「盗撮が見つかって金銭を要求されている状況では、どう対処すればいいのか」
「盗撮で恐喝されているが、自首に踏み切るかどうか悩んでいる」
駅やショッピングセンターなどに張り込み、盗撮犯に金銭を要求する盗撮ハンター。
盗撮ハンターから「警察に連れて行くぞ」などと脅され、どうしても捕まりたくないという心理状況から、とっさに高額な金銭を支払ってしまう人も少なくありません。
もちろん、盗撮はれっきとした犯罪であり、容認されるものではないことも事実です。
しかし、だからといって盗撮ハンターの言いなりになる必要はありません。
要求がどんどんエスカレートしていく可能性もあるので、盗撮ハンターに恐喝されたときは、速やかに弁護士へ相談することが大切です。
本記事では、盗撮ハンターに恐喝されたときの対処法を解説します。
盗撮ハンターに適用される罪や自首のメリットなども紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
盗撮ハンターに恐喝された場合の対処法
盗撮ハンターに恐喝された場合の対処法としては、以下の3つが挙げられます。
焦る気持ちを抑えて、冷静に行動することを心掛けましょう。
金銭を要求されても支払わない
盗撮ハンターに恐喝された場合に最も重要なのは、「金銭を要求されても支払わない」ことです。
早く事態を収拾したいからといって支払いに応じてしまうと、盗撮ハンターの要求がエスカレートしていく可能性があります。
そもそも、盗撮犯を警察に連れていっても、盗撮ハンターにとってはなんのメリットもありません。
そのため、「金を出さないと警察に通報する」などと言われても、冷静に拒否することが重要です。
執拗に金銭を要求されるようであれば、理由をつけてその場を離れ、弁護士に連絡をとるようにしましょう。
警察に通報する
盗撮ハンターに恐喝された場合は、速やかに警察へ通報することも重要です。
たとえ自身が盗撮犯であっても、人を脅して金銭を奪い取ろうとする盗撮ハンターの行為は犯罪です。
そのため、警察がその場に駆けつければ、盗撮ハンターも恐喝行為を続けられなくなるため、自身の身を守ることができます。
余裕があれば、盗撮ハンターの言動を録画・撮影しておくとよいでしょう。
警察に音声や映像などの証拠を提出できれば、盗撮ハンターの逮捕を含めた迅速な対応が期待できます。
もちろん、警察に対しては自身の盗撮行為についても、嘘偽りなく説明するようにしてください。
弁護士に相談する
盗撮ハンターに恐喝された場合には、弁護士に相談するのも有効な対処法のひとつです。
盗撮事件に注力している弁護士であれば、豊富な知識と経験を持っているため、個々の状況にあわせた最善の対応策を提案できます。
また、状況次第では、盗撮ハンターとの交渉を任せることも可能です。
盗撮ハンターの行為が犯罪であることを指摘しつつ、不当な要求を拒否してもらえます。
弁護士の介入が分かった途端に、盗撮ハンターが態度を変えてくるケースも少なくありません。
自身の判断で無理やり解決しようとすると、問題をさらに大きくしてしまう可能性があるため、早い段階で弁護士のアドバイスを受けることが問題解決の近道といえます。
盗撮ハンターの行為に適用される可能性がある罪
盗撮ハンターの行為は、恐喝罪や詐欺罪にあたる可能性があります。
ここでは、盗撮ハンターに適用される罪について詳しく見ていきましょう。
恐喝罪|盗撮をバラさない代わりとして金銭を奪う行為
盗撮ハンターの行為は、まず恐喝罪に該当する可能性があります。
恐喝罪とは、暴力や脅迫によって人を脅し、金銭などを交付させる行為のことです。
盗撮ハンターが「盗撮をバラさないでやるから金をよこせ」などと脅し、実際に金銭を受け取った場合には恐喝罪が成立します。
恐喝罪の刑罰は「10年以下の懲役」です。
なお、相手を脅したものの、実際に金銭などを受け取るに至らなかった場合には、恐喝未遂となり、刑の減刑や免除がおこなわれます。
詐欺罪|被害者に渡すためと嘘をついて金銭を奪う行為
