FC2動画削除の弁護士解決事例

弁護士 若林翔
2020年10月08日更新

今回は,FC2動画というアダルト動画投稿サイトにいわゆる「オフパコ」時の性行為の動画がアップされてしまい,弁護士を通じてその動画の削除に成功したという解決事例を紹介する。

アダルト動画・画像やリベンジポルノ動画・画像を公開することの違法性や削除方法については,以下の記事を参照してほしい。

リンク:アダルト動画・AV・リベンジポルノを削除したい(xvideos、tokyomotion等)

 

FC2動画でのリベンジポルノ被害相談概要

相談者は,福岡県在住の専門学校に通う女性だ。

相談内容は,FC2アダルト相談者の性行為の動画(いわゆるハメ撮り動画)がアップされていたというものだ。

FC2動画とは,動画共有サービスであって,成人向けのアダルト動画はFC2アダルトにて投稿・共有されている。

相談者はTwitter(ツイッター)上でオフパコを募集している人に興味本位でコンタクトをとってしまい,性行為をする流れになった。

当日ホテルに行くと,既にカメラがセッティングされていたとのことだ。

相談者は,撮影されるのは聞いていない,嫌だと断ったが,「撮影するのが趣味だ。絶対誰にも見せないから。」と相手方に言われ,しょうがなく性行為の撮影に同意してしまった。

なお,報酬等は一切もらっていないとのことだ。

後日,知り合いから相談者の性行為の動画がネットに上がっているよと知らされた。

相談者は,インターネットで「アダルト動画 削除」について,検索をして,当法律事務所を見つけたとのこと。

相談者としては,アップロードされてしまった動画について,どう対策をしていいかわからず,またできる限り早く削除をしてほしいと弊所弁護士に相談にきた。

FC2動画削除についての弁護士の方針

まず弁護士が検討すべきは,今回のオフパコ動画をFC2動画にアップロードした行為の違法性についてだ。

今回の相談者は,オフパコ時に撮影された性行為の動画が第三者に見られることがないことを前提に撮影に同意をしている。すなわち,相談者は第三者が閲覧することを認識した上で任意に撮影に同意したものではない。

そのため,この動画は「私事性的画像記録」(リベンジポルノ防止法2条1項1号)に該当する。

これをFC2アダルトという動画共有サービスを使用してインターネット上で公開したことについては,電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供」(同法3条1項)といえる。

よって,リベンジポルノ防止法条の公表罪(同法3条1項,3年以下の懲役,50万円以下罰金)に該当する。

なお,リベンジポルノ防止法やアダルト動画の具体的な削除方法については,以下の記事を参照してほしい。

リベンジポルノ被害の3つの対処法と相談先3選【早期対応が重要!】

さらに,本件でのオフパコ動画は無修正動画だったため,わいせつ電磁的記録の公然陳列罪(刑法175条)にも該当する。

以上のように本件動画には刑事罰が適用されるレベルの違法性がある。

加えて,相談者の肖像権・プライバシー権等の人格権(憲法13条)を侵害することも明らかだ。

以上から,法律上の削除が認められるための要件は充たしている。

 

次に,具体的な削除の方法についてだが,相談を受けた弁護士の経験上,このようにインターネット上にアダルト動画が流出した場合,他のサイトに転載がされ,削除しても削除しても再度アップされることがよくあった。

そのため,早急に削除請求する必要がある。

弁護士からFC2の運営会社に対して,アップロードされている当該動画の違法性についての説明書面を送付することにより削除請求をして,それで消えないようなら裁判所に削除の仮処分を申し立てるという方法が良いだろう。

今回のケースは,幸いにもアップされてから日が浅かったため,他のサイトへの転載は相談段階では確認できなかった。そのため,早急に削除申請し,削除されれば被害を最小限に抑えることができるものであった。

相談者は,面談のうえ,当法律事務所の弁護士に,WEB上にUPされた動画の削除の依頼をすることにした。

弁護士からFC2に対する削除請求

本件で依頼を受けた弁護士は,契約手続終了後,すぐに削除請求に取り掛かった。

弁護士は,FC2に対し,本動画が重大な人権侵害をしていること,犯罪行為に該当すること,FC2の利用規約に違反することを丁寧に説明した上で,削除申請をした。

なお,FC2動画では,利用規約が定められており,利用規約に違反する禁止行為を行った場合は予告なく利用を停止,または法的に可能なあらゆる措置または手続きを行う旨が定められている。

FC2は本サービスの利用について以下の行為に該当し、または該当するおそれがあるとFC2が判断する行為を禁止します。 禁止行為を行った場合は予告なく利用を停止、または法的に可能なあらゆる措置または手続きを行うとともに、禁止行為に基づきFC2または第三者が損害を被った場合は、当該ユーザー及び利用者はこれを賠償するものとします。

1 本規約に違反する行為
2 他の利用者または第三者の信用もしくは名誉を侵害し、他人のプライバシー権、肖像権その他一切の権利を侵害する行為

4 法律に抵触する内容の掲載、並びに傷害・自殺・窃盗・違法薬物の使用及び販売をはじめとする違法行為、並びに危険ドラッグの使用及び販売を勧誘または助長する行為

6 社会道徳・公序良俗に反する行為及び表現。他の利用者または第三者に対して、卑猥な映像・音声・文字列などの情報公開、及びその幇助

FC2動画利用規約/FC2ヘルプ参照

 

多くのアダルトサイト・エロサイトでは削除申請をする際,法的根拠や利用規約に違反をしている理由についての説明を求められる。

そのため,削除の法的根拠や利用規約違反を弁護士がしっかりと記載をして,削除請求をする場合には削除応じてくれる場合が多い

弁護士の削除請求後,数日で本件動画の削除が確認できた。

無事解決されたといいたいところであるが,その動画自体が,投稿者またはダウンロードした者のPCから削除されているかどうかは確認のしようがない。

そのため,今後また再度アップされる可能性は残る。
もっとも,アップされてからできるだけ短い期間で,削除に至ったので拡散される可能性はできるだけ小さくできたといえる。

やはり,このようなトラブルを回避するためには,動画を取らせないこと,これに尽きます。

万一,動画を撮られてしまい,インターネット上にアップロードがなされてしまった場合には,ダウンロードする人の人数が少なく他サイトに転載される前,できる限り素早く削除をすることが重要だ。

もし,自身の裸の動画などのアダルト動画やリベンジポルノ動画を発見したような場合は,早急にネット上の誹謗中傷やアダルトサイトの削除に詳しい弁護士にご相談ください。

そうすることで,被害を最小限にすることができます。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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