「夫・息子が盗撮で逮捕された。これからどうしたら…」
大切な家族が突然逮捕されてしまい、誰かに助けを求めたい、そんな思いでたどり着いたのではないでしょうか。
平和な日常に警察からの突然の電話、面会したくてもできない、何が一体どうなっているのか情報も入ってこない、不安でいっぱいだと思います。
盗撮で逮捕された場合、以下の図のように進行していきます。
逮捕後は、すぐに取り調べが行われ、最大72時間(勾留決定前)は家族であっても面会ができません。
何もしなければ、そのまま身体拘束が続き、勾留ともなれば、最大20日間(逮捕から起算して最大23日間)留置場での生活を余儀なくされます。
長期間の拘束となれば、夫の会社は解雇、息子の学校は停学(退学)処分を覚悟する必要があるでしょう。
そうなる前に、速やかに弁護士に依頼することが大切です。
【家族(あなた)がすべき3つの行動】
1. 弁護士への連絡
冒頭でもお伝えした通り、逮捕直後は家族も面会が禁止されている、情報収集が困難など、家族が出来ることには限界があります。
面会禁止期間でも唯一面会が許された弁護士なら、逮捕された家族(夫・息子)にあなたの意図を伝えることができますし、被害者との示談を進めたりと、早期釈放に向けた弁護活動を行うことが可能です。
2. 状況の把握
どのような状況で逮捕されたのか、本当に盗撮事件を起こしてしまったのか、それとも冤罪なのか等々…犯行態様や状況によっても対応が異なるため、できるだけ多くの情報を集めておくことが大切です。
3. 安心させる言葉をかけてあげる
逮捕された家族(夫・息子)は、一人で取り調べに臨むことになります。
盗撮事件の取り調べは非常に過酷で、警察や検察官の高圧的な言動に屈してしまう可能性も。「罪を認めれば早く帰れますよ」「とりあえずやりましたと言うだけで良いんです」このような甘言で惑わしてくることもあります。
そんな時に、家族から「こっちは大丈夫だから頑張って」「会社・学校には上手く言っておくから」「身体に気を付けてね」このような一言があれば、夫や息子も勇気づけられるでしょう。
【早期釈放を目指すための行動提案3つ】
1. 被害者と示談を進める
早期釈放の実現には、被害者との示談が鍵を握ります。被害者の連絡先の入手、効果的な交渉術には弁護士のサポートが欠かせませんので、速やかに依頼しましょう。
2. 法的手続きに協力する
家族として、弁護士の指示に従い、必要な書類の準備やサポートをします。例えば、身柄引受書の準備や、弁護士が提出する意見書に必要な情報提供を行いましょう。
3. 会社・学校へ連絡をする
釈放後にも気を配る必要があり、逮捕された家族(夫・息子)に代わって会社・学校に連絡を入れることが大切です。特に女性が多い職場(学校)では、盗撮の事実がバレたら、せっかく釈放されても復帰が困難になることも。「夫(息子)が事件に巻き込まれて警察の事情聴取を受けている」と濁すことで、職場(学校)復帰の土台を整えることができます。
上記の通り、あなたの迅速な行動と冷静なサポートが明暗を分けることになりますので、早期釈放を目指して行動しましょう。
逮捕前の平穏な日常を取り戻せることを願っています。
目次
盗撮で身内が逮捕されたときに家族がすべきこと
冒頭でもお伝えした通り、盗撮事件で逮捕されれば、最終的には刑罰が下され前科が付くことになります。
前科がつくと社会的信用の低下だけでなく、会社の解雇、学校から何らかの処分、ネット上にデジタルタトゥーとして残り続け、家族全員が長い期間苦しむことになるでしょう。
「面会禁止期間じゃ何もできないのでは?」と思うかもしれませんが、決してそんなことはなく、家族にしかできないことがあります。
- ◎弁護士に依頼して接見に行ってもらう
- ◎弁護士費用と示談金の準備
- ◎身柄引受書の署名・押印
- ◎手紙や面会などで精神面のサポート
- ◎夫・息子の愛読書や普段着などを差し入れ
これらは全て、家族にしかできないことです。
詳しくは、以下をご覧ください。
【大至急】弁護士に依頼して接見に行ってもらう
まずは弁護士に依頼して、逮捕された夫・息子の現状を知ることが重要です。犯行の態様や状況、冤罪なのかどうか、憔悴しているのか等々…何も情報がなければ行動の予測が非常に困難になります。
