アプリ利用のワンナイトは不同意性交等罪のリスクあり!対処法を解説

アプリ利用のワンナイトは不同意性交等罪のリスクあり!対処法を解説
弁護士 若林翔
2024年12月21日更新

2023年7月13日、不同意性交等罪が新設されました。

不同意性交等罪は、同意なく性行為に及んだ場合などに成立する罪です。

最近では、マッチングアプリのワンナイトが原因で、不同意性交等罪に問われる事例が増えています

実際に”不同意性交等罪で訴えてやる”などと言われてしまい、「そもそもどのような行為が不同意性交等罪にあたるのか」「どうすれば疑いを晴らせるのか」など、さまざまな悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、不同意性交等罪の新設によるマッチングアプリの利用リスクについて解説します。

不同意性交等罪の成立要件や、冤罪を防ぐための対策なども記載しているので、参考にしてみてください。

不同意性交等罪の新設でマッチングアプリの利用リスクが高まっている

近年、マッチングアプリの利用リスクが高まりつつあります。

その背景には、不同意性交等罪の新設により、同意のない性交が犯罪だと明確化されたことが大きく影響しています。

たとえば、マッチングアプリで出会ってワンナイトに誘った相手から、「性行為には同意していなかった。慰謝料をもらえないなら不同意性交等罪で訴えてやる」などと脅迫・恐喝され、示談金を巻き上げられるような事例が多発しているのです。

マッチングアプリのよくあるトラブル事例

実際、内閣府が公表している不同意性交等罪の認知件数は、2022年に1,655件、2023年に2,711件と1,000件以上増加しており、マッチングアプリ関連の事件も大きく関係しているものと考えられます。(参照:不同意性交等・不同意わいせつ認知件数の推移|男女共同参画局

もちろん相手に悪意がなく、「同意」というものに対する解釈の違いがトラブルにつながっているケースなどもありますが、いずれにせよマッチングアプリを利用する際には、犯罪者として扱われるリスクがあることを念頭に置いておかなければなりません。

アプリで知り合った相手との性行為で不同意性交等罪になるケース

次に、アプリで知り合った相手との性行為で不同意性交等罪になるケースを解説します。

主に2つのパターンで不同意性交等罪が成立するので、それぞれのポイントをしっかりと押さえておきましょう。

アプリで知り合った相手との性行為で不同意性交等罪になるケース

相手の同意を得ずに性行為をした場合

マッチングアプリで知り合った相手から同意を得ないまま性行為に及んだ場合は、不同意性交等罪に問われる可能性が高いといえるでしょう。

刑法上は、相手方が「同意しない意思を形成、表明、全うすることが難しい状態」での性行為を成立要件のひとつとしています。

そして、「同意しない意思を形成、表明、全うすることが難しい状態」にさせる手段として、以下の8種類が明記されています。

  1. 1.暴行や脅迫を用いること
  2. 2.心身の障害を生じさせること
  3. 3.アルコールや薬物を摂取させること
  4. 4.睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること
  5. 5.同意しない意思を形成し、表明し、またはそのいとまがないこと
  6. 6.予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、もしくは驚愕させること
  7. 7.虐待に起因する心理的反応を生じさせること
  8. 8.経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること

たとえば、マッチングアプリで知り合った相手に酒を飲ませ、酩酊状態で性行為をしていた場合、不同意性交等罪に該当する可能性があります。

ただし、相手の同意があったかとうかは個々のケースごとに判断されるべきものです。 

相手の言い分に納得できない場合は、速やかに弁護士に相談し、客観的な立場から同意の有無を判断してもらうようにしましょう。

13歳未満または5歳以上離れた16歳未満の子どもと性行為をした場合

マッチングアプリで知り合い、性行為に及んだ相手が13歳未満または5歳以上離れた16歳未満の子どもだった場合は不同意性交等罪が成立します。

注意するべきは、仮に相手の同意を得たとしても、不同意性交等罪の罪に問われるおそれがあるという点です。

たとえば、20歳の大学生が15歳の中学生と真剣に交際し、同意のうえで性行為をおこなった場合でも、事情を知った親が通報すれば、不同意性交等罪で逮捕される可能性があります。

