盗撮してしまった…
「罰金刑になるか不安」
「懲役刑になってしまうことはないか不安」
「できることなら罰金刑を避けて不起訴にしたい」
「できる限り刑を軽くしたい」
「罰金を払うとしても相場以上の多額の支払いは避けたい」
つい出来心で盗撮をしてしまって、こんな不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2023年に性的姿態撮影等処罰法が施行され、その中に撮影罪が規定されて、従来よりも盗撮の刑罰が厳しくなりました。
このような点からも、不安が大きくなっている方がいるでしょう。
結論をお伝えすると、盗撮は罰金刑になることが多いです。
盗撮の前科がある場合や、悪質な事例では懲役刑(拘禁刑)になることもあります。
盗撮で刑を軽くしたり、罰金刑を回避して不起訴とするためには、被害者と示談することが最重要です。
示談をするためには弁護士をつけることが不可欠です。
なぜなら、警察や検察は、弁護士でなければ、示談の相手方となる被害者の連絡先を教えてくれないからです。
また、弁護士でなければ、法的に有効で適切な示談交渉をすることは極めて困難です。
法的に適切で、かつ相場を踏まえた示談をするためには、弁護士に示談交渉を依頼することがおすすめです。
本稿では、以上のような観点から、盗撮に対する刑罰や示談についてお話します。
【この記事を読むとわかること】
・盗撮が何罪になるか分かる
・盗撮の3つの刑事罰が分かる
・盗撮の罰金刑の相場が分かる
・盗撮で懲役刑・拘禁刑になる場合が分かる
・盗撮で罰金刑を避けて不起訴処分となる方法が分かる
目次
盗撮の刑事処分は、罰金刑、拘禁刑(懲役刑)、不起訴処分の3つがある
盗撮は撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)で処罰される
盗撮は、性的姿態撮影等処罰法2条の性的姿態等撮影罪によって処罰されます。
この法律は、2023年7月13日に施行されたもので、これまで各都道府県の迷惑防止条例で取り締まられていたものを全国一律の規制にしたところに大きな意味があります。
また、迷惑防止条例よりも刑罰の上限が拡大されました。
「性的姿態」とは、以下の3つを指します。
・性器や臀部、胸部などの性的な体の部位
・性的な部位を隠すために着用している下着
・わいせつな行為や成功等がされている間の姿態
そして、処罰されるのは、正当な理由がないのに以下にあげる姿態等を撮影する行為とされています。
・人の性的な部位または人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接もしくは間接に覆っている部分
・上に揚げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法第177条第1項に規定する性交等を言う。)がされている間における人の姿態
これによれば、例えば、駅の階段などで、ミニスカートをはいている女性の後 ろから、スカートの下にスマホを差し入れて下着を撮影するような行為は、性的姿態撮影罪によって処罰されることとなります。
盗撮(撮影罪)の罰金刑
盗撮について、撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)は、300万円以下の罰金刑を定めています。
先ほどもお話ししたように、性的姿態撮影等処罰法はこれまでの都道府県の迷惑防止条例の処罰上限を拡大したものです。
例えば、東京都迷惑防止条例における盗撮の処罰が「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」であったことを考えると、性的姿態撮影等処罰法の処罰はかなり厳しくなったということができます。
盗撮(撮影罪)の拘禁刑・懲役刑
盗撮について、撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)は、3年以下の拘禁刑(懲役刑)を定めています。
拘禁刑とは、身体の自由を制限する「自由刑」と呼ばれる刑罰であり、従来の懲役刑(受刑者を刑事施設に収容する刑罰で刑務作業が義務付けられているもの)と禁固刑(受刑者を刑事施設に収容する刑罰で刑務作業が義務付けられていないもの)が統合されたものです。
法改正により新しく設けられた刑罰で、2025年6月1日から施行されます。それまでの間、拘禁刑は懲役刑と読み替えて扱われることとなります。
盗撮しても不起訴処分になれば刑罰なし
自身の盗撮が発覚して、性的姿態撮影罪により送検されたとしても、常に拘禁刑(懲役刑)や罰金が科されるわけではありません。
処罰する必要がないと判断される場合には、不起訴処分により、処罰を免れることもあります。
この点については、後で詳しく述べますが、不起訴処分になり処罰を免れるためには、弁護士に依頼することが不可欠となります。