夫や息子も同様に「逮捕されて家族はどう思っているのだろうか」「会社・学校にバレてしまっただろうか」と不安な気持ちでいっぱいです。
「こっちは大丈夫」「会社・学校には上手く言っているから安心して」と、あなたの意図を伝えることができれば、勇気づけられ、頑張ろうという動機づけにもなります。
弁護士費用と示談金の準備
【盗撮事件の弁護士費用の目安】
種類 | 相場費用 |
---|---|
私選弁護人 | 60~150万円 |
当番弁護人 | 無料 |
国選弁護人 | 基本無料(※) |
【盗撮事件の示談金相場】
罪名 | 示談金相場 |
撮影罪 | 50~100万円 |
迷惑防止条例違反 | 10~50万円 |
盗撮事件で早期釈放を望むなら、私選弁護人(自分で希望する弁護士)に依頼することが大切です。
費用を比較すると、「当番・国選弁護人は無料だしその方が良いのでは?」と思うかもしれませんね。たしかに費用面では当番・国選弁護人が安く済みますが、「自分では選べない」「盗撮事件の経験が浅い弁護士が来る可能性がある」「接見回数に制限がある」など、早期釈放には不向きであるというのが正直なところです。
また、盗撮事件の早期解決には、被害者との示談が鍵を握ります。被害者との示談が成立すれば、警察や検察官、裁判官は「勾留・起訴の必要なし」と判断するため、早期釈放・不起訴の獲得が望めます。
ただし、示談には「示談金」が必要になるケースが多く、上記のように、成立する犯罪や犯行態様、状況によって費用が前後する点は留意しましょう。
身柄引受書の署名・押印
釈放の条件に、身柄(身元)引受人がいることが大前提となります。
身柄引受人は、夫・息子に関わりのある人(家族、会社の同僚、知人、学校の先生など)なら誰でもなることができます。ですが、身柄引受人の目的として、「責任をもって身柄を引き受け、再発防止に向けて監督できる人」という考え方が一般的ですので、条件を満たす親族が身元引受人になるケースが多いです。
※捜査機関によっては、友人、知人という間柄だけでは身元引受人として認められないと判断するケースがありますので留意しましょう。
手紙や面会で精神面を支える
逮捕された家族は、長期間孤独の中で警察や検察官の取り調べを受けますので、過酷な状況を強いられます。精神的に追い詰められて、不利な証言をしてしまうこともあるでしょう。
不利な証言をしてしまうと、それが供述調書として記録され、あとで覆すことは非常に困難になりますので、極力さけなければなりません。その証言がきっかけとなり、勾留や起訴容認の判断材料になるリスクもあります。
家族からの手紙や面会などのサポートがあれば、夫や息子も勇気づけられ、過酷な取り調べ下であっても、精神的な支えとなるでしょう。
※家族が面会できるのは「勾留後」「接見禁止が付いていない」場合に限ります。条件を満たさない場合は弁護士経由で手紙を届けたり、言伝を依頼する形になります。
服や本を差し入れする
上記で精神的なサポートについて触れましたが、普段愛用している服や愛読書などの差し入れがあれば、生活環境が豊かになり、過酷な留置場内であっても、頑張る活力になります。
家族の精神的な支えは非常に大切ですが、長期間の過酷な取り調べを乗り切るには、夫や息子の喜ぶ差し入れがあるとなお良いでしょう。
盗撮で身内が逮捕|本人・家族に及ぼす影響
盗撮で身内が逮捕されてしまった場合、家族に及ぼす影響は、以下の通りです。
会社を解雇される可能性がある
盗撮の事実が会社にバレた場合、それを理由に解雇されてしまう恐れがあります。
仮に解雇されなかったとしても、社内で白い目で見られることになりますので、居心地の悪さから、自主退社を余儀なくされるケースも考えられます。
とはいえ、盗撮で逮捕されたからといって、即座に会社にバレるわけではありません。
会社に露見する主な要因としては、
- ・会社内で盗撮をしていた
- ・会社内の人間による告発
- ・実名の報道(※)
- ・逮捕・勾留期間が長引いた
といったケースが挙げられます。
特に逮捕後の2~3日程度なら、体調不良などを理由に言い訳が利きますが、勾留後は最大20日間拘束されますので、誤魔化しが利かなくなりバレてしまうことが多いです。
盗撮で逮捕されたら、必ず報道される?
