デリヘル等の風俗店で、盗撮や本番をしてしまうという風俗トラブル事例のご相談が非常に多いです。
その中でも、風俗店や風俗嬢から「被害届を出す」と言われている。
逮捕されないか心配ですというご相談が多いです。
ネット上では、逮捕される可能性は低いから大丈夫などと記載された記事も見かけますが、実際に、風俗トラブルで客が逮捕されている事例があります!
本記事では、風俗トラブルでの逮捕事例を基に、風俗トラブルが何罪に該当するのか、逮捕されないためにどのように対応したらいいのか、解説します。
風俗トラブル全般については、以下の記事もご参照ください。
リンク:風俗トラブルの弁護士無料相談
目次
デリヘル等の風俗での盗撮は犯罪?何罪か?
風俗トラブルの中でも盗撮事件は最も多い事件類型です。
近年のスマホカメラの高性能化や小型カメラの普及などから、盗撮事件は増加傾向にあります。
それに伴い、警察も盗撮事件の取り締まりを強化しています。
では、デリヘル等の風俗での盗撮は何罪で逮捕される可能性があるのでしょうか?
過去の逮捕事例では、各都道府県の迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反、わいせつ電磁的記録の有償頒布罪での逮捕事例があります。
以下では、それぞれについて解説をしていきます。
風俗での盗撮と逮捕については、以下の動画もご覧ください。
風俗の盗撮と迷惑防止条例
デリヘル等の風俗での盗撮で逮捕されている事例のほとんどは、各都道府県の迷惑防止条例違反で逮捕されています。
警察庁としても、盗撮行為については一般的に迷惑防止条例違反で逮捕等の取り締まりを行なっていると発表をしています。
盗撮事犯については、一般的に都道府県迷惑防止条例等違反で検挙している。平成24 年中の迷惑防止条例等違反のうち、盗撮の検挙件数は2,408件であった。盗撮事犯の犯 行場所、盗撮行為に利用された供用物は、下の表のとおりであり、スマートフォンや携 帯電話を悪用する盗撮事犯が多くなっている。
警察では、盗撮事犯の抑止を図るため、広報啓発活動や取締りの強化を実施している。引用:平成29年警察白書より
迷惑防止条例は、法律ではなく、各都道府県が制定する条例ですので、都道府県ごとに規定が異なってきます。
東京都の場合、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」が迷惑防止条例と呼ばれております。
迷惑防止条例の「盗撮」とは、「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること」をいいます。
改正前の東京都の迷惑防止条例では、盗撮が処罰される場所が、「公共の場所・公共の乗物、公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室、公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所」に限定されており、ソープランドなどの店舗型風俗店のプレイルームやデリヘルなどの無店舗型風俗店で利用するホテルや自宅などは処罰の対象外でした。
しかし、盗撮事件の増加に伴い、処罰範囲を拡大する必要が生じ、平成30年7月1日より、迷惑防止条例が改正されました。
改正後の東京都の迷惑防止条例では、「住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」が対象に含まれており、ソープランドなどの店舗型風俗店のプレイルームやデリヘルなどの無店舗型風俗店で利用するホテルや自宅などでの盗撮も処罰対象となりました。
東京都 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第5条第1項 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 省略
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し 向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)(罰則)
