援助交際は犯罪?援助交際で問われる罪や犯罪にならない3つのケース

援助交際は犯罪?援助交際で問われる罪や犯罪にならない3つのケース
弁護士 若林翔
2024年10月30日更新

「援助交際をすると犯罪なの?」

「援助交際をした場合に成立し得る犯罪にはどのようなものがある?」

「援助交際をしても犯罪にならないケースはある?」

援助交際とは、一般的に、女性に金銭などを渡して性交等をすることを指す言葉です。援助交際をしたからといって、常に犯罪になるわけではありませんが、女性の年齢や性行為の経緯、態様によっては罪に問われる可能性もあります。

他方、援助交際をしても相手が18歳未満の未成年者であるとの認識がなければ、犯罪は成立しませんので罪に問われることはありません。

このように具体的な状況により犯罪の成否や成立する犯罪が異なるため、自らの身を守るためにも、援助交際で成立し得る犯罪をしっかりと押さえておくことが大切です。

本記事では、

・援助交際により成立し得る犯罪と刑罰

・援助交際が犯罪にならない可能性がある3つのケース

・援助交際の犯罪についてのよくある質問

などについてわかりやすく解説します。

ご自身の行為が違法な援助交際にあたるかどうか判断に迷うときは、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

そもそも援助交際は犯罪?

そもそも援助交際は犯罪なのでしょうか。以下では、買収側と売春側のそれぞれについてみていきましょう。

援助交際とは

援助交際とは、一般的に男性が女性に対して金品を渡し、それと引き換えに性交渉を行うことを指す言葉です。最近では、援助交際ではなく「パパ活」と呼ばれることもあります。

援助交際では、性行為の対価として金銭だけではなく、ブランド品や食事などが対価になることもあり、交際相手は、18歳未満の未成年の女性であるケースが多いです。

マッチングアプリやSNSなどが普及していることもあり、以前よりも簡単に未成年者との援助交際ができるようになってきています。それに伴い、援助交際を理由に逮捕・起訴されてしまうケースも増えてきていますので、自分が援助交際による犯罪の当事者にならないように注意して行動することが大切です。

援助交際で罪に問われるのは主に買春側

援助交際で罪に問われるのは、主に買春をした男性側になります。

援助交際では、18歳未満の未成年者を相手に性交等が行われていますが、未成年者は、判断能力が未熟であるため、性的搾取や性的虐待などから未成年者本人を保護する必要性が高いと考えられています。そのため、援助交際は、買収側と売春側の双方で行われるものですが、援助交際で処罰されるのは、主に買春をした男性側になります。

勧誘方法によっては売春側も逮捕されることがある

売春行為自体を処罰する法律はありませんので、基本的には、売春側が罪に問われることはありません。

ただし、売春防止法では、売春の勧誘や周旋などが処罰対象となっていますので、いわゆる「立ちんぼ」行為をした場合には、売春側も逮捕される可能性があるでしょう。

援助交際により成立し得る犯罪と刑罰

以下では、援助交際により成立する可能性のある犯罪と刑罰をみていきましょう。

項目内容罰則
児童買春・児童ポルノ禁止法違反未成年者に金品などの対価を提供し、性交等を行う行為5年以下の懲役または300万円以下の罰金
青少年健全育成条例(淫行条例)違反金品の提供がなくても未成年者と性交等を行う行為(同意があっても処罰対象)2年以下の懲役または100万円以下の罰金(東京都の場合)
不同意性交等罪同意のない性交等、または同意があっても被害者が13歳未満、または13歳以上16歳未満で行為者が5歳以上年長の場合5年以上の有期拘禁刑
不同意わいせつ罪同意のないわいせつ行為、または同意があっても被害者が13歳未満、または13歳以上16歳未満で行為者が5歳以上年長の場合6月以上10年以下の拘禁刑
出会い系サイト規制法違反出会い系サイトで18歳未満を性交等の相手として誘引する行為100万円以下の罰金

