「痴漢をしても自首すれば逮捕されない?」
「痴漢で自首するとどのようなメリットがあるの?」
「痴漢で自首をする場合の流れを知りたい」
痴漢をしてその場から逃げ切ることができたとしても、「いつか逮捕されるのではないか」と不安を感じている方もいるでしょう。痴漢被害者から被害届が提出され、警察の捜査の結果、犯人が特定されれば、後日逮捕となる可能性もありますので、そのまま何もしないのは危険です。少しでも有利に進めるためにもまだ逮捕に至っていない状況なら「自首」を検討してみてもよいでしょう。
本記事では、
・痴漢をしたときに自首をする5つのメリット
・痴漢で自首をする場合の流れ
・痴漢で自首をする際に知っておくべき3つのポイント
などについてわかりやすく解説します。
実際に自首をする場合には弁護士が同行してサポートすることもできますので、自首をお考えの方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
目次
痴漢をしたときに自首する6つのメリット
項目 | 内容 |
---|---|
逮捕を回避できる可能性がある | 自首により逃亡や証拠隠滅のおそれが減り、逮捕される可能性を低くできる。 |
実名報道を回避できる可能性がある | 自首によって逮捕を回避し、実名報道のリスクを減らすことができる。 |
不起訴処分を獲得できる可能性がある | 自首により反省の態度を示すことで、不起訴処分を獲得できる可能性が高まる。 |
刑が減軽される可能性がある | 自首は刑の任意的減軽事由となり、裁判官の裁量で刑が減軽される可能性がある。 |
不安な状態から解放される | 自首をすることで逮捕への不安から解放され、精神的負担が軽減される。 |
家族や職場にバレる可能性を軽減できる | 自首により逮捕を回避し、家族や職場に痴漢がバレるリスクを減らすことができる。 |
痴漢をしたときに自首をするメリットとしては、以下の6つが挙げられます。
逮捕を回避できる可能性がある
警察が被疑者を逮捕するためには、罪を犯したという嫌疑があるだけでは足りず、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
・逃亡のおそれ
・証拠隠滅のおそれ
自首は、捜査機関に犯罪が発覚する前に自発的に犯罪事実を申告する行為ですので、今後、誠実に刑事手続きに対応する意思があることを示すことができます。これにより逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれは減退しますので、逮捕の要件を満たさず、逮捕されない可能性が高くなります。
実名報道を回避できる可能性がある
痴漢事件で実名報道されるかどうかは、マスコミの判断に委ねられていますが、公務員や教職員の痴漢事件は、世間の関心が高いことから逮捕されてしまうと実名報道されるリスクが高くなります。
痴漢事件で実名報道されてしまうと、世間からは性犯罪者であるというレッテルを貼られてしまい、これまでのような日常生活を送れなくなる可能性があります。しかし、自首により逮捕を回避できれば、実名報道される可能性を減らすことができますので、このようなリスクを回避できるでしょう。
不起訴処分を獲得できる可能性がある
日本の刑事司法では、検察官により起訴された事件は、99.9%の割合で有罪となります。そのため、痴漢による前科を回避するには、不起訴処分を獲得することが重要になります。
痴漢をしたのが事実であったとしても、そのすべてが起訴されるわけではなく、検察官は、以下のような事情を考慮して、不起訴(起訴猶予)処分とすることも認められています。
・犯人の性格、年齢、境遇
・犯罪の軽重および情状
・犯罪後の情況
痴漢で自首をすれば、被疑者の反省の態度を示すことができる事情になりますので、不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができます。
下記の記事でも詳しく解説していますので、ご覧ください
痴漢の不起訴率は約6割!不起訴処分を獲得するためのポイントを解説
刑が減軽される可能性がある
自首は、刑の任意的減軽事由ですので、裁判官の裁量により刑を減軽することが可能です。
痴漢事件が起訴されてしまったとしても、自首をしたという事情は、被告人に有利な事情として考慮されますので、実刑判決が執行猶予付き判決になるなど自首をしなかった場合と比べて刑が減軽される可能性があります。
不安な状態から解放される
痴漢現場から逃げ切ることができたとしても、「いつか逮捕されるかもしれない」という不安を抱えて生活していかなければなりません。
