「盗撮で書類送検されたらどうなってしまうのか」
「書類送検されると会社にバレてしまうのか」
加害者の身柄は拘束されないまま、検察に事件記録だけが送られることを「書類送検」といいます。
検察からの呼び出しなどによって書類送検されていることに気がつくタイミングはありますが、その後どのような流れで事件処理が進められていくのか、具体的に理解できている方は少ないはずです。
本記事では、盗撮で書類送検されたあとの流れや会社にバレてしまう可能性などを解説します。
盗撮の書類送検後に不起訴処分を獲得するための方法なども紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
書類送検とは身柄拘束されないまま検察に事件記録が送られること
書類送検とは、加害者の身体拘束をおこなうことなく、警察から検察に対して事件記録だけが送られる手続きのことです。
そもそも、逮捕による身体拘束は人の自由を奪うという重大な結果をもたらすため、簡単に実行されるものではありません。
軽微な犯罪で、証拠隠滅や逃亡のおそれがないと判断された場合には、逮捕されることなく在宅事件として扱われます。
そして、警察から検察に在宅事件を引き継ぐ際は加害者の身柄を引き渡す必要がないので、事件記録だけが送られることになり、慣例的に「書類送検」と呼ばれているのです。
書類送検されたあとは、通常の生活を続けながら、検察の判断を待つことになります。
盗撮で書類送検されたあとの流れ
次に、盗撮で書類送検されたあとの流れを詳しく見ていきましょう。
おおまかな流れだけでも把握していれば、不安や焦りも少しは解消されるはずなので、ぜひ参考にしてみてください。
検察官による取り調べなどの捜査が始まる
書類送検後は、検察官による取り調べなどの捜査が始まります。
書類送検から1~2ヵ月ほど経過したころに、封書や電話で担当検察官から呼び出されるケースが一般的です。
すでに示談が成立している場合などは、呼び出しを受けないまま、不起訴処分となることもあります。
なお、検察官の取り調べは任意であり、必ずしも応じる必要はありません。
とはいえ、取り調べに対して非協力的な態度をとると、逮捕されたり、自宅を捜索されたりするなどの不利益を受けるおそれがあるので、適切な立ち回り方については弁護士の助言を受けておくことが大切です。
また、在宅事件で書類送検された場合は、検察官の捜査に時間的な制限がないため、起訴・不起訴の判断までに長期間かかることもあります。
起訴・不起訴が判断される
検察官による取り調べが終わったあと、検察官によって起訴・不起訴が判断されます。
この時点で、不起訴処分を獲得できれば前科もつかず、元の生活に戻ることが可能です。
起訴には、「略式起訴」と「通常起訴」の2種類があります。
略式起訴は、比較的軽微な犯罪に適用される手続きです。
簡易裁判所での書面審査のみで刑罰を言い渡す点が特徴で、盗撮事件では略式起訴となるケースも少なくありません。
一方、通常起訴は、より重大な犯罪や複雑な事情がある犯罪に適用される手続きです。
正式な刑事裁判が開かれ、原告・被告が裁判所に出廷し、弁論をおこなうことになります。
なお、日本の刑事事件において、起訴された場合の有罪率は99%以上です。
そのため、盗撮事件を起こした場合は、まず不起訴処分の獲得に向けてしかるべき対処を講じる必要があります。
起訴されると刑事裁判がおこなわれる
盗撮で起訴されると、刑事裁判が開かれます。
先述のとおり、略式起訴された場合は正式な裁判を経ることなく、簡易裁判所での書面審査のみがおこなわれます。
なお、略式命令の内容に納得できないときは、異議申立てによって正式な裁判を求めることも可能です。
通常起訴された場合は、公開の法廷で刑事裁判がおこなわれ、裁判官によって最終的な判決が下されます。
刑事裁判を受けるとなると、裁判所とのやり取りや主張の準備などが必要になるため、大きな精神的・肉体的負担を強いられることになるでしょう。
裁判を円滑に進め、少しでも有利な判決を勝ち取るには、弁護士のサポートが必要不可欠といえます。
裁判で有罪判決を受けると刑事罰を受ける
盗撮で起訴され、裁判で有罪判決を受けると刑事罰を受けます。
盗撮事件の場合は、撮影罪が適用され「3年以上の拘禁刑または300万円以下の罰金」に処される可能性が高いといえるでしょう。
量刑は、犯行の悪質性や前科の有無などを総合的に考慮したうえで決定されますが、盗撮の初犯であれば数十万円の罰金刑で済むケースがほとんどです。
なお、略式起訴されていた場合には、「100万円以下の罰金または科料」に処されることになります。
後日裁判所から罰金額が記載された納付告知書が届くので、検察庁や金融機関の窓口で現金納付してください。
盗撮で書類送検されても会社や家族にバレる可能性は低い
盗撮で書類送検されても、会社や家族にバレる可能性は低いといえます。
主に2つの理由が考えられるので、詳しく解説していきます。
盗撮の在宅事件で報道されるケースは少ない
盗撮で書類送検されても、会社や家族にバレる可能性が低いといえる理由のひとつは、「盗撮の在宅事件で報道されるケースは少ない」からです。
報道機関は、事件の社会的影響や公共性を考慮して報道するかどうかを判断します。
そのなかで、書類送検されるような在宅事件は、一般的に報道価値が低いと見なされることがほとんどです。