児童買春・児童ポルノ禁止法違反

援助交際というと、一般的には18歳未満の未成年者に対して、金品などの対価と引換えに性交等をすることを指しますが、このような行為は児童買春・児童ポルノ禁止法による処罰対象となっています。

このような児童買春をした場合、5年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。

児童ポルノ法とは?禁止行為や罰則、検挙数・逮捕率などの実態を解説

 

青少年健全育成条例(淫行条例)違反

青少年健全育成条例とは、青少年の保護と健全な育成を目的として、各都道府県が制定している条例です。

児童買春・児童ポルノ禁止法では、金品などの対価を渡して未成年者と性交等をすることを処罰対象にしていますが、青少年健全育成条例では、金品などの対価の供与がなかったとしても、未成年者と性交等をすれば処罰されます。また、相手の同意があったとしても青少年健全育成条例違反になりますので注意が必要です。

具体的な条例の内容や罰則は、都道府県によって異なり、たとえば東京都の場合だと「東京都青少年の健全な育成に関する条例」において、以下のように規定されています。

(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)

第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

同条例に違反した場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

淫行条例とは?成立要件や処罰の対象外となる4つのケースを解説 

不同意性交等罪

不同意性交等罪とは、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にさせ、またはそのような状態に乗じて性交等を行う犯罪です(刑法177条)。

援助交際は、通常はお互いの合意の上で性交等が行われますが、事案によっては無理やり性行為が行われることもあります。このような同意のない性行為については、不同意性交等罪が成立する可能性があります。

また、被害者の年齢が13歳未満の場合または13歳以上16歳未満で行為者が5歳以上年長である場合には、被害者が同意していたとしても不同意性交等罪が成立しますので注意が必要です。

なお、不同意性交等罪が成立した場合、5年以上の有期拘禁刑に処せられます。

不同意わいせつ罪

不同意わいせつ罪とは、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にさせ、またはそのような状態に乗じてわいせつな行為をする犯罪です(刑法176条)。

援助交際でも相手の同意がない状態でわいせつな行為をすると不同意わいせつ罪に問われることがあります。

ただし、被害者の年齢が13歳未満の場合または13歳以上16歳未満で行為者が5歳以上年長である場合には、相手が同意していたとしても不同意わいせつ罪が成立しますので注意が必要です。

なお、不同意わいせつ罪が成立した場合、6月以上10年以下の拘禁刑に処せられます。

出会い系サイト規制法違反

出会い系サイトなどを利用して援助交際の相手を募集すると、出会い系サイト規制法違反となる可能性があります。

出会い系サイト規制法では、18歳未満の児童を性交等の相手方になるよう誘引した場合を処罰対象にしていますので、掲示板などに「ホ別2、JK」などの書き込みをすると、実際に援助交際に至らなかったとしても処罰されます。

出会い系サイト規制法違反となった場合、100万円以下の罰金に処せられます。

援助交際が犯罪にならない可能性がある3つのケース

援助交際をしても以下のようなケースに該当する場合には、罪に問われる可能性はありません。

援助交際が犯罪にならない可能性がある3つのケース

18歳以上の相手と同意のもとで性行為をしたケース

援助交際は、18歳未満の未成年者を相手に性交等をした場合が処罰対象になります。

そのため、性交等の相手が18歳以上の成人であり、かつ、お互いの同意のもとで性交等を行ったのであれば、対価の支払いを伴っていたとしても犯罪にはなりません。

なお、売春禁止法では、売春行為や買春行為が禁止されていますが、違反したとしても罰則はありませんので、援助交際で処罰されることはありません。

相手が18歳未満だと知らずに性行為をしたケース

援助交際の相手が18歳未満の未成年者であったとしても、相手が18歳未満であることを知らずに性交等をしたのであれば、罪に問われることはありません。

一部の青少年健全育成条例を除いて、援助交際により成立する犯罪のほとんどが故意犯として規定されていますので、犯罪の成立には、相手が未成年者であることの認識が必要になります。

