「ネット上にアップされている漫画をダウンロードしたけど、大丈夫?」
「違法ダウンロードがバレると、逮捕される?」
違法ダウンロードを規制する法律が改正されたことで、自分の行為が違法ダウンロードに該当するのではないか、と不安を抱える人は少なくありません。
確かに、自覚のある・なしにかかわらず、違法ダウンロードは犯罪です。著作権を侵害したとして、訴えられたり、損害賠償請求されたりする可能性があります。
さらに、2021年の著作権法改正で、従来は認められていた行為が「違法ダウンロード」として罰せられるようになりました。
現時点で「違法ダウンロードのみ」で逮捕された方はほとんどいません。
しかし、法律的には違法なので、何らかのタイミングで「取り締まり強化」「一斉摘発」「一斉逮捕」となることも考えられます。
逮捕や取り締まりを最大限回避するためには、最新の法律を押さえておく必要があるのです。
そこで本記事では、違法ダウンロードを規制する法律について、弁護士が分かりやすく解説します。
最後まで読むと、違法ダウンロードの法律的な見解が理解でき、ダウンロード行為における「セーフ・アウト」の範囲が分かるようになっています。
違法ダウンロードにまつわる法律は、インターネットを安全に楽しむためにも、必ず知っておきたい知識のひとつです。ぜひ参考にしてください。
【2023年最新版】違法ダウンロードを規制する法律「著作権法」をやさしく解説!
違法ダウンロードを規制する法律は「著作権法」です。
著作権法とは、著作物や著作者の権利を守り、文化の発展に寄与することを目的とした法律です。
(目的)第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
2012年に違法ダウンロードに罰則が設けられ、「違法ダウンロードは犯罪」という認識が広がりました。
著作権法は何度か改正を重ね、2021年1月に違法ダウンロードによる被害が深刻なことから、海賊版対策を強化した改正が行われました(改正著作権法)。
ここでは、改正著作権法の中でも、違法ダウンロードに該当する部分を詳しく解説していきます。
違法ダウンロードの対象は「すべての著作物」
違法ダウンロードの対象になるのは、下記に記載したような、すべての著作物です。
従来の著作権法では、違法ダウンロードの対象は音楽や映像と限定的でした。
2021年の改正によって、これまで対象外だった海賊版の漫画や書籍、写真なども違法ダウンロードの対象となっています。
今までと同じように漫画や写真をダウンロードすると、違法となるので覚えておきましょう。
個人で楽しむ目的でも「海賊版と知りながらダウンロード」は違法
2021年の改正により、個人で楽しむ私的利用目的であっても、海賊版と知りながらダウンロードするのは違法となりました。
例えば、公開されたばかりの映画をネット上で無断公開しているサイトがあったとしましょう。
映画の公式サイトなどにアップロードされている予告編やPR動画ではなく、映画本編すべてだった場合、「違法でアップロードされたもの」と容易に予測できます。
たとえ、あなた個人が映画を楽しむためだったとしても、違法にアップロードされたものをダウンロードするのは、違法となります。
海賊版を利用しないためには、海賊版サイトを見分ける必要があります。作品の公式サイトを利用するのが、最も安全ですが、公式サイト以外の場合は、下記のマークの有無を確認するといいでしょう。
・漫画や書籍など:ABJマーク
・音楽や映像など:エルマーク
一部例外はありますが、正規版または著作権者から許諾を受けて正規配信しているサイトには、上記いずれかのマークがついています。
違法ダウンロードによる罰則
違法ダウンロードは、著作権者から告訴され刑事事件となった場合は、下記の罰則が科される可能性があります。
刑事事件になると、逮捕や前科がつく恐れもあります。
違法ダウンロードの時効
違法ダウンロードの時効は、民事と刑事で若干異なります。
民事で追及される損害賠償請求の時効は、著作権者が違法ダウンロード行為の事実や実行者を知った時から3年です。
ただし、違法ダウンロード行為から20年過ぎると、損害賠償請求権は時効になります(民法第724条)。
刑事で追及される著作権侵害の罰則の時効は、違法ダウンロードの場合は3年です。
違法ダウンロードをしてから3年を経過すると処罰の対象になりません(刑事訴訟法250条2項)。
違法ダウンロードの対象にならない例外4パターン
すべての著作物が違法ダウンロードの対象になるといいましたが、例外的に違法とならないケースもあります。
例外4パターンを、順番に確認していきましょう。
違法にアップロードされたことを知らなかった場合
違法ダウンロードとなるのは、「違法にアップロードされた著作権コンテンツと知りながら、ダウンロードした場合のみ」です。
違法にアップロードされたされたものと知らなかった場合は、違法ダウンロードに該当しません。
利用者が「違法にアップロードされたことを知っていたかどうか」を見抜くのは至難の業です。
ただし、以下に該当する場合は、「違法アップロードと知らなかった」と言い逃れるのは難しいでしょう。
・違法ダウンロードをしていることをSNSなどで発信している
・海賊版サイトであることが明らかなサイトからダウンロードした場合
作品のごく一部分の軽微なダウンロードの場合
著作権コンテンツであっても、ダウンロードした分量が少なく、「軽微なもの」と認められた場合は、違法ダウンロードとなりません。
