盗撮で逮捕!余罪は発覚する?スマホ解析はどこまで?NG行動4選!

盗撮の余罪はバレる?
弁護士 若林翔
2024年07月30日更新

盗撮でご相談に来られる方は、余罪があるケースが大半です。

「初めての盗撮で逮捕された」というケースは驚くほど少なく、多くの方が余罪の不安を抱えています。

・「余罪が発覚するとどうなるの?」

・「スマホの盗撮データは消した方がいい?」

・「余罪がバレない方法はある?」

警察もスマホ解析には力を入れています。

余罪を隠そうとしても高確率で発覚してしまうでしょう。

自己判断でデータを削除するのではなく、弁護士に相談してアドバイスを受けることが必要です。

正しい対応ができれば、余罪の影響は最小限に抑えることができます。

本記事では、次の点について取り上げました。

余罪が発覚する原因

発覚した場合のリスク

余罪がバレた場合のNG行動

正しい対処法

盗撮の余罪でお悩みの方は、是非ご一読ください。

1.盗撮の余罪はどのように発覚する?

盗撮事件では、警察は余罪がないかを徹底的に調べます。

盗撮が初犯であるケースは圧倒的に少なく、常習犯のケースが大半だからです。

警察もそれを理解しているため、様々な方法を用いて、余罪を調べ尽くすのです。

それでは、盗撮の余罪はどのように発覚するのでしょうか。

余罪が発覚する代表的なパターンを、2つ紹介します。

盗撮の余罪が発覚する要因

所持品の押収

盗撮で逮捕された場合、警察はスマートフォンやカメラなどの所持品を押収します。

画像や動画のデータが保存されていれば、それが余罪の発覚につながるでしょう。

警察は、徹底的に証拠を洗い出すため、削除済みのデータも復元して調べられる可能性があります。

常習的に盗撮を行っている人ほど、余罪が見つかるリスクは高いです。

家宅捜索

犯行に使用したスマートフォンやカメラだけでなく、自宅の家宅捜索が行われることもあります。

自宅のパソコンやハードディスク、メモリーカードなども解析の対象です。

過去の盗撮データが保管されていれば、高確率で余罪が発覚します。

小型のカメラなど、常習的な盗撮を疑わせる証拠が見つかった場合も、余罪が疑われる可能性が高いです。

過去の行動について詳しく取り調べを受けることになるでしょう。

最近では、SNSの投稿等から、余罪が発覚するケースも増えています。

写真はどこまで復元される?警察のスマホ解析

警察は、スマホ等のデジタル機器を解析するために専門機関を設置しています。

・警察庁高度情報技術解析センター

・都道府県(方面)情報技術部情報解析課 など

これらの機関では、データから被疑者を特定したり、犯罪事実を証明したりするために、高度な解析が行われています。

「盗撮データがどこまで復元されるのか」、ハッキリとしたことは分かりませんが、警察が情報解析に力を注いでいることは間違いありません。

例えば、数年前の時点でも、浸水した状態のハードディスクからデータが抽出されて、事件の検挙につながっています。

平成30年(2018年)1月から同年5月にかけて、警察庁高度情報技術解析センターは、無職の男(22)らによるウェブサイトを利用した著作権法違反事件に関し、内部が浸水した状態のハードディスクの解析を行った。空気中のほこり等を排除できるクリーンルーム内でハードディスクを分解の上、内部を洗浄し、再度組み立てたものを解析した結果、当該ハードディスクから被疑者の犯行を裏付ける電磁的記録を抽出することができ、同事件の検挙に貢献した。

(引用:警察庁|警察捜査を支える情報技術解析

盗撮データを完全に削除することは、非常に難しいです。

仮に、復元できない状態にまで削除すると「そこまで手間をかけるのは怪しい」と逆に疑われる可能性が高くなるでしょう

写真がどこまで復元されるのかを気にするよりも、被害の回復に向けて、最善を尽くすことが大切です。

盗撮の余罪が発覚するとどうなる?

盗撮の余罪が発覚すると、次のようなリスクがあります。

盗撮の余罪が発覚するとどうなる?