盗撮と撮影罪の詳細は、以下の記事もご参照ください。
盗撮は初犯の場合は罰金刑になる可能性が高い
盗撮は初犯の場合は罰金刑になる可能性が高い
盗撮の初犯は、犯行態様等にもよりますが、一般的には比較的軽微と判断されることが多いので、罰金刑になる可能性が高いといえます。
盗撮をすると、初犯でもいきなり拘禁刑(懲役刑)になり、刑務所に入れられるのではないかと不安になっている方もいらっしゃることと思います。
しかし、一般的には、比較的軽微な犯罪には罰金刑が課され、より重大な犯罪に対しては拘禁刑(懲役刑)が宣告される傾向にあります。
ですので、初めて盗撮をしてしまったという人は、「事件が発覚したら刑務所行きではないか」と過剰に恐れる必要はないでしょう。
盗撮で罰金刑になる場合は正式裁判ではなく略式裁判が多い
盗撮で罰金刑が下される場合には、正式裁判ではなく略式裁判による場合が多いです。
略式裁判での罰金刑の場合、公開されている裁判所で尋問をされたり、判決を言い渡されたりすることはありません。
正式裁判とは、公開の法廷で裁判を実施して判決を下される場合のことを指します。
一方、略式裁判とは、裁判を簡略化して書面で判決を言い渡す方法です。法廷で公開はされず、捜査の結果をもとに裁判官が罰金・過料の金額を法定刑の範囲内で決めて科すものです。
なお、略式裁判に不服がある場合には、略式命令の通知を受けた日から14日
以内に、正式裁判を受けることを請求することができます。
不服申し立てせずに略式裁判に従う場合、逮捕・勾留されていた場合は、通常、罰金を支払うことで刑の執行が完了し、直ちに釈放されます。
逮捕・勾留されずに在宅のまま捜査が行われ略式裁判となった場合には、裁判所から略式命令書の謄本と罰金の納付書が郵送されてくるので、期限内に納付する必要があります。
盗撮で罰金刑になると前科がつく
「前科」というと刑務所に入った経歴がある場合を指すかのように思っている人もいるでしょう。
しかし、前科とは、有罪判決を受けた履歴のことを指す言葉です。
罰金刑も、たとえ略式判決で課されたとしても、有罪判決の1つです。
ですので、盗撮で罰金刑になると、自身の経歴に前科がついてしまうことになります。
盗撮の罰金刑の相場は20万円から40万円
盗撮の初犯が罰金刑になることが多いです。
盗撮の罰金の相場は、20万円から40万円です。
従来は、盗撮の罰金刑の金額は30万円程度のことが多く、その場の状況や、犯行態様が悪質かどうかなどの観点から10万円程度上下していました。
ですが、この量刑相場は、従前の迷惑防止条例による処罰のものなので、量刑が重くなった性的姿態撮影等処罰法の下では、初犯でも罰金の金額が今後重くなる可能性も否定できません。
盗撮で拘禁刑・懲役刑になる3つの場合
① 盗撮の前科がある場合
盗撮で、最も拘禁刑(懲役刑)になる可能性が高いのは、同じ盗撮の前科がある場合です。
罰金という刑罰を科されたにもかかわらず再び同じことをしたのですから、より重い刑罰に値すると判断され、拘禁刑(懲役刑)が課される可能性が高くなります。
② 盗撮の仕方や盗撮後の態様が悪質な場合
盗撮の仕方や盗撮後の態様が悪質な場合も拘禁刑(懲役刑)になる可能性が高いです。
例えば、以下のような場合です。
・自分の仕事や地位を利用して継続的に盗撮を繰り返していた場合
・盗撮した画像や映像をSNSで公開したり、他人に販売していたりするような場合
このような場合、盗撮行為の悪質性が高いと判断され、初犯でも拘禁刑(懲役刑)になる場合があります。
③ 余罪が多数ある場合
また、盗撮が1件だけでなく多数あり、いくつも立件されることになった場合には、拘禁刑(懲役刑)になる可能性が高くなっていきます。
盗撮で罰金刑を避けて不起訴処分をするには示談が重要
盗撮が捜査機関に発覚したからと言って、必ず処罰されるわけではありません。
先ほどもお話ししたとおり、「処罰する必要がない」と判断される場合には、不起訴処分となり、処罰を免れることができます。
そして、不起訴処分になるためには、被害者との間で示談をすることが最も重要です。
示談とは、当事者間の合意によってトラブルを解決することを指します。
なかでも、刑事裁判における示談は、加害者が被害者に対して被害弁償をし、被害者が、「加害者の処罰を求めない」「加害者を許す」といった意思を表明する場合を指します。
加害者側の被害弁償に、被害者が納得をして、処罰を求めないという意思を明らかにすれば、加害者が処罰される必要はなくなるといえます。
なので、盗撮が罰金刑に相当する場合には、示談をすることによって、不起訴処分となり、処罰を免れることができるのです。
盗撮と示談・示談金相場の詳細については、以下の記事もご参照ください。
盗撮で罰金刑を避ける・刑を軽くするには弁護士に示談交渉を依頼すべき