なお、相手の年齢を知らなかった場合には、故意がないため原則として不同意性交等罪は成立しません。

しかし、相手の年齢を知る術はいくらでもあるので、知る余地すらなかったと主張するのは基本的に難しいことも理解しておきましょう。

アプリを利用して不同意性交等罪に問われた事例

ここでは、アプリを利用して不同意性交等罪に問われた事例を2つ紹介します。

アプリを利用して不同意性交等罪に問われた事例

既婚者向けマッチングアプリで知り合った女性に性的暴行を加えて書類送検

既婚者向けマッチングアプリで知り合った女性に性的暴行を加え、不同意性交等罪の容疑で書類送検された50代男性の事例です。

【事案】

男は5月30日、東京都港区赤坂のカラオケ店で、40歳代女性に性的暴行を加えた疑い。女性と会うのは2回目で、当日は食事をした後だったという。男は任意の調べに「合意があった」と容疑を否認している。

(引用:読売新聞オンライン)

本件では、加害者の男性は逮捕されることなく、書類送検となっています。

しかし、勤め先の会社名や役職などが報道され、個人が特定されてもおかしくない状況になったため、その後の社会生活では大きな不利益を受けたことでしょう。

既婚者向けマッチングアプリという特異なサービスではありますが、犯罪の加害者となってしまうリスクはやはり潜んでいたのです。

チャットアプリで知り合った未成年にわいせつな行為をして逮捕

チャットアプリを通じて知り合った中学3年生の女子生徒にわいせつな行為をしたとして、逮捕された30代男性の事例です。

【事案】

2人はチャットアプリを通じて知り合い、面識はなかったという。逮捕容疑は6月9日夜、東京都武蔵野市内のホテルで、女子生徒が未成年と知りながらわいせつな行為をしたとしている。容疑を認めている。

(引用:産経新聞)

本件は、女子生徒の親が「夜遅くに子どもが男と会っている」と警察に通報したことをきっかけに発覚しました。

加害者の男性は逮捕されて身柄拘束を受けたうえ、氏名や居住地も報道されています。

本件のように、マッチングアプリやSNSを通じて未成年の少女と知り合い、性行為に及んだ結果、逮捕されるケースは後を絶ちません

アプリの利用による不同意性交等罪の冤罪を防ぐための対策

不同意性交等罪が新設されたことで、アプリの利用による冤罪のリスクは高まりつつあります。

ここでは、不同意性交等罪の冤罪を防ぐための対策を3つ紹介するので参考にしてみてください。

アプリの利用による不同意性交等罪の冤罪を防ぐための対策

一度拒否されたら強要しない

不同意性交等罪の冤罪を防ぐには、性行為を拒否された際に強要しないことが何よりも重要です。

拒否されているにも関わらず性行為を強要すると、「同意はなかった」と主張され、不同意性交等罪の疑いをかけられてしまいます

デート中に性行為の誘いを断られたときは、その時点で性的な話題や行動を控え、相手の意思を尊重する態度を示すことが大切です。

また、飲酒によって正常な判断が難しい状況では、相手の真意を読み取れないケースも多いので、思い込みで行動することは避けましょう。

SNSやチャットの履歴を残しておく

SNSやチャットの履歴を残しておくことも、不同意性交等罪の冤罪を防ぐ方法のひとつです。

たとえば、相手方が「あのときの性行為には同意していなかった」と言いがかりをつけてきた場合でも、SNS上で性的な誘いに肯定的な反応を示していたこと提示できれば、無実を証明できる可能性があります。

実際には同意を得ていたとしても、相手方が示談金目的で虚偽の主張をしてくるケースも少なくありません。

そのため、性行為前後のコミュニケーションを形あるものとして残しておくことが重要です。

性交同意書・性的同意アプリを利用する

不同意性交等罪の冤罪を防ぐ対策として、「性交同意書・性交同意記録アプリ」を利用してみるのもよいかもしれません。

口約束ではなく、性行為の同意があったことを紙や電子データで残しておけば、あとでトラブルになったときの証拠として活用できるためです。

たとえば、性交同意アプリでは「脅されていないか」「飲酒で判断力が低下していないか」など、複数の項目をチェックしてもらうことで、相手方が性行為に同意していることを電子データで保存できます。

ただし、使い勝手がよいとはいえないので、まずは、当事者間の自然なコミュニケーションのなかで同意を得られる関係性を築くことが大切です。

性的同意アプリは法的効力があるのか?

