「覚醒剤事件で有罪になった場合、執行猶予は付く?」
「覚醒剤事件で執行猶予を獲得するためにできることとは?」
「執行猶予中や再犯だと執行猶予は難しい?」
覚醒剤事件で起訴され、有罪になったとしても、初犯であれば執行猶予が付く可能性が高いです。実刑になるか執行猶予になるかによって、その後の人生が大きく変わってしまいますので、起訴された場合は執行猶予を獲得することが重要なポイントになります。
覚醒剤事件で執行猶予を獲得するには、
・前科、前歴がないこと | ・営利目的がないこと |
・本人の反省の態度 | ・再犯防止に向けた取り組み |
・贖罪寄付 | ・監督者の存在 |
という6つのポイントがありますので、執行猶予の可能性を高めるためにも上記のポイントを押さえた弁護活動を行ってもらいましょう。
本記事では、
・覚醒剤事件で執行猶予を獲得するための6つのポイント ・執行猶予期間中に覚醒剤事件を起こしたらどうなる? ・覚醒剤事件の再犯で執行猶予の可能性はある? |
などのついてわかりやすく解説します。
執行猶予を獲得するには、薬物犯罪に詳しい弁護士によるサポートが不可欠になりますので、家族が覚醒剤で逮捕されてしまったときはすぐに弁護士に相談するようにしましょう。
目次
覚醒剤事件の執行猶予率は?

令和5年版犯罪白書(資料2-3)によると、令和4年に覚醒剤取締法違反で起訴され有罪になった事件は4912件で、そのうち実刑になった事件(一部執行猶予を除く)は
2491件、執行猶予が付いた事件(一部執行猶予を含む)は2421件でした。そのため、執行猶予率でいうと約49%ということになります。
ただし、上記の統計には覚醒剤事件の初犯だけでなく、再犯も含まれていますので、初犯だけで見れば執行猶予率はさらに高い数値になると考えられます。なぜなら、覚醒剤事件は再犯率の高い犯罪であり、2回目以降の裁判になると執行猶予が付かないケースが多くなるからです。
そのため、覚醒剤事件の初犯であれば、上記の統計上の数値よりも執行猶予を獲得できる可能性が高いと考えておけばよいでしょう。
覚醒剤事件における執行猶予には2種類ある

覚醒剤事件における執行猶予には、「刑の全部の執行猶予」と「刑の一部の執行猶予」の2種類があります。以下では、それぞれの執行猶予制度について説明します。
刑の全部の執行猶予
全部執行猶予とは、刑事裁判で言い渡された刑期のすべてが猶予される制度です。
全部執行猶予となれば、直ちに刑務所に収容されることはありませんので、通常の社会生活を送ることができます。
ただし、あくまでも刑の執行が猶予されているだけですので、執行猶予期間中に罪を犯してしまうと執行猶予が取り消され、刑務所に収容されてしまいますので注意が必要です。
刑の一部の執行猶予
一部執行猶予とは、刑事裁判で言い渡された刑期のうちの一部が猶予される制度です。
たとえば、「被告人を懲役3年に処する。その刑の一部である懲役1年の執行を2年間猶予する」という判決が出た場合、2年間は刑務所で服役する必要がありますが、残りの1年は刑務所から出所し、通常の社会生活を送ることが可能です
なお、令和5年版犯罪白書(資料2-3)によると令和4年中に覚醒剤取締法違反で有罪になった事件が4912件で、そのうち全部執行猶予が1835件、一部執行猶予が586件でした。全部執行猶予の割合が約37%であるのに対して、一部執行猶予の割合は約12%ですので、一部執行猶予になる割合の方が圧倒的に少ないといえます。
覚醒剤事件で執行猶予を獲得するための6つのポイント

