【不同意性交等罪の起訴率は32%?】不起訴になる3つの方法を解説

不同意性交等罪の起訴率・不起訴になる方法
弁護士 若林翔
2024年11月01日更新

「不同意性交等罪で起訴されないか不安」

「起訴される可能性は何%くらいある?」

「不起訴になるにはどうすればいい?」

こんな疑問をお持ちの方も多いかもしれません。

結論からお伝えすると、不同意性交等罪の起訴率は、約32%程度だと考えられます。

不同意性交等罪の起訴率は32%

(出典:令和5年版 犯罪白書 第4節 被疑事件の処理|法務省

不同意性交等罪は「強制性交等罪」の改正によって新設された新しい犯罪です。

そのため、実際のデータはまだ公表されていませんが、改正前(旧:強制性交等罪)の起訴率は32%でした。処罰範囲が拡大されたため、今後どうなるかは分かりませんが、決して軽視できる数字ではありません。

不同意性交等罪の事件を起こしてしまったら、速やかに弁護士に相談して、逮捕・起訴を回避するための行動を起こすことが必要です。

本記事では、次の点を取り上げました。

◉この記事を読んで分かること
・不同意性交等罪の起訴率
・不同意性交等罪を目指す方法
・実際に不起訴を獲得した解決事例

「不同意性交等罪で起訴されるかも」という不安を抱えている方は、是非ご一読ください。

不同意性交等罪の起訴率は32%が目安(不起訴率が68%)

不同意性交等罪は、2023年に新たに施行された犯罪です。

そのため、起訴率や不起訴率の正確な統計データは、まだ公表されていません。

ただし、この罪の前身である「強制性交等罪」の起訴率は32%、不起訴率は68%でした。起訴・不起訴の詳しい内容は次のとおりです。

不同意性交等罪の起訴率は32%

 

(出典:令和5年版 犯罪白書 第4節 被疑事件の処理|法務省

この統計から、不同意性交等罪の起訴率も同程度の32%前後、不起訴率は68%前後になると考えられます。

ただし、「不同意性交等罪」と「強制性交等罪」では、成立要件が異なります。

「不同意性交等罪」では、「強制性交等罪」で必要だった「暴行・脅迫」の要件がなくなり、成立範囲が大きく拡大しているからです。

実際の起訴率や不起訴率がどうなるかは、公表されるまで分かりません。

あくまでも、参考値として考えましょう。

【ケース別】不同意性交等罪で不起訴を目指すには?

不同意性交等罪で不起訴になる方法は、あなたが犯行を認めるか否かによって異なります。

犯行を認める場合は「起訴猶予」を目指すこと、犯行を否認する場合は「同意があった証拠を集めて」冤罪を主張することが必要です。

それぞれのケースに分けて、詳しく説明します。

不同意性交等罪で不起訴を目指すには?

①犯行を認める場合|起訴猶予を目指す

あなたが不同意性交等罪を認めるのであれば、起訴猶予を目指すのが一般的です。

起訴猶予とは、検察官が様々な事情を考慮して、起訴する必要がないと判断することを指します。

起訴猶予になれば、懲役が科せられることはなく、前科が付くこともありません。

因みに、前述した「強制性交等罪」の統計によれば、不起訴総数1016件のうち、247件(24%)が起訴猶予によるものでした。

不起訴総数起訴猶予その他の不起訴
1016247769

不同意性交等罪で起訴猶予になるには、被害者との示談が効果的です。

スムーズに示談が成立して、被害者から許してもらえたり、被害届が取り下げられたりすると、検察官に「起訴する必要がない」と判断してもらえる可能性が高くなります。

②犯行を否認する場合|冤罪だと主張する

一方、不同意性交等罪では、加害者は「同意があると思って行為に及んでいた」というケースも少なくありません。

例えば、以下のような場合が考えられます。

・性交後、被害者から「同意がなかった」と言われてしまった
・お酒に酔って、同意があるのか曖昧な状態で性交に及んでしまった
・上司と部下など、断りづらい関係性があり、同意の有無が不明瞭だった
・美人局の被害に遭ってしまった など