第8条第2項 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(1) 第5条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者
また、東京都以外の都道府県でも、迷惑防止条例が改正され、現在は多くの都道府県で風俗での盗撮も処罰対象となっておりますが、一部の都道府県では、風俗での盗撮が対象外の迷惑防止条例もありますので、ご注意ください。
風俗の盗撮と軽犯罪法
風俗での盗撮が迷惑防止条例での処罰対象外の都道府県の場合、デリヘル等の風俗店での盗撮事件は、軽犯罪法で逮捕されています。
軽犯罪法は、各都道府県の条例と異なり、国の法律なので、全国一律で適用されます。
そして、軽犯罪法での盗撮の処罰の場所は、改正後の東京都の迷惑防止条例と同様、「人の住居,浴場,更衣場,便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所」が処罰対象となっているので、ソープランドなどの店舗型風俗店のプレイルームやデリヘルなどの無店舗型風俗店で利用するホテルや自宅などでの盗撮も処罰対象となります。
軽犯罪法では、「ひそかにのぞき見た」行為が処罰対象となっており、肉眼でのぞき見る行為の他、スマートフォンやカメラなどの機器で撮影する行為も含まれると解釈されています。
そのため、盗撮行為も「ひそかにのぞき見た」といえます。
軽犯罪法
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
風俗の盗撮とわいせつ電磁的記録の罪
風俗で盗撮した動画をインターネット上で販売したり、公開したりした場合、わいせつ電磁的記録の頒布罪・同有償頒布目的所持罪・わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪に該当する可能性があります。
実際に、デリヘルでの盗撮動画をFC2動画で販売をしていて、逮捕された事例もあります。
刑法 第百七十五条(わいせつ物頒布等)
1 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
ここでいう、「わいせつ」について、現在の捜査実務上は、無修正の性器が写っているものがわいせつと判断されているようです。
そのため、すべての風俗盗撮動画が「わいせつ」と判断されるわけではない点に、注意が必要です。
風俗での盗撮と逮捕の詳細については、以下の記事もご参照ください。
リンク:風俗で盗撮がバレて逮捕されるケースと今すぐチェックすべき7の行動
風俗での盗撮の逮捕事例については、以下の記事もご参照ください。
デリヘル等の風俗での本番強要は何罪?
風俗トラブルの相談で、本番についての相談も多いです。
風俗でいう本番とは、性行為(セックス)のことを指します。
そもそも、デリヘルなどの多くの風俗店では、本番行為を禁止しております。また、売春防止法では、対価を得て不特定多数の人と性交をすることを「売春」と定義して、禁止しております。
風俗店では、不特定多数の人からサービスに対する料金を得ていますので、本番行為(性交)をすると「売春」に該当することになります。
そうであるにもかかわらず、男性客は本番を求める人が多いですし、女性キャストとしても本番行為を容認してしまう人がいるのも事実です。
そのため、本番に関するトラブルが多く発生しています。
慰謝料請求などの民事事件では、本番についての同意の有無が争われることが多いです。
他方で、逮捕されるかどうか、刑事事件化するかどうかの場面では、強制性交罪や強制性交致傷罪の成立が問題となります。
風俗での本番強要と逮捕については、以下の動画もご覧ください。
風俗の本番強要と強制性交罪
強制性交等罪は、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をする罪で、「強姦罪」として規定されていたものが改正されたものです。
強姦罪では男性からの女性に対する強制的な性交のみが対象とされていましたが、男性も被害者となる点、性交のみならず、肛門性交と口腔性交も対象とした点が改正されました。また、それまで親告罪であったものが非親告罪となりました。
