今回の風俗トラブルは、デリヘルのキャストからお金を払っての本番行為、いわゆる円盤を持ちかけられて応じたところ、キャストとのコミュニケーションギャップから中出しをしてキャストを怒らせてしまいトラブルになったケースだ。
その後、デリヘル店から脅されて。。
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目次
デリヘル本番トラブルの相談概要
相談者は愛知県名古屋市在住の50代男性。
今年、一人息子も巣立っていき、銀婚式を迎えた相談者は妻と喧嘩をほとんどしたことないおしどり夫婦。
ただ子供を出産してからというものの妻の性欲がなくなり、セックスレスになった。
妻に申し訳ない気持ちはあるものの性欲の衝動に逆らえず、月に一度、錦の夜の街へ行ったり、デリヘルを利用したりしていた。
祝日が重なり4連休半ば、妻が友人とお出かけするとのことで朝から家を出た。
常に食事を任せていたので、自らで料理をすることは出来ず。
かといってカップラーメンで終わらすのも味気なかったので、外食することに。
午前中から開いていた居酒屋で、定食とビール一杯。
腹も満たされ気分が良くなった相談者は「たまには昼にデリヘルを利用してみるか」と名古屋市内のホテルに向かいデリヘルを予約。
少し待っているとキャストが到着した。
シャワーを浴びて早速サービスが開始。
サービスが開始してからしばらくするとデリヘルのキャストが「追加サービスで本番行為させてあげるからお小遣いくれない?」と提案してきた。
相談者としては、デリヘルでの本番行為が禁止されていることは理解していたが、キャストから頼んできたので、「まぁそれなら大丈夫だろう」と追加サービスを受けることに。
相談者はいざ、コンドームを外して挿入した。
何も言ってこなかったキャストを見て「本当に問題にならないだろう」と安心し、腰を動かした。
するとキャストも盛り上がってきたのか「出そうだったら出してもいいよ」と。
達する寸前で考える余裕がなかった相談者は出してもいいと言われた言葉を信じ、そのままキャストに中出しをした。
するとキャストは驚いた様子で「外に出していいって意味だったのに」と。
それらを洗い流すためかキャストはすぐさまシャワールームに向かった。
相談者はもちろんデリヘルでの本番行為は禁止されていたことは把握していたので、なにか問題にされるのではないかと不安を覚え、キャストがシャワーを浴びているうちに立ち去った。
不安を紛らわすためインターネット上で「本番トラブル」にて調べてみると、多くの事例がヒットした。
その中には風俗で本番強要をした男性が、警察に被害届を出されてしまった、家族や職場にバレてしまった、罰金や示談金などと称し高額請求されてしまったと。
逃げてしまったこともあり、相手方の動きが見えない不安から夜は寝付けなかった。
後日、マナーモードにしていて気づいていなかったが相談者のスマホに見知らぬ連絡先から何度も連絡があった。
うすうす昨日の件で連絡が来ているのではと感じていてはいたが、脅されてしまうのではと無視し続けた。
すると電話番号宛てに「無視し続けるなら警察に通報します」とのショートメールが届いた。
相談者は警察に通報しますとの言葉に、警察に逮捕されて妻にバレてしまうのではと不安に。
仕方ないのでおそるおそる折り返し連絡すると「おんどりゃぁ!キャストがお前に強姦されたって言っている。どう落とし前をつけてくれるんだ!」とお店の責任者を名乗る者が息巻いていた。
何も考えていなかったので、いきなりの脅しにビックリし何も回答できなかった。
相談者がまごまごしていると責任者は「責任の取り方が分からないなら、今から考えてやるから逃げるんじゃねぇぞ!」と一方的に電話が切られた。
するとすぐに責任者から折り返し連絡があり「お店のルール違反の罰金・キャストの医療費、キャストへの慰謝料占めて100万円だから」と。
さすがに高すぎると感じた相談者は「もう少し何とかなりませんか」と聞くも「交渉は受け付けてない!支払えなければ警察に通報する!家族や職場にバラす!」と。
相談者は、額が額だけにすぐに決めかねたので「検討する時間をいただきたい」と伝え、連絡を終えた。
