盗撮販売は何罪が成立?逮捕に至る経緯や逮捕・起訴を回避する対処法

盗撮販売は何罪が成立?逮捕に至る経緯や逮捕・起訴を回避する対処法
弁護士 若林翔
2024年10月11日更新

「盗撮した動画を販売すると逮捕される?」

「盗撮販売は何罪になる?」

「盗撮販売がバレるきっかけには何がある?」

女性のスカートの中を盗撮した動画をインターネット上で販売して利益を上げている方もいるかもしれません。

しかし、このような盗撮動画の販売は、犯罪ですので、盗撮販売が警察にバレてしまうと逮捕・起訴される可能性もあります

盗撮販売は、単なる盗撮に比べて悪質な犯罪といえますので、逮捕される可能性も高いといえるでしょう。

盗撮販売をしている人はすぐに違法行為をやめるとともに、逮捕や起訴を回避するために適切な行動をとることが大切です。

本コラムでは、

・盗撮販売により成立する可能性のある犯罪

・盗撮販売で逮捕に至る主な経緯

・盗撮販売で逮捕・起訴を回避するための対処法

などをわかりやすく解説します。

盗撮販売をしてしまったという方は、一刻も早く盗撮事件に強い弁護士に相談するようにしてください。

盗撮販売により成立する可能性のある犯罪

盗撮販売により成立する可能性のある犯罪としては、以下のようなものが挙げられます。

盗撮販売により成立する可能性のある犯罪

盗撮した動画の販売|提供罪

盗撮した動画を他人に販売した場合、性的姿態撮影等処罰法3条の「提供罪」が成立します。提供罪は、盗撮した動画の販売方法により、以下のように量刑がかわってきます。

・特定・少数の人に提供した場合……3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

・不特定・多数の人に提供した場合……5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金

また、インターネット上で盗撮動画を販売している場合、「公然と陳列した」と評価され、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に処せられます。

性的な姿態の盗撮|撮影罪

販売する盗撮動画を自ら撮影していた場合、性的姿態撮影等処罰法2条の「撮影罪」が成立します。撮影罪は、販売目的の有無にかかわらず成立し、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処せられます。

なお、撮影罪は、2023年7月13日に施行された性的姿態撮影等処罰法で定められている犯罪ですので、施行日よりも前の盗撮行為については、迷惑防止条例違反となります。

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盗撮販売目的での保管|保管罪

撮影罪により作成された盗撮動画を第三者に提供またはインターネット上にアップロードする目的で保管していた場合、性的姿態撮影等処罰法4条の「保管罪」が成立します。

実際に盗撮動画を販売するに至らなかったとしても、販売目的があれば自宅のPCなどで盗撮動画を保管しているだけで罪に問われます。また、保管している盗撮動画は、自ら盗撮した動画だけでなく、インターネット上からダウンロードした動画も含まれます。

保管罪が成立する場合、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処せられます。

児童を盗撮した動画の販売|児童ポルノ禁止法違反

18歳未満の子どもの以下のような姿態を「児童ポルノ」といい、児童ポルノ禁止法の規制対象となります。

・児童との性交または性交類似行為が写っているもの
・児童の性器が他人に触られるまたは児童が他人の性器を触る内容のもので性欲を興奮・刺激させるもの
・衣服の全部または一部を身に着けない児童の性的な部分が殊更露出されているもので性欲を興奮・刺激させるようなもの

一般的な盗撮動画は、駅や電車内での下着の盗撮になりますので、児童ポルノに該当するものは少ないですが、更衣室や露天風呂での盗撮動画だと被写体によっては児童ポルノに該当する可能性があります。

このような児童ポルノの盗撮動画を販売すると児童ポルノ禁止法7条2項の「提供罪」が成立し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。

また、不特定・多数の人に児童ポルノの盗撮動画を販売したり、インターネット上で販売した場合には、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはこれらが併科されます。

入手した盗撮動画の販売|わいせつ物頒布等罪

自ら購入、ダウンロードした盗撮動画をインターネット上で販売すると、刑法175条のわいせつ物頒布等罪が成立する可能性があります。

性的姿態撮影等処罰法3条の「提供罪」は、本人の同意なく撮影された盗撮動画の販売が対象になりますが、わいせつ物頒布等罪は「わいせつ物」に該当するかがポイントになりますので、本人の同意があったとしても罪に問われます。

わいせつ物頒布等罪が成立すると以下の刑に処せられます。

・2年以下の懲役
・250万円以下の罰金
・科料
・懲役および罰金の併科

盗撮販売により逮捕された実際の事例

以下では、盗撮販売により逮捕された実際の事例を紹介します。

盗撮販売により逮捕された実際の事例

盗撮動画をネット販売し、約1000万円を売り上げた男性が逮捕された事例

販売目的で女性のスカート内の盗撮動画を保管したなどとして、2024年5月22日、34歳の男性が性的影像記録保管の疑いで逮捕されました。

ハードディスクからは盗撮が疑われる動画が約1万点見つかっており、同容疑者は盗撮動画をネット上で販売し、これまでに1000万円ほどを売り上げていたとみられています。

