不同意性交等罪は5年以上の懲役?回避・短縮する方法を解説!

不同意性交等罪は5年以上の懲役?懲役を防ぐにはどうする?
弁護士 若林翔
2024年11月01日更新

「不同意性交等罪で懲役にならないか不安」

「懲役になったら、どれくらい刑務所に入ることになる?」

「懲役を避けるには、どうすればいい?」

こんな不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

不同意性交等罪の刑罰は、「5年〜20年」の懲役刑と決められています。

内容法定刑最も短いケース最も長いケース
不同意性交等罪5年以上の有期拘禁刑5年
※減軽される場合もある
20年
※加重される場合もある

懲役が3年を超えると執行猶予が付かなくなるため、いきなり刑務所に入るリスクも想定しなければなりません。

懲役を回避するには、情状酌量や自首などによって刑を減軽してもらうか、不起訴を獲得することが必要です。

不同意性交等罪の懲役が5年以下になるケース

いずれのケースでも、被害者とスムーズに示談できるかが、カギを握ることになるでしょう。

本記事では、次の点を取り上げました。

◉この記事を読んで分かること
・不同意性交罪の懲役刑の内容
・懲役期間が長くなるケース、短くなるケース
・実例を元にした、ケース別の懲役期間
・懲役を回避する方法

不同意性交罪の懲役が不安な方は、是非ご一読ください。

不同意性交等罪は「5年以上の懲役(拘禁)」が原則

不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の懲役(拘禁)」と定められています。

懲役刑の期間は、最も短いケースで5年最も長いケースで20年です。

内容法定刑最も短いケース最も長いケース
不同意性交等罪5年以上の有期拘禁刑5年
※減軽される場合もある
20年
※加重される場合もある

刑は懲役刑(拘禁)のみとなっており、罰金で済むことはありません。

また、懲役が3年を超える場合は執行猶予が付くこともありません。

そのため、いきなり実刑判決を受けて、刑務所に収監される可能性も十分に想定しておく必要があるでしょう。

懲役を避けるには、後述する方法で刑を減軽するか、不起訴処分を勝ち取ることが必要です。

不同意性交等罪の懲役の20年、場合によってはもっと長くなることも・・

懲役刑(拘禁刑)には、無期と有期の2種類があります。

「無期懲役」とは、期限を決めずに懲役を受ける刑罰のことです。

一方、「有期懲役」は下限・上限が決まっている刑罰で、具体的には「1月以上20年以下」と定められています。

不同意性交等罪は、5年以上の有期の懲役刑(拘禁刑)に当たります。

つまり、最長で20年以下の懲役となるのが原則です。

ただし、事件の内容や前科によっては、刑の上限がさらに長くなるケースもゼロではありません。

例えば、次のようなケースです。

・不同意性交等罪の被害者が複数人いる(併合罪加重)

・不同意性交等罪の前科がある(累犯加重)

・被害者を死傷させている場合(不同意性交等致傷罪)など

このようなケースでは、刑が加重されて、懲役が20年よりも重くなったり、無期懲役となる可能性があります。

不同意性交等罪の懲役が「5年未満」に短縮されるケース

前述のとおり、不同意性交等罪の懲役刑は原則「5年以上」です。

ただし、次のいずれかに該当する場合、刑が減軽される可能性があります。

不同意性交等罪の懲役が5年以下になるケース
 減軽される前減軽された後
情状酌量の場合5年〜20年の懲役2年6ヶ月〜10年の懲役
自首した場合5年〜20年の懲役2年6ヶ月〜10年の懲役

犯罪の情状に酌量すべきものがある場合

1つ目は、犯罪の情状に酌量すべきものがある場合です。

刑法では、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる」と定められています。

第六十六条 (酌量減軽)
犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。
第六十八条(法律上の減軽の方法)
法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。 
 一 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は十年以上の懲役若しくは禁錮とする。 
 二 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、七年以上の有期の懲役又は禁錮とする。 
 三 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。 
 四 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。 
 五 拘留を減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。 
 六 科料を減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。

酌量減軽は、被告人の刑を決めるときに、被告人にとって有利な事情を汲み取ることです。

犯行の態様、被害の大きさ、被害者との関係性や示談の有無などを裁判所は考慮して判断します。認められれば、刑は最大半分程度まで軽くなります。

中でも、示談が成立しているかは、不同意性交等罪の酌量減軽に大きな影響を与えます

当事者間で示談が成立し、被害者に許してもらえていれば、酌量減軽されるケースは珍しくありません。

自首した場合

2つ目は、自首した場合です。

刑法では、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」と規定されています。

(自首等)第四十二条 
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

捜査機関が犯罪事実(不同意性交)を把握し、被疑者を特定する前に自首すれば、刑は最大半分程度まで軽くなります。

反省の態度が伝わり、証拠隠滅・逃亡のおそれが無いと判断されれば、逮捕を回避できる場合もあります。

ただし、自首した方が良いかどうかは、事前に弁護士へ相談しアドバイスを受けることをおすすめします。自首によって必ず懲役が短くなるわけではなく、逆にそのまま逮捕されるリスクもあるからです。

