女性向けの匿名掲示板として国内最大級のユーザー数を誇る「ガールズちゃんねる(ガルちゃん)」。最新ニュースをはじめ、芸能や仕事、美容やファッションなど、幅広いテーマのトピックが存在します。
ただ、ユーザー数が多いということは、それだけ誹謗中傷の被害も増えるということ。ガルちゃんの心無い投稿に悩まされている方は多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、ガールズちゃんねるの誹謗中傷書き込みの削除依頼の方法を解説します。
また、開示請求により、書き込みの投稿者を特定したり、損害賠償請求したりするにはどうすればいいのかなど、削除依頼以外のガールズちゃんねるの誹謗中傷対策についても弁護士が解説をします。
ガールズちゃんねる(ガルちゃん)とは
ガールズちゃんねる(ガルちゃん)とは
ガールズちゃんねるとは、「女子の女子による女子のためのおしゃべりコミュニティ」をコンセプトに掲げる女性向け匿名掲示板であり、ユーザーの間では「ガルちゃん(がるちゃん)」という略称で親しまれています。
2020年3月には月間10億PV(※)を突破するなど、名実ともに国内最大級の女性向けメディアです。
ただ、これだけユーザー数が多いと、心無い投稿をしたり、悪意のあるトピックを立てたりする人も出てきてしまいます。特に著名人や企業の炎上はターゲットにされやすいです。他にも、意見の食い違いで口論になり、ガールズちゃんねるのユーザーに対して誹謗中傷が浴びせられるケースも存在します。
顔が見えない匿名掲示板の性質上、普段より気持ちが大きくなったり、「ガルちゃんのみんながやっているから大丈夫だと思った」といった集団心理が働いたりなど、どうしても誹謗中傷が起きやすい背景があります。
また、自分が誹謗中傷のターゲットにされるだけでなく、いつのまにか加害者になっている可能性もあるでしょう。
いずれのケースにせよ、誹謗中傷のコメントを残しておくと、まとめサイトやTwitterなどのSNSで拡散されてしまう可能性があります。ことが大きくなるまえに、できるだけ早く削除したほうがいいでしょう。
※ 参考:国内最大級の女性向けメディア「ガールズちゃんねる」のアクセス数が月間10億ページビューを突破|財経新聞
ガールズちゃんねるの運営会社
ガールズちゃんねるの運営会社は、株式会社ジェイスクエアード(JSQUARED)です。
【ガールズちゃんねるの運営会社情報】
会社名 株式会社ジェイスクエアード
代表者 代表取締役 大宮光晶
所在地 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目8番3号丸の内トラストタワー本館20階
削除依頼や開示請求を求める裁判手続きを行う際には、同社を相手に手続きを進める必要があります。
ガールズちゃんねるの誹謗中傷コメントは削除できる?
ガールズちゃんねるの誹謗中傷コメントは、条件さえ満たしていれば削除できます。具体的には以下のとおりです。
・利用規約の禁止事項に違反するもの
・法律に違反した書き込み
それぞれ詳細を解説します。
利用規約の禁止事項に違反するもの
ガールズちゃんねるの利用規約では禁止事項(a~y)が定められており、違反する書き込みは削除される可能性があります。
ユーザーは、本サービスの利用にあたり、次に掲げる行為を行ってはならないものとします。禁止事項に違反した場合には、アクセス禁止措置、投稿禁止措置、コメント等の情報の全部もしくは一部の削除、又は公開範囲の変更等の不利益な措置を採ることがあります。
引用:ガールズちゃんねる利用規約 第9条 禁止事項|ガールズちゃんねる
禁止事項(a~y)のなかで、押さえておきたい事項は以下のとおりです。
b. 本サイトもしくは他者の財産、プライバシーもしくは肖像権を侵害する行為、又は侵害するおそれのある行為。
c. 本サイトもしくは他者を不当に差別もしくは誹謗中傷し、他者への不当な差別を助長し、又はその名誉もしくは信用を毀損する行為。
p. 自己または第三者の住所、電話番号、メールアドレス等の個人が特定される連絡先を投稿する行為。
x. 法令、公序良俗又は本利用規約に違反し、又は他者の権利を侵害すると本サイトが判断する行為。引用:ガールズちゃんねる利用規約 第9条 禁止事項|(一部抜粋)|ガールズちゃんねる
法律に違反した書き込み
法律に違反した書き込みも削除対象です。
メールを拝見し、違法もしくは不適切な投稿、画像、リンク等であると判断できましたら、早急に削除などの対応をいたします。
引用:お問い合わせ 「削除要請について」|ガールズちゃんねる
明らかに禁止事項や法律に違反している書き込みなら問題ないのですが、なかには判断が難しいケースもあり、該当の書き込みを削除してもらえない場合もあります。その際は弁護士に相談するといいでしょう。
ガールズちゃんねるで削除依頼の対象となる誹謗中傷コメントの具体例
ここでは、ガールズちゃんねるで削除依頼の対象となる誹謗中傷コメントの具体例を解説します。
よくある誹謗中傷書き込みは、以下の3つの類型です。
・名誉毀損(犯罪・不倫など)
・名誉感情侵害(ブス、ババア、ヤリマンなど)
