不同意性交等罪により美人局が増加!?その手口や対策を徹底解説

不同意性交等罪により美人局が増加!?その手口や対策を徹底解説
弁護士 若林翔
2024年11月24日更新

「同意の上で性行為をしたのに相手から訴えると言われてしまった」

「不同意性交等罪に改正されて美人局が増えているって本当?」

「美人局の被害に遭わないようにするにはどのような対策がある?」

刑法改正により不同意性交等罪が新設されたことで、性行為をする際には相手の同意の有無が重要な要素となります。性行為をした相手から「本当は同意してなかった……」などと言われてしまうと、不同意性交等罪により処罰される可能性がありますので注意が必要です。

他方、このような不同意性交等罪の性質を利用して、金銭等を要求するいわゆる「美人局」の事案が増えてきています。自分の身を守るためにも、美人局の手口や美人局の被害に遭わないための対策をしっかりと押さえておきましょう。

本記事では、

・不同意性交をふっかけられる美人局のよくある4つの手口

・美人局の被害者が不同意性交等罪に問われることはある?

・美人局で不同意性交等罪の疑いをかけられたときに取るべき行動

などについてわかりやすく解説します。

同意の上で性行為をしたにもかかわらず、相手から訴えると言われてしまった場合は、美人局の可能性がありますので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

目次

不同意性交等罪に改正されたことで美人局が増えている!?

2023年7月にこれまでの「強制性交等罪」と「準強制性交等罪」を一本化する形で、新たに「不同意性交等罪」が創設されました。

これまでは、暴行または脅迫を手段として性行為をすることを処罰対等としていましたが、不同意性交等罪では、性交等にあたり「同意」があったかどうかがポイントになります。

これにより、性行為をした相手から「同意したつもりはない」などと言われると、不同意性交等罪に問われてしまう可能性があります。

このような性犯罪に関する処罰範囲の拡大を悪用して、性行為をした相手から金銭を要求するいわゆる「美人局」の事案が増えてきています。性犯罪者にされてしまうという弱みにつけ込まれてしまうと、誰でも美人局の被害に遭う可能性を秘めていますので、自分の身を守るためにもその手口を理解して、しっかりと対策をしておくことが大切です。

不同意性交をふっかけられる美人局のよくある4つの手口

不同意性交をふっかけられる美人局のよくある手口としては、以下の4つが挙げられます。

不同意性交をふっかけられる美人局のよくある4つの手口

性行為後に男性が現れて金銭を要求される

女性と性行為をした後、ホテルを出たタイミングで突然女性の交際相手を名乗る男性があらわれて「俺の女に何してるんだ!」などと脅して、金銭等を要求するのが美人局の典型的な手口です。

最近では、ホテルに向かう途中で複数の若者に取り囲まれて、性行為をしていないにもかかわらず、暴行や脅迫により金銭等を要求する手口も増えています。

未成年者であることを理由に口止め料を請求される

18歳未満の未成年者と性行為などをすると、以下のような犯罪が成立する可能性があります。

・青少年健全育成条例(淫行条例)違反
・児童買春・児童ポルノ禁止法違反
・児童福祉法違反

青少年健全育成条例や児童買春・児童ポルノ禁止法では、性交等に関して同意があったとしても、相手が未成年者であれば犯罪が成立します。性行為前には18歳以上であると言っていたのに、性行為後に本当は18歳未満であることを告げて、口止め料などの名目で金銭を請求されることがあります。

無理やり性行為をされたとして慰謝料を請求される

お互いに同意の上で性行為をしたとしても、後から「本当は同意していない」などと言われて、「被害届を出されたくないならお金を支払って!」などと金銭の要求をしてくることがあります。

刑法改正により不同意性交等罪が創設されたことで、このような同意・不同意を理由に金銭を要求する美人局の事案も増えてきています。

妊娠を偽装され中絶費用などを請求される

相手から「避妊具を付けなくても大丈夫」と言われて性行為をしたところ、後日相手から、「妊娠したから中絶費用を支払って!」などと言われることがあります。

本当に妊娠しているのであれば、中絶費用の負担も必要になりますが、美人局の事案では、妊娠したと嘘をついて金銭等をだまし取ろうとしてきます。

美人局の被害者が不同意性交等罪に問われることはある?