そして、法定刑が3年以上の有期懲役から5年以上の有期懲役へと改正され、重くなりました。
(強制性交等)
刑法第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
デリヘル等の風俗店での本番と逮捕、強制性交罪との関係では、本番強要があったかどうか、強制性交罪が規定する「暴行」や「脅迫」があったかどうかが問題になります。
強制性交罪での「暴行」や「脅迫」は、被害者の反抗を著しく困難にする程度のものをいいます。
その程度については、暴行態様・脅迫態様のほか、時間的・場所的状況、被害者の年齢や精神状態等の諸般の事情を考慮して客観的に判断されることになります。
殴る蹴るの暴行を加えた場合や、キャストを縛って抵抗できなくした場合、腕を押さえつけて抵抗できなくした場合などが典型例といえるでしょう。
強制性交罪は、5年以上の有期懲役という重い法定刑が規定されています。
法律上、執行猶予をつけることができるのは3年以下の懲役の場合に限られるため、酌量減軽がされなければ、執行猶予をつけることができず、実刑となってしまう。
実際に、令和2年の強制性交等罪の量刑について、最高裁判所から提供を受けたデータを基に法務省刑事局において作成されたデータによると、執行猶予付き判決は19%(執行猶予48件/全体250件)であり、81%の事件では実刑判決となっています。
すなわち、デリヘル等の風俗で本番強要をしてしまい、起訴されると8割以上の確率で実刑になり刑務所にいかなければならないのです。
リンク:性犯罪の量刑に関する資料(法務省刑事局)より
風俗の本番強要と強制性交致死傷罪
強制性交致死傷罪は、強制性交の際に、被害者に死傷の結果を生じさせた場合の犯罪です。
(強制わいせつ等致死傷)
刑法第百八十一条 2 第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。
強制性交致傷罪が成立するには、強制性交と傷害の結果との間に因果関係が必要です。
この因果関係について、判例は広く認める傾向にあ、強制性交自体から傷害結果が発生した場合(処女膜裂傷など)、強制性交の手段である暴行・脅迫から生じた場合(腕を押さえつけた際にアザができた場合)など、強制性交のに随伴して又はそれを実行する際に生じた結果を含むと考えられています。
法定刑は、無期又は六年以上の懲役と重罪です。
令和2年の強制性交等罪の量刑について、最高裁判所から提供を受けたデータを基に法務省刑事局において作成されたデータによると、執行猶予付き判決は、2%(執行猶予1件/全体42件)であり、なんと98%の事件が実刑になっています。
リンク:性犯罪の量刑に関する資料(法務省刑事局)より
すなわち、デリヘル等の風俗で本番強要をしてしまい、被害者がなんらかの怪我をしてしまった場合には、起訴されると98%の確率で実刑になり刑務所にいかなければならないのです。
デリヘルでの本番強要と逮捕についての詳細は、以下の記事もご参照ください。
リンク:デリヘル本番は逮捕される!逮捕阻止の為に弁護士に相談するべき理由
風俗トラブル逮捕事例
以上で見てきたように、風俗トラブルで多い類型である盗撮や本番強要は、犯罪に該当する場合があります。
盗撮は、各都道府県の迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反、わいせつ電磁的記録に関する罪などに該当する場合があります。
本番強要は、強制性交罪や強制性交致死傷罪に該当する場合があります。
そして、実際に警察が動き、逮捕されている事例もありますので、以下、紹介します。
盗撮の逮捕事例
デリヘル等の風俗での逮捕事例は数多く、ここ最近(2021年6月現在)数ヶ月間だけでも5、6件の逮捕事例があります。
その中の一つを紹介します。
「盗撮サイトを見て興味を持った」、緊急事態宣言中に風俗サービス盗撮の県職員を停職3か月
埼玉県は28日、新型コロナウイルス感染拡大を受けた2月の緊急事態宣言発令中に、東京都内のホテルで派遣型風俗店の女性からサービスを受ける様子を盗撮したとして、危機管理防災部危機管理課の男性主査(52)を停職3か月の懲戒処分にした。
