TikTokの動画やコメント、アカウントに対する通報、削除依頼の方法

弁護士 若林翔
2023年06月13日更新

TikTokでは、他人が投稿した不適切なコンテンツに対して、削除依頼を出すことが可能です。正しい依頼方法を知っておけば、いざというときに不適切な動画やアカウント、コメントから自身や会社を守ることができるでしょう。

今回は、TikTokで削除対象となり得るコンテンツや削除依頼の方法について解説します。実践的な知識として、注意点とあわせて覚えておきましょう。

 

 

TikTokで削除対象となり得る動画、コメント、アカウント

削除依頼に応じてもらうためには、動画やコメント、アカウントといった該当のコンテンツが削除対象として認められる必要があります。削除対象になり得るコンテンツは以下のようなものです。

・無断撮影された動画
・誹謗中傷コメント
・なりすましアカウント
・その他ガイドラインに違反しているコンテンツ

順に解説していきます。

無断撮影された動画

無断で他人の写真や動画を撮る行為は、肖像権(プライバシー権)の侵害にあたります。誰かが断りなく撮影した動画に自分が映っていた場合は、削除を依頼する正当な権利があるのです。

TikTokの構造上、投稿された動画は不特定多数の人がダウンロード可能です。拡散や悪質な利用といった二次被害を防ぐためにも、見つけたらすぐに早く削除を依頼するのがいいでしょう。

誹謗中傷コメント

誹謗中傷とは、言葉で特定の人を攻撃したり、根拠のない悪口を言いふらしたりする行為です。内容によって名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪といった罪に問われる可能性があります。
誹謗中傷コメントは、インターネットの普及とともに多くのプラットフォームで増加しています。TikTokも例外ではなく、ユーザーによる過激な投稿が問題になったケースも多々あることから、誹謗中傷コメントが書き込まれる可能性も十分にある環境だといえるでしょう。

なりすましアカウント

TikTokコミュニティガイドラインには以下のような記述があります。

“スパムを送信したりTikTokのコミュニティを欺いたりする可能性のあるアカウントの行為は許可されません。これには、隠れて影響をおよぼす行動の実施や、スパムまたはなりすましアカウントの操作が含まれます。
(引用:コミュニティガイドライン | TikTok)”

この内容から、TikTokの運営がなりすましアカウントを許可していないことが明確にわかります。見つけたらすぐに削除を依頼しましょう。


なりすましアカウントを用いて、なりすました相手の個人情報を暴露したり、本人に被害を与えるような投稿をしたりしていれば、名誉毀損罪や業務妨害罪といった罪に問われる可能性があります。

その他ガイドラインに違反しているコンテンツ

先に挙げたもの以外でも、TikTokのコミュニティガイドラインに違反しているコンテンツは削除対象になります。

たとえば、次のようなコンテンツはコミュニティガイドライン違反の可能性があります。

・暴力を含むコンテンツ
・犯罪を含むコンテンツ
・ヘイトを含むコンテンツ
・性的な内容を含むコンテンツ
・ハラスメントやいじめを含むコンテンツ
・誤情報を含むコンテンツ
・自殺や自傷を含むコンテンツ
・動物の虐待を含むコンテンツ
・合成および改変されたコンテンツ
(参考:コミュニティガイドライン | TikTok

コミュニティガイドラインは随時更新されるので、定期的に確認しましょう。

TikTokに他人の動画やコメント、アカウントの削除依頼をする方法

他人が投稿したコンテンツに対して削除を依頼する方法は以下の4つです。

・TikTokに通報する
・TikTokにメールや専用フォームで削除依頼する
・投稿者に直接削除請求する
・法的措置による削除

それぞれ必要な手順や削除してもらえる確率が違うため、状況に応じて適切なものを選びましょう。具体的な方法を解説していきます。

TikTokに通報する

通報は、少ない手順で不適切なコンテンツを報告できる削除依頼方法です。通報したコンテンツが削除されるかどうかは、通報を受けたTikTok運営の判断に委ねられます。必ず削除されるわけではないことを覚えておきましょう。

◉動画を通報する方法

通報機能で不適切な動画を報告する手順は以下のとおりです。

1.該当の投稿を長押しする

2.「報告する」を選択する



3.報告理由を選択する

 

4.「送信」を選択する


◉コメントを通報する方法

通報機能で不適切なコメントを報告する手順は以下のとおりです。

1.該当のコメントを長押しする

2.「報告する」を選択する

 