【判例ケース別】不同意性交等罪の懲役期間・量刑相場

不同意性交等罪で有罪判決を受けた場合、どのくらいの懲役刑が下されているのでしょうか。

実際の事例を見ていきましょう。

事件の内容判決
不倫関係にあった女性の娘で、当時中学3年生、15歳だった少女に、同意を得ず、みだらな行為をした(出典:テレビ長崎懲役2年6カ月の実刑判決
郵便局員の宅配を装って女性の家に押し入り、現金を奪ったうえ、性的暴行をした(出典:徳島 NEWS WEB懲役10年の実刑判決
16歳未満の娘と自宅で性行為。被害者は明確に拒絶の意思を示していたが、3年ほど前から20回程度同様の行為を繰り返した(出典:朝日新聞デジタル懲役6年の実刑判決
不倫関係にあった女性の自宅で、女性が寝ている隙などに、中学生の女性の娘の部屋に忍び込み16歳未満であることを知りながら性交をした(出典:NBC長崎放送懲役2年6か月の実刑判決
ホテルに連れ込んだ知人女性を押し倒し、馬乗りになるなどした上、性的暴行をしようとし、左手に約3週間のけがを負わせた。(出典:産経新聞懲役4年6月の実刑判決

いずれも、かなり悪質性の高いケースですが、懲役期間が「5年以下」になっているケースも散見されます。おそらく、被告人にとって有利な事情がいくつも考慮されて、情状酌量となったのでしょう。

このように、不同意性交で事件を起こしてしまっても、必ずしも5年以上の懲役になるわけではありません。

速やかに弁護士に相談して、被害者と示談するなどの行動を起こせば、実刑を回避したり、懲役を短くできる可能性は十分にあるのです。

不同意性交等罪で懲役を回避・短縮するには示談が重要

結局のところ、不同意性交等罪で懲役を回避する方法は大きく2つしかありません。

1つは「情状酌量や自首によって刑を減軽してもらうこと」

もう1つは「不起訴処分を獲得すること」です。

そして、いずれのケースでもカギを握っているのは、被害者との示談です。

ここからは、不同意性交等罪で被害者との示談が重要な理由を、さらに詳しく説明します。

不同意性交等罪の懲役を回避するために示談が重要な理由

不起訴処分が期待できるから

事件後、すぐに被害者と示談ができれば、不起訴になる可能性が格段に高くなります。

不同意性交等罪は被害者がいる犯罪だからです。

被害者があなたを許しているのか、当事者間で示談が成立しているのかどうかは、検察官が起訴するかどうかの判断に大きな影響を与えます。

スムーズに示談が成立すれば、検察官が不起訴処分とする可能性は高くなるでしょう。

起訴を防ぐことができれば、刑務所暮らしを回避できるうえ、前科が付くことも避けられます。

日常生活への影響を最小限に押さえることができるのです。

一方で、万が一起訴されてしまうと、懲役を回避することは限りなく難しくなります。

なぜなら、起訴後の有罪率は99%にも上ると言われているからです。

つまり、起訴される前に示談を成立させ、不起訴処分を勝ち取ることが、懲役回避の最も効果的な手段だと言えるでしょう。

​​※こちらの記事もご一読ください。

「【不同意性交等罪の起訴率は32%?】不起訴になる3つの方法を解説」

懲役が短縮される可能性があるから

さらに、示談には懲役の期間を短縮させる効果も期待できます。

示談が成立しているかどうかは、検察官の起訴判断だけでなく、裁判官の量刑判断にも影響を与えるからです。

・あなたが真摯に反省をして、被害者に謝罪をしている

・罪を償うために、被害者に示談金を支払っている

・被害者もあなたを許しており、厳罰を望んでいない

こういった事情が、裁判官に伝われば、刑は確実に軽くなります。

前述した「情状酌量」が認められれば、本来は「5年以上20年以下」だったはずの懲役刑が、「2年半〜10年」程度まで減軽される可能性もあるのです。

懲役3年以下になれば、執行猶予が付く可能性もあるから

示談によって刑が減軽されれば、執行猶予が付く可能性も出てきます。

なぜなら、情状酌量によって懲役刑の下限が「3年以下」になれば、執行猶予の条件を満たすことになるからです。

実際、不同意性交等罪の事案でも、示談が成立したことで執行猶予がつき、実刑を回避できたケースはいくつも存在しています。

事件の内容判決
15歳の被害者に対し、教師の立場を利用して、ホテルで性的な行為に及んだ(出典:讀賣新聞懲役3年、執行猶予4年(求刑・懲役5年)
※「示談が成立し、被害者やその家族へ謝罪の気持ちを述べた」として、執行猶予付きの判決となった
トイレ内で女性に後ろから抱きつくなど、抵抗できない状況にしたうえで性行為に及んだ(出典:讀賣新聞懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)
※示談が成立していることなどから、執行猶予付きの判決となった

