、通報同様、削除に関する基準は明かされていません。残念ながら過度に期待せずに気長に待つしかないでしょう。
送信防止措置の依頼書を送付する
上記の方法で解決しなかった場合、あるいは法的拘束力をもって対処したい場合はしかるべき方法があります。
プロバイダ責任制限法(正式名称:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)第3条1項にもとづく手続きで、送信防止措置請求による自主的削除を求める方法です。
当該情報が他人の権利を侵害していることが明らかである場合は、これにより請求を受けた好き嫌い.comの運営者は自主的な判断で、または発信者に対して削除しても差し支えないかどうか確認のうえ、反論がなければ削除することになります。
しかしこの手続きは通常、「プロバイダ責任制限法関連情報Webサイト」からダウンロードした所定の書式(通称:テレサ書式)に必要事項を記入し、請求者の身分証などの書類と併せて内容証明などで郵送するのが一般的。それに対し、好き嫌い.comは運営事務局の住所が明記されていないため、メールで送ることになります。
そうなると、先ほどの「運営者にメールで削除申請する」方法とあまり違いが見られません。そもそもこの送信措置請求にも強制力はないので、削除されるとも限りません。運営者が応じるかどうかわからないため、この方法も確実性が高いとはいえないでしょう。
削除の仮処分などの裁判手続きを利用する
好き嫌い.comでの誹謗中傷コメントが、名誉毀損、名誉感情侵害、プライバシー権侵害等の権利侵害に該当する場合には、仮処分等を申し立て、裁判所、削除しなさいという裁判を求めることができます。
もっとも、法的手段によってコメントの削除を求める場合は、運営者を特定する必要があります。サイト上に所在地などが明記されていない好き嫌い.comの運営者情報を知るためには、弁護士照会という方法が適しているでしょう。
弁護士会照会とは、弁護士法第23条2項に基づき、弁護士が受任している事件について、弁護士会を通じて企業などに対し、必要な情報の報告を求めることができる制度のこと。弁護士会は弁護士および弁護士法人が所属する団体なので、一弁護士による照会よりも回答に期待が持てそうです。
ただし、照会された企業には回答の義務はあるものの、罰則はないため回答を拒否されてしまうこともありえます。
それでも一般ユーザーがサイト上に掲載されているメールアドレス宛に問い合わせるよりは、運営会社について教えてもらえる可能性は高まるのではないでしょうか。
まず弁護士に相談し、弁護士会照会によって運営者を特定することができれば、そちらに対して裁判を起こすことも可能になります。
好き嫌い.comで開示請求により誹謗中傷をした犯人を特定する方法
悪質なコメントが削除されれば、それで解決することもあるかもしれませんが、その後も繰り返し誹謗中傷コメントが投稿されることもあるでしょう。
そんなときは、開示請求により誹謗中傷をした犯人を特定し、損害賠償請求や刑事告訴などの方法で法的責任を追及することを検討してみてもよいかもしれません。
弁護士会照会により好き嫌い.comの運営会社を明らかにする
誹謗中傷をした犯人を特定するためには、好き嫌い.comの運営会社に対してIPアドレスやタイムスタンプなどの情報の開示請求(提供命令)をする必要があります。
もっとも、削除を求める仮処分のところで説明をしましたが、好き嫌い.comの運営会社を明らかにするためには、弁護士会紹介が必要になりますので、まずは、弁護士会照会により、運営会社を明らかにする必要があります。
好き嫌い.comに投稿者のIPアドレス・タイムスタンプの開示請求を行う
まず裁判所に対して、好き嫌い.comの運営者に当該コメントを投稿したユーザーのIPアドレスとタイムスタンプを開示するよう請求します。IPアドレスはインターネット上における住所のようなもの。ネット接続していれば、あらゆる機器が固有のIPアドレスを所有しています。
またこの場合におけるタイムスタンプとは、コメントを投稿した時刻に関する記録のこと。この2つがわかれば、投稿者がいつどこでそのコメントをしたのかを知ることができると考えられます。
開示を請求するために、正式な本訴訟という裁判手続きではなく、仮処分という、より迅速な手続きをとります。これにより、1,2か月程度で対応ができるようになるでしょう。
通常、好き嫌い.comの運営者はその開示請求が法律上の要件を満たしているかどうか判断し、開示するかどうかを決められるため、そのまま任意で応じるケースもありえるのですが、多くは仮処分を申し立てる必要性が発生します。
というのも、運営者からしたら悪質なコメントを投稿したとはいえ、自社サイトのユーザーです。個人情報保護の観点からも任意の情報開示請求に応じることは稀だというのが実情なのです。
IPアドレスから投稿者のプロバイダを特定する
IPアドレスがわかったら、投稿者が利用しているプロバイダを特定します。IPアドレスだけでは、投稿時にどのPC、あるいはスマホを使っていたかといったところまでしかわかりません。
プロバイダを特定することで、今度はそのプロバイダに発信者情報開示請求を行い、投稿者の氏名や住所といった個人情報を開示してもらう必要があるのです。
プロバイダに発信者情報開示請求とアクセスログの保存を求める