痴漢には、公訴時効がありますので一定期間が経過すれば、犯罪として処罰されることはなくなります。しかし、公訴時効の完成には、迷惑防止条例違反の痴漢で3年、不同意わいせつ罪の痴漢で12年が必要になりますので、その間ずっと不安な状態で生活しなければならないのは、精神的にも大きな負担となるでしょう。
自首をすればそのような不安から解消されますので、余計な心配をせずに生活を送ることができます。
家族や職場にバレる可能性を軽減できる
痴漢で後日逮捕となれば、警察が自宅にやってきますので、それにより家族にバレてしまう可能性があります。また、逮捕・勾留により長期間身柄拘束が続くと職場に痴漢がバレてしまう可能性も高くなります。
自首をすれば逮捕を回避することができるため、逮捕をきっかけとして家族や職場に痴漢がバレてしまうリスクを軽減することができます。
痴漢で自首するならタイミングが重要
自首が成立するには、捜査機関に発覚する前に自首をしなければなりません。犯行後何日以内に自首をしなければならないという定めはありませんが、捜査機関に犯罪事実と犯人が発覚してしまうと、自首は成立しません。
また、仮に自首が成立しないタイミングであったとしても、早めに自首をすれば被疑者にとって有利な情状となります。法的な自首の効果は得られなかったとしても、今後の刑事手続きにおいてプラスに作用する可能性も十分にありますので自首する意味がまったくないというわけではありません。
このように痴漢で自首をする場合、タイミングが重要になりますので、痴漢行為をしてしまったときは、すぐに自首を検討した方がよいでしょう。
痴漢で自首をする場合の流れ
痴漢で自首をする場合、以下のような流れで行います。
警察署に出向く
痴漢で自首をする場合、まずは警察署に出向く必要があります。
法律上は、どこの警察署でも自首をすることができますが、管轄外の警察署では自首を受け付けてもらえない可能性もありますので、スムーズに自首の手続きを進めたいなら痴漢の犯行場所を管轄する警察署に出向くようにしましょう。
なお、いきなり警察署に出向いても担当者がいなければ長時間待たされたり、後日の出頭を求められることもありますので、事前に連絡して、日程調整をしてから自首をするのがおすすめです。
警察で取り調べを受ける
警察署に出向いて自首をすると、被疑者として警察官による取り調べを受けることになります。自首が成立する場合、痴漢行為の概要や自首の経緯などがまとめられた「自首調書」が作成されます。
自首をすれば絶対に逮捕されないというわけではありませんので、事案によっては、そのまま逮捕となる可能性もあります。そのような状況に備えて、自首する際には、現金、着替え、ノートなどの準備をしてから警察署に出向いた方がよいでしょう。
逮捕されなければ在宅事件として扱われる
自首をしても逮捕されなければ、その後は在宅事件として捜査が進められます。
被疑者としても捜査に協力する必要がありますので、警察から取り調べのための出頭を求められたら必ず対応するようにしてください。もし、予定がありその日に出頭することが難しい場合には、日程変更にも応じてもらえますので、必ず事前に連絡するようにしましょう。
出頭要請を拒否すると逃亡のおそれまたは証拠隠滅のおそれがあるとして、逮捕される可能性がありますので注意が必要です。
痴漢で自首をする際に知っておくべき3つのポイント
痴漢で自首をする際には、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
出頭するタイミングによっては自首が成立しない可能性がある
自首が成立するには、捜査機関に発覚する前に警察に出頭しなければなりません。捜査機関に犯罪事実と犯人が発覚した後では、警察に出頭したとしても法的な自首の効果を享受することはできません。
そのため、自首を検討中の方は、早めに自首を行うことが大切です。
ただし、自首が成立しなかったとしても、任意に出頭することで逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを示すことができますので、逮捕を回避できる可能性はあります。
逮捕や不起訴を回避できるとは限らない
自首の法的効果は、裁判官による刑の任意的な減軽事由とされているのみです自首をすることで逮捕の回避や起訴猶予処分の可能性を高めることができるという事実上の効果が期待できるにすぎず、自首をすれば逮捕の回避や不起訴が約束されているわけではありません。
そのため、自首をしたとしても、逮捕され、起訴される可能性もある点に注意が必要です。
自首をしなければ刑事事件にならなかった可能性もある
自首をすることで自発的に捜査機関に対して自分が痴漢の犯人であることを申告することになりますので、捜査機関による捜査が開始されます。
