「出来心から、つい通勤中の電車で痴漢してしまった」
「満員電車だったから大丈夫。周囲にも気づかれていないはず」
電車で痴漢してしまい、「大丈夫」とは思いつつも逮捕の不安が拭えず、本記事にたどりついた方も多いのではないでしょうか。
痴漢は、社会問題ともなっている重大な犯罪です。
警察によって検挙されている件数も、年々増えてきています。
【痴漢の検挙件数・人数の推移】
令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | |
検挙件数 | 2,789 | 1,915 | 1,931 | 2,233 | 2,254 |
検挙人員 | 2,508 | 1,644 | 1,576 | 1,906 | 1,988 |
(引用:令和5年中の痴漢・盗撮事犯に係る検挙状況の調査結果|警察庁)
さらに、上記の調査によれば、令和5年に痴漢で検挙された事件のうち、「47.4%」は電車内で発生した痴漢だとされています。
電車の痴漢で逮捕されるリスクは、決して軽視できません。
もしもあなたが、電車で痴漢してしまったのであれば、すぐに逮捕されないために行動を起こしましょう。
具体的には、次のようなことが必要です。
この記事を読んだ後、すぐに正しい行動を取ることができれば、逮捕のリスクを最小限に押さえることができるでしょう。
本記事では、次の点を取り上げました。
【この記事を読んで分かること】
・電車の痴漢で逮捕される行為 ・成立する可能性がある犯罪 ・電車の痴漢で逮捕されるリスク ・逮捕されないためにするべきこと |
電車で痴漢してしまい、逮捕されるかが不安な方は是非ご一読ください。
目次
電車の痴漢で逮捕される行為
電車内では、身体を直接触るだけでなく、さまざまな行為によって痴漢が成立する可能性があります。ここでは、具体的にどのような行為を行うと痴漢で逮捕されるリスクがあるのかを解説します。
服の上から身体や下着を触る行為
服の上から身体や下着を触る行為は、電車内で最も典型的な痴漢行為です。
このような行為を行うと、「迷惑防止条例違反」によって逮捕される可能性があります。
迷惑防止条例の内容や罰則は都道府県によって異なりますが、例えば東京都では「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が処せられます。
迷惑防止条例違反の詳細については、2章で後述します。
下着の中に手を入れて触る行為
服の上からだけでなく、下着の中に手を入れて直接触るケースもあります。
このような悪質な痴漢行為は、「不同意わいせつ罪」によって処罰される可能性があります。
「不同意わいせつ罪」は「迷惑防止条例違反」と比べて、より重い犯罪です。
逮捕の可能性、身柄拘束の期間、刑の重さ(罰金・懲役)など、様々な面で「迷惑行為防止条例違反」よりも処分が重くなるリスクがあるのです。
「不同意わいせつ罪」についても、2章で詳しく説明します。
近くに立って、髪や首筋の匂いを嗅ぐ行為
一見すると痴漢には見えない行為でも、実は痴漢となり得るケースがあります。
例えば、電車で近くに立って、髪や首筋の匂いを嗅ぐ行為です。
このような行為によって、被害者が「羞恥・不安」を感じると、痴漢となる可能性があるのです。
もちろん、被害者の気持ちだけで、直ちに痴漢が成立するわけではありません。
実際には客観的に判断されるため、このようなケースで逮捕に至るリスクは決して高くないでしょう。
しかし、迷惑防止条例では「人の身体に触れる行為」だけでなく、「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為」も「卑わいな言動」として規制の対象となっています。
つまり、加害者の言動によって、被害者が強い羞恥心や不安を感じた場合、広く迷惑防止条例違反が認められる余地があるのです。
もしも痴漢の疑いをかけられてしまうと、たとえ冤罪であっても、大きな不利益を被ります。
十分に警戒しておきましょう。
電車内で、意図的に身体を密着させる行為
電車内で、わざと相手の身体に密着するような行為も、痴漢と疑われるリスクがあります。
例えば、混雑していない車内で不自然に身体を密着させたり、自分の下半身を相手に押し付けたりするような行為です。
もちろん、実際に痴漢と判断されるかどうかは、様々な要素が考慮されます。
例えば朝夕のラッシュ時など、どうしても身体が密着してしまうような状況であれば、それだけで痴漢になることはないでしょう。
しかし、明らかに意図的で悪質な行為だと認められる場合は、痴漢で逮捕される可能性も十分にあるので、注意が必要です。
電車内の痴漢で逮捕される可能性がある犯罪
電車内の痴漢で成立し得る犯罪は、主に2つあります。
1つは「迷惑行為防止条例違反」、もう1つは「不同意わいせつ罪」です。
どちらの犯罪で処罰されるかは、痴漢の具体的な内容によって異なります。
迷惑行為防止条例違反
迷惑行為防止条例違反は、主に、電車内の典型的な痴漢行為に対して成立する犯罪です。
例えば、次のような行為が挙げられます。
・電車内で、服の上から身体や下着を触る行為 ・自分の下半身を相手に押し付けるような行為 など |
規制の具体的な内容・罰則は、各都道府県によって異なります。