盗撮で逮捕されたからといって、必ず報道されるわけではありません。
実名報道されるケースとして、
- ・有名人、著名人
- ・公務員
- ・社会的立場が高い
- ・違法性、悪質性の高い犯行
このような立場の人は、報道の可能性が高いと言えるでしょう。
実名で報道されれば、不特定多数の人の目に留まることになり、それがネットやSNSで拡散されれば、デジタルタトゥーとして一生残り続けます。
少しでも報道のリスクを回避するためにも、速やかに弁護士へ相談することをおすすめします。
学校にバレる可能性がある
お子さん(学生)が盗撮で逮捕された場合、学校にバレる可能性が極めて高いです。
なぜなら、警察・学校間では協定を結ばれているため、逮捕された時点で、警察から学校へ連絡が行ってしまうためです。
また、未成年による犯行の場合は、家裁送致されることが大半で、家庭裁判所による学校への調査を行われた場合、そこからバレることもあるでしょう。
学校にバレれば、停学や退学のリスクが高くなり、それらを回避できても、内申点がマイナスに影響することは避けられませんので、進学・就職面でハンデを背負うことになります。
学校内での盗撮事件については、
学校での盗撮が発覚するとどうなる?刑事事件化のリスクと対処法
前科が付いてしまう
盗撮で逮捕された場合、撮影罪や迷惑防止条例違反などが成立しますので、有罪となれば前科が付いてしまいます。
前科が付くデメリットとしては、
- ・有罪判決が解雇事由になっている場合、会社を解雇される
- ・前科を欠格事由とする職業の場合、就職(再就職)が困難になる
- ・民法上の離婚自由に該当するので、本人の意思関係なく、離婚が成立することもある
- ・盗撮の事実が、デジタルタトゥーとしてネット上に残り続ける
- ・海外渡航の際に、一部の国では入国が認められない可能性がある
- ・社会的信用が低下し、家族や友人、同僚、近隣住民などから白い目で見られる
このように、前科が付くことは、百害あって一利なしです。
そのため、いかに前科を回避するための行動を取れるかが、重要になってきます。
示談金(損害賠償金)による高額な出費
前述の通り、盗撮で逮捕された場合、前科回避に向けた行動が重要になります。
最も確実な方法としては、被害者と示談することですが、そう容易な話ではありません。
示談成立には、示談金が必要になることが多く、10~100万円程度の出費は覚悟する必要があるでしょう。
また、示談が成立しなくても、損害賠償請求がされるケースがあることは念頭に置くべきです。
損害賠償金の内訳としては、
- ・治療費
- ・入通院費
- ・休業補償
- ・慰謝料
などが挙げられます。
盗撮の示談金相場については、
盗撮の示談金相場は10~100万円!適正な金額の早期解決法を紹介
上記の記事で詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください。
盗撮で家族が逮捕された場合に成立する犯罪
盗撮で成立する犯罪は、以下の通りです。
撮影罪
撮影罪は、2023年7月13日に施行された「性的姿態撮影等処罰法」で定める犯罪です。
撮影罪における条文では、以下の行為を盗撮として定めています。
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(性的姿態等撮影)
第二条次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロイに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
参照:e-GOV「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」より
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条文を要約すると、