何とかしてこの連休中に妻にバレぬよう解決できなかとインターネット上で調べていた。
すると風俗トラブル解決に力を注ぎ24時間365日対応している当法律事務所のことを知りご相談したいと連絡してきました。
合意で本番パターンの風俗トラブルの弁護士アドバイス
まず当然ながらデリヘルでの本番行為は禁止されています。
風俗店の禁止事項に指定されているのもあるが、デリヘル等の風俗での本番行為は売春の周旋等にあたるため、売春防止法でも禁止されています。
そして、本番が禁止されている風俗での本番強要は、刑事では強制性交罪(刑法177条)、民事では不法行為(民法709条)として損害賠償の対象となります。
刑法
(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。民法
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
詳しいデリヘル等の風俗における本番トラブルについては下記記事で紹介しておりますのでご参照ください。
リンク:風俗本番トラブルについて
もっとも、本件は本番強要事案ではありません。
デリヘルのキャストから本番行為を持ち掛けていて、本番行為自体には同意がある事案です。
本番行為自体に同意がある以上、強制性交罪は成立せず、本番行為自体が不法行為と解釈することも難しいでしょう。
ただ、デリヘル店舗との契約内容・ルールに違反したとして債務不履行の損害賠償(民法415条)請求がなされる可能性はあります。
民法(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
とはいえ、本件ではデリヘルのキャストから追加料金を払っての本番行為(円盤)を持ちかけています。
デリヘル等の風俗店がキャストに本番・売春をさせていたり、キャストの売春を黙認していた場合には、売春防止法違反となり、店舗経営者等が逮捕される可能性もある違法行為となります。
詳細は以下の動画をご参照ください。
この売春防止法違反の事実に加えて、本件では、デリヘルの店員から、家族や職場にバラすと脅迫されています。
人の名誉権に対する害悪の告知により畏怖させて、金銭を要求しているので、恐喝罪に該当しうる行為です。
実際に、風俗店の店員が客を恐喝したとして逮捕されている事例もあります。
詳細は以下の記事をご覧ください。
リンク:風俗トラブルで示談金要求をした風俗店経営者が恐喝罪で逮捕!?
刑法
(恐喝)
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
このように、本件の風俗トラブルでは、相手方であるデリヘル店舗にも非があるとも解釈でき、請求を突っぱねてのゼロ円解決や減額交渉をして定額の示談金で解決できる可能性があると弁護士は考えました。
相談者は、自らですぐにでも解決せんと焦っていたのか「自らで交渉することは可能か」と。
たしかに、強い意志と交渉力をもってしっかりと対応ができる人であれば、自ら風俗店と交渉をして解決することも可能でしょう。
しかし、一方で、一人で対応することのリスクもあります。
具体的には、風俗業界での本番・盗撮などの風俗トラブルは、相談者から掴んだ証拠や個人情報を武器とし、警察への通報や家族職場などの関係者へバラすなどと脅迫され、不利な状況を押し付けられた挙句、キャストとお店に罰金や慰謝料と2度3度と、高額請求されてしまう可能性は否定できません。
一度お金を払って解決したと思ったのに、後からまた別の理由、例えばキャストが妊娠をしたとか性病になった辞めてしまった、さらにそのせいでお店に損害が発生したと因縁をつけ、脅される・請求されるといったケースもあります。
さらに罰金や慰謝料を支払ったとしても、奪われた個人情報が消してもらえる確証はないので、完全に解決せず不安は残る結果になるとも。
「支払わなければ警察に通報するから」との恐喝に該当する発言をしている相手であることを考えると、早急に対応しなければ悪化する可能性もある。
具体的に、警察の通報のみならず家や職場への連絡や押しかけに発展したケースもあると事例を絡めて弁護士から説明をしました。
上記のリスクに相談者は納得した様子でした。