例えば、東京都の迷惑行為防止条例では、次のような規定が設けられています。
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。 (1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。 (3) 前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。 |
罰則は、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっている都道府県が多いです。
迷惑行為防止条例違反で注意が必要なのは、典型的な痴漢行為に加えて「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為」が、広く「卑わいな言動」として規制の対象となっている点です。
つまり、直接被害者の身体に触れていなくても、被害者の感じ方によっては、電車内で行った思わぬ言動が「卑わいな言動」とみなされて、「迷惑行為防止条例違反」となる可能性があるのです。
不同意わいせつ罪
一方、不同意わいせつ罪は、被害者が「イヤ」と言えなかったり、「イヤ」と言いづらい状況で行われる性的な行為を、処罰するための犯罪です。
電車内の痴漢では、行為の内容が悪質であるほど、「不同意わいせつ罪」に該当する可能性が高くなります。
具体的には、次のような行為が処罰の対象となるでしょう。
・下着の中に手を入れて直接性的な部位を触る行為 ・被害者の性器に指を入れる行為 ・執拗に胸などを撫で続ける行為 など |
不同意わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の拘禁刑」です。
罰金刑は設けられておらず、実刑になれば、刑務所に服役する期間も「迷惑防止条例違反」よりはるかに長いです。
逮捕されるリスク、実刑となるリスクも高く、「迷惑防止条例違反」と比べると、より重い犯罪だと言えるでしょう。
※関連コラム
痴漢は迷惑防止条例違反?不同意わいせつ罪との違いや示談を解説
電車の痴漢で逮捕される4つのリスク
電車内で痴漢をして逮捕されると、様々なリスクが待ち受けています。
ここでは、逮捕された場合に直面する可能性が高い4つのリスクについて解説します。
長期間にわたって拘束される
痴漢で逮捕されれば、長期間にわたって身柄を拘束されるリスクがあります。
逮捕されると、まず警察での取調べが始まります。この取調べは24時間から48時間程度続くこともあり、その間は家族との面会もできません。
その後、事件は検察に引き継がれ、24時間以内に勾留されるかが決まります。
勾留が認められると、身柄拘束は10日間延長され、最大で20日間続くことになります(逮捕された日から最大23日間)。
精神的にも肉体的にも、非常に苦しい状況に置かれてしまうでしょう。
※関連コラム
【痴漢で逮捕】今後の流れと不起訴を獲得する方法を弁護士が解説
職場を解雇される
電車内で痴漢をしたことが職場に伝われば、解雇されるリスクもあります。
多くの会社で、次のような就業規則が設けられているからです。
労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。 ・会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき(当該行為が軽微な違反である場合を除く。) ・素行不良で著しく社内の秩序又は風紀を乱したとき。 (引用:厚生労働省 モデル就業規則(令和5年7月版)) |
例えば、通勤途中の電車内で痴漢をすれば、この就業規則に則って、懲戒解雇となる可能性は十分にあります。
解雇には至らなくても、痴漢の事実が職場に知れ渡れば居心地が悪くなり、自ら退職に追い込まれるケースも少なくないでしょう。
ただし、痴漢で逮捕されても、警察から直接会社に連絡が行くわけではありません。
逮捕を免れたり、短期間で釈放されることができれば、職場に発覚しない場合もあります。
※関連コラム
痴漢で逮捕されたら解雇される?解雇を回避するための対処法を解説
家族や友人にバレる
電車内で痴漢をすれば、家族や友人に知られてしまうリスクも当然高まります。
痴漢は社会的にも大きな問題となっている犯罪です。
あなたがそのような行為に及んでいたことが分かれば、周囲の人々からの信頼を失ってしまう可能性は非常に高いでしょう。
実名で報道される
痴漢が実名で報道されるリスクもあります。
特に公務員や教師、医師、大企業の管理職など、社会的な信用が高い職業の人ほど、そのリスクは高くなるでしょう。
万が一、実名で報道されてしまうと、あなた自身だけでなく、ご家族にまで風評被害が及ぶ可能性があるのです。
痴漢の犯行が実名で報道されるかどうかについては明確な基準がなく、報道機関の判断に委ねられています。
万が一、実名で報道されてしまった場合は、速やかに弁護士に相談しましょう。
正しい手順を踏めば、記事を削除してもらえる場合も多いです。
※関連コラム
痴漢は報道される?実名報道の基準は?ネット炎上を防ぐ方法も解説
電車の痴漢は現行犯以外でも逮捕される?