3.報告理由を選択する


4.「送信」を選択する

◉アカウントを通報する方法

通報機能で不適切なアカウントを報告する手順は以下のとおりです。

1.該当アカウントのプロフィールを表示する

2.右上の「…」を選択する


3.「報告する」を選択する


4.「アカウントを報告する」を選択する


5.報告理由を選択する


6.「送信」を選択する

TikTokにメールや専用フォームで削除依頼する

TikTokでは、アプリ外からメールや専用フォームで削除を依頼することもできます。「TikTokアカウントを持っていないけど削除依頼をしたい」という場合に便利な方法です。

運営に直接依頼を送ることができますが、通報機能同様に必ず対応してもらえるわけではありません。対応してもらえないからといって、メールやフォームを何度も送信しないようにしましょう。

【削除依頼用のメールアドレス】

問い合わせ用のメールアドレスは以下の3つです。内容に合わせて使い分けましょう。

一般ユーザー向け
TikTokアプリに関する問い合わせ(feedback@tiktok.com)
プライバシーポリシーに関する問い合わせ(privacy@tiktok.com)

企業向け
パートナーシップに関する問い合わせ(info_jp@tiktok.com)

【専用フォームから削除依頼する方法】

専用フォームから削除依頼をする手順は以下のとおりです。

投稿者に直接削除請求する

通報や専用フォームの送信をしても運営が対応してくれない場合、投稿者本人に直接コンテンツの削除をお願いしてみましょう。

TikTokでは、ユーザーに対してダイレクトメッセージを送ることができます。メッセージ送る手順は以下のとおりです。

1.該当アカウントのプロフィールを表示する

2.右上の「…」を選択する


3.「メッセージを送信」を選択する


4.表示される吹き出しにメッセージを入力する


5.「メッセージボタン」を選択する

送ったメッセージは「メッセージリクエスト」として、内容とともに相手に通知されます。相手がリクエストを承認するまでは3回しかメッセージを送ることができないので、少ない回数で内容や希望を端的に伝えるようにしましょう。

この削除依頼は投稿者本人に対応してもらう必要があります。こちらのメッセージを受けて心境が変化することもありますが、もともと不適切なコンテンツを投稿した本人のこと、対応してもらえない場合も少なくないでしょう。

相手に削除の意志がない場合は、送ったメッセージリクエストが削除されてしまったり、返信が返ってこなかったりすることが考えられます。

法的措置による削除

いかなる削除依頼も実らないという場合は、法的措置による削除請求も検討しましょう。そのコンテンツによって権利が侵害されているというケースにおいては、「仮処分」による削除申し立てが可能です。

仮処分とは、裁判所が暫定的に下す決定のことです。手続きが迅速に行われるので、火急の削除依頼と相性がいいでしょう。

削除の仮処分が認められれば、裁判所から投稿者に対して不適切なコンテンツの削除命令が出されます。これまで頑として削除依頼に応じなかった投稿者も、裁判所からの命令となれば応じる場合がほとんどです。また「仮」とついているものの、ここで一度削除されたコンテンツが復活することはありません。

仮処分による削除は、該当のコンテンツによって明確な権利侵害を受けているケースにのみ適用可能です。削除の仮処分が可能かどうか判断できない場合は、無料相談などを利用して一度弁護士に相談してみるのがいいでしょう。

 TikTokの通報機能の注意点

TikTokの通報機能は、簡単に使えるがゆえに扱い方には注意が必要です。通報機能の注意点は以下の5つです。

・TikTokの削除ポリシーに基づいて審査される
・問題があると判断されると投稿者に注意喚起がいく
・通報しても通報者の情報は相手にバレない
・何度も通報しない
・削除対応までの期間の目安

通報した人や通報された人にどのような影響を与えるのか、気をつけるべき点とともに解説します。

TikTokの削除ポリシーに基づいて審査される

通報を受けたTikTok運営は、コミュニティガイドラインに従って該当のコンテンツを審査します。その際は、「削除するべきかどうか」もしくは「『おすすめ』フィードの対象から除外するべきかどうか」が検討されます。

通報時以外にも、コンテンツがアップロードされたとき、アクセスが増えたときに審査対象になる可能性があります。

(参照:コンテンツの違反と禁止|TikTok)

問題があると判断されると投稿者に注意喚起がいく

コンテンツに問題があると判断され、通報が妥当だと認められた場合、通報した相手には注意喚起が届きます。コンテンツがコミュニティガイドラインに違反していることが記載されているため、相手が振る舞いを改めるきっかけになるでしょう。

また、場合によっては先にコンテンツが削除され、そのあとで「コミュニティガイドラインに違反していたため削除した旨」が通知されるケースもあります。これには異議申し立てが可能で、認められると一度削除されたコンテンツも復活する仕組みです。