項目内容結論
お互いに同意の上で性行為をした場合美人局であっても同意の上で性行為をしたなら不同意性交等罪には問われない。同意があるため罪に問われることはない
相手が未成年者である場合18歳未満の未成年者との性行為は、同意があっても以下の罪に問われる可能性がある:
・青少年健全育成条例違反
・児童買春・児童ポルノ禁止法違反
・児童福祉法違反
相手が未成年であれば罪に問われる可能性がある
未成年者であることを知らなかった場合未成年者と知らずに性行為をした場合、故意がないため、通常は罪に問われない。ただし、相手が18歳以上だと信じた合理的な証拠が必要。相手が未成年と知らなかった場合は、故意がなければ罪に問われない
相手が13歳未満の場合合意があったとしても相手が13歳未満であれば、不同意性交等罪が成立する。13歳未満は同意能力がないとされているため。相手が13歳未満の場合、不同意性交等罪に問われる

美人局の被害者が不同意性交等罪に問われることはあるのでしょうか。

【原則】お互いに同意の上で性行為をしたなら罪には問われない

美人局であったとしても、お互いの合意の上で性行為をしたのであれば、原則として不同意性交等罪に問われることはありません。

なぜなら、不同意性交等罪は、同意がない性行為を処罰する犯罪ですので、同意があるなら不同意性交等罪の構成要件に該当しないからです。

そのため、同意の上で性行為をしたのであれば、後から「本当は同意していなかった」などと言われても、金銭等の支払いに応じる必要はありません。

未成年者と性行為をすると罪に問われる可能性がある

お互いに同意の上で性行為をしたとしても、相手が18歳未満の未成年者であった場合には、以下のような犯罪が成立する可能性があります。

・青少年健全育成条例(淫行条例)違反
・児童買春・児童ポルノ禁止法違反
・児童福祉法違反

青少年健全育成条例は、未成年者との性交または性交類似行為を処罰する条例ですので、同意の有無にかかわらず、相手が未成年者だと青少年健全育成条例違反となります。

また、未成年者に対して、金銭などの対価を渡して性行為をすると児童買春・児童ポルノ禁止法違反となります。

このようにお互いに同意があったとしても、相手の年齢によっては罪に問われることもありますので注意が必要です。

未成年者であることを知らなければ罪には問われない

未成年者と性行為をしてしまうと上記のような罪に問われる可能性がありますが、性行為をした時点で相手が未成年者であると知らなければ、一部の条例を除いて、罪に問われることはありません。

なぜなら、犯罪の成立には、「故意」が必要になりますので、相手が未成年者であることを認識していなければ故意がなく、犯罪の成立要件を満たさないからです。

ただし、「未成年者だと知らなかった」と言えば常に罪を免れることができるわけではなく、相手の年齢を知らなかったといえる客観的な証拠が必要になります。具体的には、以下のような証拠が挙げられます。

・18歳未満利用不可のマッチングアプリで知り合ったこと

・18歳以上の年齢が記載されているSNSやマッチングアプリのプロフィール欄

・18歳以上であることがわかる身分証明書(偽造)を提示されたこと

・メッセージのやり取りで18歳の年齢であると告げられたこと

関連記事:

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美人局の相手が13歳未満だと合意があっても不同意性交等罪に問われる

性行為に関する同意があったとしても、相手の年齢が13歳未満の場合には、不同意性交等罪が成立します。

13歳未満の人は、一般的に行為の性的意味を認識する能力が備わっていないと考えられていますので、同意があったとしても意味を持ちません。そのため、13歳未満の相手と性行為をすると不同意性交等罪が成立してしまいますので、相手の年齢をしっかりと確認してから行為に及ぶようにしてください。

美人局で不同意性交等罪の疑いをかけられたときにとるべき行動

美人局で不同意性交等罪の疑いをかけられたときにとるべき行動

美人局で不同意性交等罪の疑いをかけられてしまったときは、以下のような行動をとるようにしてください。

同意の上での性行為である証拠を集める

不同意性交等罪が成立するかどうかは、性行為に関して「同意」があったかどうかがポイントになります。そのため、まずは同意の上での性行為であったことを裏付ける証拠を集めるようにしましょう。

具体的な証拠としては、以下のようなものが挙げられます。

・LINEやマッチングアプリのメッセージ
・ラブホテルの防犯カメラ映像
・目撃者の証言
・性交同意書
・性的同意記録アプリ

上記のような証拠を準備してから性行為に及ぶ人は少ないかもしれませんが、美人局から自分の身を守るためにも証拠の確保は重要です。美人局の加害者が「同意がなかった」と言った場合、証拠がなければそれを覆すのは困難ですので、しっかりと証拠を残しておきましょう。

関連記事:

録音で合意を立証?不同意性交等罪による冤罪を防ぐために有効な証拠

相手の要求に応じない

同意の上で性行為をしたのであれば、相手が未成年者でない限りは犯罪にはなりません。そのため、相手から金銭の要求をされたとしても、支払いに応じてはいけません。

なぜなら、相手の要求に応じて支払いに応じてしまうと、さらに要求がエスカレートし、より高額な金銭の支払いを求められるリスクがあるからです。また、金銭等の支払いに応じてしまうと、同意のない性行為であったことの証拠になってしまいますので、後から不同意性交等罪で処罰されるリスクが高くなってしまいます。

