【盗撮で実刑になる?】危険な4つのケースと判決後の流れを解説

盗撮で実刑になることはある?
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弁護士 若林翔
2024年07月30日更新

盗撮を「軽い犯罪」と考えている人は多いです。

「実刑になることはないって聞いたけど?」

「罰金で終わるのが大半でしょ?」

「執行猶予が付くから大丈夫?」

初犯の場合、盗撮が実刑となるケースは確かに少ないです。

しかし初めての盗撮で逮捕される人は少なく、多くの被疑者は余罪を抱えています。

さらに、常習性が高かったり、悪質だと判断されたりすると、実刑判決が下されるケースも決して珍しくはありません。

★盗撮で懲役刑(実刑)となったケース

胸や尻をクローズアップしていなくても「盗撮」にあたり、一審の無罪判決を取り消す――。20代女性のスカートの中を撮影しようとしたとして東京都迷惑防止条例違反罪(卑猥(ひわい)な言動)に問われた被告の男(51)の控訴審判決が12日、東京高裁であった。裁判長は、女性を背後から映した動画は卑猥といえないとして無罪とした一審判決を破棄して、懲役8カ月(求刑・懲役10カ月)の実刑判決を言い渡した。

判決によると、被告は2020年、東京都内のアニメグッズ店で小型カメラを持ち、客の女性を至近距離で背後から撮影したほか、スカートの裾と同じ高さでカメラを構えるなどした。撮影に気づいた女性が「撮ってましたよね」と被告に声をかけ、事件が発覚した。

(引用:胸元や尻が強調されていなくても「盗撮」東京高裁が逆転有罪判決|朝日新聞デジタル 2022年1月12日

実刑を回避するには、被害を回復させるために、速やかに行動を起こすことが必要です。

本記事では、次の点を取り上げました。

・盗撮で実刑となりやすいケース

・実刑判決を受けた場合の流れ

・実刑を避けるためのポイント

盗撮で実刑を回避したい方は、是非ご一読ください。

盗撮で実刑になりやすいケース

盗撮で実刑判決となるケースは少なくありません。

特に次のような場合は、実刑となる可能性が高まります。

盗撮で実刑になりやすいケース

盗撮の前科・前歴がある場合

盗撮の前科・前歴がある場合、実刑判決を受ける可能性が高くなります。

何度も盗撮を繰り返すのであれば、より重い処分を科さないと更生できないと判断されるからです。

(Q&A)前科・前歴とは?

