大切な家族が痴漢で逮捕されてしまったら…
家族が突然痴漢で逮捕されることは、大きなショックであり、不安や混乱を感じるかもしれません。
しかし、まずは冷静になることが大切です。
逮捕後は警察署で身柄が拘束されますが、家族としてできることは多くあります。今すぐに行動を起こすことで、早期釈放の可能性を高めることができます。
家族がすべき初動のステップ |
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弁護士への連絡 逮捕された家族を一刻も早く釈放してもらうために、信頼できる弁護士にすぐに連絡を取りましょう。 弁護士は、早期の示談交渉や勾留請求に対する適切な対応が可能です。また、弁護士に依頼することで、家族との接見がスムーズに行えるようになります。 状況の把握 どのような状況で逮捕されたのか、家族にできるだけ詳しく聞き取り、弁護士に伝える準備をしましょう。現行犯逮捕か後日逮捕かによっても対応が異なるため、できるだけ多くの情報を集めておくことが大切です。 冷静なサポート 家族が不安を感じている時こそ、冷静なサポートが必要です。逮捕後、勾留が決定される前の段階で弁護士に相談し、早期釈放の可能性について話し合うことが重要です。 |
早期釈放を目指すための行動提案 |
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1 被害者との示談を進める 弁護士のサポートを得て、被害者との示談を早期に進めることが、釈放を実現する大きな鍵になります。 示談が成立すると、検察が起訴を見送る可能性が高まります。 2 家族としての役割を果たす 家族ができることは、精神的な支えになることです。逮捕された家族に対して、あなたがそばにいることを伝え、冷静に対処できるようサポートしましょう。 3 法的手続きに協力する 家族として、弁護士の指示に従い、必要な書類の準備や手続きをサポートします。例えば、身柄引受書の準備や、弁護士が提出する意見書に必要な情報提供を行いましょう。 4 感情を大切にしながらのサポート 家族が逮捕されたとき、あなた自身も動揺しているかもしれません。しかし、家族のためにできることは、感情を抑えつつもその気持ちを大切にし、迅速に行動することです。 弁護士と協力して、早期釈放を目指しましょう。 |
このように、家族が逮捕されるという事態に直面したときには、冷静な判断と迅速な行動が求められます。あなたの支えが、家族の早期釈放につながる可能性があります。
本記事では、
・痴漢で逮捕されたから釈放までの流れ
・痴漢事件で釈放される9つのタイミング
・痴漢事件の早期釈放に向けて弁護士ができる6つのこと
などについてわかりやすく解説します。
目次
痴漢で逮捕されてから釈放までの流れ
痴漢で逮捕されると以下のような流れで刑事手続きが進んでいきます。
逮捕|1~2日目
痴漢事件での逮捕には、現行犯逮捕と後日逮捕の2種類があります。
現行犯逮捕は、痴漢現場で取り押さえられて逮捕に至るケースで、後日逮捕は、痴漢後に防犯カメラの映像などから犯人が特定されて逮捕に至るケースです。
いずれの逮捕であっても、逮捕されれば警察署の留置施設で身柄を拘束され、弁護士を除き外部と接触することが禁止されます。
なお、逮捕には時間制限が設けられており、警察は、被疑者を逮捕してから48時間以内に身柄を釈放するか検察官に送致しなければなりません。
なお、痴漢により逮捕されたときの流れや対処法などについては、こちらの記事をご参照ください。
【痴漢で逮捕】今後の流れと不起訴を獲得する方法を弁護士が解説
【家族が痴漢で現行犯逮捕】今すぐやるべき3つの行動を解説!
