「盗撮が発覚するとどうなってしまうのか」
「盗撮してしまったときはまず何をやるべきなのか」
盗撮行為に及んでしまった場合、その場は逃げられたとしても、いつか発覚してしまうのではないかと大きな不安を抱え続けることになるでしょう。
盗撮は犯罪であり、発覚した場合は逮捕・起訴される可能性があります。
有罪になると前科がつき、社会生活に悪影響が生じるおそれもあるので、盗撮してしまったときはまず弁護士に相談し、しかるべき対応をとることが重要です。
本記事では、盗撮が発覚したあとの流れや適用される罪などを解説します。
逮捕・起訴を回避するためにやるべきことも記載しているので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
盗撮してしまったらどうなる?発覚後の動き
盗撮してしまった場合に、まず把握しておくべきことはその後の動きです。
盗撮が発覚したあとの動きとしては主に3パターンあるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
現行犯逮捕されるケース
盗撮したあとの動きとして、まず考えられるのは現行犯逮捕されるケースです。
駅やショッピングモールなどで盗撮しているところを、被害者自身や周囲の人物から目撃された場合、その場で取り押さえられ、逮捕されることがあります。
現行犯逮捕された場合は、身柄拘束を受け、警察署の留置所で取り調べを受けることになるでしょう。
ただし、その場で盗撮がバレたからといって、必ずしも逮捕されるとは限りません。
罪を否定したり、逃げるそぶりを見せたりした場合には逮捕の可能性が高まる一方で、素直に罪を認めた場合などは逮捕に至らないこともあります。
なお、一定の条件を満たしている場合は、警察以外の一般人でも現行犯逮捕は可能です。
実際に盗撮事件では、周囲にいた目撃者や駅員などによる現行犯逮捕がおこなわれるケースも少なくありません。
後日逮捕されるケース
盗撮行為に及んだ場合は、後日逮捕されるパターンも当然考えられます。
後日逮捕(通常逮捕)とは、犯行後に警察が捜査を進め、裁判所からの逮捕状に基づいて逮捕をおこなうことです。
盗撮に気づいた被害者自身があとで警察へ相談し、捜査の過程で防犯カメラの映像などが見つかった場合などは、後日逮捕に至るケースがあります。
後日逮捕に期限はないので、しばらく何も起きていないからといって安心せず、すぐに弁護士に相談してください。
犯行から数か月経ったあとに、後日逮捕される可能性もゼロではありません。
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逮捕されずに在宅事件となるケース
盗撮が発覚したあとは、逮捕されずに在宅事件となるケースも考えられます。
そもそも逮捕がおこなわれるのは、基本的に嫌疑の相当性があり、逮捕による身柄拘束の必要性がある場合だけです。
そのため、盗撮行為が警察にバレたとしても、盗撮行為の悪質性が低く、証拠隠滅や逃亡のおそれもないと判断された場合などには、逮捕されずに済むことがあります。
在宅事件になれば、普段と変わらない生活を送りながら、警察や検察などの呼び出しに随時対応していくことになるでしょう。
盗撮してしまった場合にやるべき3つのこと
次に、盗撮してしまった場合にやるべき3つのことを解説します。
犯罪を犯してしまった場合でも、その後の対応次第で逮捕や起訴の可能性を下げることはできるので、迅速な行動を心掛けましょう。
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被害者に示談交渉を申し入れる
盗撮してしまった場合は、まず被害者に示談交渉を申し入れることが重要です。
示談を成立させて被害者の処罰感情を抑えることができれば、被害届の提出を阻止し、事件化する前に解決できるかもしれません。
すでに被害届が提出されている場合でも、示談が成立していることを理由に、捜査機関が逮捕や起訴を見送る可能性は十分あります。
しかし、盗撮の加害者と被害者が直接話し合うことは現実的ではないため、弁護士が代理人として示談交渉を進めていくのが一般的です。
弁護士は法律の専門家であり、交渉のプロでもあります。
豊富なノウハウをもとに、被害者の感情に配慮しながら、円滑に示談を成立させてくれるはずです。
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自首を検討する
盗撮をしてしまった場合は、自首することも選択肢のひとつに入れておきましょう。
自ら罪を認めて出頭すれば、証拠隠滅や逃亡のおそれがないと判断され、逮捕を回避できる可能性が高くなります。
自宅や会社に警察が来る心配もなくなるので、精神的なプレッシャーからも解放されるでしょう。
また、自首をして反省の態度を示すことは、不起訴処分や減刑の獲得にもつながります。
しかし、自首すると、隠し通せていたかもしれない事件が必然的に明るみに出てしまううえ、自首した場合でも起訴され、有罪になることはあります。
そのため、自首を検討する際には、まず弁護士に相談し、出頭のタイミングや事前準備などについてアドバイスを受けるようにしてください。
できるだけ早く弁護士に相談する
盗撮をしてしまい、不安を抱えているのであれば、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談・依頼すれば、関係する法律や過去の判例などから、個々の状況に応じた最善の対応策を提案・実行してもらえます。
また、弁護士なら被害者との示談交渉を円滑に進めたり、捜査機関への働きかけをおこなったりすることも可能です。
そのため、弁護士のサポートがあるかないかで、逮捕や起訴を回避できる可能性は大きく変わることを覚えておきましょう。
ただし、弁護士といえども、明らかに手遅れな事件には対応しきれないこともあります。
できるだけ穏便に問題を解決したいのであれば、少しでも早く盗撮事件を得意とする弁護士に相談してください。
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盗撮してしまった後に犯行が発覚する主なきっかけ