- ・性的姿態等をひそかに撮影する行為
- ・相手の同意なしに(または同意できない状態にして)性的姿態等を撮影する行為
- ・性的な行為でないことを誤信させ、性的姿態等を撮影する行為
- ・16歳未満の未成年の性的姿態等を撮影する行為(同意の有無は無関係)
※13歳以上16歳未満については、行為者の生まれた日を起算して5年以上離れている場合に成立する
※盗撮行為が未遂であっても処罰の対象になる
といった行為が盗撮に該当します。
性的姿態撮影等処罰法が施行される前は、盗撮行為そのものを罰する規定がなく、各都道府県の迷惑防止条例で罰するしかない状況で、罰則においてもばらつき(もしくは軽い刑罰)がありました。
ですが、撮影罪新設後は、刑犯法として統一され、罰則も「3年以下の拘禁または300万円以下の罰金」と重い罪に処されることになった経緯があります。
迷惑防止条例違反
迷惑防止条例違反とは、各都道府県が定める「迷惑防止条例」に違反した場合に成立する犯罪です。
東京都の場合、盗撮については、迷惑防止条例の5条で定められており、条文については、以下の通りです。
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
参照:警察庁HPより一部抜粋
盗撮で逮捕された家族はいつ釈放される?逮捕後の流れも解説
盗撮で逮捕された場合は、以下の流れで進行していきます。
【結論】盗撮で逮捕された家族は3〜23日で釈放されることが多い
冒頭でもお話した通り、盗撮事件で逮捕後は速やかに取り調べが行われ、その後もスピーディーに物事が進んでいきますので、それ以上の迅速な行動が求められます。
逮捕後は48時間以内に検察官に捜査が引き継がれ(検察官送致)、24時間以内に裁判官に勾留請求がかけられ、それを容認すれば最大20日間の身体拘束(勾留・勾留延長)…というように、あなたが思っている以上に早く進行しますので、一刻も猶予もないのです。
夫の会社や息子の学校を考えるなら、少しでも早く釈放を目指すべき(72時間以内)ですが、起訴されてしまった場合は99.9%で前科がつくことになりますので、不起訴処分を目指すこと(逮捕から最大23日間)が最終防衛ラインとなるでしょう。
他方、前科がつくこと以外にも、刑事裁判までの数ヶ月間もの間身体拘束されることになり、社会的信用の低下は避けられませんので、弁護活動においても早期釈放や不起訴処分を目指していくことになります。
それぞれの流れについて、以下で詳しく解説していきます。
警察官による取り調べ(最大48時間)
盗撮の疑いで逮捕された場合、留置場にて、警察官による取り調べを受けます。
最大で48時間拘束されることになり、外部との連絡・面会の一切が禁止されます。
ここで話した内容は全て記録され、後述する検察官送致の判断材料になりますので、虚偽の供述はご法度です。
また、警察官による取り調べで不利な供述をしてしまうと、その内容が供述調書として記録されてしまいます。(黙秘権を行使した場合も同様です)
この供述調書は、刑事裁判における重要な証拠物としても扱われますので、不適当な供述や、安易に署名押印することは避けましょう。
検察官送致(最大24時間)
警察官による取り調べで解決できないと判断されれば、検察官に引き継がれることになり、引き続き取り調べ・捜査が行われます。
検察官送致後、最大で24時間拘束され、この間も外部との連絡・面会は一切禁止です。
そのため、逮捕後、最大72時間は外部との接触ができないことを覚悟する必要があるでしょう。
取り調べや捜査の結果、「勾留の必要性あり」と判断した場合、裁判所に勾留請求を行います。その結果、裁判官が勾留請求を受理すれば、勾留が開始されますが、逆に、勾留請求が棄却された場合は、勾留されることなく、在宅事件に移行しますので、日常生活を送りながら、起訴・不起訴の結果を待つことになります。
Q、盗撮の事案で在宅事件の可能性はある?