覚醒剤事件で執行猶予を獲得するためのポイントとしては、以下の6つがあります。
前科・前歴がないこと
覚醒剤事件は、前科・前歴の有無によって執行猶予を獲得できるかどうかが大きく変わってきます。
覚醒剤事件の初犯であれば、基本的には執行猶予が付く可能性が高いです。しかし、過去に同種の薬物犯罪で有罪になった前科がある場合には、再犯のおそれがあるなどの理由から実刑になる可能性が高くなります。
そのため、前科・前歴の有無は、執行猶予を付けるかどうかの判断において重要な考慮要素になります。
営利目的がないこと
覚醒剤事件は、営利目的の有無によって法定刑が異なり、営利目的が認定されるとより重い罪で処罰されることになります。
覚醒剤事件の初犯であれば執行猶予が付く可能性が高いですが、営利目的が認定されてしまうと、初犯であっても実刑になる可能性があります。営利目的の有無は、本人の主観だけではなく、以下のような客観的事情を踏まえて判断されます。
・覚醒剤の所持量が多い(10g以上) ・覚醒剤を小分けにしたパケを多数所持している ・専用の計量器を所持している ・新品の注射器を多数所持している ・メッセージアプリで覚醒剤の譲渡に関するやり取りをしている |
本人の反省の態度
捜査や裁判においてしっかりと反省の態度を示すことも執行猶予を獲得するためのポイントになります。
具体的には、警察の取り調べにおいて覚醒剤の入手ルートなどを正直に話す、裁判において覚醒剤との関係を断ち切るということを自らの口から具体的に述べるなどの方法が考えられます。
再犯防止に向けた取り組み
覚醒剤は、依存性の高い薬物ですので、執行猶予を付けるかどうかの判断にあたって再犯の可能性は重要な考慮要素の一つになります。
執行猶予を付けたとしても再び覚醒剤に手を出す可能性があるのであれば、裁判官も執行猶予を付けることに消極的になってしまいます。そのため、再犯防止の可能性が低いということを示すためにも、再犯防止に向けた治療などに取り組むことが重要です。
薬物依存症から離脱するには、専門の医療機関による治療や自助グループへの参加が有効な手段になりますので、保釈により身柄を解放されたらすぐに治療などを開始するようにしましょう。
贖罪寄付
覚醒剤事件は、被害者の存在しない犯罪です。一般的な犯罪であれば被害者と示談をすることで執行猶予の可能性を高めることができますが、覚醒剤事件ではそれができません。
しかし、弁護士会や被害者支援団体などに寄付をするという「贖罪寄付」を行うことにより、反省の気持ちを示すことが可能です。そのため、執行猶予の可能性を高めるためにも、贖罪寄付を検討してみるとよいでしょう。
監督者の存在
執行猶予が付けば刑務所に収監されることなく、通常の社会生活を送ることができますが、再犯の可能性の高い薬物犯罪においては、監督者がいるかどうかが執行猶予を付ける際のポイントの一つになります。
家族、職場の上司、友人などが法廷で被告人の今後の監督について具体的に証言してくれれば、再犯の可能性が低いとして執行猶予を獲得できる可能性が高くなるでしょう。
覚醒剤事件の初犯なら執行猶予が付く可能性が高い

令和5年版犯罪白書によると、令和4年に覚醒剤取締法違反で起訴され有罪になった事件のうち執行猶予が付いた割合は、約49%になります。刑法犯全体の執行猶予率が約54%であることと比較すると、覚醒剤事件の執行猶予率は低いようにも思えます。
しかし、覚醒剤事件は、再犯率の高い犯罪ですので、覚醒剤取締法違反で起訴された事件では前科者が占める割合が非常に多くなっています。令和2年版犯罪白書によると、覚醒剤取締法違反で起訴された事件9942件のうち前科者が7500人となっていますので、前科者が多いことがわかると思います。
覚醒剤事件では、前科があると実刑になる可能性が高くなるため、覚醒剤事件全体の執行猶予率は、上記のように低い数字になってしまうのです。つまり、覚醒剤事件の初犯であれば、
執行猶予が付く可能性が高いといえるでしょう。
関連コラム:覚醒剤取締法違反で逮捕された!初犯の量刑相場や実刑の可能性を解説
執行猶予期間中に覚醒剤事件を起こしたらどうなる?

