「不同意わいせつ罪で有罪になると懲役何年?」
「不同意わいせつ罪で執行猶予になる可能性はある?」
「不同意わいせつ罪の量刑を決めるときの考慮要素が知りたい」
不同意わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑(懲役刑)と定められています。不同意わいせつ罪で起訴され有罪になると、法定刑の範囲内で刑が言い渡されることになりますが、実際の量刑相場としては、懲役1~3年程度となるケースが多いです。
不同意わいせつ罪の法定刑には罰金刑が定められていませんので、有罪になると懲役刑一択になります。そのため、起訴されたときは執行猶予が付くかどうかが非常に重要なポイントになるでしょう。
本記事では、
・不同意わいせつ罪の量刑相場
・不同意わいせつ事件における懲役刑の量刑判断事情
・不同意わいせつ事件の懲役刑を回避・軽減するための示談の重要性
などについてわかりやすく解説します。
不同意わいせつ罪で執行猶予付き判決や不起訴処分を獲得するには、刑事事件に強い弁護士にサポートが不可欠になりますので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
目次
不同意わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑(懲役刑)
不同意わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑と定められています。
拘禁刑とは、従来の懲役刑と禁錮刑を統合する形で創設された新しい刑罰で、2025年6月から施行予定です。拘禁刑では、懲役刑で義務付けられていた刑務作業が義務ではなくなり、受刑者の改善更生のための柔軟な処遇が可能になりました。
拘禁刑の施行日までは従来どおり懲役刑が科されることになります。
このように不同意わいせつ罪の法定刑には、罰金刑が含まれていませんので、起訴されてしまうと公開の法廷で裁判が開かれ、有罪になると懲役刑(拘禁刑)一択となります。
不同意わいせつ罪の量刑相場は懲役1~3年
不同意わいせつ罪は、2023年7月13日施行の改正刑法により新設された犯罪ですので、量刑相場のわかる資料はまだ存在しません。しかし、不同意わいせつ罪と改正前の強制わいせつ罪の量刑は、刑の種類を除いて共通ですので、強制わいせつ罪の量刑相場が参考になります。
法務省が公表している「性犯罪の量刑に関する資料」によると、令和元年に強制わいせつ罪で有罪となった事件の量刑は、以下のようになっています。
1年以下 | 2年以下 | 3年以下 | 5年以下 | 7年以下 | 10年以下 |
29件(4.05%) | 550件(65.19%) | 189件(26.34%) | 28件(3.51%) | 3件(0.50%) | 1件(0.29%) |
この表からは、懲役1~3年が全体の約9割を占めていますので、不同意わいせつ罪の量刑相場は、懲役1~3年といえるでしょう。
不同意わいせつの量刑についてはこちらの記事で詳しく記載していますので、ご覧ください。
不同意わいせつ事件の量刑相場は懲役1~3年・執行猶予率は約77%
不同意わいせつ罪では懲役刑になっても約77%が執行猶予
不同意わいせつ罪で有罪になったとしても、執行猶予が付けばただちに刑務所に収容される心配はありません。日本の刑事司法では、起訴された事件の99%以上が有罪になっていますので、不同意わいせつ罪で起訴されてしまったときは執行猶予が付くかどうかが重要なポイントになります。
法務省が公表している「性犯罪の量刑に関する資料」によると、2019年に強制わいせつ罪で有罪になった事件は800件で、そのうち執行猶予が付いた事件は614件でした。そのため、不同意わいせつ罪(強制わいせつ罪)の執行猶予率は約77%ということになります。
起訴されたとしても約4人に3人が執行猶予付きの判決を獲得していますので、執行猶予付きの判決を目指すのは決して難しいことではありません。
不同意わいせつ事件における懲役刑の量刑判断事情
不同意わいせつ事件の量刑相場は、懲役1~3年程度になりますが、実際の事案では、以下のような要素を踏まえて懲役刑の量刑が判断されています。量刑相場のうち下限にあたるか上限にあたるかを把握するためにも、以下の量刑判断事情を押さえておくことが大切です。
以下に、不同意わいせつ罪における量刑判断の重要要素をまとめます。
項目 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