・プライバシー権侵害(個人情報の書き込みなど)
・肖像権侵害(プライベートな写真を晒す行為など)
名誉毀損(犯罪・不倫など)
名誉毀損については、名誉権の侵害として、法律に違反する書き込みとして削除依頼が可能です。
名誉毀損に該当する書き込みは利用規約の第9条1項cに該当します。
c. 本サイトもしくは他者を不当に差別もしくは誹謗中傷し、他者への不当な差別を助長し、又はその名誉もしくは信用を毀損する行為。
引用:ガールズちゃんねる利用規約 第9条 禁止事項|ガールズちゃんねる
名誉毀損・名誉権侵害は、書き込まれた人の社会的評価を低下させるものです。
「覚せい剤を使用している」
「詐欺師だ」
「〜と不倫をしている」
などと、犯罪行為や不倫などの不法な行為をしていると書き込む場合が典型例です。
名誉毀損については、刑事罰もあるので、注意が必要です。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
引用:刑法 第二百三十条 名誉毀損|e-GOV 法令検索
注目してほしいのは「事実の有無にかかわらず」という点です。「本当のことだったら名誉毀損にならない」と誤解している方も多いですが、そういうわけではないのでご注意ください。
名誉感情侵害(ブス、ババア、ヤリマンなど)
名誉感情の侵害とは、人が自分自身の人格的価値について有する主観的な価値を毀損することをいいます。
名誉感情は、主観的名誉などと表現されることもあります。
簡単にいうと、自分の価値についての意識や感情、プライド、自尊心のことといえるでしょう。
ブス、ババア、ヤリマンなどが名誉感情の侵害に該当します。
名誉毀損同様、ガールズちゃんねるの利用規約の第9条1項cに該当します。
容姿に対する誹謗中傷や、出身地や国籍、信仰している宗教、性格などの内面に関する誹謗中傷も削除対象に含まれるでしょう。投稿内容が事実であるかどうかは関係ありません。他者を不当に貶めている事実がポイントです。
名誉感情侵害の詳細は、以下の記事をご参照ください。
プライバシー権侵害(個人情報の書き込みなど)
個人情報の書き込みは、プライバシー権の侵害に該当します。
また、ガールズちゃんねるの利用規約の第9条pに該当します。
p. 自己または第三者の住所、電話番号、メールアドレス等の個人が特定される連絡先を投稿する行為。
引用:ガールズちゃんねる利用規約 第9条 禁止事項|ガールズちゃんねる
もちろん、個人を特定できるような氏名の投稿も禁止事項です。
住所に関しては、番地やアパート・マンションの部屋番号が記載されていなくても、個人を特定可能と判断されれば、削除される可能性があります。
他にも、前科や犯罪歴、離婚の経緯、病歴など、他人に知られたくない事柄を匿名掲示板・SNSに投稿すると、プライバシーの侵害が成立する可能性があります。
肖像権侵害(プライベートな写真を晒す行為など)
プライベートな写真を晒す行為などは、肖像権侵害に該当します。
写真の内容や晒し方などが受忍限度を超えるような場合には違法となり、削除依頼の対象になりまうs。
プライベートな写真を晒す投稿は、ガールズちゃんねるの利用規約の第9条bに該当します。
b. 本サイトもしくは他者の財産、プライバシーもしくは肖像権を侵害する行為、又は侵害するおそれのある行為。
引用:ガールズちゃんねる利用規約 第9条 禁止事項|ガールズちゃんねる
ガールズちゃんねるへの削除依頼の方法と手順
ガールズちゃんねるへの削除依頼は以下の2ステップに分けられます。
1.必要情報を用意する
2.「info@girlschannel.net」あてにメールを送信する
必要情報は、「トピックのタイトルとURL」「コメント番号」「削除を要請する理由」の3つです。それを記入したメールを「info@girlschannel.net」あてに送信します。
ガールズちゃんねる側が内容を確認し、「違法性がある」「不適切である」と判断したら削除される流れです。
注意点として、削除依頼は電話ではなくメールで行う必要があります。
削除にあたっての正確性を期すためと、要請があったことを記録しておくため、削除要請はメールまたは文書のみで受け付けております。電話での削除要請には対応致しかねますのでご了承ください。
引用:お問い合わせ 「削除要請について」|ガールズちゃんねる
運営会社に電話をかけても対応してもらえないのでご注意ください。
削除依頼を成功させやすくするポイント
ガールズちゃんねるでの削除依頼を成功させるためには、いくつかポイントを押さえておくと効果的です。
・具体的にどの禁止事項に該当するのかを記載する
・証拠を残しておく
・1通のメールで複数の削除要請が可能。削除要請の連続送信は控える
それぞれ詳細を解説します。
具体的にどの禁止事項に該当するのかを記載する
削除依頼のメールは、具体的にどの禁止事項に該当するのかわかるように記載しましょう。
「~~~と言われて傷ついた」「~~~のコメントは非常に迷惑です」といった感情的な訴えではなく、「~~~という投稿は利用規約の〇〇に違反しています」のような事実に即した主張が望ましいです。
【サンプル】
