学校での盗撮が発覚するとどうなる?刑事事件化のリスクと対処法

学校で盗撮が発覚すると刑事事件になる?
弁護士 若林翔
2024年07月31日更新

「学校の盗撮がバレたらどうなる?」

「未成年でも逮捕される?」

「退学や懲戒解雇になる?」

盗撮が発覚すると、学校内の処分だけでは終わりません。

たとえ未成年でも、撮影罪、児童ポルノ禁止法違反などが成立し、逮捕される可能性があるのです。

処分を軽くするためには、速やかに弁護士に相談し、

・被害の回復に向けて行動を起こす

・更生するための方法を考える

などの対応が必要です。

本人の反省はもちろん、家族のサポート体制も、事件の流れを大きく左右します。

本記事では、次の点について取り上げました。

・学校の盗撮で考慮されるポイント

・成立する犯罪

・未成年が逮捕された場合の流れ

・盗撮事件でするべきこと

学校の盗撮で不安を感じている方は、是非ご一読ください。

学校の盗撮は刑事事件化する?

学校で盗撮が発覚すると、刑事事件に発展する可能性があります。

・生徒による盗撮

・教師による盗撮

いずれのケースでも、学校内の問題だけでは終わりません。

事件化して報道されてしまったケースが数多く存在しています。

生徒が盗撮して事件化したケース

ここ数年、盗撮をはじめとした性犯罪の加害者は、低年齢化しています。

高校はもちろん、中学生が盗撮をして報道されるケースも出ています。

埼玉県春日部市の市立中学校に通う中学3年の複数の男子生徒が6月下旬、修学旅行先で女子生徒が入浴する様子を盗撮した疑いがあることが市教委などへの取材でわかった。

捜査関係者によると、県警は性的姿態撮影等処罰法違反などの疑いがあるとみて捜査している。

 市教委によると、県外の宿泊施設に滞在中、男子生徒らが風呂場で同級生の女子生徒十数人を盗撮したとみられる。男子生徒らは、撮影した動画や写真をSNSで他の生徒に送信していた可能性もあるという。学校の関係者が、県警に被害を相談した

 学校では3年生の保護者を対象とした保護者会を開き、生徒と保護者、教諭による三者面談も実施。生徒のスマートフォンのデータを確認しているという。

(抜粋:中3の修学旅行で男子らが女子十数人の入浴を盗撮 他の生徒に共有か|2024年7月11日 朝日新聞デジタル

教師が盗撮して事件化したケース

教師の盗撮も後を経ちません。

盗撮が発覚すると刑事事件化するだけでなく、実名で報道される可能性もあります。

速やかに弁護士に相談して、アドバイスを受けましょう。

※教師が盗撮した場合の懲戒処分・対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。

「【職種別】会社で盗撮がバレたらどうなる?懲戒処分?実名報道!?」

小学校教師の男が勤務先の職員用のトイレにカメラを設置して、女性教師を盗撮した疑いで逮捕されました。

埼玉県春日部市の市立小学校教師・⚫⚫⚫容疑者(⚫)は8日、勤務先の小学校の女性用トイレに侵入し、個室内に小型カメラを設置して同僚の女性教師を盗撮した疑いがもたれています。

警察によりますと、被害にあった女性教師がカメラを発見し、教頭が通報したということです。

⚫⚫容疑者は「自分の性的欲求を満たすためにやった」と容疑を認めています。

カメラが設置されていたのは職員用のトイレだったということで、警察は詳しい事件の経緯を調べています。

※氏名は、プライバシーの観点から弊所で黒塗り

(引用:「性的欲求を満たすために…」勤務先のトイレに小型カメラ設置し女性教師を盗撮か 小学校教師の33歳男を逮捕|2024年7月9日 FNNプライムオンライン

学校の盗撮で考慮されるポイント

それでは、学校の盗撮が重く処分されるのはどのようなケースでしょうか?