このような場合には、冤罪だと主張することも必要です。

不同意性交等罪で逮捕されたからといって、必ずしも起訴されるわけではありません。

警察に逮捕された後、検察によって不起訴処分とされたケースも数多く存在しています。

・「不同意性交疑いで逮捕の男子大学生を不起訴処分に 大津地検」(京都新聞

・「不同意性交の疑いで逮捕の男性医師を不起訴に 横浜地検小田原支部」(神奈川新聞

・「10代少女に不同意性交容疑の男性、不起訴 佐賀地検」(佐賀新聞

ただし、冤罪を主張するのであれば、弁護士に相談して、相手との関係性や、性交時の状況などが分かる証拠を集めることが必要です。

同意があったことが分かれば、冤罪を立証できる可能性は高くなるでしょう。

不同意性交等罪で不起訴になる3つの方法

不同意性交等で不起訴を目指すなら、あなたが取るべき行動は次の3つです。

不同意性交等罪で不起訴になる方法

被害者と示談をする

まず検討するべきなのは、被害者との示談です。

速やかに示談が成立すれば、逮捕や起訴を回避できる可能性が格段に高くなります。

強引に性交に及んだケースはもちろん、同意の有無が曖昧なケースでも、示談交渉は行ったほうが良いでしょう。

本当は同意があったとしても、一度逮捕・起訴されてしまうと、被害を完全に回復させることは難しいからです。

「不同意性交で逮捕・起訴された人」というイメージを持たれると、家庭や会社で居心地が悪くなってしまうかもしれません。

事件後、すぐに示談することで、被害届の提出を防げたり、逮捕・起訴による風評被害を回避できる可能性が高くなります。

ただし、示談交渉は必ず弁護士に依頼しましょう。

たとえ知人・友人の関係であったとしても、被害者は、加害者と二度と会いたくないと思っているケースが通常です。

当事者同士で交渉を進めようすると、逆にトラブルに発展してしまいます。

・被害者の被害感情を悪化させてしまう
・「言った」「言わない」のトラブルに発展する
・高額な慰謝料を請求される など

以前は良好な関係であったとしても、性行為後に「同意があった・無かった」という言い争いが生じた場合、放って置くと深刻な問題に発展します。

放置するのではなく、速やかに弁護士に相談して、示談交渉をするべきか相談しましょう。

証拠を集める|冤罪を主張する場合

被害者の主張が事実とかけ離れている場合は、冤罪を主張することも必要です。

不同意性交等罪は、「被害者が真に同意を形成できる状況であったか」が基準となる犯罪です。

そのため、性交前に同意しているように振る舞っていても、後から「私は同意していなかった」と言われると、冤罪となる可能性があるのです。

事実がどうであれ、一度「そうだったかもしれない」と認めると、覆すのはかなり難しくなります。相手の言い分が、事実と異なるのであれば、きちんと証拠を集めて、冤罪だと主張しましょう。

