・暴行事件を起こしてしまった
・示談をするべきか迷っている
・示談しないとどうなるの?
こんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
・金銭的な問題
・感情的な問題
ご事情は様々ですが、暴行事件で示談したくないと考えている方は珍しくありません。
しかし暴行事件で「示談しない」という選択は、全くおすすめできません。
暴行自体を否認しているケースや、正当防衛を主張するケースなどの一部の特殊なケースを除けば、メリットが殆どないどころか、事件の内容によっては、その後の人生に大きな影響を与えてしまうからです。
暴行事件を起こしてしまったら、経験豊富な弁護士に依頼して、解決に向けて最大限努力しましょう。
納得がいかない点は、弁護士に相談し、適切なアドバイスを受ければ解決できるかもしれません。
本記事では、
・暴行罪で示談しないリスク
・示談しない方が良いケース
・示談をするメリット
について、弁護士が解説します。
暴行罪の示談で悩んでいる方は、是非ご一読ください。
目次
暴行罪で示談しない3つのリスク
暴行罪で「示談しない」という選択には、大きなリスクが伴います。
ここでは、示談をしない場合に生じる3つのリスクについて解説します。
前科が付く可能性が高まる
暴行罪で示談をしないと、前科が付く可能性が高まります。
示談の有無は、警察の捜査や、検察官の起訴判断に大きな影響を与えるからです。
特に、そもそも示談交渉の打診すらしていないようなケースでは、加害者の態度が厳しく評価されるでしょう。
謝罪や補償をする意思がないと受け止められ、検察官から厳しい求刑を受ける可能性が高くなります。
起訴されると、高確率で有罪判決となり、前科が付いてしまうでしょう。
一度ついた前科は消えること無く、人生に暗い影を落とします。
前科を防ぐためには、被害者と示談交渉を行い、被害の回復に向けて最善を尽くすことが必要です。
判決に悪影響が出る
示談をしないことで、判決に悪影響が出るリスクも見過ごせません。
警察や検察と同様に裁判官も、暴行罪の判決を決めるための材料として、示談を考慮するからです。
例えば、示談が成立しているかによって、罰金の金額が変わったり、懲役刑の期間が変わることは珍しくありません。
示談が成立していれば、加害者が反省の態度を示し、被害者に誠意を尽くしたと評価されます。
その結果、執行猶予がつきやすくなったり、求刑よりも軽い刑が言い渡されたりする可能性が高まるのです。
刑事処分を軽くするという意味でも、被害者と示談をすることは重要です。
民事訴訟を起こされる
示談しない場合、刑事裁判とは別に、民事訴訟を起こされるリスクも高くなります。
勘違いしている人も多いですが、示談しなかったからといって、民事上の賠償責任が生じない訳ではありません。
つまり、示談交渉をしていなくても、被害者に慰謝料を支払う必要はあるのです。
しかし一方で、「示談交渉していないけど、慰謝料は支払い済み」というケースは、あまり見かけません。
被害者と示談していないケースの多くは、(弁護士を通じて)被害者と接触することを怠っていたり、被害者との関係性が極端に悪化しているからです。
慰謝料を支払わないまま時間が経過すると、最終的には民事訴訟に発展します。
裁判になれば、裁判所から義務づけられる形で、賠償金を支払うことになりかねません。
弁護士費用や裁判費用も余計にかかってしまうでしょう。
示談交渉は、民事上のトラブルを防ぐためにも重要です。
暴行罪で示談しない方が良いケース
暴行罪では、基本的に殆どのケースで、示談をすることが賢明です。
前述のとおり、示談をしない選択をすると、大きなリスクを抱えてしまうからです。
しかし、示談をしない方が良いケースもゼロではありません。
例えば、次のようなケースでは弁護士に相談して、一旦状況を整理することが必要です。
冤罪の場合
冤罪とは、暴行を行っていないのに、誤って暴行事件の犯人とされてしまうことです。
例えば、被害者が事実と異なる供述をしていたり、他の人と間違えて逮捕されてしまったようなケースが挙げられます。
万が一、無実の罪で疑われている場合、示談をすると、犯罪事実を認めたと誤解される可能性があります。
本来は無実なのに、あたかも有罪であるかのように扱われてしまうリスクが高まるのです。
自分が行っていない暴行事件で、疑いをかけられている場合は、速やかに弁護士に相談しましょう。
正当防衛が成立する場合
正当防衛が成立する場合も、安易に示談することは避けるべきです。
急迫不正な侵害を受けて、自分や他人を守るために、やむを得ずに暴行などの行為に及んだ場合のこと
例えば、
「(先に)相手が暴力を振るってきたため、自分の身を守るために(最小限の)反撃を加えたようなケース」
が、正当防衛の典型例です。
正当防衛が認められれば、暴行罪は不成立となります。
警察や検察から刑事責任を問われることはなく、慰謝料などの賠償責任も無くなる可能性が高いでしょう。
ただし、相手への反撃行為であれば、全てが正当防衛になる訳ではありません。
正当防衛と認められるためには、いくつもの厳格な条件を満たす必要があるからです。
正当防衛を主張したい場合は、事前に弁護士に相談して、アドバイスを受けましょう。