考慮されるポイントを4つ解説します。

学校での盗撮で考慮されるポイント

盗撮した人数

1つ目のポイントは、盗撮した被害者の人数です。

被害者が「1人のケース」「複数人いるケース」では、事件の深刻さが大きく変わってきます。

「一度の盗撮行為」で複数人を撮影したのか

盗撮行為自体を「複数回」行ったのか

上記によっても異なりますが、いずれにせよ被害者の人数が増える程、重く処罰されます。

過去に何度も盗撮を行っている場合は、速やかに弁護士に相談しましょう。

※過去の盗撮の件数と刑の関係については、次の記事で詳しく解説しています。

「【盗撮で逮捕】余罪は発覚する?スマホ解析はどこまで?NG行動4選!」

被害者の年齢

2つ目のポイントは、被害者の年齢です。

例えば、大人が16歳未満の性的姿態等を撮影すると、被害者の同意があっても「撮影罪」が成立します。

被害者の年齢が低いほど、被害感情も強くなりやすいため、事件は深刻化するでしょう。

特に、教師が生徒を盗撮したようなケースでは、実名報道されるリスクが格段に高くなります。

行為の悪質性

3つ目のポイントは、行為の悪質性です。

盗撮行為が悪質だと判断されるほど、刑事処分は重くなります。

盗撮データをSNS等にアップしている

写真や動画を販売している

仕事の地位や立場を利用して盗撮している

継続的に盗撮を繰り返している

上記のようなケースでは、初犯であったとしても、懲役刑となる可能性があります。

示談の有無

4つ目のポイントは、被害者と示談が成立しているかです。

盗撮後、早期に示談が成立していると、刑事事件化しづらくなったり、刑事処分が軽くなる可能性が高いです。

学校で盗撮した場合は、弁護士を通じて、被害者の両親(保護者)と示談交渉することが通常です。誠意を持って謝罪し、必要な示談金を支払って、被害の回復に努めましょう。

被害者から許しを得ることができれば、事件の解決に大きく近づきます。

学校の盗撮で成立する犯罪

学校の盗撮行為では、複数の犯罪が成立する可能性があります。

ここでは、代表的な5つの犯罪を紹介します。

学校の盗撮で成立する犯罪

撮影罪(性的姿態等撮影罪)

撮影罪(性的姿態等撮影罪)は、性的な部位や下着を撮影すると成立する犯罪です。

学校での盗撮行為は、基本的にこの撮影罪に該当します。

学校の階段で下着を盗撮する

ロッカーや更衣室に小型のカメラを設置して盗撮する

体育の授業中に、水着姿を盗撮する

部活の後輩を強引に撮影する

上記のようなケースが、撮影罪の典型例です。

生徒同士の場合は、被害者の同意があれば、撮影罪は成立しません。

ただし、教師と生徒のように5歳以上の年齢差がある場合は、同意があっても撮影罪が成立します。

※関連記事

撮影罪とは?構成要件や盗撮での迷惑防止条例との違いなど徹底解説!

 

迷惑防止条例違反

盗撮行為は、各都道府県の迷惑防止条例でも規制されています。

例えば、東京都では「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が定められています。

2023年までの盗撮は、基本的にこの「迷惑防止条例違反」で処罰されていました。

しかし、自治体によって処罰が異なるという問題があったため、前述の「撮影罪」が新設されました。

現在は「撮影罪」で処罰されるケースが多いですが、盗撮の内容によっては「迷惑防止条例違反」で捜査が進められる場合もあります。

軽犯罪法違反

軽犯罪法違反は、服を脱ぐような場所を「のぞき見」すると成立する犯罪です。

「場所」に対する「のぞき見」によって成立するため、中に人がいるか・カメラを設置したか等は関係ありません。

学校で、無人のトイレをのぞき見した

カメラを設置するために、女子更衣室に忍び込んだ

生徒が下校した後、女子用シャワー室をのぞき見した

上記のようなケースでも、軽犯罪法違反に該当する可能性があります。

児童ポルノ禁止法

学校の盗撮は、児童ポルノ禁止法にも抵触します。

(※児童=18歳に満たない者)