因みに、あなたがすぐに用意しやすい証拠としては「性行為前後のLINEやSNSの履歴」等が考えられます。

「今日は楽しかったよ!ありがとう」
「また〇〇と会いたいな!」

性行為後も良好な関係だったと分かるやり取りが残っていれば、同意があったことを推定させる証拠となる可能性があります。

ただし、証拠能力が認められるかは、相手との関係性によっても異なります。LINEやSNSのやり取りが、必ず有力な証拠となるわけではありません。

必ず弁護士に相談して、専門的なアドバイスを受けましょう。

※冤罪の証拠は、次の記事で詳しく解説しています。

不同意性交等罪の成立要件と冤罪を避けるための証拠6選を弁護士が解説

自首して罪を自白する

「嫌がっているのに、暴行や脅迫などを用いて強引に関係を持った」

「睡眠薬などを飲ませて、性行為に及んでしまった」

このような明らかに同意が無いケースで、あなたが後悔しているのなら、自首することも選択肢の一つです。

警察から連絡が来る前に、自首して罪を自白すれば、刑は最大半分にまで減軽されます。

反省が伝わり、証拠隠滅・逃亡のおそれが無いと判断されれば、逮捕・起訴される可能性も低くなるでしょう。

ただし、「本当に自首するべきなのか」、「自首する必要があるのか」は必ず弁護士に相談してから決めるべきです。

自首によって事件が発覚し、そのまま逮捕されるリスクもゼロではないからです。

場合によっては、先に被害者に連絡して、示談交渉を進めたほうが良いケースもあるでしょう。

また、自首することを決めた場合も、弁護士に同行してもらうことをおすすめします。

取調べ中も近くで待機してくれるため、万が一そのまま逮捕されても、すぐに弁護活動を開始してもらえます。

不同意性交等罪を速やかに弁護士へ相談・依頼するメリット

不同意性交等罪で不起訴を目指すなら、できるだけ早く弁護士に相談・依頼することが大切です。

弁護士に相談・依頼することで得られる、以下の3つのメリットを解説します。

不同意性交等罪で弁護士に依頼するメリット

早期の身柄解放を実現できる

不同意性交等罪で逮捕されると、最大23日間にわたって拘束される可能性があります。

拘束期間が長くなれば、たとえ不起訴になったとしても、あなたの生活に大きな影響を与えてしまうでしょう。

会社を23日間も休めば、解雇されるリスクも出てきます。家族との関係もギクシャクしてしまうかもしれません。

そのため、不同意性交等罪では、不起訴を勝ち取ることと同じくらい、いかに早く身柄を解放するかが重要となるのです。

早期に釈放されるためには、逮捕後、すぐに弁護活動を開始することが重要です。

例えば、逮捕後72時間以内に示談が成立すれば、早期に釈放される可能性は格段に高くなります。逆に、時間が経てば経つほど、釈放は難しくなります。

何もせずに72時間が過ぎてしまうと、さらに10日〜20日間も勾留が延長されるおそれもあるのです。

だからこそ、不同意性交等罪に問われたら、1分1秒でも早く弁護士に相談する必要があります。 弁護士にスピーディーに依頼することが、早期の身柄解放への近道なのです。

適正な金額で示談を成立させてくれる

適正な金額で示談を成立させてもらえることも、弁護士に相談するメリットの一つです。

不同意性交等罪では、被害者に対して、大きな精神的苦痛を与えています。

事件の内容が悪質だったり、被害者が未成年であったりすると、被害者に支払うべき金額も大きくなるでしょう。

弁護士に依頼したからといって、示談金を支払う義務が無くなるわけではありません。

ただし、分割払いを提案したり、民事訴訟になった場合の相場などを踏まえて交渉をしていくことはできます

また、被害者によっては法外な金額の慰謝料を請求してくるケースもあります。

あまりにも被害感情が強かったり、そもそも金銭目的であなたに近づいてきたようなケースです。

これらのケースでは、無理に示談をする必要はありません。

弁護士が間に入ることで、どのように対応するべきなのかを判断してもらえます。

冤罪や美人局から守ってくれる

不同意性交等罪では、「冤罪」や「美人局」などの問題が生じるケースもあります。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

・ナンパした相手と、お酒の勢いで関係を持ってしまい、同意がなかったと言われた
・マッチングアプリで出会った相手とホテルに行った結果、突然、夫を名乗る男性が現れて、高額な慰謝料を請求された
・無理やり性交されたので、被害届を出すと脅迫された