電車内で痴漢をした場合、現行犯逮捕されなくても安心はできません。
事件発生から数ヶ月後に逮捕されるケースもあるからです。
「満員電車だったから誰も気づいていないはず」 「現行犯で逮捕されていないから大丈夫」 |
こう考える人もいるかもしれません。
しかし、被害者が後日警察に相談し、防犯カメラの映像解析などから犯人が特定されて、逮捕に至ることがあるのです。
【電車の痴漢で後日逮捕されたケース】
・40代の男性が、普通列車の中で、通学中の女子高生を痴漢。被害者が鉄道警察隊の詰所に届け出て発覚。防犯カメラの映像が解析されて、3ヶ月後に逮捕されたケース。 【通学中の女子高生に痴漢行為】十日町市在住の男性(44歳)を逮捕、白新線の列車内で犯行に及ぶ(新潟市中央区)引用|にいがた経済新聞 ・逮捕されるまでの期間:81日(2ヶ月と20日) ・電車で痴漢をした日:2024年5月17日 ・逮捕された日:2024年8月6日 |
事件発生からしばらく経ってから、痴漢の相談がされるケースもあります。
警察に被害届が提出され、目撃者の証言、駅の防犯カメラ、ICカードの入場記録など様々な証拠が積み重なることで、犯人が特定されて逮捕されるリスクがあるのです。
電車内の痴漢は、現行犯で逮捕されなくても、後日逮捕される可能性は十分にあります。
痴漢の後日逮捕が不安な方は、次の章を参考にして、すぐに逮捕されないための行動を起こしましょう。
※関連コラム
痴漢は後日逮捕される!1週間・3ヶ月・1年後も?今すぐできること
電車の痴漢で逮捕されないためにするべきこと
電車内で痴漢をしてしまった場合、逮捕されないために取るべき行動は次の3つです。
早急に弁護士に相談する
電車で痴漢をしてしまった場合、まず行うべきなのは弁護士への相談です。
早期に弁護士に相談することで、逮捕を回避できる可能性が高まるからです。万が一逮捕されても、早期釈放に向けてすぐに行動してもらえます。
因みに、警察庁の統計によると、痴漢の検挙件数は年々増加傾向です。
【痴漢の検挙人数の推移】
令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | |
検挙件数 | 2,789 | 1,915 | 1,931 | 2,233 | 2,254 |
検挙人員 | 2,508 | 1,644 | 1,576 | 1,906 | 1,988 |
痴漢は社会問題にもなっている重大な犯罪です。電車の痴漢で逮捕されるリスクは決して低くありません。
電車で痴漢をした場合は、すぐに弁護士に相談して、逮捕されないための行動を起こしましょう。
痴漢に強い弁護士の選び方は、次の記事で詳しく解説しています。
痴漢事件は迷わず弁護士を呼べ!理由と早期に不起訴獲得した事例
被害者と示談をする
被害者の連絡先が分かる場合は、示談をすることも効果的です。
スムーズに示談が成立すると、早期の釈放や不起訴獲得の可能性が高くなるからです。
ただし、電車内の痴漢ですぐに被害者の連絡先が分かるケースは少ないでしょう。
多くの場合は、警察から連絡が来た後、弁護士から警察にお願いし、被害者の承諾後に教えてもらうことになります。
つまり、示談交渉が開始された時点は、既に逮捕されているか、在宅で捜査が始まっている可能性が高いのです。
だからこそ、警察から連絡が来る前に弁護士に相談しておくことが重要です。
事前に相談しておけば、スムーズに示談交渉を開始でき、成立までの時間も短縮できます。
身柄拘束の期間が短くなるだけでなく、不起訴になる可能性も高まるでしょう。
※関連コラム
痴漢示談金(慰謝料)相場は30〜150万円!減額する方法解説
自首・出頭して自白する
痴漢を後悔しているなら、自首も選択肢の1つです。
警察にあなたが特定される前に自首すれば、刑が最大半分まで軽くなります。
痴漢を深く反省しており「罪証隠滅・逃亡のおそれ」がないことが伝われば、逮捕を回避できる可能性も高くなるでしょう。
ただし、自首する前に弁護士に相談するのがおすすめです。