前科:刑事裁判で有罪が確定した経歴のこと

前歴:捜査機関の捜査対象になった経歴のこと

過去に盗撮で執行猶予付き判決を受けていた場合は、猶予期間を満了していても、実刑となる可能性が高いです。

猶予期間が満了すると、刑の言い渡しの効力は失効しますが、有罪となった事実は残り続けます。

過去の記録から、再犯の危険性が高いと判断されると、実刑判決が下されます。

執行猶予中の場合

執行猶予中に再度盗撮すると、実刑のリスクは非常に高くなります。

高確率で実刑となるだけでなく、もともと言い渡されていた刑の執行猶予も取り消されて、重い処分が下されます。

再度の執行猶予を得るためには、次の要件を満たすことが必要です。

・前回の執行猶予つき判決に保護観察が付いていない

・今回の判決が1年以下の禁錮・懲役である

・情状に「特に」酌量すべきものがある

盗撮で再犯した場合、再度の執行猶予を得ることは非常に難しいです。

可能性はゼロでは有りませんが、すぐに刑事事件に強い弁護士に依頼して

・被害者と示談をする

・特に酌むべき事情を説明する

などの対応が必要です。

盗撮の余罪が見つかった場合

大量の余罪が見つかると、初犯でも実刑となる可能性があります。

・スマホの解析によって盗撮データが発見される

・自宅のPCから盗撮データが見つかる

・長期間に渡って、盗撮を繰り返している など

盗撮で逮捕される人の大半は、余罪を抱えています。

警察もそれを分かっているため、徹底的に調べられるケースも多いです。

隠すことは難しいため、早めに弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。

※盗撮の余罪は、次の記事で詳しく解説しています。

「盗撮で逮捕!余罪は発覚する?スマホ解析はどこまで?NG行動4選!」

犯行の悪質性が高い場合

犯行の悪質性が高いと判断された場合も、実刑判決のリスクが高まります。

悪質性が高いとは、例えば次のようなケースです。

・盗撮したデータをネット上に掲載している

販売して収益を上げている

仕事上の立場を利用して盗撮している

このような行為は、単なる盗撮以上に被害者のプライバシーを侵害し、精神的苦痛を与えます。

特に、インターネット上に画像や動画を拡散すると、被害は広範囲に及び、回復も困難になるでしょう。

犯行の悪質性の高さは、実刑判決のリスクを大きく高める要因です。

盗撮で「実刑」になるとどうなる?実刑判決後の流れ

盗撮で実刑判決を受けると、最大3年間にわたって、刑務所に収監されます。

判決言い渡し後の流れは、「在宅事件」と「身柄事件」で異なります。

盗撮で実刑判決になった後の流れ

【在宅事件の場合】一時的に帰宅

在宅で起訴されていた場合は、すぐに身柄拘束される可能性は低いです。

言い渡された判決(懲役刑)は、判決の翌日から14日後に確定するため、刑の執行もそれ以降になります。

判決後は一旦自宅に帰宅して、検察からの連絡を待つのが通常です。

検察からの呼び出し後は、拘置所に収容されて、必要な手続きが終わったら刑務所に収監されます。

【身柄事件で保釈中の場合】そのまま拘置所へ

身柄事件で保釈中の場合は、判決後、直ちに身柄が拘束されます。

判決の言い渡しによって、「保釈」の効力が失われるからです。

そのまま拘置所に移送されて、判決の確定後、刑務所に収監されます。

【控訴する場合】控訴期間は14日

実刑判決に納得できない場合、判決の翌日から14日間は、控訴ができます。

・刑の重さに納得がいかない

・事実が異なっている など

控訴する場合は、再保釈請求するケースも多いです。

再保釈請求が認められると、控訴後も身柄拘束されず、通常の生活を続けることができます。

「実刑」以外で盗撮の判決

盗撮事件では、必ずしも実刑判決となるわけではありません。

実刑を免れると、次のような判決が下されます。

盗撮で実刑以外の判決

罰金刑(300万円以下)

盗撮が初犯の場合は、罰金刑で終わるケースも多いです。

盗撮(撮影罪)の法定刑は「300万円以下の罰金」です。

示談をしていない場合は「罰金」に加えて「慰謝料」の支払いが発生するため、経済的な負担は大きくなります。

なお、罰金刑であっても、前科が付くことに変わりはありません。

※関連記事

「盗撮で罰金刑になる場合は?不起訴や懲役刑との分岐点と罰金相場を解説」

執行猶予付き判決

執行猶予付き判決が下されるケースもあります。

懲役刑になっても、執行猶予が付けば、すぐに身柄拘束は実施されません。

※執行猶予とは?