先ほどもお話ししたように、盗撮で罰金刑を回避するためには示談が最重要です。
また、懲役刑に相当する場合でも、示談をすることによって、刑が軽くなり、罰金刑になる可能性が高くなります。なので、この場合も示談が重要です。
しかし、示談を盗撮をした本人がすることはできません。なぜなら、捜査機関は、被害者の連絡先を加害者本人には教えないからです。
被害者の連絡先を教えてもらえるのは、弁護士だけです。
また、弁護士が示談交渉をすることによって、法外な示談金を支払う事態を避け、適切な金額で示談をすることが可能となります。
したがって、示談交渉は弁護士に依頼するべきです。
盗撮に強い弁護士の選び方は、以下の記事をご参照ください。
グラディアトル法律事務所において盗撮で罰金刑を回避できた事例
以下では、グラディアトル法律事務所の弁護士が弁護人として活動した事例で、罰金刑を回避できた事例を紹介します。
撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)施行後のエスカレーター内での盗撮について不起訴処分となった事例
エスカレーター内で、出来心で女性のスカート内を盗撮したケースで、その場で発覚し、被害者からの通報により、警察に連れていかれたという件です。
逮捕はされなかったものの、新設された撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)で刑事事件化されてしまいました。
依頼者の方が弊所に相談にいらして、弊所の弁護士が受任することとなりました。
被害女性とその両親が激怒しており、当初示談に応じてもらうことができませんでした。
しかし、真摯に反省していること、謝罪したいと思っていること、事件後自分なりに制限などをしていること等を踏まえて反省文を作成し、弁護士会が行っている贖罪寄付を行いました。
そうしたところ、被害者が、そこまで反省しているのであれば、示談をして許そうと考えを変えてくれたため、示談が成立しました。
その後、弊所弁護士が示談書を検察官に提示した結果、不起訴処分となりました。
撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)で刑事事件化されるも盗撮で罰金刑を回避できた事例の詳細については、以下の記事をご参照ください。
デリヘルで盗撮後逃亡し、警察に連絡されたが示談により罰金刑を回避できた事例
実家住まいで堅い職業に就いていた男性が、女子高生コスプレ専門のデリヘルで、プレイを楽しんでいる最中に、魔が差してムービーをスマホで盗撮していたのが女の子にばれて、シャワー中にお店の人を呼ばれてしまいました。
お店の人から、迷惑料50万円、慰謝料200万円の合計250万円を支払う示談書を書くよう要求され、とっさに男性は逃げてしまいました。
しかし、電話で予約したため電話番号を知られており、店の人から電話がかかってきて、警察にすでに連絡されていたことがわかりました。
男性は、弊所に相談し、示談金を下げることや、刑事事件化を避けること、家族に盗撮トラブルがばれないように終わらせることなどを希望しました。
弊所の弁護士が、店側に受任を知らせ、警察にも連絡をしたところ、警察ではまだ被害届を受理したり捜査を開始したりしている段階ではないということがわかりました。
そこで、弁護士が代理人として入って示談交渉をすすめているので、事件化をしないでほしいと伝えました。
店側との示談交渉では、裁判になった場合にどのようになるかは予測しえない、証拠動画がない状況で高額な賠償が認められない可能性は十分ある、今であれば盗撮の事実を認めて謝罪し、その動画を破棄して流出させない誓約をするなどと説得し、最終的に、当初の店側の要求を大幅に下回る50万円で示談が成立しました。
もちろんその後、刑事事件がされることもありませんでした。
デリヘルで盗撮するも示談により罰金刑を回避できたケースの詳細は以下の記事をご参照ください。
まとめ
ここまで見てきたように、盗撮での罰金刑等の刑罰については…
- ①盗撮の初犯は罰金刑になることが多い
- ②罰金の相場は20万円から40万円程度
- ③前科がある場合や態様が悪質な場合、複数の件が立件された場合などは初犯でも拘禁刑(懲役刑)になることもある
- ④罰金刑を免れて不起訴処分になるには示談が最重要である
また、実際に罰金刑を避け不起訴処分となった事例から、示談交渉に当たっては、弁護士が力を発揮することもおわかりいただけたでしょう。
盗撮をしてしまった、どのように処罰されているのかとお悩みの方がいたら、一度弁護士に相談することをお勧めします。
グラディアトル法律事務所では、これまで、数多くの盗撮事件の弁護人として、示談交渉を経験し、不起訴処分を獲得してきました。
弁護士による無料相談対応もしておりますので、是非一度、ご相談ください。