そのまま何もしなければ被害者から被害届が提出されず、捜査が開始されることもなかった事件が自首により捜査の対象になってしまうこともあります。そのため、自首をするかどうかは慎重な判断が求められます。
痴漢で自首をする際に弁護士に相談する4つのメリット
痴漢で自首をする際には、以下のようなメリットがありますので、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
自首をすべきかどうか判断できる
自首をすることにより逮捕や起訴を回避でき、起訴されたとしても刑の減軽が受けられる可能性があります。他方、自首をしたことで本来は捜査の対象ではなかった事件が起訴されてしまうリスクが生じることもあります。
このように自首をすべきかどうかは、非常に難しい判断といえますので、自分ひとりでは判断できないときは、専門家である弁護士に相談してみてください。痴漢事件に詳しい弁護士であれば具体的な状況を踏まえて、自首をすべきかどうか適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
自首をする際に警察署に同行してくれる
実際に自首をすることになった場合、被疑者本人が警察署に出頭しなければなりません。自分ひとりで出頭をしても、警察官に対してうまく事情を説明できるかどうか不安だという方も少なくありません。
このような場合には、弁護士に依頼するのがおすすめです。弁護士であれば被疑者と一緒に警察署への自首同行をすることができますので、警察官に対する説明も弁護士が代わって行うことが可能です。弁護士から逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを説明することにおり、逮捕される可能性をさらに減らすことができるでしょう。
警察での取り調べのアドバイスを受けられる
痴漢事件の自首をすると、その後警察での取り調べを受けることになります。警察での取り調べには、弁護士は同席することができませんので、被疑者一人で取り調べに対応しなければなりません。
しかし、事前に弁護士から取り調べで聞かれるであろう内容やそれに対する応答などのアドバイスを受けていれば、初めての取り調べであっても不安なく臨むことができます。取り調べでの供述内容は、起訴・不起訴の判断に大きく影響しますので、事前に弁護士に相談してアドバイスを受けた方がよいでしょう。
被害者との示談交渉を進められる
痴漢事件で逮捕を回避し、不起訴処分を獲得するためには、自首と並んで被害者との示談も重要な要素となります。被害者との示談が成立していれば、逮捕を回避し、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなりますので、早めに被害者との示談交渉を進めていくようにしましょう。
ただし、被疑者本人では被害者の連絡先がわからず示談交渉ができなかったり、連絡先がわかったとしても被害者から交渉を拒絶されてしまう可能性があります。しかし、弁護士であれば、捜査機関を通じて被害者と連絡を取ることができ、被疑者本人に対して恐怖心や嫌悪感を抱いている被害者も交渉に応じてくれる可能性があります。
痴漢事件は、性犯罪という性質上、被疑者本人が示談交渉に対応するのは困難ですので、被害者との示談交渉は弁護士に任せるべきでしょう。
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痴漢で自首をお考えの方はグラディアトル法律事務所にご相談を
自首は、任意的な刑の減軽事由とされており、自首をすることで逮捕や起訴を回避できる可能性が高くなります。しかし、自首をすべきかどうかや自首のタイミングについては、慎重に検討する必要がありますので、適切な判断をするには専門家である弁護士のサポートが不可欠となります。
グラディアトル法律事務所では、痴漢をはじめとした刑事事件についての豊富な経験と実績がありますので、自首に関しても適切なアドバイスをすることができます。実際に自首をすることになった場合は、当事務所の弁護士が警察署に同行してサポートしますので、不安なく自首の手続きを行うことが可能です。
自首は、捜査機関に犯罪事実や犯人が発覚する前に行わなければなりませんので、痴漢をしてしまったという場合は、できるだけ早く当事務所までご相談ください。
まとめ
痴漢をしてその場から逃げ切ることができたとしても、防犯カメラ映像などから犯人が特定されれば、痴漢の被疑者として後日逮捕される可能性があります。そのようなリスクを少しでも減らすには、自首が有効な手段となります。
自首をする際には弁護士のサポートが必要になりますので、痴漢で自首をお考えの方は、グラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。