検察官送致|2~3日目
警察から送致を受けた検察官は、被疑者の取り調べをした上で、身柄拘束を継続すべきかどうかを判断します。
検察官は、警察から送致を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか、裁判所に勾留請求をしなければなりません。
勾留請求・勾留質問|3日目
検察官が被疑者の身柄拘束が必要であると判断すると、裁判所に勾留請求を行います。
裁判官は、被疑者の話を聞いて勾留するかどうかを決めることになりますが、これを「勾留質問」といいます。
勾留請求が却下されれば、その場で被疑者の身柄は解放されます。
勾留|4~13日目
裁判官が勾留を許可すると、勾留請求から原則として10日間の身柄拘束が続きます。
逮捕中は弁護士以外の面会が禁止されていましたが、勾留中は、接見禁止命令が出ていない限りは、外部との面会が可能になります。
勾留延長|14日~23日目
勾留には延長制度がありますので、検察官が勾留延長請求をして、裁判官がそれを許可すると、さらに最大10日間の身柄拘束が続きます。
起訴または不起訴の決定
検察官は、勾留期間が満了するまでの間に、痴漢事件を起訴するか不起訴にするかの判断をします。
痴漢事件で釈放される9つのタイミング
痴漢事件で逮捕されたとしても、以下のようなタイミングで釈放される可能性があります。
項目 | 釈放される理由 | 詳細 |
---|---|---|
逮捕後、検察官送致前の釈放 | 容疑なし、示談成立 | 犯罪容疑がないと判明した場合や、被害者と示談が成立し、処罰意思がない場合に釈放されることがあります。 |
勾留請求前の釈放 | 勾留の要件不満 | 逃亡や証拠隠滅の恐れがない場合、検察官が勾留請求を行わずに釈放されることがあります。 |
勾留請求却下による釈放 | 裁判官による却下 | 裁判官が勾留の要件を満たしていないと判断した場合、勾留請求が却下され釈放されます。 |
勾留後の準抗告認容による釈放 | 準抗告が認容された場合 | 勾留決定に対する準抗告が認容された場合、釈放されます。 |
勾留後の勾留取消請求認容による釈放 | 勾留理由や必要性の消失 | 勾留決定後に勾留の理由や必要性がなくなった場合に勾留取消請求が認容されれば、釈放されます。 |
勾留延長請求却下による釈放 | 延長要件不満 | 裁判官が勾留延長の要件を満たしていないと判断した場合、勾留延長請求が却下され釈放されます。 |
不起訴処分による釈放 | 不起訴処分 | 検察官が不起訴処分とした場合、釈放されます。 |
処分保留による釈放 | 処分保留 | 起訴・不起訴の判断ができない場合に、判断を保留したまま釈放されますが、後に起訴される可能性があります。 |
起訴後、保釈決定による釈放 | 保釈決定 | 裁判所が保釈請求を認容し、保釈保証金を納付することで釈放されます。 |
逮捕後、検察官送致前の釈放
逮捕後、検察官送致前のタイミングで釈放されるケースとしては、以下のような事情がある場合です。
・逮捕したものの犯罪の容疑がないと判明した場合
・被害者と示談が成立し、被害者に処罰意思がない場合
なお、軽微な事件については、微罪処分により釈放されることがありますが、痴漢のような性犯罪では、微罪処分による釈放は期待できないでしょう。
勾留請求前の釈放
逮捕に引き続いて勾留を請求するかどうかは、検察官が判断します。
逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれといった勾留の要件がない場合には、検察官は勾留請求をせずに、痴漢の被疑者を釈放することがあります。
勾留請求却下による釈放
検察官による勾留請求があったとしても、勾留を許可するか却下するかは裁判官が判断します。裁判官が勾留の要件を満たしていないと判断すると勾留請求は却下され、その時点で被疑者は釈放されます。
勾留後の準抗告認容による釈放
勾留請求に対する準抗告とは、裁判官が行った勾留決定に対して不服があるときに行える不服申し立ての手続きです。準抗告により裁判官が認めた勾留の理由や必要性が誤りであっと認められれば、準抗告認容により被疑者は釈放されます。
勾留後の勾留取消請求認容による釈放
勾留取消請求とは、勾留決定後に勾留の理由や必要性がなくなった場合に勾留の取り消しを求めることができる手続きです。
準抗告は、勾留決定が不当であることを主張するものですが、勾留取消請求は勾留決定は不当ではないもののその後の事情の変化により勾留の理由や必要性がなくなったため、勾留を取り消してほしいと請求するものになります。
勾留延長請求却下による釈放