そこで、弁護士は、当事務所であれば相談者の要望とキャストとお店の請求をまとめて解決できる可能性があると説明しました。
具体的には、慰謝料等の減額交渉をしていくらかの示談金を払って解決する場合には、示談書・合意書を作成し、個人情報流出防止のため受け取ったデータなどの削除条項や家族や職場の関係者への口外禁止する条項、刑事事件化をしない条項を盛り込むことを提案しました。
なお、風俗トラブルでの示談書・合意書に記載すべき条項案については、以下の記事をご参照ください。
リンク:風俗トラブルで示談する5つのメリットと示談書・合意書
他方で、請求をつっぱねるとしても、弁護士から相手方の風俗店行為が売春防止法違反にあたることや、風俗店側が警察に被害届を出すなどの法的措置をとる場合や家族に接触するなどした場合には、売春防止法違反で刑事告訴するなどと伝えることによって相手方風俗店側の行動を抑止できる可能性が高まることを説明しました。
相談者としては、解決金としてお金を払ってでも、風俗トラブルによる家族バレのリスクを少しでも減らしたいとのことで、示談をする方向での交渉を希望しました。
30万円までなら妻にバレず捻出できると。
方針として、本番行為に至ったことを謝罪しつつも、相手方の非を突き詰めつつ合意書の締結と減額交渉をすることに。
すると相談者自らでは対応難しいので、弁護士に対応をお願いしたいとご依頼を受けました。
デリヘル店と弁護士との風俗トラブル交渉
弁護士は早速デリヘル店に連絡しました。
依頼人の代理人になった旨とともに、弁護士が窓口となるので依頼者への直接連絡を差し控えてもらうよう伝え、それについては責任者よりご了承をいただく。
デリヘル店舗側の言い分としては、相談者がホテルを立ち去った後、キャストから連絡があり「男性に無理やり挿入された」と報告があったので、病院に行かせ膣内洗浄とアフターピルを処方してもらったとのこと。
責任者は「本番行為は禁止だってことは分かってますよね?掛かった医療費も含めて罰金100万円は支払っていただきます!」と。
弁護士はまず、お店の禁止行為である本番をしてしまったことについて謝罪。
しかしながら、こちらが依頼者より伺っていた“本番行為の合意の有無”の内容に差異があることを説明。こちらがわの認識としては,追加料金を請求されて同意の元に本番行為(円盤)をしている。
この場合、売春防止法違反であると考えているので、話がまとまらず、デリヘル店舗側が法的措置をとるということであれば、こちらも売春防止法違反での刑事告発等の対応をせざるを得なくなってしまうことを伝えました。
また、デリヘルの店員の方が相談者に電話で話をしたときに家族にバラすなどと脅迫行為をしており、これは恐喝罪に該当する行為だと考えていることも伝えました。
弁護士は、その上で、こちらとしても穏便に本件を解決して、示談書・合意書を交わしたい意向であることを伝え、キャストにもう一度経緯を確認していただけないかと依頼。
すると責任者は、そちらの事実と照らし合わせるため、こちらも直接会って話をしてみますと一旦連絡を終えました。
後日、責任者から連絡があり「キャストに再度確認してみると、本番行為は合意したが中出しされたことで気が動転していた。病院に行くため男性(依頼者)が相談したかったが逃げた。本番行為を許可したことがバレて責任問題になるのが怖かったので嘘を交えて報告してしまった」と。
そこで弁護士は、依頼者らの意思疎通にすれ違いがあったものの本番行為に至ったことや中出ししてしまったことは事実であり、こちらにも責任があると。
そのため病院に通い膣内洗浄やアフターピルの処方で掛かった医療費はもちろん、キャストに対して不快な気持ちにさせたお詫びとして慰謝料10万円お支払する用意があると示談を提示しました。
また問題の肥大化を防ぐため、今回のトラブルについて刑事事件化しない条項や関係者への口外禁止する合意書も併せて提示。
すると責任者は、提示された条件がキャストの意向にマッチしていたのか「ではそちらの条件で示談しましょう」と回答を得ました。
その後、依頼者とキャスト間で慰謝料10万円を含めた合意書・示談書の締結に至り、無事に解決となりました。