盗撮事案において、必ず勾留に発展するわけではなく、
- ・取り調べに素直に応じている
- ・被害者への謝罪の意思がある
- ・犯行が極めて悪質とはでは言えない
- ・逃亡、証拠隠滅の恐れがない
- ・勾留請求が棄却された
このような場合は、在宅事件で処理されるケースもあります。
ただし、在宅事件になったからといって罪が軽くなるわけではありません。
身柄が拘束されないというだけで、捜査は継続されますので、検察官が起訴した場合は、99.9%で有罪判決を受けることになります。(=在宅起訴による罰金刑)
当然、前科が付きますので、在宅事件でも、不起訴に向けた行動を心がけましょう。
勾留(最大20日間)
勾留が決定した場合、原則10日間拘束されることになり、引き続き、捜査機関による取り調べ・捜査が行われます。また、勾留は最大10日間延長されるため、最大20日間拘束を受けることになります。
勾留が延長される要因としては、
- ・被疑者が罪を犯したことを疑うに足る理由がある
- ・逃亡、証拠隠滅の恐れがある
- ・被害者が刑罰を望んでいる
といった場合が考えられます。
勾留は、検察官が起訴・不起訴を決定する重要な期間となり、ここで不起訴を獲得することができれば、前科を回避することができますので、覚えておきましょう。
※不起訴処分を獲得する方法については、5章で詳しく解説します。
起訴
起訴処分は、大きく分けて「公判請求」と「略式請求」の2種類あり、
- ・公判請求→法廷で「有罪」「無罪」の判決が下される通常の裁判
- ・略式請求→書面審理だけで判決が下される。裁判は開かれない。
このように分かれています。
公判請求となると、裁判が開かれるまでに約1ヶ月程度の時間を要するため、その期間中も引き続き拘束されることになります。そのため、逮捕から起算して約70~80日程度の拘束は覚悟する必要があるでしょう。
一方で、略式請求は裁判が開かれることなく判決が確定するため、比較的負担が少ないのが特徴ですが、
- ・簡易裁判所管轄の事件であること
- ・100万円以下の罰金刑または科料の事件であること
- ・被疑者の了承があること
といった条件を満たす必要があります。
また、裁判がないというだけで有罪判決となれば前科が付きますので、注意しましょう。
刑事裁判
刑事裁判(=公判請求)が開かれれば、裁判官による「有罪」「無罪」どちらかの判決が下されます。
ですが、日本の有罪率は99.9%を誇りますので、起訴≒有罪になる点は覚悟する必要があるでしょう。
なぜ日本の有罪率が高いのかについては省略しますが、有罪となった場合、罰金刑や懲役刑といった刑罰が科されることになります。
例えば、性的姿態撮影等処罰法(撮影罪)違反で有罪判決となった場合は、「3年以下の拘禁または300万円以下の罰金」の範囲で刑罰が確定しますので、最高で3年の拘禁刑に処される可能性もあるということです。
※拘禁刑とは、禁錮刑と懲役刑が合わさった刑罰になります。
盗撮事件の罰金刑については、
上記の記事で詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください。
また、
上記の記事では、盗撮事件における釈放までの流れを深掘りしていますので、合わせてお読みいただくことで理解が深まります。
家族が盗撮で逮捕された場合、被害者との示談が重要
盗撮で逮捕された場合、被害者との示談成立を目指すことが重要です。
示談成立となれば、警察官は「逮捕の必要性なし」と判断してくれますし、検察官送致後の場合は「起訴の必要性なし」と判断するため、釈放・不起訴処分の可能性が高まります。
ですが、自力交渉を前提とした場合、交渉は難航することが予想されます。
なぜなら、被害者は、加害者に対し「会いたくない」「何かされそうで怖い」という感情を抱いていますので、面会を拒否したり、連絡先を教えることを嫌がるケースが多いためです。
また、被害者の連絡先を知っているからと、加害者の家族が示談交渉を持ちかけることもリスクを伴います。嫌がる被害者に無理やり交渉を求めたり、脅すような行為をしてしまうと、交渉が難航するだけでなく、証人威迫罪に問われる可能性も。
そのような法的リスクを回避するためにも、示談交渉は弁護士に依頼することが重要になります。
盗撮で家族が逮捕された場合に弁護士に依頼するメリット
盗撮の弁護を弁護士に依頼するメリットは、以下の通りです。
被害者が示談に応じやすくなる
前章でも解説した通り、早期釈放や不起訴処分を目指すにあたって、被害者との示談交渉は非常に重要です。ですが、被害者としては、「許せない」「罪を償ってほしい」と思っていますので、加害者本人・家族が交渉を求めても、拒否されるか、難航する可能性が高いです。
交渉が難航すれば、それだけ逮捕・勾留期間が延びますので、会社の解雇、学校の停学(退学)のリスクも高まります。さらに、交渉が悪化するようなことがあれば、起訴が早まったり、罪が重くなることもありますので、自力交渉は避けるべきでしょう。
弁護士であれば、被害者も安心して交渉に応じてくれるようになり、円滑な示談が可能です。また、経験豊富な弁護士が交渉にあたることで、示談金交渉の際も、適切な金額を模索することができます。
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Q、示談金の相場は?
