「占有離脱物横領罪の時効は何年?」
「占有離脱物横領罪の時効で注意すべきポイントとは?」
「占有離脱物横領罪で時効待ち以外にできることとは?」
占有離脱物横領罪とは、遺失物や漂流物など人の占有を離れた他人の物を横領した場合に成立する犯罪です。具体的には、他人が乗り捨てた自転車を拾って自分のものにする、道に落ちていた財布から現金を抜き取るなどの行為が占有離脱物横領罪に該当します。
占有離脱物横領罪には、3年という時効がありますので、時効期間が経過すれば、犯罪として処罰されることはありません。しかし、時効期間経過前に犯罪が発覚するケースもありますので、時効待ち以外の方法も検討すべきでしょう。
本記事では、
・占有離脱物横領罪の刑事および民事上の時効 ・占有離脱物横領罪の公訴時効で注意すべきポイント ・占有離脱物横領罪で時効待ち以外にできること |
などについてわかりやすく解説します。
占有離脱物横領罪は、比較的軽微な犯罪ですので、被害者との示談ができれば逮捕・起訴されることなく解決できる可能性が高いです。そのためには専門家である弁護士のサポートが必要ですので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
目次
占有離脱物横領罪の公訴時効は3年
公訴時効とは、犯罪が終わったときから一定期間が経過すると公訴の提起(起訴)ができなくなる制度です。公訴時効が成立すると、国家の犯罪者を処罰する権限が消滅しますので、罪を犯したとしても処罰されることはありません。
公訴時効期間は、犯罪の種類や刑罰の重さによって定められており、占有離脱物横領罪の場合は、3年が公訴時効期間となります。つまり、横領行為から3年間逃げ切ることができれば、逮捕や起訴されるおそれがなくなります。
占有離脱物横領罪と似た犯罪の時効

占有離脱物横領罪と似た犯罪として「単純横領罪」や「業務上横領罪」という犯罪があります。以下では、それぞれの犯罪の概要と公訴時効期間について説明します。
単純横領罪|5年
単純横領罪とは、自分が占有する他人の物を横領した場合に成立する犯罪です。たとえば、以下のような行為が単純横領罪に該当します。
・友人から借りた本を勝手に古本屋で売却する |
・レンタカーを借りたものの契約期間を過ぎても返却せず、そのまま乗り回している |
単純横領罪の場合、5年が公訴時効期間となります。
業務上横領罪|7年
業務上横領罪とは、業務上、自分が占有する他人の物を横領した場合に成立する犯罪です。たとえば、以下のような行為が業務上横領罪に該当します。
・会社の経理担当者が会社のお金を私的に流用する |
・会社員が会社の備品を勝手に売却して、自分の小遣いにする |
・会社員が領収書の金額を改ざんし、経費の水増し請求をする |
業務上横領罪の場合、7年が公訴時効期間となります。
占有離脱物横領罪は、単純横領罪や業務上横領罪に比べて軽微な犯罪行為になりますので、公訴時効期間も横領犯罪の中では、3年というもっとも短い期間になっています。
関連コラム:横領罪の時効は何年?民事・刑事上の時効と時効待ちのリスクを解説
占有離脱物横領罪の消滅時効(民事)は3年または20年
時効には、刑事上の時効である「公訴時効」以外にも民事上の時効である「消滅時効」があります。
消滅時効とは、権利者が一定期間権利行使をしない場合に、その権利が消滅してしまう制度です。占有離脱物横領罪は、占有を離れた他人の物を横領した場合に成立する犯罪ですので、物を横領された他人に対して財産的損害を与えることになります。損害を被った被害者は、加害者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求権を有していますので、被害者から損害賠償請求をされた場合、加害者は賠償金の支払いに応じなければなりません。
もっとも、不法行為には、消滅時効がありますので、以下のいずれか短い期間が経過した場合、時効による利益を受ける旨の意思表示(時効の援用)をすれば、賠償義務を免れることができます。
・被害者が損害および加害者を知ったときから3年 ・横領行為から20年 |
占有離脱物横領罪の公訴時効で注意すべきポイント
占有離脱物横領罪の公訴時効に関しては、以下の点に注意が必要です。