「本当に自首すべきか」 「逮捕されるリスクはないか」 「どの程度刑が軽くなるのか」 「取り調べにはどう臨めばよいか」 |
あなたが抱えている疑問について、具体的な状況を聞いた上で、的確に答えてもらえます。
自首当日も弁護士に同行してもらえるため、取り調べ中に不明な点があれば、すぐに確認できるでしょう。
自首する場合は、弁護士と相談した上で、冷静に行動することが必要です。
※関連コラム
【痴漢で自首するか悩んでいる方へ】必ず知っておきたい注意点を解説
電車の痴漢で悩んだらグラディアトルへご相談ください
つい電車で痴漢をしてしまい、逮捕されるのではという不安を抱えている方は、グラディアトル法律事務所へご相談ください。
私たちは、痴漢をはじめとした性犯罪事件を豊富に扱っており、数多くの解決実績を持っています。
・通勤途中の電車内で痴漢。冤罪を主張して、早期釈放・不起訴処分となった事例 ・電車内の痴漢で逮捕。弁護士の早急な示談対応で2日で釈放・不起訴となった事例 ・不同意性交等罪で、弁護士が自首に同行し、逮捕を避け不起訴になった事例 |
他にも、数多くの痴漢事件で、難しい示談交渉を成立させてきました。
勇気を持ってご相談いただいたことで、事態が好転したご依頼者様の数は数え切れません。
「電車で痴漢したことを後悔している。とにかく話を聞いて欲しい。」
「逮捕されるリスクがどの程度あるのか知りたい」
こういったご相談だけでも構いません。初回の相談は無料で、24時間365日・全国対応可能な体制で受付しています。
電車で痴漢してしまい、逮捕が怖い方は、是非グラディアトル法律事務所へご相談ください。
あなたを助けるために「グラディアトル」が全力で闘います。
電車の痴漢でよくある質問
痴漢の被害者が未成年の場合、刑は重くなりますか?
痴漢の内容によっても異なるため、一概には言えません。
ただし、処罰感情が強くなりやすいため、一般的には刑が重くなる傾向です。
未成年の息子が電車で痴漢した場合、どうなりますか?
未成年者の痴漢でも、14歳以上であれば、刑事責任を問われる可能性はゼロではありません。少年事件になるので、検察ではなく家庭裁判所に送致されて、少年審判を受けることになります。
電車内で意図せず身体に当たってしまったら痴漢になりますか?
電車内で、意図せず身体に当たっただけで、痴漢が成立することはありません。
電車で痴漢の冤罪を疑われたら、どうすればいいですか?
冤罪で疑われた場合は、速やかに弁護士への相談が必要です。
※冤罪の初期対応は、次の記事で詳しく解説しています。
「痴漢冤罪をでっち上げられた!初期対応と冤罪を立証する方法を解説」
電車内の痴漢は証拠が無くても逮捕されますか?
本当に証拠が無ければ、逮捕はされません。
ただし、痴漢は「被害者の証言」だけでも決定的な証拠となる場合があります。
※痴漢の証拠は、次の記事で詳しく解説しています。
まとめ
最後に、今回の記事のポイントを整理します。
・電車の痴漢で逮捕されやすい行為の具体例は次のとおり
・服の上から身体や下着を触る行為 ・下着の中に手を入れて触る行為 ・近くに立って、髪や首筋の匂いを嗅ぐ行為 ・電車内で、意図的に身体を密着させる行為 |
・電車の痴漢で成立する犯罪の例
・迷惑防止条例違反(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金) ・不同意わいせつ罪(6月以上10年以下の拘禁刑) など |
・電車の痴漢で逮捕されるリスク
・長期間にわたって拘束される ・職場を解雇される ・家族や友人にバレる ・実名で報道される |
・電車の痴漢で逮捕されないために、あなたがするべきこと
・早急に弁護士に相談する ・被害者と示談をする ・自首、出頭する |
以上です。
電車で痴漢して逮捕が不安な方は、この記事を読み終わったら、すぐに弁護士に相談して、逮捕されないための行動を起こしましょう。
無事に痴漢に強い弁護士が見つかり、あなたの不安が解消されることを願っています。
本記事が役に立った、参考になったと感じましたら、是非グラディアトル法律事務所にもご相談ください。