「盗撮事件を起こしてしまった。微罪処分は期待できるのだろうか?」
盗撮の疑いで逮捕されそうになっている、または身内が既に逮捕されている場合、今後どうなっていくのか気が気じゃないでしょう。
盗撮は、撮影罪「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」や迷惑防止条例違反「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される、れっきとした犯罪行為です。
逮捕された場合、基本的に下記のような流れで進行していきます。
このように、盗撮で逮捕されたらすぐに取り調べが行われ、外部との連絡も取れないまま身体拘束が続いていきます。
このまま拘束が続き、起訴となってしまった場合は前科がつくことになりますので、加害者本人やその家族にも多大な悪影響を及ぼすことになるでしょう。
一方で、日本の法律において「微罪処分」という手続き方法があります。
微罪処分とは、警察が軽微な犯罪だと判断した場合に、一定の条件を満たせばすぐに釈放される手続きのことです。
本来、取り調べを行った警察官は速やかに検察官に引き継がなければならない(送致)とされていますが、「検察官が指定した事件」に限っては、例外的に警察官の判断で処分してもいいと定められています。
第二百四十六条 司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
参照:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索より
(微罪処分ができる場合)
第198条捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについては、送致しないことができる。
参照:犯罪捜査規範|e-Gov法令検索より
晴れて微罪処分となれば、早期釈放が望めますので、前科もつくことなく自身・家族への影響も軽微な状態で復帰できる、正に理想的な終わり方と言えるでしょう。
ただし、世の中はそう甘くはありません。
先ほど、微罪処分が適用されるのは“検察官が指定した事件に限る”とお話しましたが、過去、盗撮事件を微罪処分として処理したケースは、ほとんどないというのが現状です。
つまり、盗撮事件においては微罪処分が期待できないということです。
「盗撮しちゃったけど証拠になるようなものも無かったし、1ヶ月間何も連絡なかったから大丈夫」
もしあなたがこのように考えている場合は、要注意です。
仮に盗撮行為を行ってその場から逃げられたとしても、「被害者が被害届を提出している」「状況証拠が残っている」といった場合は警察が捜査に乗り出す可能性が高いので、数日~数ヶ月経った頃、突然任意同行(事情聴取)を求められ、逮捕に発展することも十分考えられます。
いつ逮捕されるか分からない不安な日々を過ごすのは、心身ともに辛いもので、本人だけでなく家族にも暗い影を落とす結果になりかねません。
普段の穏やかな日常を1日でも早く取り戻すためにも、弁護士の相談することが一番の近道です。
この記事では、微罪処分の成立要件と現状について詳しく把握し、逮捕の可能性がある場合にはすぐに弁護士を見つけられるようサポートしていきます。
あなたが、「逮捕されるかもしれない」という不安から、1日でも早く解放され、平穏な日常を取り戻せることを願っています。
目次
そもそも微罪処分とは?
第二百四十六条 司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
参照:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索より
(微罪処分ができる場合)
第198条捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについては、送致しないことができる。
参照:犯罪捜査規範|e-Gov法令検索より
微罪処分とは、逮捕した警察官の判断で検察官に引き継ぐ(送致)ことなく、釈放・事件を終了させる手続きです。
本来であれば、取り調べ後検察官に引き継ぐ必要があるのですが、微罪処分では、警察官の判断で事件を終了(釈放)できるのです。
微罪処分の要件・基準は以下のとおりです。
- ・「犯罪事実が極めて軽微であること」
- ・「検察官が指定した事件」
具体的な要件・基準については公表されておりませんが、以下の事情が考慮されると考えられます。
- ◎被害が軽微である(被害金額が低い窃盗、危険性の少ない暴行など)
- ◎初犯である
- ◎被疑者が罪を認め、謝罪・反省している
- ◎被害者が厳罰を望んでいない
- ◎示談が成立している
とはいえ、上記の条件を満たせば必ず微罪処分になるということではなく、犯行態様や被害の程度、状況なども含め総合的に判断し、最終的に警察官が微罪処分の有無が決定される点については、注意が必要です。
微罪処分の対象事件|盗撮事件は含まれる?
微罪処分の対象となる事件は各都道府県によって多少の違いはあるものの、法務省が発行する「微罪処分・簡易送致関係資料」において、以下の6つの事件が微罪処分として処理されています。
- ・暴行
- ・傷害
- ・窃盗
- ・横領
- ・詐欺
- ・賭博
微罪処分の対象事件については、法律で明確に定められているわけではないものの、盗撮事件に関する微罪処分のデータがない以上、「盗撮事件は微罪処分の対象にならない」と考えるべきでしょう。
盗撮は微罪処分が期待できない|後日逮捕の可能性も十分にある
1章で解説した通り、微罪処分になれば即座に事件が終了(釈放)され、平穏な日常を取り戻すことが可能です。ですが、盗撮事件においては微罪処分の条件を満たさない(=極めて軽微な犯行とは言えない)ため期待できない、というのが正直なところです。
また、この記事をお読みになっている人の中には、盗撮行為をしたけど誰にもバレていないだろうと帰宅した人もいるのではないでしょうか。
「盗撮は現行犯逮捕が多いって聞いたから、後から捕まる心配はない」と思うかもしれませんが、実際には、「被害者が被害届(告訴状)を提出している」「証拠が揃っている」ような状況下では、後日逮捕の可能性も十分に考えられます。
被害届が出されても、加害者側に連絡は来ないので、数ヶ月~数年後に突然警察に任意同行(事情聴取)を求められたり、逮捕されるケースも実際にあります。
特に、近年は盗撮に対する処罰が厳格化されており、2023年7月には「性的姿態等処罰法(通称:撮影罪)」が制定され、認知度が拡大しました。
これまでは、各都道府県が定める迷惑防止条例違反「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」や軽犯罪法で裁くしかなかった盗撮事件が、撮影罪の制定により、「3年以下の拘禁または300万円以下の罰金」と重い量刑が下されることになったのです。
盗撮事件における後日逮捕については、
【半年〜1年後も】盗撮の後日逮捕はある!今できる回避策を解説
でも解説していますので、合わせてお読みいただくと理解が深まります。
盗撮で逮捕の不安があるなら「グラディアトル法律事務所」にご相談ください
盗撮事件で微罪処分は期待できるのかについて解説しました。
~記事のまとめ~
- 微罪処分とは、犯罪事実が極めて軽微で、かつ検察官の指定する事件に限り、警察官の判断で即座に釈放される手続きのことである(犯罪捜査規範198条)
- 微罪処分の対象事件は「暴行罪」「傷害罪」「窃盗罪」「占有離脱物横領罪」「詐欺罪」「賭博罪」の6つが挙げられる
- 盗撮事件は微罪処分が期待できない(=微罪処分の条件を満たさない犯罪行為)
ここまでのお話から、盗撮事件は微罪処分が期待できないことをご理解いただけたのではないでしょうか。
「盗撮事件を起こしたが思わず逃げてしまった。いつ逮捕されるかも分からない不安に怯えるのは嫌だ」という方や、既にご家族が逮捕されてしまい不安を抱えているという人は、弊所にお任せください。
グラディアトル法律事務所は、盗撮事件の解決実績が豊富、24時間365日相談受付(LINE相談可)、全国対応、初回相談料無料ですので、お気軽にご相談ください。