行為の悪質性 | わいせつ行為やそれに至るまでの行為が悪質である場合、重い刑罰が科される可能性が高い | 判断要素: ・計画性の有無 ・常習性の有無 ・犯行の継続時間 ・接触の程度や部位 例: 下着内に手を入れて陰部を触る行為は悪質性が高いと評価されやすい |
結果の重大性 | 被害者の年齢や精神的ダメージの程度が結果の重大性として評価される | ・若年者(16歳未満)への行為は特に重大と評価 ・被害者の将来への影響が考慮される |
被害者との示談の有無 | 示談の成立は量刑判断において有利に働く | ・示談成立の場合:懲役刑の軽減や執行猶予の可能性が高まる ・示談未成立の場合:被害者の処罰感情が強く反映され、厳しい量刑判断になりやすい |
加害者の反省の有無 | 加害者の反省態度が量刑に影響を与える | ・真摯に反省している場合:有利な情状として考慮 ・犯行を否認する場合:反省なしと評価され刑が重くなる可能性 |
前科・前歴の有無 | 前科・前歴がある場合、量刑が厳しくなる傾向 | ・同種の前科・前歴があると更生の可能性が低いと判断され、刑が重くなる |
行為の悪質性
わいせつ行為やそれに至るまでの行為が悪質であると評価されると、重い刑罰が科される可能性が高くなります。行為の悪質性の有無は、主に以下のような要素から判断されます。
・計画性の有無 ・常習性の有無 ・犯行の継続時間 ・接触の程度や部位 |
たとえば、服の上から臀部を触った事案と下着の中に手を入れて陰部を直接触った事案とを比較すると、後者の方が悪質性が高いと判断されるため、重い刑罰が科される可能性があります。
結果の重大性
被害者の年齢が低いほど被害者に与える精神的ダメージや将来の人格形成への影響が大きくなりますので、重大な結果が生じたといえ、重い刑罰が科される可能性があります。
法改正に伴い性交同意年齢(性行為への同意を自分で判断できるとみなされる年齢)が13歳から16歳に引きあげられました。これは若年者の未成熟さにつけ込んだ性犯罪が増加していることを受けた改正になりますので、16歳未満の子どもに対する性犯罪に関しては、特に重い刑罰が科される可能性があります。
被害者との示談の有無
被害者との示談は、量刑判断にあたって重要な要素となります。
被害者との間で示談が成立していない場合には、犯罪による被害回復ができておらず、被害者の処罰感情が依然として強く残っていると評価されますので、量刑判断は厳しくなる傾向があります。
他方、被害者との間で示談が成立していれば、有利な量刑事情として考慮されますので、懲役刑の軽減や執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高くなるでしょう。
加害者の反省の有無
加害者が真摯に反省をしているかどうかも量刑判断の事情となります。
犯行を素直に認めて、反省の態度を示している事案については、有利な情状として考慮されますが、証拠上犯人であることが明白であるにもかかわらず犯行を否認しているような事案では、反省の態度がないとして重い刑罰が科される可能性があります。
前科・前歴の有無
被告人の前科・前歴の有無も量刑判断の事情となります。
前科・前歴があると再犯のおそれが強く、更生の可能性が低いとして量刑判断が重くなる傾向があります。特に、起訴された犯罪事実と同種前科・前歴がある場合は、重い刑罰が科される可能性が高いといえます。
不同意わいせつ事件の懲役刑を回避・軽減するなら示談が重要
不同意わいせつ事件で懲役刑を回避・軽減するのであれば、被害者との示談が重要になります。
不起訴処分を獲得できる可能性がある
検察官による起訴または不起訴の判断が出る前に、被害者と示談を成立させることができれば不起訴処分を獲得できる可能性があります。
不同意わいせつ罪は、被害者の告訴がなくても起訴することができる「非親告罪」にあたりますが、性犯罪という性質上、事件を起訴する際には被害者の心情に配慮することが求められています。そのため、被害者との間で示談が成立している場合には、被害者の意向を尊重して、不起訴処分がなされる可能性が高いでしょう。
不起訴になれば前科が付くこともありませんので、不同意わいせつ事件を起こしてしまったときは、すぐに被害者との示談交渉に着手することが大切です。
こちらの記事で不起訴に関して書いていますので、ご覧ください。
不同意わいせつ罪の不起訴率は約60%!不起訴獲得のポイントを解説
執行猶予付き判決を獲得できる可能性がある