投稿者が接続したプロバイダがわかったら、タイムスタンプ情報とあわせて「この時間にこのIPアドレスで接続したユーザー」の情報の開示請求を行います。ここで注意したいのは、過去のログは膨大なデータになるため、一定期間が経過すれば削除されるものだということ。
しかし発信者の氏名や住所は重大な個人情報であるため、その開示を求めるには原則として民事訴訟を起こす必要があります。通常、民事訴訟の手続きが終了するには数か月程度を要するので、その間に該当者のログが消えてしまう可能性もあるでしょう。
そこで必要になるのが、プロバイダが保存しているログの消去を禁止する仮処分の手続き。現在では、「裁判所を通じて氏名や住所の開示を求める予定だから、しばらくログを保存しておいてほしい」と通知するだけで保存しておいてくれるケースも多くなっているようですが、どちらにせよ忘れないように同時進行させることが大事です。
ログの保存が保証されたら、いよいよプロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を提起し、投稿者の氏名や住所といった情報の開示を求めることになります。
先ほど好き嫌い.comの運営者に対してIPアドレスとタイムスタンプの開示請求を行ったときと同様、任意で応じてくれれば訴訟の必要はないですが、プロバイダも発信者の同意がない限り、ほとんど開示に応じません。理由も好き嫌い.comの運営者と同じく、プロバイダ側からしたらそのユーザーも大事なお客さまであるという点が挙げられるでしょう。
また、繰り返しになりますが個人の氏名や住所は重大な個人情報です。そのため裁判所は訴訟という正式な手続きを行い、投稿内容によって他者の権利が侵害されたと認められ、かつ正当な理由があると判断された場合にのみ、プロバイダに対して契約者(発信者)の情報開示を命じてくれます。
プロバイダ責任制限法改正後の発信者情報開示命令の流れ
ここからは、発信者情報開示命令の流れについてお話しいたします。2022年10月1日に施行された改正プロバイダ責任制限法において、サイト運営会社に対する発信者情報開示請求とプロバイダに対する発信者情報開示請求をひとつの手続きで行える「発信者情報開示命令」という新しい裁判手続きの運用が始まりました。
もちろん先述した従来の二段階手続きによっても発信者情報開示請求は行えますが、新しい手続きのほうが投稿者の特定までにかかる期間を大幅に短縮できるので、お急ぎの方はこちらを参考になったほうがよいかもしれません。
発信者情報開示命令の特徴は、先に述べたとおり、2つの発信者情報開示請求をまとめて行えることにありますが、特にサイト運営者にプロバイダを教えてもらう「提供命令」がポイントです。
これにより、従来の方法よりもIPアドレスなどの保全が迅速に可能になり、初心者の方も手続きの負担が軽減されるようになりました。
好き嫌い.com運営者に開示命令・提供命令の申し立てを行う
まずプロバイダ責任制限法第8条に基づき、裁判所に、好き嫌い.comに対する発信者情報開示命令の申し立てを行います。
そして同時に、先述した「提供命令」の申し立ても行うことがポイント。提供命令とは、同法第15条1項に基づき、裁判所がサイト運営者に対して、投稿者が利用したプロバイダの名称を申立人に提供するよう命ずること。
これにより、従来の方法よりも発信者特定までにかかる期間が短縮されます。
開示されたプロバイダに対して投稿者の開示命令・削除禁止命令を申し立てる
次に、プロバイダに対して発信者情報開示命令の申し立てを行います。そして同時にログの消去禁止命令の申し立ても行うことで、発信者情報の記録を保存させます。
なお、このプロバイダに対する開示命令は、好き嫌い.comに対する開示命令、提供命令の発令を待たずに行うことが可能です。従来の方法に比べて期間が大幅に短縮されるので、被害者の損害が回復するのも早められるかもしれません。
プロバイダから好き嫌い.com投稿者の住所、氏名が開示される
こうした方法によって、誹謗中傷などを行ったコメント投稿者を特定することができるようになります。そうなれば、損害賠償を求める、刑事告訴に踏み切る、といった次の対応も可能です。
好き嫌い.comでの誹謗中傷犯人特定後の対応策3つ
主に考えられる対応は以下の4つでしょう。
・二度と誹謗中傷しないと誓約させる
・損害賠償を請求する(開示手続きにかかった費用も請求)
・刑事告訴する
当該コメントを削除したところで再度同じことを繰り返さないともいいきれないので、根本的な解決のためにも、なにかしら対応は考えておいたほうがいいかもしれません。
好き嫌い.comの誹謗中傷コメントの削除や開示請求は弁護士への依頼がおすすめ
好き嫌い.comは運営者情報や投稿の削除基準が不明瞭で、一個人が通報しただけではきちんと対応されるかどうかわかりません。また、削除されたところで抜本的な解決には至らないことも多いでしょう。
ネット上で誹謗中傷や侮辱コメントを投稿されたときは、やはりその相手を特定し、責任を追及することが大事です。問題を早期解決させ、再発防止させるには、高い専門知識と豊富な経験を持つ弁護士に相談することを検討してください。
当記事で紹介した送信防止措置請求や仮処分、発信者情報開示請求(命令)などの手続きは実に煩雑で、インターネットトラブルにくわしい弁護士に依頼したほうがスムーズに進行できるでしょう。