検察官による勾留延長請求があったとしても、勾留延長を許可するか却下するかは裁判官が判断します。裁判官が勾留延長の要件を満たしていないと判断すると勾留延長請求は却下され、その時点で被疑者は釈放されます。
不起訴処分による釈放
検察官が事件を不起訴にする旨の処分をした場合には、その時点で釈放され、痴漢の前科が付くこともありません。
処分保留による釈放
処分保留による釈放とは、身柄拘束期間内に起訴・不起訴の判断をすることができないときに、その判断を保留したまま被疑者を釈放することをいいます。
不起訴処分による釈放とは異なり、処分保留による釈放は、起訴・不起訴の判断が確定していませんので、その後起訴されてしまう可能性もあり得ます。
起訴後、保釈決定による釈放
痴漢事件で起訴されてしまうと、起訴後勾留により身柄拘束が続きますが、起訴後は「保釈」という制度が設けられています。
裁判所に対して保釈請求を行い、それが認容されれば、保釈保証金を納付することを条件として被告人は釈放されます。
痴漢事件で釈放されるタイミングごとの釈放率
以下では、痴漢事件で釈放されるタイミングごとの釈放率を紹介します。釈放率を高める高めるためには、早期に弁護士に相談して示談交渉を開始することが重要になります。
項目 | 釈放率 | 詳細 |
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勾留請求前の釈放 | 2.1% | 令和5年の犯罪白書によると、強制わいせつ罪の勾留請求率は97.9%で、釈放率はわずか2.1% |
勾留請求却下による釈放 | 4% | 強制わいせつ罪で勾留請求された2203件中、82件(4%)が勾留請求却下による釈放 |
勾留後の準抗告認容による釈放 | 18% | 準抗告の件数1万5053件中、2744件(18%)が認容され釈放 |
勾留後の勾留取消請求認容による釈放 | 9% | 勾留取消請求の件数1398件中、128件(9%)が認容され釈放 |
勾留延長請求却下による釈放 | 0.4% | 勾留延長請求6万3712件中、285件(0.4%)が却下され釈放 |
不起訴処分による釈放 | 不同意わいせつ罪:61% 迷惑防止条例違反:33% | 不同意わいせつ罪の不起訴率は約61%、迷惑防止条例違反(痴漢を含む)は約33% |
起訴後、保釈決定による釈放 | 31% | 勾留状発布4万1857件中、1万3129件(31%)が保釈を許可され釈放 |
勾留請求前の釈放
令和5年の犯罪白書によると強制わいせつ罪の勾留請求率は、97.9%ですので、釈放率はわずか2.1%となっており、ほとんどの事件は勾留請求されていることがわかります。
勾留請求却下による釈放
令和5年の犯罪白書によると強制わいせつ罪で勾留請求されたのは2203件で、そのうち勾留請求却下となったのは82件ですので、勾留請求却下による釈放は、わずか4%しかありません。
勾留後の準抗告認容による釈放
令和5年の司法統計によると、準抗告の件数は1万5053件であるのに対して、準抗告が認容されたのは2744件でしたので、全体の18%しかありません。
勾留後の勾留取消請求認容による釈放
令和5年の司法統計によると、勾留取消請求の件数は1398件であるのに対して勾留取消請求が認容されたのは128件でしたので、全体の9%しかありません。
勾留延長請求却下による釈放
令和5年の司法統計によると、勾留延長請求の件数は、6万3712件であるのに対して、勾留延長請求が却下された件数は285件でしたので、全体の0.4%しかありません。
不起訴処分による釈放
検察統計によると、罪名ごとの痴漢事件の不起訴率は、以下のようになっています。
・不同意わいせつ罪……約61%
・迷惑防止条例違反……約33%(※痴漢のみの統計ではないため参考数値)
起訴後、保釈決定による釈放
令和5年の司法統計によると、勾留状を発布された被告人の数は、4万1857人であるのに対して、保釈を許可された被告人の数は1万3129人でしたので、保釈率は約31%となっています。
痴漢事件で早期釈放を目指す3つのポイント
痴漢事件で早期釈放を目指すのであれば、以下の3つのポイントを押さえておくことが大切です。
被害者との示談を成立させる
被害者との間で示談を成立させることができれば、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがなくなりますので、逮捕・勾留の要件が失われ、釈放してもらえる可能性が高くなります。そのため、早期釈放を目指すのであれば、早期に被害者との間で示談を成立させることが重要になります。
被害者との示談は、検察官による起訴・不起訴の判断にあたっても重要な考慮要素となりますので、示談が成立していれば不起訴処分を獲得できる可能性も高くなります。