警察の調べに対し、同容疑者は「保管していた動画は盗撮したものではありません」と容疑を否認しているということです。

引用:『盗撮動画をネット販売1000万円売り上げか 性的影像記録保管の疑いで34歳男逮捕(ABCニュース)』

盗撮動画をネット販売し、約1億5000万円を売り上げた男性が逮捕された事例

100人を超える女性のスカート内と盗撮したとして、2023年2月14日、46歳の男性が京都府迷惑防止条例違反(卑わいな行為の禁止)容疑で逮捕されました。

容疑者は、15年以上前から盗撮動画をインターネット上で販売しており、約1億5000万円を売り上げていたとみられています。

なお、この事案では、性的姿態撮影等処罰法施行前であったため、迷惑防止条例違反で検挙されています。

引用:『女性100人超のスカート内盗撮、逮捕の男「生活のため」…動画ネット販売し「1・5億円」(讀賣新聞オンライン)』

 

盗撮販売が逮捕されやすい3つの理由

上記の逮捕事例からもわかるように、盗撮販売をすると逮捕される可能性があります。盗撮販売が逮捕されやすいのは、以下の3つの理由があるからです。

盗撮販売が逮捕されやすい3つの理由

盗撮販売で違法な利益を上げている人を取り締まる必要性が高い

盗撮販売の逮捕事例からもわかるように、盗撮動画の販売では1億円を超える売り上げを出している人もいます。盗撮動画の販売で大きな利益を上げている場合、警察からもマークされやすく、違法性も高いことから盗撮販売をしていることがバレてしまうと逮捕につながる可能性が高くなります。

多くの盗撮被害者から被害届が提出されている

盗撮販売では、盗撮動画に比例して被害者の数も増えていきますので、事案によっては、多数の被害者から被害届が提出されていることがあります。

被害者が多数いる事件になると警察も本腰を入れて捜査に取り組みますので、盗撮販売がバレてしまうと、逮捕されてしまう可能性があります。

データを簡単に削除できるため証拠隠滅のおそれが高い

盗撮動画は、データを削除したり、盗撮動画が保管されているハードディスクを破壊することで簡単に証拠隠滅を図ることができます。被疑者を逮捕するには、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があるだけでなく、逃亡または証拠隠滅のおそれが必要になります。

データを簡単に削除することができる盗撮販売の事案では、証拠隠滅を防止するために逮捕される可能性が高いでしょう。

盗撮販売で逮捕に至る主な経緯

盗撮販売で逮捕に至る主な経緯としては、以下のようなケースが考えられます。

盗撮販売で逮捕に至る主な経緯

サイバーパトロールによる発覚

警察では、民間企業や団体などに委託して、インターネット上の違法サイトや有害情報の巡回チェックを行っています。インターネット上で盗撮動画の販売を行い、大きな利益を上げている違法サイトになると、警察のサイバーパトロールにより発見・摘発され、逮捕に至ることがあります。

匿名で販売していたとしても、プロバイダなどへの照会により本人を特定することが可能ですので、逮捕を免れるのは難しいでしょう。

盗撮被害者からの被害届の提出

販売されている盗撮動画は、スカート内の盗撮とセットで被害者の顔も写されていることがあります。このような盗撮動画だと、ネット上で出回っている盗撮動画を見た被害者が警察に相談して、被害届の提出に至るケースも少なくありません。

被害者から被害届が提出されれば、警察も本格的に捜査に着手しますので、そのまま逮捕に至ることがあります。

盗撮動画の購入者の逮捕による発覚

インターネット上で盗撮動画を購入した人が性的姿態撮影等処罰法の保管罪や児童ポルノ禁止法違反で逮捕され、警察からの取り調べて、動画の購入元を話してしまうケースがあります。

盗撮動画の購入者が警察に盗撮販売をしている違法サイトの存在を話してしまうと、そこから警察の捜査が進み、サイト管理者が特定されて逮捕に至ることがあります。

盗撮で逮捕され余罪が発覚

盗撮販売をするための盗撮動画を自分で収集しているケースでは、盗撮で逮捕されたことをきっかけに、余罪として盗撮販売の罪が発覚することがあります。

盗撮をしたスマートフォンのデータから大量の盗撮動画が見つかれば、単なる趣味での盗撮ではなく、営利目的の盗撮であるとの疑いがかけられてしまいます。その後、自宅のPCなどが押収されて盗撮販売が明らかなれば、逮捕となるでしょう。

なお、警察庁が公表している「令和5年中の痴漢・盗撮事犯に係る検挙状況の調査結果」によると、令和5年の撮影罪の認知件数は2391件でそのうち1203件が検挙されています。また、同年の迷惑防止条例違反の検挙件数は、5730件ですので、多くの盗撮事件が検挙されていることがわかります。