不同意わいせつ事件で起訴されてしまったとしても、被害者との間で示談が成立していれば、被告人にとって有利な情状として考慮してもらうことができます。
量刑判断にあたって示談成立の有無は、重要な要素の一つになりますので、示談が成立している事案であれば執行猶予付きの判決を獲得できる可能性も十分にあります。すでに説明したとおり、不同意わいせつ罪の執行猶予率は約77%ですので、示談成立により執行猶予を獲得できる可能性は飛躍的に高まるといえるでしょう。
実刑になったとしても刑期を短縮できる
行為態様が悪質であったり、過去に同種の性犯罪の前科があるという事案では、実刑判決になる可能性があります。
もっとも、そのような事案であっても被害者との間で示談が成立していれば、量刑判断にあたって有利な情状として考慮してもらえますので、相場よりも軽い懲役刑になる可能性があります。実刑になったとしても短い刑期で済めば、不利益も最小限に抑えることができますので、被害者との示談は重要な要素となります。
不同意わいせつ事件の示談交渉を弁護士に依頼すべき3つの理由
不同意わいせつ事件の示談交渉は、以下のような理由から弁護士に依頼するのがおすすめです。
加害者本人では示談交渉は困難
不同意わいせつ罪のような性犯罪は、事件の性質上、被害者が強い処罰感情を有していますので、加害者本人では示談交渉を行うのは困難です。示談交渉のために被害者に連絡しようとしても、ほとんどのケースで拒まれてしまうでしょう。
このようなケースでも弁護士が窓口になって交渉することで示談がまとまる可能性があります。被害者としても直接加害者と話をするのは躊躇しますが、弁護士が相手であれば危害を加えられる心配がないため、安心して話をすることができます。
被害者側の処罰感情に配慮しつつ迅速に示談を成立させられる
不同意わいせつ事件で不起訴処分を狙うのであれば、検察官による処分決定前に示談を成立させなければなりません。限られた時間の中で示談交渉を進めていかなければなりませんので、被害者の感情を逆撫でするような対応をしてしまうと、示談交渉が長期化してしまい、不起訴処分の獲得は困難になります。
弁護士であれば、被害者側の処罰感情にも配慮しながら迅速に示談交渉を進めることができますので、早期の示談成立により不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。
示談金相場を踏まえた適正な金額で示談できる
不同意わいせつ事件での示談金は、50~100万円が一応の相場とされています。
しかし、事案によっては相場を上回る示談金の支払いが必要になるケースもありますので、適正な金額であるかどうかを判断するには専門家である弁護士の判断が不可欠となります。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、事案に応じた適正な金額で示談を行うことが可能です。被害者側からの不当な要求に対しても、弁護士なら毅然とした態度で対応できますので、適正な条件で示談できる可能性が高くなります。
弁護士への依頼について、こちらにも詳しく記載をしていますので、ご覧ください。
不同意わいせつに強い弁護士の見極め方と弁護活動のポイントを解説
不同意わいせつ事件で懲役を回避するならグラディアトル法律事務所に相談を
不同意わいせつ罪の法定刑には罰金刑が定められていませんので、起訴されてしまうと懲役刑(拘禁刑)一択となります。まずは、起訴されないような弁護活動が必要になりますが、そのためには被害者との示談が不可欠です。
グラディアトル法律事務所では、刑事事件に関する豊富な経験と実績がありますので、不同意わいせつ事件の弁護なら当事務所にお任せください。性犯罪に関する示談交渉も得意としているため、早期に示談を成立させるなど不起訴処分の獲得に向けて全力でサポートいたします。
当事務所では、24時間365日相談を受け付けておりますので、土日・祝日、早朝・深夜いつでもお電話可能です。初回相談料も無料で対応していますのでお気軽にお問い合わせください。
まとめ
不同意わいせつ罪の量刑相場は、懲役1~3年になりますが、執行猶予率が約77%ですので、適切な弁護活動を行うことで執行猶予付きの判決を獲得できる可能性が高いです。
また、早期に被害者との示談を成立させることができれば不起訴処分の獲得も十分に狙えるでしょう。
そのためには、刑事事件に強い弁護士への依頼が不可欠となりますので、まずはグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。