盗撮の被害者が18歳未満だった場合、「児童ポルノの製造(児童ポルノ禁止法7条5項)」に該当するため、「3年以下の懲役または300万以下」となる可能性があります。

児童ポルノ禁止法は、撮影した人が18歳未満の少年であっても成立する犯罪です。

「中学生だから捕まらない」

「子供だから大丈夫」

こういった考えは非常に危険です。

「自分の子どもが盗撮しているのは?」と感じたら、すぐに弁護士に相談しましょう。

中学生・高校生などの間で多発しており、警察から学校への注意喚起も行われています。

建造物侵入罪

盗撮目的で学校に立ち入る行為は、「建造物侵入罪」にも該当します。

自分が通う学校であったり、勤務先の学校であったとしても同様です。

建造物侵入罪が成立すると「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」に処せられます。

学校の盗撮は逮捕される?少年事件の流れ

未成年の盗撮でも、14歳以上であれば逮捕される可能性があります。

学校の盗撮で、生徒が現行犯逮捕されるケースは少ないでしょう。しかし被害届が提出されて、後日逮捕される可能性はゼロではありません。

ここでは、少年事件(14歳以上)の流れを説明します。

(14歳未満であれば、刑事責任を問われることはありません。)

学校で盗撮した場合の流れ

学校で盗撮→逮捕

未成年の逮捕でも、大人と同様に拘束されます。

逮捕後は、最大72時間にわたって身柄を拘束された上で、警察からの取り調べが行われます。

「勾留」または「勾留に代わる観護措置」

検察官が必要だと判断すると、勾留請求が行われるケースもあります。

「勾留請求」された場合の流れは、基本的に大人と同様です。

勾留期間は原則「10日間」で、事件によっては「最大20日間」まで延長されます。

ただし、少年事件の場合は「勾留」ではなく、「勾留に代わる観護措置」となるケースもあります。この場合、身柄拘束の延長は「最大10日間」となり延長はありません。

拘束も、留置所ではなく「少年鑑別所」に収容されます。

家庭裁判所へ送致

身柄拘束が終わると、少年事件は全て「家庭裁判所」に送致されます(全件送致主義)。

家庭裁判所では、家庭裁判所調査官によって、少年の性格、盗撮した動機、交友関係や家庭環境などが調査されます。

家庭裁判所に送致された後の流れは、「観護措置」が採られるかによって異なります。

【観護措置が採られるケース】

観護措置が採られた場合は、少年鑑別所へ収容されます。

なぜ盗撮事件を起こしてしまったのか、少年の性的嗜好や発達上の問題が、詳しく調査されます。調査の一環として、学校への照会が行われるケースも多いです。

観護措置の期間は「原則2週間」です。

ただし、家庭裁判所が必要と判断すると、「最大8週間」まで延長されます。

【観護措置が採られないケース】

観護措置が採られなければ、在宅事件として扱われます。

家庭で日常生活を送りながら、家庭裁判所調査官による調査が進められます。

少年審判など

家庭裁判所の調査結果を参考に、裁判官が処分の内容を検討します。

調査の結果、「審判不開始」の決定が行われると、その時点で事件は終結です。

盗撮事件が処分されることはなく、「保護観察」や「少年院へ送致」される可能性も無くなります。

一方、審判開始が決定すると、家庭裁判所で審理手続(少年審判)が行われます。

審判には、「少年本人」と「保護者」が呼び出されて、非公開で実施されます。

付添人として、弁護士が出席するケースも多いです。

審理が終わると、次のような処分が言い渡されます。

・不処分

・保護観察(家庭等で少年の更生を図る)

・少年院送致(少年院で教育する)

・検察官送致(検察庁に送られ、刑事処分となる)

処分を軽くするためには、少年の更生をサポートする体制を整えることが必要です。

少年本人が深く反省しており、家族の支援体制も十分だと認められれば、不処分となる可能性が高くなるでしょう。

学校の盗撮トラブルでは示談が重要

学校の盗撮トラブルを解決するには、被害者との示談が重要です。

・教師が盗撮したケース(成年事件)

・生徒が盗撮したケース(少年事件)