コミュニティガイドライン違反が重なると、投稿が一時的にブロックされたり、アカウントが永久停止されたりといった処遇につながる可能性もあります。

以下は注意喚起の一例です。

◉コミュニティガイドライン違反の注意喚起

◉動画が削除された旨の通知

 

◉動画が削除された旨の通知(さらなる制限の注意喚起)


◉動画の削除と投稿のブロックが施された旨の通知

通報しても通報者の情報は相手にバレない

通報者の情報を確認できるのはTikTok運営のみです。通報した相手に通報者の情報が伝えられることはありません。迅速な対処が求められる場合も少なくないので、不適切なコンテンツを見かけた場合にはためらわずに通報しましょう。

何度も通報しない

少しでも早く対応して欲しいからと何度も通報していると、TikTok運営にスパムと判断され、かえってアカウント停止といった厳しい処分を下されてしまう可能性があります。

どれだけ通報しても該当のコンテンツが削除される確率は変わりません。焦ってしまう気持ちはわかりますが、無意味に何度も通報するのはやめましょう。

削除対応までの期間の目安

削除対応までの期間としては、最低でも1週間〜1ヶ月程度を目安にしておきましょう。ただしTikTokは、通報されたコンテンツの削除対応にかかる期間を明確にしていません。この期間はコンテンツの内容や運営の事情によっても変動する可能性があるため、正確に予測するのは難しいといえます。

TikTokの削除依頼を弁護士に依頼したほうがよい場合


TikTokの削除依頼は弁護士に任せることも可能です。弁護士を通しての削除依頼は総じて「法的な観点を踏まえて効果的な削除依頼をしたい」という場合に有効です。

以下のようなケースにおいては、弁護士を通じた削除依頼が効果的でしょう。

具体的に解説していきます。

TikTokに通報したが削除に至らなかった

通報機能や専用フォームを使ってTikTokに削除を依頼しても、該当のコンテンツが必ず削除されるわけではありません。すでに何らかの不利益を被っている場合は特に、削除を諦めたくない方がほとんどでしょう。

コンテンツが法的な問題をはらんでいる場合、弁護士が専門知識をふまえて削除依頼することで、対応してもらえる可能性を高められます。

炎上や拡散の可能性がありスグに削除したい

一度でも炎上や拡散を許してしまうと該当のコンテンツがインターネット上に散らばってしまい、すべてを削除するのが難しくなってしまいます。

炎上や拡散を避けるためには、一刻も早いコンテンツの削除が求められます。一方で、通常の削除依頼では時間がかかってしまいますし、仮処分のような法的措置を用いて削除依頼をしようしても、入念な準備や手続きが必要なため、スピード感との両立は容易ではありません。

法律の専門家である弁護士に削除依頼を任せれば、いかなる場合も迅速かつ効果の高い対処が可能になります。

投稿者を特定して損害賠償請求をしたい

損害賠償請求とは、自身が受けた損害に対して補償を求めることです。損害賠償請求の対象として認められるには、該当のコンテンツに違法性があることが条件です。不利益を被った場合でも、内容によっては損害賠償請求の対象外になるということを覚えておきましょう。

損害賠償請求を成功させるためには、しっかりとした事前準備を行ったうえで、適切な流れで進める必要があります。投稿者を特定するところからはじめる必要があるため、TikTokに対するIPアドレス開示請求、プロバイダに対する契約者情報の保存・開示請求といった手続きが必要です。専門知識のない方にとってはかなりハードルの高い作業でしょう。

また、やり方を少しでも間違えると、かえって問題が大きくなりかねません。そうなれば、問題解決までの道のりはより難航してしまいます。

損害賠償請求までの手続きは、弁護士に依頼するのがおすすめです。請求の正当性から検討してもらうことができ、豊富な知識と経験によって安心して請求を進められるでしょう。

問題が大きくなる前にTikTokへの削除依頼は弁護士に相談しよう


TikTokのコンテンツは常に炎上や拡散の危険をはらんでいます。はじめはボヤだったものが、放置していたがために大火事になってしまうというケースも少なくなりません。火は小さいうちに消しておくことが肝要です。

削除依頼を確実に承認してもらいたい場合は、弁護士を通じて依頼しましょう。依頼の確実性を高める役割だけでなく、あらゆるケースやシチュエーションにおいて依頼者をサポートする役割も果たします。

また、弁護士に任せればスピーディーな対応が可能です。拡散や炎上と隣り合わせのTikTokでは、処置の迅速さも大きな意味を持つでしょう。

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巧遅拙速。削除依頼は手がつけられなくなってからでは遅いのです。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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