公務員・有名人の盗撮事件や特殊な手口による盗撮事件などではない限り、報道されるケースは稀であり、たとえ報道されても実名が公開されることは基本的に考えられません。
とはいえ、報道されるかどうかはマスコミの自主判断によります。
絶対に報道されないという保証はないので、早急に示談を成立させ、問題が大きくなる前に解決することが大切です。
呼び出し状の自宅への送付を控えてもらうこともできる
在宅事件となった場合、呼び出し状の自宅への送付を控えてもらうこともできます。
書類送検後、検察による捜査が進められるなかで、担当検察官から呼び出しを受けるケースは少なくありません。
そこで、文書ではなく、電話で呼び出してもらうよう事前に依頼しておけば、家族にバレるリスクを抑えられます。
そのまま不起訴処分を獲得できれば、家族に盗撮したことを知られずに、元の生活を取り戻せる可能性も十分あるでしょう。
なお、盗撮事件に関しては、会社に連絡がいくことも基本的には考えられないので、過度に心配する必要はないでしょう。
盗撮の書類送検で不起訴処分を獲得するためにできること
次に、盗撮の書類送検で不起訴処分を獲得するためにできることを解説します。
適切な対応がとれるかどうかによって、その後の人生が大きく変わることを念頭に、迅速な行動を心掛けましょう。
被害者との示談を成立させる
盗撮で不起訴処分を獲得するためには、「被害者との示談を成立させる」ことが重要です。
示談が成立すれば、被害者の処罰感情が和らぎ、被害届や告訴状を取り下げてもらえるかもしれません。
また、示談の成立は和解していることの証明でもあるため、検察官があえて刑事罰を科す必要はないと判断し、不起訴処分を下す可能性も高まります。
仮に起訴されたとしても、示談の成立が考慮された結果、減刑につながることもあるでしょう。
ただし、示談交渉は被害者の感情に配慮し、慎重に進めなければなりません。
加害者から直接示談を持ち掛けても応じてもらえるとは限らず、たとえ交渉に進んだとしても足元を見られて、高額な示談金を請求されるおそれがあります。
そのため、示談交渉はすべて弁護士に一任するのがおすすめです。
早い段階で弁護士に相談する
盗撮事件を起こした場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談してください。
早期に弁護士に相談すれば、今後の行動指針について、法的な観点からアドバイスしてもらうことができます。
また、弁護士は交渉のプロでもあるため、できるだけ不利益を受けないような条件で、円滑に示談を成立させてくれるはずです。
捜査機関に対する働きかけもおこなってくれるので、不起訴や減刑を勝ち取れる可能性は格段に高まるでしょう。
実際に、グラディアトル法律事務所ではこれまでに数々の盗撮事件を解決してきました。
24時間365日いつでも対応可能なので、盗撮事件を起こしてしまったときは、まず弊所にご相談ください。
盗撮の書類送検に関するよくある質問
最後に、盗撮の書類送検に関するよくある質問をします。
書類送検されたかどうかを知る方法は?
書類送検されたかどうかを、直接確認する方法はありません。
書類送検に決まったタイミングはなく、連絡が来るわけでもないので、基本的には検察官に呼び出された段階で知ることになります。
なお、弁護士に依頼していれば、捜査機関に対して、定期的に進捗状況を確認してもらうことは可能です。
書類送検されてから検察官に呼び出されるまでの期間は?
書類送検されてから検察官に呼び出されるまでの期間は、通常1〜2ヵ月程度です。
検察官が警察から送られた書類を精査し、取り調べの準備をおこなう必要があるため、ある程度時間がかかるものと考えておきましょう。
ただし、事件の複雑さや担当検察官の業務状況によって、呼び出しまでの期間は変動します。
場合によっては、書類送検から呼び出しまでに2~3ヵ月程度かかることもあるでしょう。
盗撮で書類送検された場合の起訴率・不起訴率は?
盗撮の起訴率・不起訴率は公的なデータがないため、明確な数字を示すことはできません。
ただし、撮影罪が施行されるまで、盗撮に適用されていた「迷惑防止条例違反」による起訴率を目安のひとつにすることはできます。
令和5年版犯罪白書よると、令和4年に迷惑防止条例違反で立件された事件のうち、起訴は5,499件、不起訴は4,914件となっており、起訴率は約53%でした
ただし、書類送検となる盗撮事件は比較的軽微な事案が多いため、上記の数字よりも起訴率は下がると考えられます。
盗撮事件を起こした場合はグラディアトル法律事務所に相談を
盗撮事件を起こしたときは、ただ時間が過ぎるのを待つのではなく、積極的に対策を講じることが重要です。
たとえば、被害者との示談を成立させることができれば、不起訴となったり、減刑されたりする可能性が高くなります。
しかし、法的な知識をもたない個人が自己判断で行動するのは避けるべきです。
余計に問題を複雑化させ、手遅れになってしまうおそれがあります。
そのため、少しでも円滑な問題解決を望むのであれば、できるだけ早く弁護士に相談し、具体的なアドバイスを受けるようにしましょう。
グラディアトル法律事務所は、盗撮事件に関する豊富な解決実績があります。
盗撮行為に及んでしまい不安を抱えている方は、一人で悩まず、まずは弊所にご相談ください。
初回相談は無料、LINEでの相談も受け付けているので、お気軽にどうぞ。