件名:削除依頼
本文:
ガールズちゃんねるで以下の投稿(コメント)を削除してほしいです。
・〇〇(トピックのタイトルとURL)
・△△(コメント番号)
・私は■■というアパートに住んでおり、そこの部屋番号まで晒されています。これは利用規約の第9条pに該当する行為です。また、第三者の住所を晒す行為はプライバシーの侵害が適用される可能性もあります。早急なご対応をお願いします。
証拠を残しておく
明らかな誹謗中傷の場合、スマホやPCのスクリーンショットを撮っておきましょう。投稿の日時とコメント番号が明確なら、ガールズちゃんねるの運営も対応しやすくなります。
また、スクリーンショットによる証拠の確保は、損害賠償請求を行う際に役立ちます。
1通のメールで複数の削除要請が可能。削除要請の連続送信は控える
誹謗中傷のコメントが複数ある場合、1通のメールにまとめることが可能です。そのほうがガールズちゃんねるの運営者側としても状況を把握しやすいでしょう。
また、削除依頼の連続送信は控えることをおすすめします。運営側にスパムだと認識されるリスクがあるからです。
ガールズちゃんねるに限らず、匿名掲示板への削除依頼はかなりの数に上ることが予想されます。「今すぐ削除してほしい」という気持ちはわかりますが、最低でも3営業日は待ってから再度問い合わせするようにしましょう。
ガールズちゃんねるでは自分の投稿の削除依頼をする場合も運営に連絡が必要
つい魔が差してしまい、ガールズちゃんねるで誹謗中傷してしまった方もいると思います。トラブルを回避するためには削除しておいたほうがいいでしょう。
しかし、ガールズちゃんねるでは自分の投稿を自由に削除できません。運営にメールで連絡する必要があるのです。
自分が投稿したコメントやトピックを削除するには、運営にご連絡いただく必要があります。ご自身で投稿内容を削除することはできません。
お問い合わせページをご覧の上、メールでご連絡ください。※ 引用:よくある質問・ヘルプ 「投稿した内容を削除する」|ガールズちゃんねる
削除申請に関しては先述した方法と同様です。以下の3点をメールに記入し、「info@girlschannel.net」宛に送信してください。
・「トピックのタイトルとURL」
・「コメント番号」
・「削除を要請する理由」
ガールズちゃんねるの誹謗中傷で弁護士への相談が効果的になる場合
ガールズちゃんねるの誹謗中傷では、自分1人で問題を解決できないケースがあります。具体的には以下のとおりです。
・ガールズちゃんねるが該当の投稿を削除してくれない
・他の掲示板やSNSで拡散される前に削除したい
ガールズちゃんねるが該当の投稿を削除してくれない
ガールズちゃんねるに削除依頼を出したとしても、そのすべてが受理されるわけではありません。何らかの理由で投稿が削除されない可能性もあります。
「誹謗中傷されているのに投稿が削除されない」という場合は、何度も削除依頼をするよりも、弁護士に相談するとよいでしょう。
投稿の内容が誹謗中傷に当たるのかをはじめ、どのような手続きを踏めば削除されるかなど、今後の方向性をアドバイスしてくれます。
他の掲示板やSNSで拡散される前に削除したい
ガールズちゃんねるなど匿名掲示板の誹謗中傷は、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)やSNSに飛び火することがあります。そのような事態を防ぐためには迅速な対応が重要です。
特に個人情報が晒されている場合、ガールズちゃんねるに削除依頼をしても、削除に時間を要する場合もあるでしょう。他のサイトやSNSで個人情報が拡散されてしまう前に、なるべく早く弁護士などの専門家を頼ったほうが確実でしょう。また、万一拡散されてしまった場合も、弁護士であれば被害をおさえるための適切な対応をしてくれます。
ガールズちゃんねるの開示請求で投稿者を特定・損害賠償請求をする方法
ガールズちゃんねるに限らず、匿名掲示板で誹謗中傷の投稿者を特定したり、損害賠償を請求したりするためには発信者情報開示請求を行う必要があります。
開示請求の流れについては、以下のとおりです。
1、ガールズちゃんねるを運営している株式会社ジェイスクエアードに対して、発信者情報開示請求を行う
2、1が拒否された場合、「発信者情報開示の仮処分」手続きを行う
3、開示されたIPアドレス情報をもとに、投稿者のプロバイダを特定する
4、プロバイダ事業者に対して「発信者情報開示請求」を行う
5、4が拒否された場合「発信者情報開示請求訴訟」を起こす
6、勝訴すれば投稿者の氏名や住所、電話番号などの個人情報が開示される
2022年10月1日より「改正プロバイダ責任制限法」が施行され、運営会社への発信者情報開示請求とプロバイダへの発信者情報開示請求の手続きがまとめて行えるようになりました。
改正後も、改正前の手続きによる開示請求は可能ですので、状況に応じて選択することが可能です。
いずれにせよ、発信者情報開示請求には専門知識が問われる場面も多く、そのうえ手続きを迅速に行う必要があるため、発信者情報開示請求による投稿者の特定、損害賠償請求は弁護士に相談、依頼することをおすすめします。