県によると、男性は2月27日夜、都内のホテルに小型の隠しカメラ2台を設置し、風俗店から派遣された20歳代の女性が入室してから約2時間にわたり、動画で盗撮した。退出する際に女性がカメラに気付き、別の従業員を通じて警視庁に通報。男性は都迷惑防止条例違反容疑で逮捕され、その後に不起訴(起訴猶予)となった。女性とはすでに示談が成立している。
男性は事件発覚まで県のコロナ対応に当たっていた。県の調べに「盗撮サイトを見て興味を持った。自分の観賞用だった」と、昨年11月頃から計8回の盗撮行為を認め、「緊急事態宣言の中、行政の信頼を失うこととなり誠に申し訳ない」と話しているという。
2021/05/28 讀賣新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20210528-OYT1T50266/
この事例では、デリヘルを利用し、ホテルで盗撮行為をしたとして、迷惑防止条例違反で逮捕されている。
逮捕されてはいるものの、被害者の風俗店のキャストとの間で示談が成立しており、不起訴処分となっています。
本番の逮捕事例
【デリヘルで本番強要をして強制性交致傷罪で逮捕された事例】
デリヘル等の風俗での本番強要での逮捕事例の中で、ここでは、強制性交致傷罪で逮捕された事例を紹介します。
デリヘル女性に性的暴行でけが、容疑で男逮捕 唐津署
東松浦郡玄海町内の住宅で20代女性に性的暴行を加えてけがをさせたとして、唐津署は5日、強制性交致傷の疑いで、自称福岡県春日市大土居2丁目、建設作業員の男(64)を逮捕した。
逮捕容疑は4日午前0時55分ごろから同1時55分ごろまでの間、男が所有する東松浦郡玄海町今村の住宅で、デリバリーヘルスの20代女性の両腕を押さえ付けるなどして性的暴行を加え、左腕などに約10日間のけがを負わせた疑い。「腕をつかんだだけで、けがをさせるつもりはなかった」と一部否認している。
同署によると、女性の送迎を務める男性から同署に通報があった。2人は初対面だったという。
2021,5,6 佐賀新聞LiVE
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/671843
この事例では、自宅にデリヘルを呼んだ際に、本番強要をして逮捕されています。
本番強要の際に、両腕を押さえつける暴行を加えて、その際に腕に怪我をさせた点が「致傷」にあたるとして、強制性交致傷罪で逮捕されています。
前述のように、強制性交致傷罪は重罪で、起訴されると実刑の可能性が98%です。
本件のように、本番強要の際に、少しでも被害者の風俗店のキャストが怪我をしてしまうと、強制性交致傷罪となってしまいます。
本件の本番強要の逮捕事例については、以下の記事もご参照ください。
【デリヘルで本番強要をして強制性交罪で逮捕された事例】
風俗店女性の両手首を押さえつけ、性的暴行…男「手をつないだつもり」
派遣型風俗店の女性に乱暴したとして、兵庫県警は2日、鳥取県内で精肉店や焼き肉店を運営する「〇〇牛肉店」(倉吉市)社長の男(40)を強制性交容疑で逮捕した。
発表では、男は2日未明、宿泊していた神戸市中央区のビジネスホテルの1室に呼んだ風俗店従業員の女性(24)からサービスを受けた際、女性の両手首を押さえつけるなどして性的暴行を加えた疑い。「両手首を押さえつけたのではなく、手をつないだつもりだった」と容疑を一部否認しているという。女性から被害を聞いた風俗店の経営者が110番した。
2022/12/03 読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20221202-OYT1T50371/
このケースでは、本番強要直後に風俗店従業員が110番通報をして、客が逮捕されています。
両手首を押さえつけて本番強要をしたとのことなので、被害者であるキャストの手首に跡があるなどの証拠があれば、暴行により本番強要をしたという強制性交罪の構成要件該当性の立証がしやすい事例なのではないかと考えられます。
風俗トラブルで逮捕されない方法
盗撮や本番強要などの風俗トラブルをおこすと、逮捕される可能性があります。
本番強要で強制性交致傷罪で逮捕されてしまうと、長い間刑務所に入らなければならなくなってしまう可能性もあります。
では、風俗トラブルを起こしてしまった場合、逮捕・刑事処罰を避けるためにはどうしたらいいのでしょうか?
