〈風俗トラブル〉盗撮したとして300万円請求されるも全額ブロック!

相談者がデリヘルで盗撮?罰金として300万円請求された

相談者は大阪在住の大手の企業で営業部の一員として働いている30代独身男性。

取引先との商談が多い相談者は、内容の再確認や食い違いトラブルなどを避けるために、カメラでの録画することを考えていました。
ただあからさまな置き型カメラだと商談相手などに不快感を与えてしまうことを危惧。
そこでネットショップで手軽に撮影できる機材として紹介されていたメガネ型カメラを購入することに。

ある休日の昼すぎ、頼んだ商品が届き、どうせ動作確認するなら人気の多い大阪駅周辺でとメガネ型カメラを装着し、電車で梅田駅に向かいました。

3時間ほど買い物等で駅周辺を散策したところで日も暮れ、そろそろ帰宅しようかと駅に向かい歩いていたが、休日の締めとしてデリヘルでも利用してスカッとしようと考えた相談者はネットで予約し、堂山町のホテルに行き先を変更。

そしてホテルで待っていると、いざキャストが到着。

メガネ型カメラは電源を切って、ベッド横のサイドテーブルに置いていました。
するとキャストがふと気になったのかサービス前に「そのメガネってカメラじゃないよね?」と。
相談者は、電源も切っており盗撮するつもりはまったくなかったので「メガネはカメラ機能も付いているけど、仕事で使うもので当然盗撮なんかしてないよ」と正直に説明。

するとキャストは何も言わずスマホを取り出し、どこかに連絡を。

数分後、ホテルに責任者がやってきて「盗撮しただろ!」と言われ、すぐさまメガネ型カメラは回収され事務所に連行されました。

そこで責任者は「盗撮行為は違法だ!警察に行くか示談するかお前が決めろ!」と恫喝。
カメラを持ち込んだことが何らかの罪になり警察に捕まってしまうのではないか、さらに逮捕となると会社をクビにされてしまうのではないかと焦った相談者は示談をすることを伝えました。

それに対し責任者は「HPにも書かれているとおり示談するには罰金300万円支払え!」と。
当然そんな大金は持ち合わせがないのですぐに支払えない旨を伝えると
「それならまず迷惑料として今ある分だけ払え!」と強く言われ、恐怖から財布にあった5万円をその場で渡しました。

その後「盗撮した罰金300万円は今週末までに支払え!支払えなければ警察に行くからな!」とも脅されました。

結果、上記の約束を記載した誓約書にもサインさせられ、免許証・会社情報が記載している保険証のコピーを取られ、電話番号を交換させられたのちに、やっとのことで解放。

家に帰ってから、迷惑料はさておき300万円もの罰金は明らかに高すぎるのではと考え、解決方法が何かないかとインターネットで検索。

“風俗トラブル”で検索した結果の多くは弁護士への相談がベストとの回答があり、家の近くや刑事事件に強い弁護士事務所に相談を。
ただ、罰金300万円は高すぎるので減額交渉をしたほうがいいとアドバイスを受けるも、なぜか依頼には及び腰で受けたがりませんでした。

仕方がないので相談者自ら責任者に対し減額交渉するも「盗撮は犯罪であり、交渉を行える立場じゃないでしょ」と一蹴。

そんな中、ある法律事務所から「風俗トラブルならグラディアトル法律事務所に相談してみては」と助言を受けた相談者は、藁にもすがる思いで当事務所へご相談に来られました。

盗撮トラブルの真相とそれに基づく法的な解決方法の模索

まず相手方のHPを確認。
たしかに禁止事項には盗撮行為に対して300万円の罰金が設けられていました。

しかしながら、相談者のケースは電源も切っており、そもそも盗撮目的もありませんでした。
それゆえ、いわゆる迷惑防止条例における“盗撮の設置行為”に該当し得ないと説明。

詳しくは大阪の迷惑防止条例においては、撮影目的で人に写真機等を向ける、又は設置してはならないとなっています。

(卑わいな行為の禁止)
第六条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

一 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。

二 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影すること。

三 みだりに、写真機等を使用して透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又は撮影すること。

四 前三号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。

2 何人も、みだりに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態を撮影してはならない。

3 何人も、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く。)における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影してはならない。

4 何人も、第一項第二号若しくは第三号又は前二項の規定による撮影の目的で、人に写真機等を向け、又は設置してはならない。

引用|迷惑防止条例 第六条

次に相手方が迷惑料として5万円を支払わせたうえで警察に行くなどと脅し「罰金300万円を週末までに支払え」などと申し向けたことは恐喝行為に該当し得ると説明。

また相手方が脅しながら誓約書を書かせたことは、民事上の強迫に該当するとも。
その場合、相談者が行った意思表示を取り消すことができるとされています。

(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

引用|民法 第九十六条

以上を踏まえて、相手方の請求を拒否することは可能と。

ただ自らの要望どおり拒否してしまうと、条例違反の盗撮にあたらないにせよ実際に警察に相談されて、任意の事情聴取は受けざるを得なくなったり、逆上から奪われた個人情報を使って家や職場に対する嫌がらせのリスクが考えられることも告知しました。

