淫行とはどのような犯罪?成立し得る5つの犯罪とその刑罰を解説

淫行とはどのような犯罪?成立し得る5つの犯罪とその刑罰を解説
弁護士 若林翔
2024年09月30日更新

「淫行とはどのような犯罪なのだろうか?」

「未成年者との性行為で犯罪にならないケースはある?」

「淫行による犯罪が発覚するのはどのようなことがきっかけ?」

淫行とは、一般的にみだらな行為を指す言葉です。

各都道府県では、青少年健全育成条例(淫行条例)を制定して、主に未成年者との淫行を禁止し、処罰の対象としています。

そのほかにも、淫行の態様や被害者の年齢、お互いの関係性などによって、成立する犯罪が異なりますので、注意が必要です。淫行でどのような犯罪が成立するかによって、科される刑罰の重さも大きく変わってきますので、まずはどのような犯罪に該当するかを押さえておくことが大切です。

本記事では、

・淫行により成立する可能性のある5つの犯罪と刑罰

・未成年者と性行為をしても犯罪(淫行)にならない4つのケース

・淫行による犯罪が発覚する4つのきっかけ

などについてわかりやすく解説します。

未成年者との淫行をしてしまったときは、すぐに対応することで逮捕や起訴を回避できる可能性がありますので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

淫行とは

淫行とは

淫行とは、一般的にみだらな行為を指す言葉です。法律上明文で定義されているわけではありませんが、判例では、「淫行」について以下のような解釈を示しています。

「淫行」とは、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいう(最高裁昭和60年10月23日判決)。

すなわち、未成年者との間で行われる、以下のような行為が淫行にあたるといえます。

・青少年を誘惑、威迫(脅してしたがわせようとすること)、欺罔(騙したり、あざむいたりすること)、困惑させるなどその心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交または性交類似行為

・青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交または性交類似行為

淫行により成立する可能性のある5つの犯罪と刑罰

淫行により成立する可能性のある5つの犯罪と刑罰

淫行により成立する可能性のある犯罪としては、以下の5つがあります。

罪名行為被害者の年齢法定刑
青少年健全育成条例違反性交または性交類似行為18歳未満2年以下の懲役または100万円以下の罰金
児童福祉法違反支配関係にある人による性交または性交類似行為18歳未満10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらが併科
児童買春・
児童ポルノ禁止法違反
金品を供与または供与する約束をして行う性交等18歳未満5年以下の懲役または300万円以下の罰金
不同意性交等罪同意のない性交または性交類似行為限定なし
ただし、13歳未満の場合または13歳以上16歳未満行為者が5歳以上年長である場合には、被害者の同意の有無にかかわらず犯罪成立
5年以上の有期拘禁刑
不同意わいせつ罪同意のないわいせつ行為限定なし
ただし、13歳未満の場合または13歳以上16歳未満行為者が5歳以上年長である場合には、被害者の同意の有無にかかわらず犯罪成立
6月以上10年以下の拘禁刑

青少年健全育成条例(淫行条例)違反|2年以下の懲役または100万円以下の罰金

青少年健全育成条例とは、青少年の保護と健全な育成を目的として、各都道府県が制定している条例です。未成年者との淫行を主な規制対象としていることから、「淫行条例」という通称で呼ばれています。

たとえば、東京都の「東京都青少年の健全な育成に関する条例」では、未成年者との淫行について、以下のように規定しています。

(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)

第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

同条例に違反した場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

都道府県によって規制内容や罰則に多少の違いはありますが、ほとんど同じような内容になっています。

淫行条例とは?成立要件や処罰の対象外となる4つのケースを解説 

児童福祉法違反|10年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科あり)

児童福祉法では、児童に淫行をさせる行為を禁止しています。児童とは、18歳未満の未成年者を指し、児童と支配関係にある大人(教師など)が児童に対して性交や性交類似行為をすると児童福祉法違反となります。

児童福祉法違反が成立した場合、10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらが併科されます。

児童買春・児童ポルノ禁止法|5年以下の懲役または300万円以下の罰金

児童買春・児童ポルノ禁止法では、「児童買春」が禁止されています。

児童買春とは、18歳未満の男女に対して、金品を供与または供与する約束をして性交等をすることをいいます。

このような児童買春をした場合、5年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。

不同意性交等罪|5年以上の有期拘禁刑

不同意性交等罪とは、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にさせ、またはそのような状態に乗じて性交等を行う犯罪です(刑法177条)。