軽微なものとは、漫画のごく一部(1コマ~数コマ)や、画素・画質が低くて鑑賞できないものを指します。
ダウンロード中に違法性に気づいてすぐ中止した、ダウンロードに失敗したなどのケースが該当すると考えられます。
二次創作やパロディの場合
二次創作やパロディ作品の著作権は、二次創作者にあります。
二次創作者自身が作品をサイトなどにアップロードし、そのサイトから作品をダウンロードする場合は、違法ダウンロードとなりません。
二次創作者の作品を第三者が違法サイトにアップロードし、「違法にアップロードされたもの」と知りながらダウンロードした場合は、違法ダウンロードとなります。
権利者の利益を不当に害しない特別な事情がある場合
著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合は、違法ダウンロードになりません。
これは、インターネット利用者が正当な情報収集に対して、「違反に該当しないか」と過度に委縮するのを防ぐために設けられた例外ケースです。
「特別な事情」かどうかは、以下の2つの要素で判断されます。
政府が挙げる具体例に、解説を加えてご紹介します。
詐欺集団の作成した詐欺マニュアル(著作物)が、被害者救済団体によって告発サイトで無断掲載されているとします。
著作物の無断掲載は違法アップロードなので、詐欺マニュアルをダウンロードすると違法ダウンロードになります。
しかし、詐欺マニュアルのダウンロードは、自分や家族を犯罪行為から守る目的で行わるため、違法ダウンロードとなりません。
違法ダウンロードのみの逮捕者がほぼ出ていない理由
違法ダウンロードは犯罪ですが、実際には違法ダウンロード行為のみでの逮捕者は、ほとんど出ていません。
2020年のサイバー犯罪の著作権法違反による検挙は363件。サイバー犯罪の総数が8,703件なので、非常に少ないといえます(令和4年版 犯罪白書,P196)。
違法ダウンロードのみでの逮捕者が出にくいのは、次の2つの理由が考えられます。
・違法ダウンロードは「親告罪」である
・ダウンロードよりもアップロードの損害が大きい
違法ダウンロードは、著作権者が告訴しなければ捜査できない「親告罪」に該当します。
違法ダウンロードをして個人が楽しむ程度なら、著作権者の損害はそれほど大きくありません。しかし、違法アップロードされると、不特定多数が違法ダウンロードできることになるため、損害が一気に広がります。
著作権者としては、違法ダウンロードよりも、違法アップロードする人を取り締まるほうが、効率よく被害を抑えることができるのです。
そのため、違法ダウンロードよりも、違法アップロードの取り締まりを強化する傾向にあります。
トレントなどのファイル共有ソフト(P2P)でダウンロードした場合は逮捕されるリスクがある!
現時点では、違法ダウンロード行為だけでは逮捕されにくいとお伝えしましたが、例外があります。
それは、トレントなどのファイル共有ソフト(P2P・ピアツーピア)で違法ダウンロードした場合です。
近年、著作権侵害行為に対して厳罰に対処するケースが増えてきており、被害総額にかかわらず、抑制効果を狙った見せしめ逮捕も目立ちます。
実際に、2021年にはビットトレントを通じてアニメ映画を違法アップロードしたとして、3名が書類送検されています。
弊所では、現在までに「発信者開示請求に係る意見照会書」や「損害賠償請求書面」が届いたとの相談を500件以上受けてきました。
アニメ、映画、AVなどさまざまな業界が、違法コンテンツ撲滅に力を入れており、今後も厳重に対処していることが予測されます。
ここでは、逮捕されるリスクが高い理由や逮捕事例などを解説します。
トレントなどのファイル共有ソフトは「ダウンロード=アップロード」になる
トレントやShare(シェア)などを利用していたら、逮捕のリスクがあります。
トレント、ShareなどのP2P型ファイル共有ソフトは、ダウンロードしたファイルを公開(アップロードする)仕組みになっているからです。
つまり、ダウンロードしただけで、あなたのデバイスからアップロードが行われるというわけです。
ダウンロードしたファイルが著作権違反を犯していると、あなたも同罪になります。
先述の通り、違法アップロードは厳罰化傾向にあるため、逮捕されるリスクが高くなると考えられるでしょう。
ファイル共有ソフトは違法行為がバレやすい
ファイル共有ソフトは、違法コンテンツが多数流通していることから、官民一体で厳しく監視されています。
違法行為がバレるかどうかは、運次第ではありますが、サイバーパトロールやP2P観測システムなどの巡回を考えると、かなりハイリスクといえます。
P2P観測システムとは、警視庁が活用するP2Pファイル共有ソフトを巡回して違法行為の有無を分析するシステムのことです。
このほか、民間の調査会社や複数の著作権協会、ボランティアなどにより、P2Pファイル共有ソフト内の違法行為のチェックが行われています。
また、P2Pファイル共有ソフトを利用すると、IPアドレスが公開されるため、開示請求や違法行為の証拠収集が迅速に行われます。
違法行為に対しての証拠があると言い逃れができないので、刑事・民事で争う場合、厳しい立場に置かれることが予想されるのです。
ファイル共有ソフトで著作権を侵害すると刑罰が重い
ファイル共有ソフトは、違法ダウンロードと違法アップロードを行うため、刑罰が重くなります。
告訴されて刑事事件となると、逮捕や前科がつくだけでなく、高額な損害賠償請求をされる可能性があります。