時効の起算点は犯罪行為が終わった時点
時効の起算点とは、時効期間のカウントがスタートする時点をいいます。
公訴時効は、犯罪行為が終わったときが起算点であると定められていますので、占有離脱物横領罪も犯罪行為が終わったときが時効期間のスタート時点となります。占有離脱物横領罪の場合、横領行為があった時点で犯罪行為が終わったと評価できますので、その時点が時効の起算点になります。
たとえば、道に落ちている財布を拾って自分のものにしたような事案では、財布を拾った時点が時効の起算点になります。
時効期間の進行が停止することがある
公訴時効は、一定事由が生じると期間の進行がストップすることがあります。このような事由を「公訴時効の停止事由」といいます。
公訴時効の停止事由には、以下のようなものがあります。
・事件が起訴された場合 ・共犯者の事件が起訴された場合 ・犯人が国外逃亡している場合 ・犯人が逃げ隠れしていて起訴状を渡すことができない場合 |
たとえば、占有離脱物横領罪を犯して、海外に逃げていたとしても、公訴時効の停止事由に該当しますので、その期間は時効期間が進行しません。
時効待ちにはリスクがある
占有離脱物横領罪には、時効がありますので「時効まで逃げ続ければいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。
時効待ちというのも方針の一つといえますが、決してベストな選択肢ではありません。占有離脱物横領罪は、比較的軽微な犯罪ですので、被害者と示談することができれば、逮捕・起訴されることなく問題を解決できる可能性が高いです。
時効待ちだと、時効直前で刑事事件化されてしまい、罰金刑を科されるなどのリスクがありますが、時効待ち以外の適切な対応をすることで刑事罰を回避できる可能性があるのです。
そのため、リスクの高い時効待ちではなく、後述するような対応を検討すべきでしょう。
占有離脱物横領罪で時効待ち以外にできること
占有離脱物横領罪に該当する行為をしてしまったときは、時効待ちではなく、以下のような対応を検討しましょう。

被害者との示談
占有離脱物横領罪は、被害者との示談が成立すれば、刑事処分を回避できる可能性の高い犯罪です。そのため、占有離脱物横領罪に該当する行為をしてしまったときは、すぐに被害者と示談をすることが重要です。
たとえば、道で財布を拾って自分のものにしてしまった場合、そのままにしておくのではなく、財布に入っていて免許証や保険証などから被害者を特定し、被害者との示談交渉を行うとよいでしょう。
横領した物を処分しない
横領した物がまだ手元にある場合には、処分をせずにそのままの状態で保管しておくようにしてください。
被害弁償をする場合には、まずは現物の返還が原則となりますので、手元に現物があるかどうかによって被害者との示談交渉の難易度が変わってきます。現時点で被害者がわからないという場合には、後日の示談交渉に備えて、横領した物をそのまま保管しておくようにしてください。
弁護士に相談する
占有離脱物横領罪の事案は、被害者と加害者に直接の面識がなく、被害者の連絡先がわからないというケースがほとんどです。
このようなケースでは、加害者自身で示談交渉を行うのは困難ですので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば被害者の連絡先がわからない事案であっても、捜査機関から被害者の連絡先を入手できる可能性があります。
被害者との示談交渉を希望する場合には、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
占有離脱物横領罪は時効待ちではなくグラディアトル法律事務所に相談を

占有離脱物横領罪を犯してしまったときは、時効待ちではなく、まずはグラディアトル法律事務所にご相談ください。
経験豊富な弁護士が示談交渉を担当
占有離脱物横領罪を犯してしまったときは、時効待ちではなくすぐに被害者と示談を行うことが重要です。なぜなら、占有離脱物横領罪は、横領事件の中でも比較的軽微な犯罪ですので、被害者との示談が成立すれば刑事罰を回避できる可能性が高くなるからです。
グラディアトル法律事務所では、刑事事件の示談交渉に関する豊富な経験と実績を有する弁護士が多数在籍していますので、占有離脱物横領罪の示談交渉も当事務所の弁護士にお任せください。経験豊富な弁護士が示談交渉を担当し、速やかに示談を成立させられるよう全力でサポートいたします。
最短即日対応可能
刑事事件はスピード勝負といわれるように、迅速な対応が重要になります。対応が遅れれば不利な処分が出てしまうリスクが高くなりますので、弁護士に依頼するなら迅速な対応が可能な弁護士を選ぶべきです。
グラディアトル法律事務所では、刑事事件に関してスピード対応を心がけていますので、最短で即日対応が可能です。身柄拘束されている場合には、すぐに警察署に駆けつけて面会を実施しますので、一刻も早く当事務所までご相談ください。
初回相談料無料・24時間365日相談受付
当事務所では、相談は24時間365日受け付けておりますので、早朝・夜間や土日祝日であっても関係なく対応可能です。また、初回法律相談を無料で対応しています。
まずは相談だけでも結構ですので、当事務所までご相談ください。
まとめ
占有離脱物横領罪の公訴時効は、3年ですので、横領行為から3年が経過すれば刑事処分を受ける可能性は消滅します。
しかし、時効直前に発覚するケースもありますので、確実に刑事処分を回避するなら時効待ちではなく被害者との示談を行うべきでしょう。示談交渉には、専門家である弁護士のサポートが不可欠となりますので、被害者との示談交渉を希望される方は、経験と実績豊富なグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。