盗撮してしまった後に犯行が発覚する主なきっかけは2つあります。
自分自身ではバレていないと思っていても、被害者や目撃者からの情報提供によって、突然逮捕されるようなケースがあることも理解しておきましょう。
被害者が警察に被害届を提出
盗撮が発覚する主なきっかけのひとつは、被害者が警察に被害届を提出するパターンです。
被害届は、被害者が犯罪の事実を警察に申告するための書類です。
警察が被害届を受理し、必要と判断した場合には捜査がスタートします。
その結果、目撃者の証言や防犯カメラの映像といった証拠が見つかり、逮捕に至ることがあるのです。
特に、盗撮は被害者が強い処罰感情を抱くことが多いため、現場では声をあげられなくても、あとで被害届を提出するケースはよく見られます。
目撃者が警察に通報
盗撮が発覚する主なきっかけとしては、目撃者が警察に通報するパターンも挙げられるでしょう。
周囲にいた人物が盗撮行為を発見し、警察に通報した場合、その場に駆けつけた警察官によって現行犯逮捕されることがあります。
また、盗撮行為の目撃者があとで警察に通報したことをきっかけに、防犯カメラの映像などが調べられ、犯人の特定・逮捕に至るケースも少なくありません。
なお、被害者自身が盗撮に気づいていない状況で目撃者が通報することもありますが、この場合は、たとえ被害者と連絡がとれなくても、警察は捜査を開始する可能性があります。
盗撮で逮捕されたあとの流れ
次に、盗撮で逮捕されたあとの流れを解説します。
おおまかな流れだけでも頭に入れておけば、仮に逮捕されてしまった場合でも、冷静な対応がとれるはずです。
逮捕後48時間以内に送致される
盗撮で逮捕されたあとは、警察署の拘置所で身柄拘束され、48時間以内に送致されます。
送致とは、警察が捜査していた事件を検察に引き継ぐ手続きのことです。
送致するかどうかは警察が決めますが、関係書類や証拠物は検察官に引き渡すのが原則とされています。
特に逮捕されたような場合には、ほぼ確実に送致されるものと考えておきましょう。
送致後24時間以内に勾留されるかどうかが決まる
警察から検察に送致されたあとは、検察官が24時間以内に勾留するかどうかを判断します。
具体的には、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断した場合に、検察官が勾留請求をおこない、裁判官が勾留の可否を決定します。
勾留が認められると、警察署の留置所で原則10日間、延長された場合は20日間の身柄拘束を受けなければなりません。
勾留期間が長引くと、仕事や学校生活にも大きな支障が及ぶため、逮捕されたあとはいかに勾留を阻止できるかがひとつのポイントになるといえるでしょう。
勾留されなかった場合は、その時点で釈放され、在宅事件として捜査が進められます。
起訴・不起訴の判断がおこなわれる
検察官は盗撮事件について捜査を進め、最終的に起訴するか不起訴とするかを判断します。
この時点で、不起訴となれば前科もつかず、元の生活を取り戻すことが可能です。
起訴される場合は、「略式起訴」と「通常起訴」のいずれかが選択されます。
略式起訴は、盗撮を含めた比較的軽微な犯罪に適用される手続きで、簡易裁判所での書面審査のみで刑罰を言い渡す点が特徴です。
なお、略式起訴は、加害者が罪を認め、略式手続きにも異議がない場合にのみおこなわれます。
通常起訴は、重大な犯罪や法定での審理が必要な犯罪に適用される手続きです。
通常起訴された場合は、公開の法廷での裁判「公判」が開かれることになります。
起訴された場合は刑事裁判を受ける
検察官から起訴された場合は、刑事裁判を受けることになります。
先述のとおり、略式起訴では公判が開かれません。
裁判官が書類のみで審査をおこない、有罪・無罪や量刑を決定します。
一方、通常起訴となったときは公判が開かれるため、出廷を求められることになるでしょう。
もっとも、加害者側が盗撮を認めている場合などは、1回目の公判で審理が終了し、2~3週間後に判決を受けるケースが一般的です。
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有罪になると刑罰に処される
裁判で有罪となった場合は、刑罰に処されることになります。
多くの盗撮行為に適用される罪は撮影罪で、刑罰は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」です。
実際に言い渡される量刑は、盗撮行為の悪質性や示談の有無などを総合的に考慮して決定されます。
初犯であれば罰金刑で済むことが多いですが、再犯の場合には懲役刑になる可能性も出てくるでしょう。
なお、略式起訴されて有罪となった場合は、「100万円以下の罰金または科料」に処されることになります。
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盗撮してしまったら原則として撮影罪の罪に問われる
盗撮行為には、原則として「性的姿態撮影等処罰法」に基づく撮影罪が適用されます。
従来、盗撮は軽犯罪法違反や都道府県の迷惑防止条例違反などで取り締まられていました。
しかし、地域ごとに差が生じることや刑罰が軽いことなどが問題視されていたため、2023年7月から撮影罪が新設されたのです。
撮影罪の成立要件と刑罰は、以下のように定められています。
具体的には、以下のようなものを撮影した場合に、撮影罪の成立要件を満たします。
- ・性器や尻、胸などの性的な部位
- ・性的な部位を隠している下着
- ・わいせつな行為や性行為の様子
エレベーターでスカートの中を撮影した場合や、ホテルに隠しカメラを設置した場合など、多くの盗撮行為は撮影罪の成立要件を満たします。
そして、撮影罪では、軽犯罪法や迷惑防止条例と比較して、重たい刑罰が規定されていることも理解しておきましょう。
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盗撮してしまった場合によくある質問
最後に、盗撮してしまった場合によくある質問を紹介します。
盗撮の逮捕率は?
