公然わいせつ罪の罰金刑の相場は10~20万円|罰金回避の対策を解説

公然わいせつ罪の罰金刑の相場は10~20万円|罰金回避の対策を解説
弁護士 若林翔
2024年12月23日更新

「公然わいせつ罪で有罪になったときの罰金刑の相場は?」

「公然わいせつ罪で罰金刑が科される場合の手続きの流れを知りたい」

「公然わいせつ罪で罰金刑を回避する方法とは?」

公然わいせつ罪の法定刑は、「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」と定められています。

懲役刑も規定されている公然わいせつ罪ですが、有罪になった場合は、罰金刑が科されるケースが多く、その際の金額は10~20万円程度が相場です。

もっとも、罰金刑も前科であることには変わりありませんので、前科が付くのを回避するには、被害者との示談などの適切な対応が必要になります。

本記事では、

・公然わいせつ罪の罰金刑の相場

・公然わいせつ罪で罰金刑が科されるまでの流れ

・公然わいせつで罰金刑を回避するためにできる5つのこと

などについてわかりやすく解説します。

公然わいせつ罪で罰金刑を回避するには、刑事事件に強い弁護士のサポートが不可欠となりますので、事件を起こしてしまったときはすぐに弁護士に相談するようにしましょう。

公然わいせつ罪で有罪になると罰金刑が一般的|罰金の相場は10~20万円程度

公然わいせつ罪で有罪になると罰金刑が一般的 罰金の相場は10~20万円程度

公然わいせつ罪の法定刑や実際の量刑相場はどのようになっているのでしょうか。以下で詳しくみていきましょう。

公然わいせつ罪の法定刑

公然わいせつ罪で有罪になると以下のいずれかの刑罰が科されます。

・6月以下の懲役

・30万円以下の罰金

・拘留

・科料

拘留とは、1日以上30日未満の期間、刑事施設において身柄を拘束され、自由を奪われる刑罰です。

科料とは、1000円以上1万円未満の金銭の納付を命じられる刑罰です。

刑罰の重さは、懲役>罰金>拘留>科料の順になります。

下記の記事でも詳しく記載をしていますので、参考になさってください。

公然わいせつ罪とは?犯罪の定義・法定刑や具体的な4つの行為を解説

罰金刑の量刑相場は10~20万円程度

公然わいせつ罪には、上記のとおり4種類の刑罰が定められていますが、そのうち罰金刑が科されるケースが圧倒的に多いです。

2023年の検察統計によると、公然わいせつ罪で起訴された822件のうち、公判請求となった事件が151件、略式命令請求になった事件が671件ありました。略式命令請求は、罰金または科料の刑罰を科す手続きですので、約82%の事件が罰金刑になっていることがわかります。

公然わいせつ罪で罰金刑が科される場合は、法定刑の範囲内で罰金の納付が命じられますが、一般的な罰金刑の相場としては10~20万円程度になります。

公然わいせつ罪の罰金額に影響を与える要素

公然わいせつ罪の罰金刑の相場は10~20万円程度になりますが、以下のような要素によって実際の金額は前後することがあります。

項目内容具体例・影響
行動の具体的な方法や状況行為の場所や状況が悪質であるほど罰金額は高額になる深夜の公園で露出 → 悪質性は低い
商業施設内で多数の人が目撃 → 悪質性が高く罰金額増加
犯行の動機・目的計画性や動機が悪質だと罰金額が高額になる・ハプニングバーで複数人と共謀して性行為 → 悪質と評価されやすい
被害者の有無・被害の程度目撃者の存在や被害の影響が大きいほど罰金額が高額になる・未成年者が目撃した場合 → 精神的ショックが大きく罰金額増加
前科・前歴の有無前科や同種前歴があると罰金刑では済まないこともある・初犯 → 罰金刑の可能性が高い
・同種前科あり → 懲役刑が科される可能性
余罪の有無同種の犯罪を繰り返している場合、罰金額が高額になる・複数回の露出行為 → 常習性が認定され、厳罰化