いずれのケースでも、示談が重要であることに変わりはありません。

教師が盗撮した場合、示談の成立は刑事事件化を回避するために、大きな意味を持ちます。

成年事件の起訴・不起訴は、検察官が決めるため、示談の成立を伝えることで、不起訴の可能性が高まります。

一方、生徒が盗撮したケースでは、示談の有無に関わらず、全ての事件が家庭裁判所に送致されます。

ただし、被害者との示談は、少年の更生という面で大きな意味を持ちます。

盗撮事件を反省し、被害者に対して謝罪したという事実は、少年審判でも大きく考慮されます。被害の回復に向けて行動することが、処分を軽くすることに繋がるのです。

ただし、いずれのケースでも、示談交渉は必ず弁護士を通じて行いましょう。

本人・家族が被害者側に接触すると、感情的なトラブルに発展してしまいます。

たとえ、学校で顔を合わせている間柄であったとしても、事件後の接触は避けるべきです。

盗撮が発覚した時点で、相手は二度と顔を合わせたくないと思っていることを忘れてはなりません。

※関連記事

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学校の盗撮を弁護士へ相談するメリット

学校で盗撮した場合、弁護士に相談することで様々なメリットが期待できます。

学校の盗撮を弁護士に相談するメリット

逮捕や観護措置の回避が期待できる

学校での盗撮が発覚すると、逮捕・勾留されたり、観護措置がとられたりする可能性があります。

身柄を拘束されると、心身に大きな負担がかかる上、日常生活にも大きな影響を与えます。

しかし、弁護士に相談することで、これらのリスクを回避できる可能性が高まります。

身柄拘束が実施される前に、弁護活動を開始できれば、逮捕や観護措置の回避も期待できるでしょう。

・被害者と示談交渉を進める

・意見書や身元引受書を提出する

・再犯防止策を考える

・少年審判に付添人として出席する

など、あらゆる方向から弁護活動を行うことで、リスクを最小限に抑えることができます。

懲戒処分や退学を回避できる可能性が高まる

弁護士に相談すれば、懲戒処分や退学を回避できる可能性も高まります。

・盗撮を深く反省していること

・真摯に謝罪して、被害を回復させるために行動していること

・再犯防止に向けて努力していること

・周囲のサポート体制が整っていること

弁護士の立場から、これらの事情を丁寧に説明すれば、学校側の印象は大きく変わってくるでしょう。

第3者である弁護士を通じて、学校側と粘り強く交渉することが、処分を軽くすることに繋がります。

【Q&A】学校の盗撮に関するよくある質問

学校の盗撮についてよくある質問

Q.未成年でも起訴されて前科が付く?

14歳未満であれば、責任能力が無いため、原則として起訴されません。

14歳以上の場合、検察に送致(逆送)されて起訴されると、前科が付く可能性があります。

Q.学校を退学処分になる可能性は?

盗撮したことが学校に伝わると、退学処分になる可能性があります。

学校外で行った盗撮であれば、早期にご相談いただくことで、学校に伝わらないように交渉ができます。

学校内の盗撮であれば、高確率で学校側に伝わります。

ただし、再犯防止策を整えたり、反省・謝罪の意思を粘り強く伝えることで、退学を回避できるケースもあります。

Q.学校の盗撮でも示談は必要?

学校の盗撮でも、処分を軽くするためには示談が欠かせません。

Q.学校で盗撮すると実名報道される?

盗撮時点で未成年であれば、実名報道されることはありません。

Q.教師が学校で盗撮した場合は懲戒解雇?

教師が学校で盗撮すると、懲戒解雇・免許取消になる可能性があります。

速やかに弁護士への相談が必要です。

学校の盗撮で悩んだらグラディアトル法律事務所へ

最後に、今回の記事の要点を整理します。

・学校の盗撮では、「撮影罪」や「建造物等侵入罪」「児童ポルノ禁止法」が成立する

・生徒、教師いずれのケースでも刑事事件化する可能性がある

・未成年であっても、逮捕されると長期間拘束される

・学校の盗撮を解決するには、被害者との示談が重要

学校で盗撮してしまった場合は、速やかに弁護士に相談することが必要です。

早期に弁護活動を開始することで、刑事処分を回避できたり、身柄拘束を防止できたり、盗撮事件の影響を最小限に抑えることができるでしょう。

グラディアトル法律事務所では、これまでにも数多くの盗撮事件の相談を受けて、警察や検察と交渉を行ったり、被害者との示談を成立させる等の弁護活動を行ってきました。

勇気をもってご相談いただいたことで、事態が好転したご相談者様は数え切れません。

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グラディアトル法律事務所では、24時間365日、全国対応可能な体制を整備しています。

LINEでの無料法律相談も受け付けているので、是非お気軽にご連絡ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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