公的なデータがないため、盗撮の逮捕率を明確に示すことはできません。
ただし、撮影罪が施行されるまで、盗撮を規制していた迷惑防止条例違反の逮捕率を参考にすることはできるでしょう。
令和5年版犯罪白書によると、令和4年における迷惑防止条例違反の総数は11,489件、そのうち逮捕されているのは4,067件、逮捕率は約35%です。
なお、盗撮は現行犯でなければ被害者の特定が難しく、証拠も集めにくいので、後日逮捕の可能性は上記の数字よりも低くなることが予想されます。
盗撮の起訴率・不起訴率は?
逮捕率と同様に公的なデータがないため、盗撮の起訴率・不起訴率を示すことはできません。
迷惑防止条例違反による起訴率・不起訴率を、ひとつの目安にしてみてください。
令和5年版犯罪白書によると、令和4年に迷惑防止条例違反で検挙された事件のうち、起訴は5,499件、不起訴は4,914件となっており、起訴率は約53%でした。
条例違反には盗撮以外の犯罪も含まれているので正確な数字は不明ですが、盗撮は比較的軽微な罪であり、起訴率は上記の数字よりも下がるものと考えられます。
盗撮で逮捕されると実名報道される?
盗撮で逮捕されたとしても、実名報道される可能性は低いといえるでしょう。
盗撮事件は頻繁に起きているため、一般人がよくある手口で盗撮したようなケースでは、報道するほどではないと判断されます。
反対に以下のような特殊なケースでは、実名報道されることがあるかもしれません。
- ・加害者が公務員だった場合
- ・加害者の社会的地位が高い場合
- ・盗撮の手口が目新しく巧妙だった場合
とはいえ、報道するかどうかは報道機関の判断にゆだねられているので、100%食い止めることは不可能です。
報道のリスクを抑えたいのであれば、被害者との示談を早急に成立させ、事件化する前に解決することが何よりも大切です。
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盗撮して逃げたらどうなる?
盗撮して逃げた場合は、後日逮捕されるおそれがあります。
盗撮がバレて逃げたとしても、防犯カメラの映像や目撃者の証言などによって犯人が特定されることは珍しくありません。
そして、十分な証拠が見つかり、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合には、後日逮捕される可能性があるのです。
そのため、逃げ切ることを考えるよりも、早期に弁護士に相談し、自首や示談交渉による解決を目指すようにしましょう。
盗撮の時効は何年?
盗撮行為に対して撮影罪が適用されると想定した場合、刑事上の時効は3年です。
犯罪行為を終えたときから3年が経過すると、撮影罪の罪で起訴されることはなくなります。
なお、民事上の損害賠償請求権の時効は、「損害および加害者を知ったとき」から3年です。
つまり、盗撮行為自体は3年以上前におこなっていたとしても、被害者が最近になって被害に気がついた場合には、損害賠償請求を受ける可能性があります。
盗撮事件における民事訴訟の流れとは?慰謝料相場と時効について解説
盗撮の証拠がないなら逮捕されない?
盗撮した証拠が一切ないのであれば、逮捕されない可能性が高いといえます。
逮捕は人の自由を奪う重大な処分なので、証拠もないのに実行されることは基本的に考えられません。
しかし、盗撮事件では、防犯カメラの映像が残っているケースや目撃者が見つかるケースも多くあります。
予想外の証拠があとで見つかる可能性も十分あるため、安心せずに、弁護士に適切な対応を求めるようにしてください。
盗撮してしまったときはグラディアトル法律事務所に相談を
盗撮してしまった場合は、現行犯逮捕だけでなく、後日逮捕される可能性も少なからず残っています。
そして、起訴され、有罪になると前科がつき、その後の社会生活に大きな支障が及ぶことになるでしょう。
そのため、盗撮してしまったときは、できるだけ早く盗撮事件に注力している弁護士に相談してください。
弁護士に相談・依頼すれば、被害者との示談をスムーズに成立させられるほか、捜査機関への働き掛けもおこなってくれます。
場合によっては、何事もなかったかのように、日常生活を取り戻すことも十分可能です。
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