警察に被害届を提出する

美人局は、恐喝罪や詐欺罪などの犯罪に該当する可能性がありますので、同意の上で性行為をした相手から金銭などを要求されているときは、警察に被害届を提出するのも有効な対策となります。美人局をしている相手も自分の行為が犯罪であることを認識していますので、警察に被害届を出すまたは出したことを伝えれば、それ以上金銭等の要求をしてくることはないでしょう。

ただし、相手の年齢によっては、自分も罪に問われるリスクもありますので、警察への被害届の提出は慎重に行う必要があります。

弁護士に相談する

美人局により不同意性交等罪の疑いをかけられたときは、自分自身で判断して行動すると誤った対応をしてしまうリスクがありますので、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に相談をすれば、美人局による被害に遭ったときの対処法をアドバイスしてもらうことができ、不同意性交等罪が成立するような場合でも迅速に対応してもらうことが可能です。弁護士ができる主なサポートについては、次章で詳しく説明します。

美人局で不同意性交等罪の疑いをかけられたときに弁護士ができること

美人局で不同意性交等罪の疑いをかけられたときは、弁護士に相談・依頼することで以下のようなサポートを受けることができます。

美人局で不同意性交等罪の疑いをかけられたときに弁護士ができること

不同意性交等罪が成立するか判断できる

刑法改正により不同意性交等罪が新設されたことにより、美人局が疑われるような事案が増えてきています。不同意性交等罪が成立するかどうかは、性行為にあたっての同意・不同意がポイントになりますが、一般の方では、相手から不同意性交等罪の疑いをかけられたとしても、実際に犯罪が成立するような事案であるかどうかの判断が難しいといえます。

弁護士であれば、具体的な状況を踏まえて、不同意性交等罪が成立するのか、相手の言い分が正しいのかを判断できますので、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。

不同意性交等罪の疑いを晴らすためのサポートができる

不同意性交等罪が成立しないようなケースであれば、冤罪の立証に向けたサポートを受けることができます。

弁護士が相手に対して同意の上での性行為であったことを証拠に基づいて主張していくこと相手の訴えを取り下げることが可能です。また、美人局の疑いがある事案については、警察に被害届の提出や刑事告訴をすることで、相手の違法な要求を排斥することもできます。

いずれにしても、美人局を相手に個人で対抗するのは困難ですので、早期に弁護士に相談するようにしてください。

犯罪が成立する場合は逮捕や起訴を回避するためのサポートができる

客観的な状況から同意のない性行為であった可能性が高い場合には、不同意性交等罪が成立する可能性があります。不同意性交等罪が成立すると初犯であっても逮捕され、実刑になるリスクもありますので、迅速に弁護活動に着手する必要があります。

弁護士に依頼をすれば、被害者との示談交渉を成立させることで逮捕や起訴を回避するためのサポートをすることができます。有利な処分を獲得するには、弁護士のサポートが不可欠となりますので、できるだけ早く弁護士に相談するようにしてください。

関連記事を併せてご覧ください。

不同意性交等罪は今すぐ弁護士に依頼するべき!選び方と費用も解説

美人局で不同意性交等罪の疑いをかけられたときはグラディアトル法律事務所に相談を!

刑法改正により不同意性交等罪が新設されたことにより、以前よりも性犯罪の処罰範囲が拡大されました。それに伴い美人局のような事案の相談も増えてきていますので、マッチングアプリなどで出会った女性から不同意性交等罪の疑いをかけられてしまったときは、すぐにグラディアトル法律事務所までご相談ください。

当事務所では、不同意性交等罪をはじめとした性犯罪に関する事件の豊富な取り扱い実績がありますので、不同意性交等罪の疑いをかけられたときの対処法も熟知しています。同意・不同意により犯罪の成否が左右される不同意性交等罪は、女性側の証言により犯罪者に仕立てられてしまうリスクもありますので、女性側と何らかのトラブルになったときはすぐに当事務所にご連絡ください。経験豊富な弁護士が冤罪の立証に向けて全力でサポートいたします。

まとめ

美人局は、恐喝罪や詐欺罪に該当する可能性のある犯罪ですが、性犯罪者の疑いをかけられてしまうと、相手からの違法な要求であってもそれに屈してしまう男性も少なくありません。しかし、違法な要求に応じてしますと今後もさらに要求がエスカレートするリスクがありますので、美人局が疑われる事案に直面したときは自分で対応するのではなく、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

美人局から不同意性交等罪の疑いをかけられてしまったときは、グラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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