行動の具体的な方法や状況

行動の具体的な方法や状況から悪質であると判断されると、罰金額は高額になる傾向があります。

たとえば、深夜誰もいない公園で下半身を露出する行為と商業施設内で多数の客がいる前で下半身を露出するのとでは、後者の方が悪質性が高いと評価されます。

犯行の動機・目的

犯行の動機や目的が悪質であり、計画性のある犯行であるほど罰金額は高額になります。

たとえば、ハプニングバーでの性行為など複数の人と示し合わせて公然わいせつ行為をするなどの事案だと、動機や目的が悪質であると評価される可能性があります。

被害者の有無・被害の程度

公然わいせつ罪は、性秩序・健全な性風俗といった社会的法益を保護法益にしていますので、特定の被害者を観念することはできません。

しかし、公然わいせつ事件の現場を目撃した人は、見たくないものを見せられたことで精神的苦痛を被っていますので、実質的には被害者といえるでしょう。このような目撃者の有無や被害の程度も量刑判断にあたっての考慮要素となります。

たとえば、未成年者を対象として公然わいせつ行為をした場合、成人を対象とする場合に比べて被害者に与える精神的ショックが大きいため、罰金額が高額になる可能性があります。

前科・前歴の有無

前科・前歴の有無によって適用される刑罰が変わることがあります。

初犯であれば、略式命令請求により罰金刑になるようなケースでも、同種前科があるようなケースでは、公判請求により懲役刑が科される可能性があります。

余罪の有無

過去に刑事裁判により有罪となった前科がなかったとしても、同種の犯罪を繰り返している場合には、余罪を考慮して量刑が判断されます。

そのため、同様の公然わいせつ行為を繰り返している事案では、より高額な罰金刑が科される可能性があります。

公然わいせつ罪で罰金刑が科されるまでの流れ|略式手続き

公然わいせつ罪で罰金刑が科される場合、一般的に略式命令請求という手続きが選択されます。以下では、略式手続きの流れについて説明します。

公然わいせつ罪で罰金刑が科されるまでの流れ|略式手続き

検察官による略式手続きの説明

略式手続きとは、検察官による公判請求という正式な裁判手続きによらずに、書面審理のみで罰金または科料の刑罰を科す特別な裁判手続きです。このような略式手続きは、以下の要件を満たした場合に限り利用することができます。

・簡易裁判所の管轄に属すること

・100万円以下の罰金または科料を科す事件であること

・被疑者が略式手続きに同意していること

事件を担当する検察官は、略式手続きが相当であると判断したときは、被疑者に対して略式手続きの説明を行います。

被疑者による略式手続きへの同意

略式手続きを利用するには、被疑者の同意が必要になりますので、検察官から略式手続きの説明を受けたら、略式手続きに同意するかどうかを検討します。

略式手続きに同意すると無罪を争うことができませんので、同意するかどうかは慎重に判断することが大切です。

略式手続きを利用することに同意をする場合は、検察官から提示された略式手続きに同意する旨の書面に署名・押印を行います。

略式起訴

略式手続きに関する被疑者の同意が得られたら、検察官は、簡易裁判所に略式請求の手続きを行います。これを「略式起訴」といいます。

略式起訴は、起訴状に略式命令を請求する旨の文言が加えられて、被疑者の同意書が添付されます。

裁判所による略式命令

簡易裁判所は、略式命令が相当であると判断すると、略式起訴から14日以内に、略式命令を下します。

略式命令の内容に不服があるときは、略式命令の告知日から14日以内であれば、正式な公判手続きを求めることが可能です。

罰金の納付

在宅事件では、裁判所から略式命令書と罰金の納付書が送られてきますので、記載された期限内に罰金の納付を行わなければなりません。

身柄事件では、罰金を納付した時点で釈放になりますので、家族などに連絡して罰金の支払いのためのお金を準備してもらいましょう。

なお、罰金が払えない場合には、労役場留置という身柄拘束の措置がとられます。労役場では、一般的に1日あたり5000円の刑務作業を行い、そのお金を罰金の支払いに充てることになります。

公然わいせつ罪で罰金刑を回避するためにできる5つのこと

公然わいせつ罪で罰金刑を回避するためにできる5つのこと

公然わいせつ事件を起こしたとしても、不起訴処分を獲得できれば、罰金刑を回避することができます。罰金刑を回避することができれば、以下のようなメリットが得られます。

・罰金の支払いによる経済的負担が軽減できる
・身柄事件であれば不起訴により釈放される
・前科を回避できる
・資格の欠格事由を回避できる

このようなメリットがありますので、公然わいせつ罪の罰金刑を回避するためにできる以下の方法を検討することが大切です。

被害者(目撃者)との示談

公然わいせつ罪は、性秩序・健全な性風俗といった社会的法益を保護法益にしていますので、特定の被害者を観念することはできません。しかし、実務上は公然わいせつ事件の現場を目撃した人を被害者とみなして示談を行うケースが多いです。