刑罰の重さに影響する

盗撮の余罪が発覚すると、刑罰の重さに影響します。

余罪が立件されるのか

何件発覚したのか

などによって影響の大きさは変わってきますが、いずれにせよ処分は重くなる方向に働きます。

【余罪が立件されるケース】

余罪が立件されると、基本的には「併合罪(刑法45条)」として処理されます。

例えば、罰金刑の場合、上限額が「それぞれの罪について定めた罰金の多額の合計以下」へと加重されます。

(※撮影罪の場合、罰金の上限額が「300万→600万」へ変更になる等

【余罪が立件されないケース】

余罪が立件されなかった場合も、本罪(捜査中の事件)の量刑に影響します。

裁判官が刑を決めるポイントとして、余罪が考慮されるからです。

ただし、「余罪」を処罰する目的で、「本罪」の刑を重くすることは許されません。

あくまでも、盗撮の常習性・悪質性・加害者の性格などを判断するポイントとして余罪を考慮することが許されているのです。

起訴されていない余罪を処罰することは、憲法31条に反しており、違憲となる可能性があります(最判昭41年7月13日)

盗撮で余罪があると刑罰に影響する

本罪が起訴される可能性も高まる

余罪が発覚すると、本罪(捜査中の事件)が起訴される可能性も高まります。

検察官は、起訴判断を行う際に、余罪の有無も判断材料としているからです。

因みに、検察庁のデータによると、(刑法犯を)検察官が不起訴とする理由の半分以上が「起訴猶予」だとされています。

令和5年版 犯罪白書 第2節 処遇

※起訴猶予とは?

犯罪の嫌疑が証拠によって認められるが、犯人の危険性や犯罪後の情況を考慮して、検察官が起訴する必要がないと判断すること。

つまり、起訴を防ぐためには、検察官に「起訴する必要性が低い」と判断してもらうことが重要だと分かります。

一方で、余罪が発覚すると、盗撮が常習的な犯行だと評価されます。

件数が多いほど、検察官に「危険性が高く、起訴する必要性が高い事件」だと判断される可能性が高くなるでしょう。

余罪の発覚は、本罪の起訴リスクを高める大きな要因です。

盗撮の余罪で再逮捕される可能性は低い?

一般的には「盗撮の余罪は立件されづらい(再逮捕されづらい)」と言われることが多いです。

・被害者や盗撮場所の特定が難しい

・余罪がある被疑者が大半で、警察の負担が膨大となる

といった理由があるため、実務上、あえて立件しないケースもあるからです。

しかし、必ずしも立件されない訳ではなく、余罪が立件されて、再逮捕に至ったケースはいくつも存在しています。

立件される可能性が「低い」とまでは言えません。

★盗撮の余罪がバレて立件・再逮捕された事例

上越警察署は14日(火)、入浴中の10代女性をスマートフォンで撮影し、児童ポルノを製造したとして、児童買春、児童ポルノ禁止法違反の疑いで上越市大潟区土底浜在住の無職45歳の男を逮捕しました。

警察署によりますと、男は今年7月5日、上越市内の住宅の浴室で入浴中の10代女性を屋外からスマートフォンで盗撮し保存をしていた疑いです。

警察の調べに対して、男は容疑を認めているということです。

男は今年10月、入浴中の女性をスマートフォンで盗撮したなどとして上越署に通常逮捕されていました。今回、その余罪捜査の中で、男のスマートフォンの中から新たな盗撮データが見つかり再逮捕となりました。

(引用:入浴中の10代女性を撮影 上越市45歳男を再逮捕|上越妙高タウン情報

「余罪は立件されない」と油断することは、非常にリスクが高い行為です。

盗撮の余罪が不安な場合は、早めに弁護士に相談しましょう。

盗撮の余罪がある場合のNG行動

盗撮の余罪がある場合のNG行動を、4つ紹介します。

いずれも多くの人がやりがちな行動ですが、逆に状況を悪化させてしまいます。

盗撮の余罪があるときのNG行動

証拠の隠滅を図る

NG行動の1つ目は、証拠の隠滅を図ることです。

・過去の盗撮データを削除する

・パソコンを隠したり壊したりする

・ハードディスクを水没させる

前述のとおり、削除したデータは復元できます。

そのため、これらの行動をとるメリットは殆どありません。

むしろデータを削除することで、警察の心証を悪くしてしまうでしょう。

証拠の隠滅を図ったことが伝わると、警察が逮捕に踏み切る可能性は格段に高まります。

警察や検察からの呼び出しを無視する

NG行動の2つ目は、警察や検察からの呼び出しを無視することです。

事件の進行によっては、捜査機関から出頭要請(呼び出し)を受けることがあります。

出頭要請に応じるかは「任意」ですが、理由なく無視するのは絶対にやめましょう。

無視すると「逃亡や証拠隠滅の恐れがある」と判断されて、逮捕される可能性が高まります。

出頭が不安な場合は、事前に弁護士に相談して、取り調べに対するアドバイスを受けましょう。

仕事の都合などで出頭できない場合は、日時を調整してもらえる場合もあります。

余罪について積極的に供述する

NG行動の3つ目は、余罪について積極的に供述することです。

嘘を付くことは避けるべきですが、自分から積極的に供述する必要もありません。

取り調べで聞かれた範囲内で、正直に回答しましょう。

取り調べでは、次のポイントを押さえておくことが重要です。

・黙秘権がある(不利な内容を話す必要はない)