結論としては、風俗トラブルの被害者と示談をして許してもらうことが重要です。
示談をすることによって、そもそも警察の捜査が開始されない、仮に捜査が始まっていたとしても警察や検察の方で示談をしたという事情を考慮し、逮捕されない場合が多いからです。
もっとも、どんな事件でも、全て示談をすればいいというわけではありません。
風俗トラブルで示談の必要のないケースについて、解説します。
具体的には、風俗トラブルが犯罪に該当しない場合、ぼったくり風俗店が相手の場合、風俗トラブル詐欺業者が相手の場合です。
風俗トラブルが犯罪に該当しない場合についてみると、風俗店との間で本番についてトラブルになったが、本番行為についてキャストとの間に同意があったような事例です。この場合には、強制性交罪には該当せず、犯罪行為ではありませんので、示談をしないと逮捕されるということはありません。
もっとも、本番についての同意の有無や、強制性交罪での「暴行」の有無については、難しい判断が必要ですので、安易に大丈夫だろうと判断するのは危険です。不安があれば、専門家である弁護士に相談すべきです。
ぼったくり風俗店が相手の場合については、明らかに違法なぼったくり店が意図的に本番行為を誘い、これをタネに恐喝してくる事例があります。このようなケースでは示談に応じることなく、断固として戦うべきです。
風俗トラブル詐欺業者が相手の場合については、風俗店の利用履歴の情報を買った詐欺業者が過去の風俗トラブルを理由に詐欺・恐喝してくるケースが多いです。最近でも、類似のご相談を多く受けておりますが、この類型のほとんどは、ワンクリック詐欺と同様、多数の者に連絡をして罰金・損害賠償名目でお金を取る、違法業者ですので、対応する必要はありません。
もっとも、ご自身で盗撮や本番強要をしてしまった具体的な覚えがあれば、それは詐欺業者ではない可能性もありますので、適切な対応が必要になります。
風俗トラブルと示談・示談金相場・示談書
盗撮や本番強要をしてしまった場合には、逮捕を避けるために、示談をする必要があります。
示談とは、裁判所の関与なく当事者同士の合意で事件を解決することです。
加害者である客が被害者である風俗店やキャスト側に対して一定の金銭の支払いを約束し、その代わりに被害者が加害者を許し、警察に対して被害届を提出しない、又は、すでに提出した被害届を取り下げると約束するというものです。
簡単にいえば、金払うから裁判とか刑事事件とかにしないで話し合いで終わりにしようというものです。
示談をすることにより、被害届が提出されなければ、警察が犯罪を知って捜査を開始する可能性は極めて低いです。また、警察が捜査を開始していたとしても、示談が成立し、被害者が加害者を許したとなれば、逮捕されたり、起訴される可能性が大きく下がります。
風俗トラブルの示談金相場
盗撮や本番強要などの風俗トラブルでの示談金の金額については、それぞれの事例によって変わってきます。
被害の大きさやトラブルの内容、被害者の感情の強さなど、様々な要因によって金額は増減するので、一概に相場を断言することは難しいです。
強制性交致傷罪に該当するような本番強要事例では、数百万円という示談金額も相場の範囲内といえるでしょう。
合意の有無が争われるような本番トラブルのケースでは100万円前後くらいが相場になってきます。
盗撮事例においても、盗撮動画をネット上に流出させた場合では、数百万の示談金も相場の範囲内といえるでしょう。
他方で、盗撮カメラを設置しただけで何も撮影をしていないということになれば、50万円前後くらいが相場になってきます。
当法律事務所の弁護士が示談交渉をした風俗トラブル事件でも、数万円程度で示談できた事例から、100万円を超える金額で示談した事例まで、様々です。
風俗トラブルと示談書
前述したように、盗撮や本番強要などの風俗トラブルで逮捕を避けるためには、示談をすることが重要です。
そして、示談をする際には、示談書・合意書などの書面を取り交わすことが重要です。
なぜなら、示談書などで書面化し、証拠化しておかないと、後からいちゃもんをつけられて、再度損害賠償請求をされてしまう可能性があるからです。
また、被害者側が示談を無視して被害届や刑事告訴をした場合に、警察や検察に対して、示談が成立したことを証明する必要があるからです。
風俗トラブルと示談・示談金相場・示談書に書くべき内容などは、以下の記事で詳細を記載しておりますので、こちらをご参照ください。
風俗トラブルと逮捕のまとめ
以上見てきたように、盗撮や本番強要などの風俗トラブルでは、迷惑防止条例違反や強制性交罪などで逮捕される可能性があります。
そして、実際に逮捕され、ニュースになってしまっている事例もあります。
盗撮や本番強要などの風俗トラブルを起こしてしまい、現場から逃げ出した、店舗からの電話を無視していたら、ある日突然警察がきて逮捕されるということもありえるのです。
風俗トラブルで逮捕されないようにするためには、適切な方法で示談をすることが重要です。
また、示談は、できる限り早期におこなう必要があります。
しかし、相手は風俗店という夜の世界で生き残ってきた猛者達ですから、なかなかご自身で適切な示談交渉をするのは難しいです。
ですので、風俗トラブルを起こしてしまった場合には、できるだけ早く、風俗トラブルについての経験豊富な弁護士にご相談ください。