「不同意性交等罪の初犯だと量刑相場はどのくらい?」
「不同意性交等罪の初犯なら執行猶予は付く?」
「不同意性交等罪で実刑を回避するには何をすればいい?」
相手の同意なく性行為などをすると不同意性交等罪が成立する可能性があります。以前は、「強制性交等罪」と呼ばれていましたが、刑法改正により新たに「不同意性交等罪」が創設されました。不同意性交等罪は、従来よりも処罰範囲が拡大し、法定刑5年以上の有期拘禁刑と重いため、初犯であっても実刑の可能性があります。
また、厳罰化により原則として不同意性交等罪には執行猶予が付かなくなりましたので、執行猶予の獲得を目指すなら被害者との示談が重要になります。
初犯だからといって安心していると重い刑罰が科されるリスクがありますので、早期に弁護士に依頼して被害者との示談交渉を進めてもらうようにしましょう。
本記事では、
・不同意性交等罪の初犯の量刑相場 ・不同意性交等罪の初犯で執行猶予が付く可能性 ・不同意性交等罪の示談交渉を弁護士に依頼すべき3つの理由 |
などについてわかりやすく解説します。
相手の同意なく性行為をしてしまったときは、すぐに性犯罪に強い弁護士に相談するようにしてください。
目次
不同意性交等罪の初犯の量刑相場|懲役3~7年程度
不同意性交等罪の初犯の量刑相場はどのくらいなのでしょうか。以下では、不同意性交等罪の初犯の量刑相場と量刑を判断する際の要素について説明します。
実刑になると懲役3~7年程度が相場
不同意性交等罪は、2023年7月13日施行の改正刑法により創設された犯罪ですので、まだ不同意性交等罪に関する量刑相場の統計は公開されていません。そこで、改正前の「強制性交等罪」の量刑相場を参考にすることになりますが、法務省が公表している「性犯罪の量刑に関する資料」によれば強制性交等罪で有罪になった場合の量刑は、懲役3~7年程度が相場になります。
不同意性交等罪と強制性交等罪は、法定刑が5年以上の有期拘禁刑(有期懲役刑)と共通しますので、基本的には量刑相場も共通するものと考えられます。
なお、不同意性交等罪の初犯の量刑相場の統計資料がないため、初犯に限定した量刑は正確にはわかりませんが、初犯であることは量刑判断において有利な事情として扱われますので、上記の量刑相場よりも若干軽くなると考えられます。
不同意性交等罪の量刑を判断する要素
不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の有期拘禁刑と定められています。不同意性交等罪により有罪となった場合、法定刑の範囲内で刑罰が科されることになりますが、その際には、以下のような要素を踏まえて、処断刑が決められます。
・犯罪行為の結果の重大性 |
・犯罪行為の悪質性 |
・被害者との示談の成否 |
・加害者の立場・被害者の年齢 |
・犯行に至る経緯や動機 |
・前科、前歴の有無 |
前科・前歴の有無が不同意性交等罪の量刑判断の要素の一つになりますので、前科のない初犯であった場合には、前科・前歴がある場合に比べて若干軽い刑罰になる可能性が高くなります。
ただし、不同意性交等罪は、性犯罪の中でも特に重い犯罪になりますので、初犯であることを考慮したとしても、悪質な事案であったり、被害者との示談が成立していないような場合には、実刑判決が言い渡される可能性も十分にありますので注意が必要です。
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不同意性交等罪に関する著名判例3選!判例の動向や量刑相場を解説
不同意性交等罪の初犯なら執行猶予はつく?
不同意性交等罪の初犯であれば執行猶予が付く可能性はあるのでしょうか。
不同意性交等罪では原則として執行猶予はつかない
不同意性交等罪には、原則として執行猶予は付きません。
執行猶予は、刑事裁判で有罪判決が言い渡されたとしても、一定期間刑の執行が猶予される制度ですので、直ちに刑務所に収容されることはありません。このような執行猶予は、言い渡される刑が3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金であることが条件になります。
不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の有期拘禁刑と定められていますので、執行猶予を付けるための条件を満たさず、不同意性交等罪には原則として執行猶予が付けられないのです。
例外的に執行猶予がつく3つのケース
不同意性交等罪には、原則として執行猶予が付きませんが、例外的に、刑が減軽された場合には執行猶予が付く可能性があります。刑が減軽される可能性のあるケースとしては、以下の3つが考えられます。
【自首減軽】
自首とは、犯人が捜査機関に対し、自発的に犯罪事実の申告を行い、訴追を含む処分を求めることをいいます。捜査機関に不同意性交等罪の事件が発覚する前に自首をすれば、起訴されたとしても刑の減軽を受けられる可能性があります。
ただし、自首による刑の減軽は、任意的な減軽とされていますので、必ず刑の減軽を受けられるわけではない点に注意が必要です。
【未遂減軽】
未遂減軽とは、犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった場合に刑を減軽できる制度です。
不同意性交等罪では、同意しない意思の形成、表明、全うを困難な状態にする行為が開始された時点で実行の着手があったものとみなされ、陰茎が膣に一部でも挿入された時点で既遂になります。そのため、無理やり性行為をしようと相手を押し倒したものの、被害者の抵抗にあったため性行為には至らなかった場合に不同意性交等罪の未遂になります。
ただし、未遂による刑の減軽は、任意的な減軽とされていますので、必ず刑の減軽を受けられるわけではありません。
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不同意性交等罪は未遂でも処罰される!未遂の刑罰や逮捕を避ける方法
【酌量減軽】