・記憶と異なる内容の供述をしない

・取調官の誘導に乗らない

・安易に供述調書に署名押印をしない

納得できない供述でも、調書に署名押印すると、裁判で証拠として扱われます。

刑事処分にも決定的な影響を与えるため、安易な供述は厳禁です。

余罪で取り調べを受ける場合は、事前に弁護士に相談して、打ち合わせを行いましょう。

被害者に接触する

NG行動の4つ目は、被害者に接触することです。

示談交渉をしたい

被害者に謝罪したい

慰謝料を支払いたい

どのような理由があったとしても、加害者本人・家族が接触することは避けるべきです。

性犯罪では、被害者側は、加害者側と二度と会いたくないと思っています。

無理に接触しようとすると、感情的なトラブルに発展して、事態をさらに悪化させてしまうでしょう。

場合によっては捜査機関に「証拠の隠滅を図っている」と判断される可能性もあります。

被害者に接触する場合は、必ず弁護士を通じて行いましょう。

盗撮の余罪はどう対応するのが正解?

それでは、盗撮で余罪がある場合、どうすれば良いのでしょうか?

加害者が取るべき行動を解説します。

盗撮の余罪はどうするのが正解?

弁護士に相談する

盗撮の余罪がある場合、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

「盗撮の内容」「過去の件数」など、気がかりな内容を正直に伝えましょう。

弁護士に伝えたからといって、不利になることはありません。

むしろ、

余罪が発覚するとどうなるのか

逮捕されるのか

どの程度の刑が想定されるのか

など、事件の見通しが分かることで、多くの不安が解消されるはずです。

警察への対応方法や、取るべき行動も的確に示してもらえるため、事態は間違いなく好転します。

捜査機関から連絡が来る前に弁護士に相談しましょう。

事前に対応方針を打ち立てることが、逮捕・起訴を防ぐための最善の方法です。

被害者と示談をする 

余罪が複数ある場合は、被害者それぞれとの示談が必要です。

被害者それぞれと示談することで、逮捕・起訴のリスクを最小限に抑えられるでしょう。

ただし、余罪の示談は、非常に難しくなるケースが多いです。

被害者の人数が増える程、示談交渉の流れも複雑になるからです。

被害者が特定されているのか

罪は立件されているのか

余罪についても示談を検討するべきなのか

事件の進行にどの程度影響するのか

上記のような事情を見極めた上で、臨機応変な対応が求められるでしょう。

余罪の示談は、刑事事件の経験が豊富な弁護士に相談し、計画的に進めることが重要です。

【Q&A】盗撮の余罪に関するよくある質問

盗撮の余罪についてよくある質問

Q.余罪は自白した方がいい?

ケースによって異なりますが、安易な自白は避けるべきです。

嘘を付くことは避けるべきですが、安易に自白することで、不利益を被る場合もあります。

事前に弁護士に相談することをオススメします。

Q.初犯で余罪があるとどうなる?

初犯であったとしても、余罪があると刑事処分は重くなる可能性があります。

Q.余罪で呼び出しを受けたらどうすればいい?

余罪で呼び出しを受けたら、捜査機関の指示に従って出頭しましょう。

出頭が不安な場合は、事前に弁護士に相談することをオススメします。

Q.盗撮で余罪が立件されるとどうなる?

余罪が立件されると「併合罪」として処理されます。

通常よりも、刑が重くなるケースが多いです。

Q. 盗撮データは消しておいたほうが良い?

盗撮データを削除するメリットは殆どありません。

余罪の立件を防ぐには、データを削除するのではなく、盗撮被害の回復に向けた行動を起こすことが必要です。

盗撮事件で不安を感じたらグラディアトル法律事務所へ

最後に、今回の記事の要点を整理します。

・盗撮の余罪は高確率で発覚する

・余罪が発覚すると、刑の重さに影響する

・余罪で再逮捕されるケースもある

・盗撮データは削除しても、復元される可能性がある

盗撮の余罪は、高確率で発覚します。

自己判断でデータを削除するのではなく、弁護士に相談して正しいアドバイスを受けましょう。

被害の回復に向けて行動を起こすことが、盗撮による逮捕・起訴を防ぐための最善の方法です。

グラディアトル法律事務所では、これまでにも数多くの盗撮事件の相談を受けて、警察や検察と交渉を行ったり、被害者との示談を成立させる等の弁護活動を行ってきました。

勇気をもってご相談いただいたことで、事態が好転したご相談者様は数え切れません。

盗撮事件で悩んだら、刑事事件に強いグラディアトル法律事務所へご相談ください。

グラディアトル法律事務所では、24時間365日、全国対応可能な体制を整備しています。

LINEでの無料法律相談も受け付けているので、是非お気軽にご連絡ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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