盗撮販売で逮捕された後の流れ

盗撮販売で逮捕されてしまうと、以下のような流れで手続きが進みます。

盗撮販売で逮捕された後の流れ

逮捕

警察により逮捕されると、警察署内の留置施設で身柄拘束をされ、警察官による取り調べを受けます。逮捕中は、家族であっても面会することはできず、面会できるのは弁護士だけになります。

なお、逮捕による身柄拘束には時間制限があり、警察官は、逮捕から48時間以内に被疑者の身柄を解放するか、検察官に送致しなければなりません。

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検察官送致

警察から被疑者の身柄の送致を受けた検察官は、被害者に対する取り調べを行います。

被疑者の身柄拘束を継続するのであれば、検察官は、送致から24時間以内に裁判所に勾留請求をしなければなりません。

勾留・勾留延長

裁判官が勾留を許可すると、その時点から原則として10日間の身柄拘束が行われます。勾留中は、家族との面会ができますが、接見禁止命令が出ている場合には、弁護士以外との面会はできません。

なお、勾留には延長制度がありますので、裁判官が勾留延長を許可するとさらに最大で10日間の身柄拘束が続きます。すなわち、逮捕から合計すると23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになります。

起訴または不起訴

検察官は、勾留期間が満了するまでの間に事件を起訴するか不起訴にするかの判断を行います。事件が起訴されれば刑事裁判により有罪・無罪の審理が行われます。

盗撮販売で逮捕・起訴を回避するための対処法

盗撮販売で逮捕・起訴されるのを回避するには、以下のような対処法が考えられます。

盗撮販売で逮捕・起訴を回避するための対処法

被害者との示談

盗撮販売で逮捕・起訴を回避するには、被害者との間で示談を成立させることが重要です。

販売目的での盗撮や盗撮した動画の販売は、通常の盗撮に比べて悪質ですので、示談が成立しなければ、起訴されてしまう可能性が高いといえます。

ただし、盗撮販売では、被害者が多数になることが多く、すべての被害者を特定して示談するのは困難です。そのため、少なくとも被害届を提出している被害者との間では示談を成立させるようにしましょう。

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贖罪寄付

被害者が特定できず示談ができないという場合には、贖罪寄付を検討しましょう。刑事事件を起こしてしまった人が事件への反省の気持ちを示すために、弁護士会や被害者支援団体などに寄付をすることをいいます。

盗撮販売では、違法な利益が被疑者・被告人の手元に残っていますので、そのままにしていては有利な処分を期待することはできません。違法な利益を吐き出すという意味でも、贖罪寄付を行った方がよいでしょう。

検察官や裁判官への働きかけ

被疑者の勾留は、検察官が請求し、裁判官が判断します。そのため、勾留を回避するには、検察官や裁判官に対して、勾留の要件を満たさない旨を伝えて働きかけていく必要があります。

また、起訴または不起訴の判断をするのは検察官ですので、起訴猶予にすべき事案である旨を検察官に働きかけていくことにより、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。

被害者が逮捕・勾留されている状態では、このような働きかけは困難ですので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

身柄引受書の提出

身柄引受書とは、逮捕・勾留により身柄拘束されている被疑者の監督を誓約することなどを内容とする書面です。

被疑者を釈放するには、釈放後にきちんと捜査に協力することや逃亡のおそれがないことが条件となります。身柄引受書を提出することで、そのようなリスクがないことを捜査機関側に示すことができますので、早期の身柄解放が実現できる可能性が高くなります。

弁護士に依頼すれば、身柄引受人の手配や身柄引受書の作成などのサポートをしてもらうことができます。

盗撮販売の弁護はグラディアトル法律事務所にお任せください

盗撮販売の弁護はグラディアトル法律事務所にお任せください

盗撮販売の罪は、一般的な盗撮に比べて、重く処罰される可能性があります。初犯であっても公判請求される可能性がありますので、一刻も早く弁護士に相談して、今後の対応を協議していくべきでしょう。

グラディアトル法律事務所では、盗撮事件ついての豊富な実績と経験がありますので、盗撮事件で、逮捕や起訴を回避するためのさまざまな対処法を熟知しています。状況に応じて適切な弁護活動を行うことで不利な処分を回避できる可能性がありますので、まずは当事務所までご相談ください。

当事務所では、初回相談料無料、24時間365日相談を受け付けていますので、盗撮販売で不安を感じたときはすぐに当事務所までお問い合わせください。

まとめ

盗撮販売の罪は、被害者が多く、多額の違法な利益が生じていますので、盗撮販売が発覚すると通常の盗撮よりも重い処分が予想されます。少しでも処分を軽くするには、盗撮事件に関する経験豊富な弁護士のサポートが必要になりますので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

盗撮販売をしてしまったという方は、すぐにグラディアトル法律事務所までご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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