援助交際の相手が年齢を偽っていたなどの理由で相手が18歳未満だとわからなかったような場合には、故意がありませんので、犯罪は成立しません。

下記の記事も詳しく書いてますので、ご一読ください。

18歳未満だと知らなくても犯罪になる?不起訴になり得る4つのケース

性行為を伴わないいわゆるパパ活であったケース

援助交際が犯罪になるのは、未成年者との間で性交等を行った場合です。金品などの対価を支払って交際していたとしても、いわゆる「パパ活」のように食事やデートのみの関係であれば、犯罪になることはありません。

ただし、未成年者を金品で誘惑して無理やり連れまわした場合は、未成年者略取・誘拐罪(刑法224条)に問われる可能性がありますので注意が必要です。

援助交際の犯罪についてのよくある質問

以下では、援助交際の犯罪についてのよくある質問を一問一答形式で紹介します。

援助交際の犯罪についてのよくある質問

援助交際はどのようなきっかけで発覚する?

援助交際が発覚するきっかけとしては、主に以下のようなことが挙げられます。

・親からの通報

・援助交際相手の補導

・警察によるサイバーパトロール

・別の捜査から発覚

18歳以上だと思って性行為をしたところ、後日18歳未満であることがわかったら罪に問われる?

未成年者との性行為時に、相手が18歳未満であるとの認識がなければ、後から18歳未満だとわかったとしても罪に問われることはありません。

ただし、相手の言動などから未成年者かもしれないという認識を抱いていた場合には、故意が認められる可能性がありますので注意しましょう。

対価の支払いがなければ犯罪にならない?

児童買春は、児童に対して対価を与え、または与える約束をすることが犯罪成立要件となっていますので、対価の支払いがなければ児童買春の罪に問われることはありません。

しかし、青少年健全育成条例における淫行、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪などは対価の支払いが要件とはなっていませんので、罪に問われる可能性があります。

性行為ではなく手淫や口淫でも援助交際になる?

児童買春において禁止されているのは性交または性交類似行為です。未成年者と性行為をしていなかったとしても、手淫や口淫は性交類似行為に該当しますので、対価の支払いを伴い、このような行為をすると児童買春の罪に問われます。

援助交際をしてしまったときはグラディアトル法律事務所に相談を

援助交際をしてしまったときはグラディアトル法律事務所に相談を

援助交際は、相手の年齢や性交等の経緯、態様によっては犯罪が成立する可能性があります。性交等をした相手が未成年者であることに気付いたときは、刑事事件になる前であっても、弁護士に相談するのがおすすめです。

グラディアトル法律事務所では、援助交際に関する犯罪の豊富な解決実績と経験がありますので、具体的な状況を踏まえて正確に犯罪の成否を判断することがあります。万が一、援助交際が犯罪に該当するようなものであった場合は、早期に被害者との間で示談を成立させることにより、逮捕や起訴のリスクを回避することが可能です。

また、早期に対応することにより、援助交際により生じる不利益を最小限に抑えることができますので、少しでも心当たりのある方はお早めに当事務所までご相談ください。

下記の記事も併せてご覧ください。

援助交際は犯罪!弁護士による5つのサポートと弁護士選びのポイント

まとめ

援助交際が犯罪に該当する場合、何もせずに放置していると被害者側から被害届の提出や告訴をされて、逮捕されてしまう可能性があります。

援助交際は、性犯罪の一種ですので逮捕されてしまうと、これまで築き上げてきた信用を一気に失うなどのさまざまな不利益が生じます。このような不利益は、早期に被害者と示談を成立させることにより回避可能ですので、援助交際をしてしまったときはすぐに弁護士に相談するようにしてください。

未成年者と援助交際をしてしまった方は、経験と実績豊富なグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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