刑の全部又は一部の執行を、1年から5年の範囲で猶予すること。

無事に猶予期間を満了すると、刑の言い渡しの効力が失われます(刑法27条)。

有罪判決を受けた記録は残りますが、資格制限などの不利益は無くなります。

身柄拘束を受けていた場合でも、執行猶予付き判決を受けると自宅に帰れます。

保護観察が付くケースもありますが、基本的には社会に復帰して、通常の生活を送ることができます。

無罪

盗撮について「明らかな事実誤認がある」「証拠が不足している」といった場合は、無罪となる可能性もあります。

ただし、日本の刑事裁判の有罪率は「99%」とも言われており、簡単ではありません。

刑事裁判で「無罪」を争うのではなく、その前に被害者と示談を成立させる等して、不起訴処分を目指す方が賢明な判断です。

盗撮で実刑を避けるためのポイント

盗撮で実刑判決を避けるためには、どのような対応が必要なのでしょうか。

実刑を避けるためのポイントを、4つ紹介します。

盗撮で実刑を回避するポイント

早急に弁護活動を開始する

盗撮事件で実刑を避けるためには、早急に弁護活動を開始することが必要です。

できるだけ早いタイミングで弁護士に相談し、アドバイスを受けましょう。

余罪を確認する

被害者と示談交渉を開始する

盗撮データが流出しているのであれば、削除に向けて行動する

取り調べの打ち合わせをする など

捜査機関から連絡が来る前に行動を起こすことで、実刑回避の可能性が格段に高くなります。

万が一逮捕されてしまった場合も、速やかに弁護活動を開始することが、早期の釈放につながります。

※関連記事

「盗撮で不起訴になるには?不起訴率や示談の重要性を弁護士が解説」

再犯防止に取り組む

再犯防止に向けた取り組みも、盗撮の実刑を避けるために重要なポイントです。

盗撮は、再犯率が「36.4%」というデータも出ており、非常に常習性の高い犯罪です。

「どのような方法で再犯を防止するのか」を伝えることが、実刑を回避する大きなポイントとなるでしょう。

専門家のカウンセリングを受ける

医師の治療を受ける

家族のサポート体制を整える

性的問題を抱えた人のグループミーティングに参加する など

「深く反省する」「真摯に謝罪する」など自分の行動を省みることも重要ですが、同時に具体的な再発防止策も必要です。

再犯の危険性が低く、自宅でも更生できる」と判断されれば、実刑判決を回避できます。

周囲のサポート体制を整える

周囲のサポート体制も、実刑回避につながる重要なポイントです。

家族が監督役となり、更生をサポートする姿勢を示すことで、実刑を回避できる可能性が高くなります。

・どのような状況で盗撮したくなるのかを理解する

・家族が日常的にスマートフォンをチェックする

・コミュニケーションを取って、異変を感じたらすぐに対応する など

周囲のサポートは、実刑回避のポイントになるだけでなく、社会復帰の後押しにもなるのです。

被害者と示談をする

盗撮で実刑を回避するためには、被害者との示談も欠かせません。

示談を成立させることができれば、次のようなメリットが得られます。

・被害届を取り下げてもらえる

・起訴を回避できる

・刑事処分が軽くなる

・罰金や執行猶予付き判決となる可能性が高まる

盗撮が軽微な場合、被害者と示談できれば、かなりの確率で不起訴を得ることができます。

不起訴になると、前科が付くことはなく、刑務所に収監されることもありません。

実刑を回避できる上、慰謝料請求をされるリスクも低下するため、盗撮リスクを最小限に防げるでしょう。

ただし、盗撮の示談交渉は、必ず弁護士を通じて行いましょう。

被害者は、加害者と二度と会いたくないと思っていることが通常です。

本人・家族が無理に接触すると、状況が悪化してしまいます。

※関連記事

「盗撮の示談金相場は10~100万円!適正な金額の早期解決法を紹介」

盗撮で不安を感じたらグラディアトル法律事務所へ

最後に、今回の記事の要点を整理します。

・盗撮は、実刑になる可能性がある

・前科や前歴、執行猶予中はリスク大

・余罪がある場合も要注意

・悪質な場合は、初犯で実刑になるケースもある

・実刑を回避するには、再犯防止の取り組みが大切

盗撮は、実刑となる可能性もある犯罪です。

実刑を回避したいのであれば、被害の回復に向けて速やかに行動を起こしましょう。

グラディアトル法律事務所では、これまでにも数多くの盗撮事件の相談を受けて、警察や検察と交渉を行ったり、被害者との示談を成立させる等の弁護活動を行ってきました。

勇気をもってご相談いただいたことで、事態が好転したご相談者様は数え切れません。

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弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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