ニュース内容
元交際相手の裸や下着姿の写真・動画を無許可でインターネット上などに公開する「リベンジポルノ」について、昨年1年間に警察が受理した関係する相談は1479件だった。前年より132件(9・8%)多く、リベンジポルノ被害防止法が施行された2014年以降で最多だった。警察庁が発表した。
2020年3月5日 11時44分 朝日新聞
相談内容(複数回答)は「画像を公表すると脅された」が584件。「画像を所持されている、撮影された」494件、「画像を公表された」272件、「画像を送り付けられた」239件など。写真や動画を脅迫材料に、復縁や性行為を求められるケースが目立ったという。
被害者の93・4%は女性。世代別では20代43・1%、未成年25・4%、30代15・9%の順で多い。最年少は小学3年の児童(8)だった。加害者との関係は、交際相手・元交際相手61・7%、ネット上だけの知人・友人12・3%、それ以外の知人・友人10・4%など。関係性がわからない被害は5・7%あった。
摘発した事件は前年比8件増の261件。罪種別では、脅迫47件、児童買春・児童ポルノ禁止法違反44件、強要39件、リベンジポルノ被害防止法違反34件など。同法違反で摘発した事件で画像が公開されるなどしたSNSやサイトは、ツイッター15件、インスタグラム2件、LINE(ライン)1件、動画投稿サイト「FC2」1件などだった。
警察庁は「親しい人であっても、裸や下着姿の画像を送ったり撮らせたりしないで」と呼びかけている。(八木拓郎)
弁護士からのコメント
今回のニュースは、元交際相手の裸や下着姿の写真・動画を無許可でインターネット上などに公開する「リベンジポルノ」について、昨年1年間に警察が受理した関係する相談が過去最多だったというものです。
リベンジポルノが増加の一途をたどっている理由としては下記が挙げられるでしょう。
まず、スマホやスマホで利用するアプリ、その他撮影機器が年々高機能になり、容易に撮影できるようになったことがあるでしょう。
具体的には従来では撮影できなかった暗がりの場所でも撮影ができたり、いわゆる盗撮機器を用いて相手に秘密裏に撮影したりすることが可能になったということです。
実際弊所でも、撮られた記憶のない動画がインターネット上に流出しているとの相談も増えています。
また、SNSをはじめ様々なインターネット上の媒体に写真・動画の記録を簡単に投稿でき、かつそれに対して誰もがアクセスできるようになったことも挙げられます。
というのは加害者側からすれば、このように簡単に投稿でき、誰もがアクセスできる環境になったがゆえに「恥ずかしい写真や動画を投稿・公開するぞ」との脅し文句で、現実化する恐怖感を与えられるのです。
くわえて、交際相手・元交際相手以外の被害が増えているのは、SNSやアプリなどで様々な人とつながることができるようになったことも一因でしょう。
特に未成年や若者に多いのですが、わいせつな写真や動画を送ってくれたらお金をあげるなどと言われ、いざ送ると親や学校にばらすなどと脅迫され、実際の性被害に遭うケースです。
このようにインターネットを取り巻く環境が発達するに伴い、残念ながらその環境に乗じてリベンジポルノをはじめとした犯罪が増えていっているのです。
ですので、ニュースにもあるよう親しい関係であったとしてもわいせつな写真や動画は絶対に撮らせないようにすべきです。
また撮られてしまった場合も、脅迫や何か要求された段階ですぐさま警察や弁護士に相談しましょう。
実際に写真や動画が投稿されてしまうと、すぐにコピーや拡散される可能性があり、そうなるとインターネット上からすべてを削除することは相当困難となり、いわば一生モノの傷を負うことになりかねません。
最後にリベンジポルノ含め性被害や犯罪に遭いそう、遭った際には、一人で悩まず遠慮なく当事務所にご相談ください。