著作権者は、著作権侵害を行った人に対して、ライセンス料相当額を損害額として請求することができるからです(著作権法第114条第3項による救済)。
トレントなどにアップロードすると、不特定多数がダウンロードできる状態になるので、損害額が高額になりやすくなります。
トレントについては、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
BitTorrent(ビットトレント)などファイル共有ソフト(P2P)での違法アップロードをめぐる発信者情報開示請求やその対処法
違法ダウンロードで逮捕リスクを下げるための対処法3つ
では、自分の行為が「違法ダウンロードに該当する」「身に覚えがある」場合は、どうすればいいのでしょうか。
違法ダウンロードでの逮捕者は少ないとはいえ、時効になるまでは大丈夫とは言い切れません。
ここでは、違法ダウンロードで逮捕されないための対処法をお伝えします。
違法ダウンロードしたデータを削除する
違法ダウンロードをしてしまったら、データを削除しましょう。
データを削除することで、「著作権の侵害をやめた」とみなされる可能性が高いからです。
もちろん、違法ダウンロードでデータを取得した時点で、著作権侵害は成立しています。
ですが、違法ダウンロードで取得したデータをアップロードせずに削除すれば、悪質性が低いと認識されやすくなるのです。
もっとも、すでに捜査が開始されているような場合では、証拠隠滅をしたとして逮捕の必要性が高いと評価されるリスクもありますので、弁護士に相談をしつつ、状況に応じた判断が必要です。
「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届いたらすぐに弁護士に相談する
「発信者情報開示請求に係る意見照会書」(以後、開示請求)が届いたら、すぐに弁護士に相談しましょう。
開示請求が来たということは、あなたの違法ダウンロード行為や身元は相手にバレているからです。
相手はすでに弁護士に依頼しており、「開示請求=何らかの法的手段を取る」と考えるのが自然です。
開示請求に誠実に対応しなければ、最悪の場合は逮捕もありえます。状況を悪化させないためにも、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。
弁護士に対応してもらって示談にする
逮捕の心配をなくすには、弁護士に依頼して、示談にしてもらうのが一番です。
もちろん、あなた個人で対処することもできますが、相手の代理人は弁護士であることを思い出してください。
示談は当事者同士の話し合いで成立するため、著作権者によっては、示談に応じてもらえないこともあります。交渉のプロである弁護士を相手に、自分が有利になるように話をすすめるのは、かなり難しいでしょう。
また、示談にするときは、示談金(損害賠償額)の交渉も必要になります。
示談金は違法ダウンロード行為の内容によって決まります。トレントなどのファイル共有ソフトを利用した場合は、不特定多数に共有されることから、示談金は高額になりやすいです。
トレントで1本のアニメ映画をダウンロードし、その1本が5万回ダウンロードされたとしたら、損害賠償額はとてつもない金額になる恐れがあります。
弁護士に依頼することで、損害賠償額の大幅な減額が期待できます。
無事に示談することができれば、あなたの違法行為は家族や職場にバレません。
スムーズに解決するためには、法律のプロである弁護士に依頼するのがおすすめです。
違法ダウンロードの弁護士相談はグラディアトル法律事務所へ!
違法ダウンロードの相談は、弊所グラディアトル法律事務所にお任せください。
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特に、インターネットトラブルは専門性が高いため、「どの弁護士に依頼するか」はかなり重要になります。
最新の事情に精通した弁護士でないと、足をすくわれる恐れもあるからです。
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逮捕や高額な損害賠償請求のリスクを下げる
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弊所では、トレントで漫画やアニメなどを違法ダウンロードした方については、すべて示談で解決しています。
示談金に幅があるのは、違法ダウンロード行為の内容や損害額によるものです。
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まとめ
本記事では、違法ダウンロードに適用される法律や逮捕の可能性について解説してきました。
最後に、記事の内容をおさらいしましょう。
違法ダウンロードを規制する法律は、著作権法です。
2021年の法改正により、すべての著作物が違法ダウンロードの規制対象になりました。
また、個人で楽しむ目的であっても、海賊版と知りながらダウンロードすると違法になります。
現時点では違法ダウンロードだけで逮捕されるリスクは低いですが、著作権者から損害賠償請求をされる可能性はあります。
軽い気持ちで行ったダウンロードが、あなたの人生を変える恐れもあります。違法ダウンロードを行ってしまったら、本記事を参考に適切な対処をすることをおすすめします。
違法ダウンロードによって不安や心配が生じたら、いつでもグラディアトル法律事務所へご相談ください。