被害者の年齢が13歳未満の場合または13歳以上16歳未満で行為者が5歳以上年長である場合には、被害者の同意の有無にかかわらず、不同意性交等罪が成立します。

不同意性交等罪が成立した場合、5年以上の有期拘禁刑に処せられます。

不同意わいせつ罪|6月以上10年以下の拘禁刑

不同意わいせつ罪とは、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にさせ、またはそのような状態に乗じてわいせつな行為をする犯罪です(刑法176条)。

被害者の年齢が13歳未満の場合または13歳以上16歳未満で行為者が5歳以上年長である場合には、被害者の同意の有無にかかわらず、不同意わいせつ罪が成立します。

不同意わいせつ罪が成立した場合、6月以上10年以下の拘禁刑に処せられます。

未成年者と性行為をしても犯罪(淫行)にならない4つのケース

未成年者と性行為をしても犯罪(淫行)にならない4つのケース

未成年者との性行為のすべてが犯罪になるわけではありません。以下のようなケースであれば、未成年者と性行為をしたとしても犯罪には該当しません。

未成年者同士の性交

未成年同士の性交等については、各都道府県の淫行条例により処罰対象から除外されています。たとえば、東京都青少年の健全な育成に関する条例では、以下のような定めがあります。

(青少年についての免責)

第三十条 この条例に違反した者が青少年であるときは、この条例の罰則は、当該青少年の違反行為については、これを適用しない。

このように未成年者同士の性交等については、淫行条例違反になることはありません。

ただし、未成年者同士の性交等であっても、被害者の年齢が13歳未満の場合または13歳以上16歳未満で行為者が5歳以上年長である場合には、不同意性交等罪により処罰されますので注意が必要です。

結婚を前提として交際している未成年者との性交

淫行条例では、みだらな性交または性交類似行為が処罰対象とされています。みだらな性交等とは、

・誘惑、威迫、欺罔、困惑させるなどその心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交等

・単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交等

をいいますので、結婚を前提として交際している者同士の性交であれば、みだらな性交等とはいえませんので相手が未成年者であっても淫行条例違反にはなりません。

ただし、被害者の年齢が13歳未満の場合または13歳以上16歳未満で行為者が5歳以上年長である場合には、結婚を前提として交際していたとしても、不同意性交等罪により処罰されますので注意が必要です。

真摯な交際関係にある未成年者との性交

結婚を前提とした交際でなくても、お互いに自由恋愛の範疇で真摯に交際している場合には、みだらな性交等とはいえませんので、淫行条例違反にはなりません。

ただし、未成年者との交際にあたって対価の支払いがある場合には、真摯な交際関係とは評価されず、淫行条例違反や児童買春として処罰される可能性もありますので注意が必要です。

また、結婚を前提とした交際のときと同様に、相手の年齢および相手と自分との年齢差によっては、「不同意性交等罪」(刑法177条)が成立しますので、これも注意が必要です。

未成年者だと知らずにした性交(※自治体により異なる)

未成年者であっても外見からは容易に判断できず、年齢を偽っていた場合、相手が未成年者であることに気付かずに性交等をしてしまうケースもあります。

このような場合には、淫行の故意がありませんので、基本的には淫行条例違反にはなりません。

ただし、都道府県によっては、過失犯も処罰する規定となっているところもあります。そのような場合、相手が未成年者であることに気付けたにもかかわらず、必要な注意を怠ったため気付けなかったと評価される場合には、過失が認められますので、淫行条例違反で処罰されることになります。

まずは、お住いの都道府県の淫行条例をみて、過失犯の処罰規定の有無を確認するようにしましょう。

淫行による犯罪が発覚する4つのきっかけ

淫行による犯罪が発覚するきっかけには、以下の4つが挙げられます。

淫行による犯罪が発覚する4つのきっかけ

警察によるサイバーパトロール

警察では、民間企業や団体などに委託して、ネット上の違法サイトや有害情報の巡回チェックなどを行っています。

ネット上の掲示板やSNSなどで未成年者との淫行が疑われるようなメッセージのやり取りをしていたり、違法な児童ポルノ画像・動画をアップロードしていたりすると、警察によるサイバーパトロールで、未成年者との淫行がバレてしまう可能性があります。

