今回は、駅での盗撮をして逮捕され、30件以上の余罪が発覚するも示談が成立して不起訴になった事例についてご紹介します。
目次
事件の概要 30回以上盗撮を繰り返して逮捕された事例
今回のご依頼者様は東京在住のXさんです。
Xさんは、夜勤のある仕事をしており、仕事でのストレスが溜まっていました。
ストレス解消のために何か面白い動画はないかと探していたところ、女性を盗撮する動画を発見します。今まで盗撮には全く関心のなかったXさんですが、この動画を見てから盗撮関連の動画にはまってしまいました。
盗撮動画を色々と見て楽しんでいましたが、ついに自分でも盗撮をしてみたいと思うようになります。
動画と同じように撮影してみようと思い、駅のエスカレーターで前に立っていた女子高生の盗撮を試みます。その時はバレることなく女子高生のスカートの中を撮影することに成功しました。
一度成功してしまったことで、Xさんはもう一度同じことをしたいという欲求が止まらなくなってしまいます。
そこから盗撮を繰り返すようになってしまい、気付けば30回以上盗撮を繰り返してしまっていました。
いつも通り駅の構内で盗撮できる女性を物色していたところ、Xさん好みの女性がたまたま通りかかりました。
Xさんは女性についていき、盗撮の機会を待ちます。
女性がエスカレーターに乗ったタイミングでXさんも女性の後ろに立つ形で乗り込み、盗撮の準備をしました。
下からカメラを向ける形で女性のスカートの中を撮影していたところ、女性が急に振り返って「盗撮しましたよね?」と声を上げられてしまいます。
周りの人が集まって来て、Xさんはそのまま取り押さえられてしまいました。そして、その場で警察を呼ばれ、逮捕されてしまいます。
【事件解決 50万円の支払いで示談成立!不起訴に】
今回の事件は、弁護士が間に入って被害者の保護者と示談交渉を行いました。
もちろん、弁護士だからと言ってすぐに示談が成立するわけではありません。今回についても、保護者の方は大切な娘を傷つけられたと大変ご立腹で、最初は示談を拒否されてしまいました。
ですが、ご相談者様が反省していることや、今後同様の事件を起こさないよう通院して治療していることを説明したりして粘り強く交渉をしました。交渉の末、次第に保護者の方にもご依頼者様の気持ちが伝わり、示談に応じてもいいという姿勢になっていきます。
その結果、50万円で示談を成立することができ、不起訴処分で事件を終わらせることができました。
盗撮事件を弁護士に依頼するメリットと盗撮事件に強い弁護士の選び方については、以下の記事もご参照ください。
【事件の解説 盗撮は何罪にあたる?撮影罪って?】
今回の事例は、盗撮をしたことで逮捕されていますが、そもそも盗撮は何罪にあたるのでしょうか。
刑法に「盗撮罪」というものはありません。
これまで盗撮は各自治体の条例によって規定され、盗撮した場合は条例違反の扱いとなっていました。しかし、令和5年7月13日「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」が施行され、「撮影罪」が法律で制定されることになりました。
これによって盗撮犯の逮捕が簡単になっただけでなく、3年以下の拘禁(懲役)刑、300万円以下の罰金刑となり、罪が重くなりました。
撮影罪についてのさらに詳しい説明は以下の記事をご覧ください。
【示談金の相場は10~100万円?示談交渉の方法】
逮捕されたからといって直ちに裁判になり、懲役または罰金刑を受けることになる…というわけではありません。
逮捕後、起訴不起訴(裁判にかけられるかどうか)は検察が判断して決めます。
盗撮事件において、不起訴処分を獲得するためには、早急に示談交渉を進めていく必要があります。
示談というのは、当事者がもうこれ以上争いませんという合意をしていることを言います。
示談が成立している=なんの罪にも問われないということではありません。
しかし、検察の起訴不起訴の判断において、示談が成立しているかどうかは重要な判断材料となってきます。
もちろん、弁護士がいなければ示談が成立しないわけではありません。当事者同士で示談交渉をすることは可能です。
しかし、加害者と被害者という関係上、当事者同士で話合って示談を成立させることが非常に難しいと言えます。また、仮にうまく示談を成立させることができたとしても、示談が成立したことを示す示談書の作成等も必要となってくるため、法的知識がない方にはやはり難しいでしょう。
専門家である弁護士を間に入れることで、スムーズに示談交渉をすることができるので、弁護士に依頼することが結果的に早期解決に繋がるのです。
では、実際示談にはいくらくらい必要になってくるのでしょうか。
もちろん、事件の内容や相手方の年齢等によって金額は変わってきますが、盗撮の示談金の相場は10万円~100万円程度です。
しかし、盗撮を繰り返している場合や、被害者が未成年の場合等、相場より高くなりやすいケースもあります。
以下の記事では、示談金の相場や弁護士に示談交渉を依頼した場合の費用等をさらに詳しく解説しています。
示談とは、ただお金を払う約束をして和解するものもありますが、「宥恕文言」を入れた示談を成立させる場合もあります。
宥恕文言とは、相手を許す旨を記載したもので、宥恕文言があることで検察官や裁判所の心証がよくなります。ですが、宥恕文言を入れるために無理な交渉をしてしまえば、かえって示談が不成立になってしまう可能性もあります。
今回ご紹介したケースでは、示談書に宥恕文言を入れない形での示談成立となりました。せっかく相手方が示談に応じる姿勢を見せてくれたので、無理に宥恕文言入りの示談にしようとすると交渉が決裂する可能性を考慮して宥恕文言なしでの成立を決めたのです。
【盗撮事件で余罪での再逮捕はされるのか?】
今回の事例は、30件以上の余罪があった事例でした。
また、この盗撮の余罪について、逮捕時に応酬されたスマートフォンから警察に発覚し、取り調べでも余罪についても全て認めている事件でした。
しかし、警察は余罪について、事件化をすることはなく、再逮捕はされませんでした。
警察としては、被害者が通報をした今回の事件のみをターゲットとして捜査を進めたのです。
余罪については、被害者が不明確などの理由から捜査がなされないこともあります。
他方で、警察が余罪についても捜査をして再逮捕するようなケースもあるので注意が必要です。
盗撮事件の余罪と再逮捕についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
【まとめ】
今回は、駅での盗撮のケースをご紹介しました。
Xさんが盗撮を繰り返していたことや、被害者の女性が未成年であることから示談交渉が難しい事件だったといえます。
しかし、Xさんが早期に弁護士にご相談してくださったので、弁護士が早急に方針を決めて対応することができ、示談を成立させることができたのです。
もし今回のように逮捕されてしまった場合、弊所弁護士が早急に可能な対応をさせて頂きます。