不同意性交等罪で有罪になったとしても、被害者と示談をすることができれば、刑務所行きを回避できる可能性は十分にあると言えるでしょう。

※関連コラム

「不同意性交等罪で執行猶予は付く?実刑を避ける3つのポイントを解説」

不同意性交等罪の示談は、必ず弁護士に依頼するべき

不同意性交等罪の懲役を回避するために、自分で示談交渉するのは危険

ここまで、不同意性交等罪で懲役を回避・短縮するには、被害者との示談が非常に重要だと説明してきました。

しかし、示談交渉は絶対に自分で行ってはいけません。

顔見知りでなかったケースはもちろん、上司と部下、教師と生徒、友人など、事件前は良好な関係だったケースでも、自分から連絡を取ることは避けるべきです。

その理由は、被害者の多くが、加害者であるあなたと二度と会いたくないと思っているからです。

無理に連絡を取ろうとすると、かえって事態を悪化させてしまう恐れがあります。

・被害者の被害感情を悪化させてしまう

・言った、言わないの感情的なトラブルに発展する

・相場からかけ離れた高額な慰謝料を請求される など

示談交渉は、必ず最初から弁護士を通じて行うことが不可欠です。

弁護士に依頼することが、スムーズな示談の成立だけでなく、あなた自身を守ることにもつながるのです。

※こちらの記事もご一読ください。

「不同意性交等罪は今すぐ弁護士に依頼するべき!選び方と費用も解説」

不同意性交等罪で懲役を回避するなら、グラディアトル法律事務所へご相談を!

不同意性交等罪で懲役を回避するなら、私たちグラディアトル法律事務所へご相談ください。

私たちは、性犯罪に強く、不同意性交(旧:強制性交罪)の事件を数多く取り扱ってきた法律事務所です。

難しい示談交渉を成立させて、不起訴を獲得したり、執行猶予を獲得した実績もたくさんあります。

酔った状態でしつこくナンパし、ホテルへ連れ込んで性行為。すぐに被害届を出されてしまい、不同意性交等罪で逮捕。
実刑を回避したいとご家族からご相談をいただき、示談を成立させて、執行猶予付きの判決を獲得した事例。
複数人の被害者に痴漢を行い、強制わいせつ(不同意わいせつ)致傷罪で逮捕。
それぞれの被害者と交渉し、宥恕文言(犯罪行為を許し、刑事処罰を求めないという文言)を含む示談を成立。懲役1年2ヶ月、執行猶予3年の判決となった事例。
出会い系アプリで知り合った13歳の女子と援助交際をして、不同意性交等罪が成立。
被害届が出される前に、弁護士が同行して自首。家族や会社にバレることもなく、逮捕を回避して、不起訴になった事例。

他にも、数多くの性犯罪事件をご依頼いただき、ご依頼者様のために戦ってきました。

「不同意性交をしてしまったかも…懲役になるのではと不安で仕方がない」

「家族が不同意性交で起訴されそう。刑務所に行くことは、なんとしても回避させてあげたい」

こういったご相談だけでも構いません。初回の相談は無料で、24時間365日・全国対応可能な体制で受付しております。

不同意性交等罪の懲役が不安な方は、是非グラディアトル法律事務所へご相談ください。

まとめ

最後に、今回の記事のポイントを整理します。

・不同意性交等罪は、5年〜20年の懲役(拘禁)が原則

・懲役が20年より重くなるケースは次のとおり

・被害者が複数人いる
・不同意性交等罪の前科がある
・被害者を死傷させている など

・懲役が5年より軽くなるケースは次のとおり

・有利な事情(示談など)が汲み取られ、情状酌量が認められる
・自首によって、刑が減軽される

・懲役を回避するカギを握っているのは、被害者との示談

・示談が成立すると、次のようなメリットがあるから

・不起訴処分が期待できる
・懲役の期間が短くなる
・執行猶予が付く可能性がある

・ただし、示談交渉は必ず弁護士を通じて行うこと

以上です。

不同意性交等罪で懲役にならないか不安な方は、この記事を読み終わったら、すぐに弁護士に相談して、懲役を避けるための行動を起こしましょう。

一刻も早く不同意性交事件が解決して、あなたの不安が解消されることを願っています。

本記事が役に立った、参考になったと感じましたら、是非グラディアトル法律事務所にもご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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