盗撮ハンターの行為は、詐欺罪に該当する可能性もあります。
詐欺罪とは、相手を誤信させて金銭などを交付させる行為のことです。
盗撮ハンターが「被害者に渡すから慰謝料を出せ」などと偽って金銭を要求し、受け取った場合は詐欺罪が成立します。
実際、被害者とは一切面識がないにも関わらず、あたかも代理人であるかのように装って、金銭をだまし取ろうとするケースは多く見られます。
詐欺罪の刑罰は「10年以下の懲役」です。
なお、詐欺罪にも未遂の規定があり、金銭をだまし取ることに失敗している場合には、刑の軽減・免除がおこなわれます。
盗撮を理由とした恐喝の逮捕事例
次に、盗撮を理由とした恐喝の逮捕事例を2つ紹介します。
自身の状況と類似する部分がある場合は、警察に通報することで盗撮ハンターを逮捕してもらえるかもしれません。
盗撮した女性の代理人を装う人物から現金をだまし取られた事例
2023年8月に、3人組の盗撮ハンターが恐喝の疑いで逮捕されています。
【事案】
盗撮行為をした男性から現金を脅し取ったとして、警視庁池袋署は1日、東京都豊島区の男(33)ら3人を恐喝容疑などで逮捕したと発表した。 3人は昨年8月18日、豊島区の袋駅前の路上で、女性を盗撮していた30歳代男性に対し、女性の代理人を装って「示談金を払わないと警察に行く」と迫り、現金100万円を脅し取るなどした疑い。 |
(引用:読売新聞オンライン)
事件が解決するきっかけとなったのは、盗撮した男性自身による通報です。
男性が自身の盗撮行為を認めたうえで、警察署に相談したことから、盗撮ハンターの逮捕に至りました。
盗撮ハンターに脅された場合、動揺してとっさに現金を支払ってしまうケースは少なくありません。
しかし、本件のように速やかに警察に届け出ることができれば、支払ったお金を回収できる可能性があることを覚えておきましょう。
ホテルで盗撮した相手から現金を支払うように脅された事例
2022年6月に、風俗店勤務の女性2人が恐喝の疑いで逮捕されています。
【事案】
出会い系アプリで知り合った男性からホテルで全裸姿を盗撮されたことをきっかけに、現金60万円を脅し取ろうとしたとして、風俗店従業員の女2人が警視庁に逮捕されました。 男性に対し「1人30万ずつで60万円払え。警察に取り調べを受ければ会社にもばれる。奥さんに電話しようか」などと言って現金を脅し取ろうとした疑いがもたれています。 2人は出会い系アプリを利用し、同様のトラブルを6件起こしているということで、警視庁が捜査しています。 |
(引用:TBS NEWS)
女性2人の恐喝行為により、示談金名目で現金をだまし取られた被害者はほかにもいたものと考えられます。
盗撮を理由に恐喝された場合には、自身の罪を素直に認め、警察や弁護士に相談することがなによりも大切です。
盗撮で恐喝された場合は自首したほうがいいといえる理由
盗撮で恐喝された場合は、自首することが望ましいといえます。
ここでは、自首のメリットを解説するので参考にしてみてください。
逮捕・起訴を回避できる可能性が高まる
盗撮で恐喝された場合に自首するメリットのひとつは、逮捕・起訴を回避できる可能性が高まることです。
自ら罪を認めて出頭すれば、逃亡や証拠隠滅の可能性が低いと判断され、在宅事件として捜査を進めてもらいやすくなります。
また、自首すれば、反省や更生の意思を示すことが可能です。
その結果、検察官が「あえて起訴して刑罰を与える必要はない」と判断し、不起訴処分とすることがあります。
なお、盗撮事件における逮捕率・起訴率は公的データがないため、正確に示すことはできません。
ただし、かつて盗撮を取り締まっていた都道府県迷惑防止条例違反の逮捕率・起訴率を参考にすることはできます。
令和4年度における都道府県迷惑防止条例違反の逮捕率は35%、起訴率は53%です。
上記は迷惑防止条例違反として検挙された事件すべてを対象としているので、加害者が自首したケースに限定すれば、逮捕率・起訴率ともにより低い数字になるものと考えられます。
恐喝については被害者として警察が捜査に動いてくれる