相談者としては非がないのであれば、相手方の要求をできるかぎり突っぱねたいとご要望。

弁護士は、そうであれば今回の罰金を請求する行為は恐喝罪に該当すると警告しつつ、相手方の要求を拒否する交渉を提案。

相談者は相手方が警察に連絡したり嫌がらせを受けるリスクがあることを承知したうえで、自らやり取りしても埒が明かなかったとのことで、ご依頼を受けました。

盗撮トラブルにおける脅迫・恐喝への対応

弁護士はお店の責任者に連絡。

まず依頼者の代理人になった旨を伝えるとともに、今後弁護士が窓口となるので依頼者への直接連絡はもちろん、家族や職場など関係者に連絡しないようにと。
それについては責任者に了承を得ました。

そして、責任者に録画された動画内容を確認。
責任者曰く、動画内容は散策の様子からホテルに入ったところまで映像に映っていたとのこと。

依頼者の話した内容に虚偽はなかったので、弁護士はサービス開始前にはカメラの電源を切ったうえで、サイドテーブルに置いただけであり、盗撮するために撮影機を設置していないので迷惑防止条例の「盗撮」には該当しないと説明。

また責任者が盗撮したとして5万円を支払わせたうえで警察に行くなどと脅し、「300万円を週末までに支払え!」と脅したことは恐喝行為に該当し得ると警告しました。

さらに誓約書も、脅された状況下で書かされたものであるので、強迫による意思表示であるから取り消しができるものだと。

最終、こちらとしては罰金300万円の請求は、根拠のない不当な請求であるゆえに支払う義務はないと考えているので対応しない旨を伝えました。

それに対し責任者は「店としては、盗撮可能なカメラ機器を持ち込んだだけで盗撮行為と考えているので迷惑防止条例に該当するか関係なく罰金として300万円は支払ってもらう。支払わなければ警察に行くことも視野に入れる。誓約書にもサインしてあるから」と。

弁護士は、交渉が平行線でいわば聞く耳持たずの状態だったので、依頼者にリスク説明をするためにもいったん話を終えることに。

依頼者には、刑事事件化する可能性はまずないであろうと伝えつつも、実際に警察に行かれることはあり得るので、任意の事情聴取に対応せざるを得なくなるリスクはあると伝えました。

すると依頼者はリスクを承知したうえで、相談時の提案どおり相手方の請求をすべて拒否ですすめてくださいとのこと。

弁護士は再度、お店の責任者へ連絡。

あらためて今回の罰金請求は脅迫・恐喝行為に該当し得るものと伝え、もし仮に依頼者及び関係者に連絡した場合はこちらから警察に被害届を出すことも辞さないとも警告しつつ、結論として300万円もの罰金請求を拒否すると。

すると責任者は逆に恐喝で警察沙汰となるデメリットを感じたのか「そちらの言い分はわかった」と一言残し電話を切りました。

それからは、罰金の支払期限から1か月以上経っても相手方から連絡はなく、依頼者への請求は事実上なくなりました。

結果、脅迫・恐喝及び請求されていた罰金300万円をブロックすることに成功し、事件は終結に至りました。

風俗における盗撮とは

今回は盗撮行為を疑われ、脅迫・恐喝トラブルにまで発展したケースを紹介しました。
また盗撮目的がないにもかかわらず盗撮可能なメガネ型カメラを持ち込み、風俗店を利用してしまった珍しいケースでした。

たしかにメガネ型や充電器型の隠しカメラの所持自体は違法ではありませんが、風俗店に持ち込むことは盗撮行為を疑われても無理はありません。

そのため盗撮目的で持ち込んでいないとしても、今回のケースのようなトラブルになること十分考えられます。
ですので、風俗店を利用する際には、疑われるような盗撮可能な機器は持ち込まないことがベターでしょう。

他方、残念ながら風俗トラブルにおいては、なかなか依頼を受けてくれる弁護士がいないのが現実です。

理由としては、取り扱った経験がそもそもなかったり、風俗店に怖いイメージを持っており積極的に関わりたがらないということがあげられるでしょう。

したがって、経験や解決ノウハウがある弁護士への相談・依頼することが風俗トラブルの解決への近道といえます。
最後に、負担を減らし解決するためにも一度、風俗トラブルの経験・実績が豊富な当事務所へご相談してみてはいかがでしょうか。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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