酌量減軽とは、犯罪の情状に酌量すべきものがあるときに刑の減軽をすることができる制度です。酌量減軽の対象となる情状としては、以下のようなものが挙げられます。
・犯罪の動機や態様 |
・被害の結果 |
・被告人の性格や年齢 |
・被害者の処罰感情 |
・示談や被害弁償 |
・再犯可能性 |
・社会的制裁 |
ただし、酌量減軽は、任意的な減軽とされていますので、必ず刑の減軽を受けられるわけではありません。
執行猶予がつく確率は約19%
法務省が公表している「性犯罪の量刑に関する資料」によると、令和元年に強制性交等罪により有罪となった事件は250件あり、そのうち執行猶予が付いたのは48件でした。このことから不同意性交等罪により執行猶予が付く確率は約19%であることがわかります。
これは、一般的な犯罪に比べて低い確率ですので、執行猶予を獲得するのは決して容易ではありません。不同意性交等罪で執行猶予を獲得するなら、早期に弁護士に依頼して、サポートしてもらうことが大切です。
こちらの記事も併せてどうぞご覧ください。
不同意性交等罪で執行猶予が付くのは20%?実刑を避けるポイント
不同意性交等罪の初犯なら被害者との示談が重要
不同意性交等罪の初犯であれば、被害者と示談を成立させることにより不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高くなります。
不起訴処分になる可能性がある
不同意性交等罪は、被害者の告訴がなければ起訴することができない親告罪ではありませんが、被害者と示談が成立していれば不起訴になる可能性があります。
検察官には、起訴または不起訴を判断する権限が与えられていますが、証拠関係から明らかに不同意性交等罪が成立する事件であっても、一切の事情を考慮して不起訴(起訴猶予)にすることも認められています。
被疑者が初犯であることおよび示談が成立しているという事情は、不起訴処分に傾く有利な事情となりますので、初犯で示談が成立していれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高いといえます。
起訴されても執行猶予付き判決を狙える
被害者と示談が成立すれば被告人にとって有利な情状として考慮してもらうことができますので、酌量減軽により執行猶予付き判決を狙える可能性があります。
不同意性交等罪は、原則として執行猶予が付けられない犯罪ですが、酌量減軽などの法律上の減軽事由がある場合には、例外的に執行猶予を付すことができます。
不同意性交等罪では、被害者との示談が成立していなければ初犯であっても実刑判決の可能性がありますので、早急に示談をまとめることが大切です。
不同意性交等罪の示談交渉を弁護士に依頼すべき3つの理由
以下のような理由から不同意性交等罪の示談交渉は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
連絡先が分からなくても示談ができる
不同意性交等罪の事案では、お互いに面識のない者同士であることも多く、示談をしたくても相手の連絡先がわからないということも珍しくありません。
被害者の連絡先がわからないからといって示談をせずに放置していると、初犯であっても起訴され実刑となる可能性がありますので、放置してはいけません。
弁護士であれば捜査機関を通じて被害者側に示談の意向がある旨を伝えることができ、弁護士であれば連絡先を教えてもよいという被害者の方も少なくありません。
このように被害者の連絡先がわからない場合でも弁護士に依頼することで示談交渉が可能になります。
被害者との示談交渉を任せられる
不同意性交等罪の事案では、被害者は、加害者に対して強い処罰感情を有していますので、示談交渉が難航するケースが多いです。加害者自身で示談交渉をしようとしても、被害者から拒否されてしまうこともあるため、加害者自身での示談交渉は困難といえるでしょう。
弁護士に依頼すれば、弁護士が窓口となって示談交渉を進めることができますので、被害者としても安心して交渉を行うことができます。また、弁護士であれば被害者側の処罰感情にも配慮しながら示談交渉を進めることができますので、示談成立の可能性を高めることも期待できます。
適正な示談金相場で示談できる
不同意性交等罪の示談金には一定の相場がありますので、相場を踏まえて示談交渉を行う必要があります。
弁護士であれば具体的な事情を踏まえて適正な示談金の額を算出できますので、示談金相場を踏まえた金額で示談を行うことができます。示談金相場よりも著しく低い金額を提示してしまうと、相手の感情を逆なでするリスクもあるため、示談交渉は、専門家である弁護士に任せるようにしましょう。
こちらの記事でも弁護士について記載していますので、ご覧ください。
不同意性交等罪は今すぐ弁護士に依頼するべき!選び方と費用も解説
不同意性交等罪の初犯の方はグラディアトル法律事務所にご相談ください
近年、性犯罪は厳罰化の傾向がありますので、相手の同意なく性行為をしてしまうと、初犯であっても不同意性交等罪で実刑判決が言い渡される可能性があります。実刑になるか執行猶予になるかは、本人にとっては大きな分岐点となりますので、少しでも有利な処分を獲得するためにもすぐに弁護士に相談するようにしてください。
グラディアトル法律事務所では、不同意性交等罪をはじめとした性犯罪に関する豊富な経験と実績がありますので、早期に被害者の示談交渉を成立させることにより、不起訴処分や執行猶予の獲得を目指すことができます。弁護士の能力は、これまでの経験や実績によって大きく左右されますので、不同意性交等罪の弁護を希望されるのであれば、実績と経験豊富な当事務所にお任せください。
まとめ
不同意性交等罪は、性犯罪の中でも非常に重い罪の一つですので、初犯であっても起訴されてしまえば、実刑判決が言い渡されてしまう可能性もあります。不同意性交等罪で執行猶予を獲得するには、被害者との示談により酌量減軽を狙っていく必要がありますので、すぐに弁護士に依頼して被害者との示談交渉に着手してもらいましょう。
不同意性交等罪の弁護は、経験と実績豊富なグラディアトル法律事務所にお任せください。