法外な慰謝料を請求された場合
被害者から、法外な金額の慰謝料を要求された場合も、安易に応じない方が賢明です。
暴行事件の相手によっては、示談交渉の名目で、高額な慰謝料を請求してくることがあります。
実際、ご相談者様から話を伺っていても、「相場からかけ離れた金額を請求されている」と感じるケースは、珍しくありません。
例えば、軽い暴行事件なのに「慰謝料は100万円が必要だ」などと言われたら、法外な要求だと判断できるでしょう。
このように不当な金額を要求された場合、安易に示談に応じるべきではありません。
万が一、示談書にサインをしてしまうと、示談(和解契約)が成立してしまい、法的な債務を負ってしまいます。
請求された金額に違和感を覚えたら、必ず弁護士に確認しましょう。
そして、被害者の要求が常識の範囲を超えているなら、弁護士を通じて、きっぱりと拒否するべきです。
「お金を払いたくない」という理由で示談しないのはNG
ここまで、示談をしない方が良いケースを見てきました。
ただし「被害者にお金を払いたくない」という理由だけで、「示談しない」のは絶対にやめましょう。
そもそも、暴行事件を起こしてしまった以上、被害者に対する補償は避けられません。
被害者が受けた肉体的・精神的苦痛に対して、金銭的な賠償をするのは、加害者の当然の責任だからです。
示談しなかったからといって、その責任がなくなるわけではありません。
結局のところ、民事裁判を提起されてしまうと、被害者に慰謝料を支払うことになります。
さらに、誠意のある対応を怠ることで、刑事裁判でも不利な立場に立たされるリスクが高まるでしょう。
例えば、暴行事件で示談の有無が、裁判に影響することは説明した通りです。
示談をしなければ、加害者に不利な判決が下される可能性が高いのです。
もちろん、被害者から法外な金銭を要求された場合は別です。
しかし、そのような特殊なケースを除けば、示談交渉を開始し、被害の解決に向けて最善を尽くす姿勢を見せることが必要です。
弁護士に依頼し、妥当な示談金を支払って示談することが、最良の解決策だといえるでしょう。
示談する場合の示談金は?「10万〜30万」が暴行罪の相場
それでは、暴行罪で示談する場合、どれくらいの示談金が必要になるのでしょうか。
一般的には、暴行罪の示談金相場は「10万円〜30万」だと言われていますが、一概には言えません。
事案によって、示談金の額は大きく変動するからです。
例えば、暴行の程度が軽ければ、数万円の示談金で済むかもしれません。
一方で、暴行の行為が悪質で、PTSD(ストレス障害)を発症しているようなケースでは、高額の示談金が必要になることもあります。
※関連コラム 「暴行罪の示談金相場は10〜30万円!金額を決める5つの要因も解説]」
因みに、示談をする方が、加害者の負担は軽くなります。
一例を挙げてみましょう。
・示談なし、罰金刑になった場合
罰金(10万〜30万)+慰謝料+治療費+前科
・示談した場合
示談金(10万〜30万程度)
示談をすると、前科が付くリスクも格段に低くなります。
特殊な事情がある場合を除けば、迷わず示談することをオススメします。
金銭的な余裕がない場合は、示談金の分割払いを提案するなど、柔軟な方法を検討してみましょう。
暴行罪で示談をする3つのメリット
暴行罪で示談が成立すると、様々な恩恵を受けることができます。
ここでは、暴行罪で示談をする3つのメリットを解説します。
逮捕されることを防げる
暴行事件を起こしてしまうと、警察に逮捕される可能性は十分にあります。
警察から取り調べを受けたり、長期にわたって、留置場に勾留されたりするおそれがあるのです。
しかし、被害者との示談が成立していれば、警察も逮捕に慎重になります。
当事者間でトラブルが解決していることを考慮して、捜査が中止になったり、逮捕を見送るケースは少なくありません。
万が一逮捕されてしまうと、身柄を拘束されるだけでなく、社会的信用を大きく失います。
示談の成立は、逮捕のリスクを低下させるために、最も効果的な方法の1つです。
不起訴の可能性が高まる
示談が成立すると、不起訴になる可能性が高まります。
検察官は、暴行罪として起訴するか判断するにあたって、示談の成立を大きく考慮するからです。
特に、示談交渉の結果
・「被害届」を取り下げてもらえた
・「嘆願書」を提出してもらえた
といったケースでは、不起訴処分となる可能性が格段に高くなるでしょう。
「被害者が処罰を求めていない」という意向が、検察官に伝われば、「あえて起訴する必要はない」という判断がしやすくなるからです。
不起訴になれば、前科が付くことはなく、罰金や懲役刑を科せられる心配もなくなります。
不起訴の可能性が高まることは、示談をする大きなメリットの1つです。
社会的信用を守れる
示談をすることで、社会的評価を守れるというメリットもあります。
暴行事件を起こしてしまったことを、周囲の人々に知られるのではないかと不安に思う加害者は少なくありません。
事件が広まってしまうことで、仕事や学校、家庭等に悪影響が出ることを恐れるのは、当然のことです。
しかし示談では、示談金の支払い以外にも、様々な取り決めを交わすことが可能です。
例えば、その一つが「口外禁止条項」です。
※「口外禁止条項」とは?
