SNSとして世界最大規模の著名度及びユーザー数を誇るInstagram(インスタグラム)。
しかし、その人気の上昇と共にユーザー同士のトラブルも急増してきており、その中でも多いのが自分が投稿した画像の転載や自身が写った写真の勝手な投稿です。そこで、今回はこうした無断転載・投稿に対して弁護士としてはどのような対処方法があるか、それを解説していきたいと思います。
無断転載・投稿の何が問題なのか?
やや挑発的なタイトルになってしまいましたが、無断転載・投稿は当然なされるべきではありません。
しかし、法律に整理して考えると、何の法律にどのように違反するのでしょうか。
「無断転載・投稿」と一口に言っても何パターンか存在し、そのパターンごとに問題となる法律が異なってきます。
ですので、以下代表的な2パターンについて見ていきましょう。
①自分が写った写真が勝手に投稿されている場合
この場合に問題となるのはプライバシー権です。
まず、プライバシー権についてはご存知の方も多いとは思います。
簡単に言ってしまえば、公開されたくない私生活の事柄を勝手に公開されてしまうとプライバシー権侵害です。ですので、自身がInstagram等で投稿していない自分が写った写真を勝手に投稿された場合、多くのケースについてプライバシー権の侵害を主張できることになります。
②自分が撮影・投稿した写真を無断転載されている場合
この場合に問題となるのは著作権です。
著作権についても、言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
著作権とは、創作物に発生する著作者の権利であって、著作者はその創作物をコピーしたり、譲ったりしたりする権利を独占することができます。その権利の中には創作物をインターネット上に送信する権利も含まれています。
今回の場合、自分が撮影しているため、一般的に写真の著作権は自分自身にあります。したがって、その写真をネット上にアップロードする権利も自分が独占している(この独占を著作権法上「専有」と言います)ため、その写真を無断で転載することは著作権侵害にあたることになります。
(以上のパターンに当てはまらない場合は弁護士に相談してみましょう。
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これら2つのケースではそれぞれプライバシー権と著作権が法的には問題となることがわかっていただけたでしょうか。
どんなに倫理的におかしいと思っても、法的な主張をしていくためにはこのような法的な権利や利益の整理が重要となります。
以下で述べるいずれの方法にしても、どの権利が侵害されているかを把握しなければなりません。
方法①Instagramに直接報告する
では、具体的にはどのようにして無断転載・投稿を削除ないし犯人特定することができるのでしょうか。
方法の一つ目は、Instagramに直接報告する方法です。一般的には「通報」とも呼ばれたりしますね。しかし、一度やってみたことがある人なら分かると思いますが、Instagramの通報の仕方は少々面倒です。
そこで、今回画面のどこをクリックしていけばいいか、画像を見ながらお伝えします。
1.無断投稿(プライバシー権侵害)を通報する場合
まずInstagramのヘルプページでプライバシーのページに飛びます。
次に、プライバシーのページから「報告してください」をクリックし、報告フォームに飛びます。
するとページが飛ぶので、「Instagramアカウントを持っていますか?」にはいを選択します。
※いいえを選択すると、下の「報告したいコンテンツへのリンクはありますか?」に飛びますのでそちらでも問題有りません。
「この写真をシェアした人に削除をリクエストしましたか?」に「Yes~(はい、しかし反応が無かったり削除してくれませんでした)」を選択します。
※ここで「No~」を選択しても、「本人に削除要請した方がいいですよ?」という文章が出るだけなので特に意味はありません。
「報告したいコンテンツへのリンクはありますか?」ではいをクリック。
新たなページに飛ぶので、自身が載せられてしまったコンテンツを「写真」か「動画」か選択します。
すると、フォームが展開するので空欄等を埋めていきます。
以上が無断投稿の通報のやり方となります。
2.無断転載(著作権侵害)を通報する場合
まずInstagramのヘルプページで著作権のページに飛びます。
次に、著作権のページから「こちらのフォーム」から通報フォームに飛びます。
通報フォームでは「Copyright(著作権)」を選択します。
「著作権の報告で続行」を選択します。
するとページが飛ぶので、「I found content which I believe infringes my copyright(私の著作権侵害コンテンツを見つけました)」をクリック。
ページが下に少し伸びるので、「Continue with my copyright report(著作権の通報を続ける)」を選択。
そして、「ご連絡先」「報告するコンテンツ」「自分の著作物」「宣誓」をクリックして、それぞれ埋めるべき項目が出ますので、空欄を埋めていきましょう。
以上が無断転載を通報するやり方となります。
方法②裁判所に申立てをする
2つ目の方法として、裁判所に申立てをする方法があります。
具体的な流れとしては、削除と犯人特定で異なります。
まず削除の場合には、Instagram相手に投稿記事の削除仮処分の申立てをします。
この際に必要となってくるのが、上で述べた「どのような権利を侵害しているか」です。この権利侵害性が明らかでなければ、裁判所は削除を認めはしません。申立てさえすれば削除を認めることになってしまうと、他人が不快に思っただけで削除できることになってしまい、SNSが機能しなくなるからです。
他にも、同定可能性と言って、インターネット上で権利侵害されているのが本当に申立て人本人かといった要素が必要となります。詳しくは別の記事で述べていますので、詳しく知りたい方はそちらもぜひご参照ください。
次に、犯人特定にあたっては2段階必要になってきます。
1段階目としては、Instagramを相手として発信者情報開示の仮処分を裁判所に対して申立てます。これが認められれば、IPアドレス(インターネット上のPC・スマホなどの住所)が手に入ります。
2段階目に、そのIPアドレスに基づき通信会社(NTTドコモ・auなど)を特定し、その通信会社を相手にし発信者情報開示の訴訟を提起します。これも裁判所に認められれば、通信会社から契約者情報が開示され、無事犯人特定ということになります。
この手続をまとめて一般的に「発信者情報開示」と呼んだりします。
無断転載・投稿は実際のところ、削除・犯人特定できるのか
これまで無断転載・投稿への対処方法を紹介してきましたが、読者の方には気になっていることがあるでしょう。
「実際には削除・犯人特定なんてできるの?Instagramや裁判所が本当に認めてくれるの?」
結論から言ってしまえば、できます。不可能な方法を載せてたら詐欺ですからね…。
もっとも,法律的な部分(権利侵害性や同定可能性が認められない)や,技術的な部分(技術的にIPアドレスをたどることができない)が原因となり犯人が特定できないリスクはありますので要注意です。
特に、無断転載・投稿といった事例では著作権やプライバシー権の侵害が分かりやすい形です。したがって、比較的削除・犯人特定の可能性が見込めるタイプのトラブルだと言えるでしょう。
ただし、裁判所に申立てする方法では専門的な手続きが求められますから、ご自身で行うことはオススメしません。そして、この手続は弁護士であれば誰もが経験のある手続きというわけでは有りません。ですから、インターネットのトラブルに詳しくない弁護士では削除・犯人特定できるものも裁判所が認めてくれない場合があります。
Instagramの削除・犯人特定を裁判所を通じて行うなら、弊所グラディアトル法律事務所(リンク)を始めとしたインターネットのトラブル解決に経験豊富な法律事務所を選ぶことをオススメします。
まとめ
誰もがインターネットを利用する現代社会では、ネットでの権利侵害が日常生活に直結して悪影響を及ぼしてきます。
最近では裁判所もインターネットの知識や重要性を理解していますから、「所詮ネットだから…」と泣き寝入りする必要はありません。
この記事などを参考にして、トラブルに対して堂々と立ち向かっていきましょう!
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