以下では、執行猶予期間中に覚醒剤事件を起こしてしまった場合の処遇について説明します。
執行猶予が取り消される
執行猶予期間中に覚醒剤事件を起こすと、執行猶予が取り消されてしまいます。
執行猶予は、あくまでも刑の執行が「猶予」されている状態ですので、以下のような事由があるときは、執行猶予は必ず取り消されます。
- ①執行猶予期間中にさらに罪を犯して禁錮以上の刑に処せられたとき
- ②執行猶予の言い渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられたとき
- ③執行猶予の言い渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき
執行猶予期間中に覚醒剤事件を犯すと、上記の①に該当しますので、前の裁判で付けられた執行猶予は取り消されてしまいます。
元の刑期と再犯による刑期を合算した期間服役しなければならない
執行猶予が取り消されると、直ちに刑務所に収監されます。
その際の刑期は、前の裁判で言い渡された元の刑期と今回の裁判で言い渡された再犯による刑期を合算した期間になりますので、相当長期間の服役を覚悟しなければなりません。
覚醒剤事件の再犯で執行猶予の可能性はある?
覚醒剤事件の再犯で執行猶予を獲得できる可能性はあるのでしょうか。以下では、再犯の意味と執行猶予の可能性について説明します。
再犯とは?
再犯とは、一般的な用語では「再び罪を犯すこと」を意味しますが、法律用語として用いる場合には、以下のような意味があります。
懲役刑を受けた者が「その執行が終わった日」または「刑の免除を受けた日」から5年以内に罪を犯した場合において、その者を有期懲役刑に処する場合等 |
すなわち、以下の要件を満たす場合には、法律上「再犯」として扱われることになります。
・懲役刑に処せられ、刑務所に服役していた ・懲役刑の刑期が終わった日から5年以内に今回の罪を犯した ・新たに犯した罪の判決で有期懲役刑に処せられた |
再犯にあたる場合には、その犯罪の懲役の上限が2倍になりますので、通常よりも重い刑罰が科されることになります。
覚醒剤事件の再犯では執行猶予はつかない
執行猶予を付けるには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
①禁錮以上の刑に処せられたことがない者
②刑の執行が終わった日または刑の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者が3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言い渡しを受けた場合
再犯の要件を満たす場合には、執行猶予の条件を満たさなくなりますので、覚醒剤事件の再犯では執行猶予が付く可能性はありません。
関連コラム:覚醒剤で2回目の逮捕!執行猶予の可能性や弁護活動のポイントを解説
覚醒剤事件で執行猶予を目指すならグラディアトル法律事務所にお任せください

覚醒剤事件で起訴されるとほとんどの事件が有罪になりますので、執行猶予を獲得することが重要なポイントになります。覚醒剤事件の初犯であれば執行猶予が付く可能性が高いですが、薬物犯罪に詳しい弁護士による効果的な弁護活動により執行猶予の可能性をさらに高めることができます。
グラディアトル法律事務所では、覚醒剤事件のような薬物犯罪の弁護に関する豊富な経験と実績がありますので、執行猶予を獲得するためのポイントを熟知しています。経験豊富な弁護士による効果的な弁護活動により、執行猶予の可能性を高めることができますので、覚醒剤事件で逮捕されてしまったときはすぐに当事務所までご相談ください。
関連コラム:覚醒剤事件で弁護士に依頼する3つのメリットと弁護士の探し方を解説
まとめ
家族が覚醒剤事件で逮捕されてしまったときは、すぐに弁護士に相談することが大切です。
早期に逮捕された本人と面会を行い、今後の取り調べなどに対するアドバイスをすることで、不利な調書がとられるリスクを最小限に抑えることができます。
また、起訴後は早期に保釈請求をすることで、身柄を解放してもらうことができ、再犯防止に向けた治療などに取り組むことが可能です。
覚醒剤事件では、執行猶予付き判決を獲得することが重要なポイントになりますので、まずは、経験と実績豊富なグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。