事件について口外しないことを、被害者に約束してもらう条項のこと
示談書に「口外禁止条項」を盛り込むことで、被害者から事件の内容が広まり、周囲に知られてしまうリスクを最小限に抑えることができます。
示談を成立させることは、社会的信用を守ることにも役立つといえるでしょう
暴行罪の示談交渉は、弁護士に依頼することが大切
暴行罪の示談交渉は、弁護士に依頼することが大切です。
被害者との交渉を一任できるから
暴行事件で、当事者同士が直接交渉するのは、双方にとって大きな負担となります。
例えば
- ・そもそも連絡先が分からない
- ・ついつい感情的になってしまう
- ・気まずくて、顔を合わせたくない
- ・交渉の進め方が分からない
など、示談交渉を開始するには、いくつものハードルがあるからです。
加害者が直接接触することで、被害者の怒りに火を付けてしまい、示談交渉が難航するケースも珍しくありません。
しかし、弁護士に依頼すれば、被害者との交渉を全面的に任せることができます。
弁護士が間に入ることで、感情的な反発を和らげ、示談交渉をスムーズに進めることができるのです。
適正な金額で示談できるから
前述のとおり、暴行罪の示談金は、事件の内容によって大きく変動します。
そのため、適正な示談金がどの程度なのかを、素人が判断することは非常に難しいです。
一方で、弁護士であれば、示談交渉の経験が豊富なため、適正な示談金を算出することができます。
過去の類似事例や判例を参考にしながら、金額の妥当性を判断し、冷静に交渉を進めてもらえるでしょう。
必要に応じて、示談金の減額交渉も行ってくれるため、加害者の負担を最小限に抑えることができます。
高額な示談金を支払うリスクを避けられるのは、示談交渉を弁護士に依頼する大きなメリットです。
示談成立の可能性が高まるから
示談交渉を弁護士に依頼すると、示談が成立する可能性は格段に高まります。
弁護士は法律の専門家であり、示談交渉についても、豊富な経験を持っているからです。
どのようにすれば相手が示談に応じやすくなるのか、どうすれば交渉が上手く進んでいくのか等について、実践的なノウハウを持っているのです。
例えば、金額を提示するタイミングや、示談金の支払い方法など、細かな部分まで気を配り、戦略的に交渉を進めていくことができます。
加害者・被害者双方が、何を心配しているのかについても的確に察知し、必要な提案をしてもらえるでしょう。
暴行罪の示談交渉は、弁護士に依頼することで、成功率を格段に高めることができるのです。
暴行事件で悩んだら、グラディアトル法律事務所へ
最後に、今回の記事の要点を整理します。
・暴行罪で、示談しないと大きなリスクがある
①逮捕されて、前科が付く
②判決に影響する
③民事裁判を起こされる
・示談しない方が良いケースは、極めて少ない
・「お金を払いたくない」という理由で示談しないのは絶対にNG
・示談をすると、金銭的にも、社会的にもメリットが大きい
・示談交渉は、弁護士に依頼することが大切
暴行罪で「示談しない」選択をする「メリット」は、殆どありません。
一方で、示談しない場合の「リスク」は非常に大きく、将来に大きな影響を与えてしまいます。
暴行事件を起こしてしまったら、速やかに弁護士に相談し、示談交渉を進めるなどの行動を起こすことが必要です。
グラディアトル法律事務所では、これまでにも数多くの暴行事件の相談を受けて、警察や検察と交渉を行ったり、被害者との示談を成立させる等の弁護活動を行ってきました。
適切に示談交渉を開始したことで、事態が好転したご相談者様は数え切れません。
暴行事件で悩んだら、刑事事件に強いグラディアトル法律事務所へご相談ください。
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