目撃者は、見たくないものを見せられたことで精神的苦痛を被っていますので、目撃者に対して慰謝料(示談金)の支払いをすることにより被害回復を図ることができます。

被害者との示談が成立していれば、被疑者にとって有利な情状として考慮してもらえますので、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。

公然わいせつで罪の示談をする4つのメリットと示談以外にできること

 

贖罪寄付

目撃者がいないまたは目撃者がいても示談に応じてくれないときは、贖罪寄付を検討してみましょう。

贖罪寄付とは、贖罪寄付とは、罪を犯した人が反省の気持ちを示すために、弁護士会や被害者支援団体などに対して寄付をすることをいいます。贖罪寄付をすると、寄付先から「贖罪寄付を受けたことの証明書」が発行されますので、それを検察官に提出することで有利な情状として考慮してもらうことができます。

ただし、贖罪寄付では、被害者に対する直接の被害回復がなされていませんので、被害者との示談に比べると大きな効果は期待できません。

専門の医療機関での治療

常習的に公然わいせつ行為をしている方は、専門の医療機関での治療を検討した方がよいでしょう。

今回は、不起訴や罰金刑で済んだとしても、再び公然わいせつ罪を犯してしまうと、今度は懲役刑が選択され実刑になるリスクもあります。自分の意思だけではやめられないという場合には、「治療」という形で専門家を頼るべきです。

このような治療を行っているという事情は、再犯防止に向けた取り組みとして評価してもらうことができますので、不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができるでしょう。

家族による監督

同居の家族による監督が期待できれば、不起訴処分獲得に向けて有利な事情となります。

公然わいせつ罪などの性犯罪は、再犯率の高い犯罪として知られていますので、再犯の可能性が低いということを検察官に示すことが重要です。

同居の家族が今後の監督をする旨の誓約書を作成し、検察官に提出すれば、有利な事情として考慮してもらうことができます。

警察への自首

公然わいせつ事件が捜査機関に発覚する前であれば自首も有効な手段になります。

自首の法的効果は、刑の任意的な減軽ですが、自首により反省の態度を示すことができますので、不起訴処分に傾く有利な事情の一つとなります。

 

公然わいせつ罪で罰金刑の回避を希望する方はグラディアトル法律事務所に相談を

公然わいせつ罪で罰金刑の回避を希望する方はグラディアトル法律事務所に相談を

公然わいせつ罪で罰金刑を回避するには、不起訴処分を獲得する必要があります。公然わいせつ事件を起こした後、何もしないままだと不起訴処分を獲得するのは困難ですので、早めに弁護士に相談するようにしてください。

グラディアトル法律事務所では、公然わいせつ事件の弁護士に関する豊富な経験と実績がありますので、罰金刑を回避するためのノウハウを熟知しています。経験豊富な弁護士が早期に弁護活動に着手し、検察官による処分決定前に有利な事情を提出することで、不起訴処分になる可能性を高めることが可能です。罰金刑の回避を希望する方は、経験と実績豊富な当事務所までご相談ください。

当事務所では、相談は24時間365日受け付けておりますので、早朝・夜間や土日祝日であっても関係なく対応可能です。また、初回法律相談を無料で対応していますので、まずは相談だけでも結構です。刑事事件は、スピード勝負と言われるように迅速な対応が重要になりますので、少しでも早く弁護活動に着手するためにもまずは当事務所までお問い合わせください。

 

まとめ

公然わいせつ罪で有罪になると、罰金刑が科されるケースが多いです。罰金刑も前科にあたりますので、前科が付くことによる不利益を回避するには、不起訴処分を獲得することが重要になります。

公然わいせつ事件で不起訴処分を獲得するには、刑事事件に強い弁護士のサポートが不可欠となりますので、公然わいせつ事件を起こしてしまったという方は、経験と実績豊富なグラディアトル法律事務所までご相談ください。

 

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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