なお、痴漢事件の示談金に関する詳細については、以下の記事をご参照ください。
痴漢示談金(慰謝料)相場は30〜150万円!減額する方法解説
罪を認め捜査に協力する
痴漢をしたのが事実であれば、罪を認めて捜査に協力することで早期釈放の可能性を高めることができます。
ただし、早く釈放されたいからといってやってもいない痴漢を認めることは絶対にしてはいけません。痴漢を認めることで早期釈放が実現できるかもしれませんが、やってもいない痴漢で処罰され、前科が残ってしまいますので、その後の生活に重大な支障が生じる可能性があります。冤罪であれば、否認を続けることが重要です。
弁護士に依頼する
痴漢事件で早期釈放を目指すのであれば、逮捕後すぐに弁護士に依頼することが重要です。
弁護士であれば早期に被害者との示談交渉に着手し、示談を成立させることができますので、早期釈放を実現することが可能です。
なお、弁護士に依頼するメリットについては、次章で詳しく説明します。
痴漢事件の早期釈放に向けて弁護士ができる6つのこと
痴漢事件の早期釈放に向けて、弁護士であれば以下のようなサポートをすることができます。
被害者との示談交渉
身柄を拘束されている状態の被疑者では、被害者と示談交渉をするのは不可能ですので、弁護士のサポートが不可欠となります。
弁護士であれば、連絡先のわからない被害者であっても捜査機関を通じて連絡を取ることができます。また、被害者としても痴漢の加害者やその家族と直接交渉するよりも、弁護士が窓口になっている方が安心ですので、弁護士が対応することでスムーズに示談が成立する可能性があります。
身柄引受書の準備
身柄引受書とは、身柄拘束されている人の監督を約束することなどを内容とする書面です。
適切な監督者がいれば被疑者を釈放したとしても、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが減少しますので、身柄拘束から解放してもらえる可能性が高くなります。
弁護士は、監督者となり得る人と連絡をとり、身柄引受人を依頼し、身柄引受書を準備することができます。
勾留請求に対する意見書の提出
弁護士は、検察官に対して勾留請求をしないよう意見書を提出することができます。
意見書では、勾留の要件を満たしていないことや勾留延長の要件がないことなどを記載して、検察官の勾留請求を阻止できるよう説得していきます。
勾留に対する準抗告や勾留取消請求
裁判所から勾留決定がなされたときは、不当な勾留決定であれば勾留に対する準抗告を行い、勾留決定後に示談が成立したような場合には勾留取消請求による釈放を求めていくことができます。
被疑者との接見時に取り調べのアドバイス
取り調べに対する対応も早期釈放の観点からは重要になります。
痴漢行為が事実であれば、早期に痴漢したことを認め、反省の態度を示すことで勾留請求や勾留延長を阻止することが可能になります。弁護士であれば逮捕段階から被疑者と面会することができますので、弁護士のアドバイスにしたがって取り調べに対応することで早期釈放の可能性を高めることができるでしょう。
起訴後の保釈請求
痴漢事件で起訴されてしまったとしても、保釈請求により一時的に釈放してもらえる可能性があります。
保釈請求の手続きや保釈保証金の確保などは弁護士がすべて対応しますので、弁護士に依頼することで早期の保釈が実現できる可能性が高くなります。
なお、痴漢事件を弁護士に依頼するメリットについては、こちらの記事をご参照ください。
痴漢事件は迷わず弁護士を呼べ!理由と早期に不起訴獲得した事例
痴漢事件で早期釈放を目指すならグラディアトル法律事務所に相談を
痴漢事件で大切なご家族が逮捕されてしまったときは、すぐにグラディアトル法律事務所にご相談ください。
早期釈放を目指すのであれば、まずは検察官による勾留を阻止する必要がありますので、逮捕から72時間の弁護活動が重要になります。限られた時間内に効果的な弁護活動をするためには、逮捕後すぐに弁護士に依頼する必要があります。逮捕から時間が経てば経つほど早期の身柄釈放が困難になっていきますので、一刻も早く当事務所にご相談ください。
当事務所では、24時間365日相談を受け付けていますので、早朝・深夜、休日であっても気にせずご連絡ください。正式に依頼があれば経験豊富な弁護士が全国どこでもすぐに駆け付けて、早期釈放の実現に向けて尽力いたします。
まとめ
痴漢で逮捕されたとしても、その後いくつかのタイミングで釈放してもらえる可能性があります。早期釈放の可能性を高めるには、早期に弁護士に依頼して弁護活動に着手してもらうことが重要です。
大切なご家族が痴漢で逮捕されてしまったという場合には、痴漢事件の弁護に強いグラディアトル法律事務所までご相談ください。