盗撮における示談金の相場は10~50万円程度になることが多いですが、犯行態様や悪質性が認められるケースでは100万円ほどになるケースもあります。
他方、被害者側としては許せない気持ちが強くなり、法外な示談金を請求してくる可能性もあります。とはいえ、加害者としては「お金で解決できるなら…」と、相場以上であっても要求を呑んでしまい、結果、家計が圧迫するというケースが後を絶ちません。
その点、弁護士であれば、被害者側の法外な示談金請求に対して、法律の知識や過去の経験をもとに適正示談金に修正することができますので、そういった点でも、法律のプロである弁護士に依頼することが大切です。
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適切なアドバイスを受けることができる
身内が逮捕された場合、冷静な判断で適切な行動を取れる人は稀です。ましてや、家族が
犯人の疑い(=被疑者)をかけられているわけですから、パニックになったり、現実逃避から適切な行動が取れなくなることもあります。
ただし、現実は無情なもので、家族の助けがなければ、勾留が延びて解雇・退学の可能性が高くなったり、前科が付くことで、長期間家族が苦しむことにもなりかねません。
一方、弁護士に依頼いただければ、
- ・逮捕後、家族がどのような行動をすべきかのアドバイス
- ・取り調べを有利に進めるためのサポート
- ・逮捕後の具体的な流れをアドバイス
といったアドバイス・サポートを受けることができますので、家族一丸となって迅速な行動を取ることが可能になります。
特に、盗撮の解決はスピードが命ですので、速やかに弁護士へ依頼することをおすすめします。
盗撮で逮捕された家族の弁護はグラディアトル法律事務所へ
盗撮で身内が逮捕された場合の家族に及ぼす影響について解説しました。
~記事のまとめ~
- ・盗撮で身内が逮捕されると、会社で解雇されたり学校にバレたり、前科がついたりして、生活や社会的信用に深刻な影響が出る可能性がある。
- ・盗撮で成立する犯罪は、迷惑防止条例違反と性的姿態撮影等処罰法によるもの。迷惑防止条例では公共や個人の場での盗撮が罰せられ、性的姿態撮影等処罰法では性的な内容の盗撮が厳しく罰せられる。
- ・盗撮で逮捕された場合の流れ:警察取り調べ(最大48時間)→検察官送致(最大24時間)→勾留(最大20日間)→起訴(公判請求または略式請求)。刑事裁判で有罪判決がほぼ確定的な場合が多いため、慎重な対応が求められる。
- ・盗撮で身内が逮捕された場合、家族は早急に弁護士に依頼することが重要。逮捕後72時間は連絡・面会が禁止されるため、弁護士が唯一の支援者となり、早期の釈放や不起訴を目指せる。
- ・盗撮で逮捕された場合、被害者との示談成立が重要。自力での交渉は難しく、被害者の感情や法的リスクを考慮し、弁護士に依頼することが推奨される。
- ・盗撮の弁護を弁護士に依頼するメリットは、被害者との示談成立を円滑にし、適切な示談金を導き出すことができる点と、法律のプロによるアドバイスを受けられること。
盗撮の解決は、スピードが命です。
行動が遅れれば遅れるほど、逮捕・勾留期間が延びたり、起訴が早まったりと様々なリスクが生じます。
「どうしたらいいか分からない」という方は、まずは弁護士を頼ってください。
グラディアトル法律事務所は、盗撮事件に強い弁護士が多数在籍しており、24時間365日相談受付、LINE無料相談可、全国対応可ですので、まずはお気軽にご相談ください。