いずれのケースでも、放置しておくと大きなトラブルに発展する可能性があります。

弁護士であれば、こういったトラブルから、あなたを守ることができるでしょう。

深刻な事態に発展する前に、本当に事件性があるのか、法律的にどう対処するべきなのか相談しておくことをおすすめします。

不同意性交等罪で不起訴を目指すなら「グラディアトル法律事務所」へご相談ください

不同意性交等罪で不起訴を目指すなら、私たち「グラディアトル法律事務所」へご相談ください。私たちは性犯罪に強く、難しい「不同意性交等罪」の事件も数多く取り扱ってきました。

例えば、以下でご紹介するのは、未成年の女性(13歳)と肉体関係を持ち、「不同意性交等罪」で被害届を出すと言われてしまったケースです。

弁護士が同行し自首したことで、逮捕を回避、不起訴処分を獲得することができました。

不同意性交等罪で不起訴になった解決事例

【不起訴事例】マッチングアプリでの不同意性交|弁護士が自首に同行し不起訴

【ご依頼者/40代の既婚男性】

出会い系アプリで、自称13歳の女性と仲良くなり、実際に会ってみたいと言われる。

ご依頼者様は、相手は16歳未満かもしれないということを認識しながらも、ホテルへ行くことを提案。
女性も同意してくれたのでふたりでラブホテルへ行き、肉体関係へ発展。嫌がっていなかったので、ご依頼者様は同意の上だと思っていたとのこと。

ところがある日突然、女性の態度が一変し、被害届を出すと言われてしまう。

女性が説得に応じる様子はなかったため、被害届を出される前に自首をしたいと考え、刑事事件に強い弊所にご相談をいただくことに。

◎弁護士の対応


13歳(16歳・性交同意年齢未満)の場合、たとえ相手が了承していても不同意性交等罪が成立するため、弁護士同行で自首に行かれることを勧めます。

自首当日も警察まで同行し、手続きが円滑に進むようにサポート。逮捕を回避できた後も、こまめに連絡を取って、ご依頼者様の精神面のケアを続けました。

ご依頼者様は、ご家族や職場の方に事件のことがバレてしまうことは避けたいと強く希望されていたため、警察にその旨を説明。万が一ご家族などに連絡をする場合、先にご依頼者様に連絡をしてもらうことをお願いしました。

その結果、無事に不起訴処分を獲得。
逮捕されることもなく、ご家族や職場の方に事件のことがバレることもありませんでした。

16歳未満と性交した場合、相手が同意していたかに関わらず、「不同意性交等罪」が成立してしまいます。さらに、相手の女性だけでなく、ご両親の被害感情が強いケースも多いため、事件が難航するケースも珍しくありません。

今回の事件では、ご依頼者様がすぐに弁護士にご相談されたので、当初から適切な対応をすることで、スムーズに解決できました。

対応が早ければ、今回のように逮捕を回避し、家族・会社バレも防いで、生活への影響を最小限に押さえて、解決できる場合もございます。

不同意性交等罪で事件に巻き込まれてしまった場合は、お早めに弊所へご相談ください。

※こちらの記事もご一読ください。

「不同意性交等罪は今すぐ弁護士に依頼するべき!選び方と費用も解説」

まとめ

最後に、今回の記事のポイントをまとめます。

・不同意性交等罪の起訴率は32%(不起訴率が68%)が目安

・不起訴になる方法の具体例は、次のとおり

・被害者と示談をする
・証拠を集めて、冤罪を立証する
・自首して罪を自白する

・いずれのケースでも弁護士への相談は欠かせない

・弁護士へ速やかに相談するメリットは次のとおり

・逮捕されても、早期の身柄解放が期待できる
・適正な金額で示談できる可能性が高まる
・冤罪や美人局から守ってくれる

以上です。

「不同意性交等罪で起訴されるかも…」と悩んでいる方は、この記事を読み終わったら、すぐに弁護士に相談して、逮捕・起訴を回避するための行動を起こしましょう。

一刻も早く事件が解決し、あなたの不安が解消されることを願っています。

この記事が役に立った、参考になったと感じましたら、是非グラディアトル法律事務所にもご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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