恐喝については被害者として警察が捜査に動いてくれることも、自首するメリットのひとつといえます。
自首した場合、自身が盗撮したことについては、加害者として取り調べなどを受けることになるでしょう。
一方で、恐喝されたことについては被害者の立場です。
自首と同時に、恐喝の被害者として警察に届け出れば、警察は恐喝ハンターの捜査に乗り出すことになります。
その結果、盗撮ハンターの脅威から解放され、場合によってはだまし取られたお金が返ってくる可能性もあります。
特殊な事例ではない限り報道されるリスクも低い
盗撮事件の場合、特殊な事例を除いて報道されるリスクは比較的低いといえます。
盗撮事件は頻繁に発生するため、一般人がよくある手口で盗撮したようなケースでは、報道機関がわざわざ取り上げようとはしません。
盗撮が報道されるのは、主に以下のようなケースです。
- ・加害者が公務員の場合
- ・加害者の知名度や社会的地位が高い場合
- ・前例のない手口で盗撮していた場合
自身が一般的な会社員であるような場合には、「自首すると顔や名前が世間に知られてしまうかもしれない」などという過度な心配は不要です。
とはいえ、報道するかどうかは報道機関の自主判断に任されているので、100%食い止めることはできません。
報道のリスクに関しても、念のため、弁護士に相談しておくことをおすすめします。
盗撮で恐喝された場合によくある質問
最後に、盗撮で恐喝された場合によくある質問を紹介します。
盗撮で恐喝されたことを警察に通報したあとはどうなる?
盗撮で恐喝されたことを警察に通報した場合、盗撮ハンターの恐喝に関することと、自身の盗撮に関することの両方について捜査が進められます。
いずれも、当時の状況や事件前後の動きなどを詳細に質問されることになるでしょう。
盗撮に関しては、加害者として警察の取り調べを受けたあと、検察に送致されます。
そして、検察官が起訴・不起訴を決定し、仮に起訴された場合には刑事裁判を受けることになります。
とはいえ起訴後の有罪率は99%以上なので、被害者との示談を成立させるなど、まずは不起訴の獲得に向けて迅速に行動することが重要です。
盗撮は何の罪になる?
盗撮行為に対しては、基本的に撮影罪が適用されます。
撮影罪の成立要件は、「正当な理由なく性的姿態をひそかに撮影すること」です。
性的姿態とは、性器・尻・胸やそれらを覆う下着、わいせつ行為・性行為をしている様子などを指します。
例えば、以下のような行為は撮影罪として処罰される可能性が高いといえるでしょう。
- ・電車内でスカートの中を撮影する
- ・ホテルで相手の同意なく性行為を撮影する
- ・トイレや更衣室に隠しカメラを設置する
刑罰は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑」とされており、撮影罪の新設以前に盗撮を規制していた軽犯罪法や迷惑防止条例と比較して、重たい内容になっています。
しかし、実際の量刑は示談の有無や反省の態度なども考慮されたうえで決定するため、起訴の回避が難しい場合でも、減刑に向けてしかるべき対応をとるようにしましょう。
【盗撮で実刑になる?】危険な4つのケースと判決後の流れを解説
盗撮を理由に恐喝されたときはグラディアトル法律事務所に相談を
盗撮はれっきとした犯罪行為ですが、恐喝される理由にはなりません。
盗撮ハンターに金銭を要求されても、決して応じることのないようにしてください。
言われるがまま金銭を渡してしまうと、要求がさらにエスカレートする可能性があります。
盗撮ハンターが執拗に迫ってきた場合には、その場を離れ、弁護士に相談することが重要です。
弁護士に相談すれば、法的な観点からそのとき取るべき行動をアドバイスしてくれるほか、状況次第では盗撮ハンターとの交渉にも対応してくれます。
また、自身の盗撮の罪についても、できるだけ不利益を受けないように一貫してサポートしてくれるはずです。
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