近年、警察はサイバーパトロールに力を入れていますので、匿名であるからと油断をして安易なメッセージのやり取りなどをしているとすぐにばれてしまうでしょう。

職務質問や補導

未成年者とホテル街を一緒に歩いているところを警察官に目撃されてしまうと、その場で職務質問をされてしまいます。お互いの年齢差などから児童買春や淫行などの疑いが生じると、そのまま任意同行されて、逮捕に至る可能性もあります。

また、未成年者が深夜に徘徊していたなどの理由で警察に補導された際に、スマートフォンを調べられてしまうと、そこから淫行が発覚することもあります。このように自分が気を付けていたとしても、相手がきっかけで淫行がバレるケースもあります。

家族や学校の教師からの通報

子どもが分不相応なブランド品などを所持していると、不審に思った親から問い詰められて、援助交際やパパ活などがバレてしまうことがあります。

また、学校に匿名で淫行の疑いがある旨の通報があると、教師による面談で淫行が発覚することもあります。

家族や学校の教師に淫行がバレてしまうと、警察に通報されてしまいますので、警察による捜査の結果、逮捕に至る可能性もあります。

別件の捜査により発覚

援助交際やパパ活などをしている未成年者は、あなた以外にも複数の人と性交等を行っている可能性があります。別の人が未成年者との淫行で逮捕されてしまうと、そこから芋づる式に当該未成年者と関係を持っていた人が特定され、逮捕されてしまうケースもあります。

淫行による犯罪をしたときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談を

淫行による犯罪をしたときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談を

淫行による犯罪をしてしまったときは、弁護士のサポートが必要になりますので、すぐにグラディアトル法律事務所までご相談ください。

淫行による逮捕を回避するためのサポートができる

未成年者との淫行をしてしまうと淫行条例違反などを理由に逮捕されてしまう可能性があります。逮捕されてしまうと、長期の身柄拘束を受けたり、家族や職場にバレてしまうなどさまざまな不利益が生じるリスクがあります。

このようなリスクを回避する方法としては、自首や被害者の親との示談が考えられます。

グラディアトル法律事務所に相談をすれば、自首のタイミングについてアドバイスすることができ、自首をする際には、弁護士が警察署に同行してサポートすることができます。

また、淫行事件では被害者の親の処罰感情が強く示談交渉が難航するケースも少なくありませんが、当事務所には淫行事件の示談交渉の経験豊富な弁護士が多数在籍していますので、安心してお任せください。

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早期の身柄解放を実現できる

警察により逮捕され、勾留されてしまうと、最大で23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになります。身柄拘束期間が長くなると、会社を解雇されてしまうなどのリスクが高くなりますので、早期の身柄解放を実現することが重要になります。

グラディアトル法律事務所にご依頼いただければ、以下のような方法により早期の身柄解放を実現することができます。

・検察官による勾留請求の阻止

・勾留決定に対する準抗告の申立て

・勾留の取消請求

早期の身柄解放を実現するには、早期に弁護活動に着手することが必要になりますので、淫行により逮捕されてしまった場合は、一刻も早く当事務所までご相談ください。

不起訴処分の可能性を高めることができる

淫行により起訴されてしまうと、99%以上の確率で有罪になりますので、前科を回避するには不起訴処分を獲得することが重要になります。

グラディアトル法律事務所では、淫行事件の経験豊富な弁護士が早期に被害者との示談交渉に着手し、示談を成立させることで不起訴処分に向けて全力でサポートいたします。

初回相談料無料、24時間365日相談を受け付けておりますのでまずは当事務所までご相談ください。

淫行を弁護士に依頼する4つのメリットと淫行に強い弁護士の選び方

まとめ

未成年者との淫行により成立する可能性のある犯罪には、

・青少年健全育成条例(淫行条例)違反

・児童福祉法違反

・児童買春・児童ポルノ禁止法

・不同意性交等罪

・不同意わいせつ罪

があり、それぞれ刑罰の内容も異なっています。いずれにしても、淫行が犯罪に該当する場合には、早期に被害者と示談を成立させることが重要になりますので、一刻も早く弁護士に相談するようにしましょう。

淫行事件を起こしてしまったという方やそのご家族の方は、淫行事件に強いグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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