不同意性交等罪の新設をきっかけに性的同意アプリがリリースされ、一時話題を集めました。

性的同意アプリでは、性行為に対する同意を複数の項目で確認し、電子データで保存できるため、一定の法的効力があるといえます。

しかし、あとで同意を取り消せる機能が備わっており、「美人局で悪用されるのではないか」などと問題視されているのも事実です。

また、性行為の前に、わざわざアプリで同意を得ることに抵抗を覚える人も多いのではないでしょうか。

そのため、性的同意アプリはあくまでも「冤罪対策のひとつになり得るもの」として捉えておくことをおすすめします。

アプリで知り合った相手との性行為で不同意性交等罪を疑われたときの対処法

最後に、アプリで知り合った相手との性行為で不同意性交等罪を疑われたときの対処法を解説します。

適切に対応すれば周囲に知られることなく解決できる場合もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

アプリで知り合った相手との性行為で不同意性交等罪を疑われたときの対処法

同意のない性行為が事実の場合:示談を成立させる

実際に相手の同意を得ないまま性行為に及んでいた場合は、示談の成立を最優先に考えましょう。

謝罪の意を示して金銭的な補償をおこなえば、被害者の処罰感情が弱まり、被害届の提出を踏みとどまってもらえる可能性があります。

また、示談の成立は当事者間で和解していることの証明でもあるため、逮捕や起訴も回避しやすくなります

ただし、無理やり性行為に及んだ相手に対して、直接示談交渉を申込むことは現実的ではありません。

たとえ交渉に応じてもらえたとしても、高額な示談金を要求されるおそれがあります。

そのため、示談交渉に関しては、弁護士に一任するのが賢明な判断といえるでしょう。

下記の関連記事も併せてご覧ください。

不同意性交等罪の慰謝料・示談金相場は?払えない場合の対処法も解説

冤罪の場合:同意があったことを証明できる証拠を集める

アプリで知り合った相手との性行為で、冤罪の疑いをかけられた場合は、同意があったことを証明できる証拠を集めましょう。

同意の有無に関する立証責任は相手方にあるものの、こちらとしてもできる限り反論していかなければなりません。

その際、単に「同意があった」と主張するだけでは不十分であり、客観的な証拠による裏付けが必要になってくるのです。

特に不同意性交等罪では、当事者の主張が対立しやすいため、客観的な証拠が重要な役割を果たします。

たとえば、以下のような証拠を確保できれば、裁判に発展した場合でも有利に立つことができるでしょう。

  • ・性行為前後の友好的なメッセージのやり取り
  • ・防犯カメラの映像
  • ・デート中の写真や動画
  • ・第三者の証言

同意があったことを直接証明するものではなくても、両者の良好な関係性が読み取れるものであれば、証拠として活用できます。

ただし、証拠の収集方法によっては、プライバシー侵害などにつながるおそれもあるので、弁護士とも相談しながら慎重に作業を進めるようにしましょう。

不同意性交等罪の成立要件と冤罪を避けるための証拠6選を弁護士が解説

不同意性交等罪に関する不安がある場合は弁護士に相談を!

本記事のポイントは以下のとおりです。

  • ・アプリ利用のワンナイトでは不同意性交等罪に問われるリスクがある

  • ・同意のない性行為、誤信や人違いを利用した性行為、子どもとの性行為は不同意性交等罪にあたる可能性が高い

  • ・不同意性交等罪を回避するには、SNSやアプリ内でのやり取りを残しておくなどの対策が必要

  • ・不同意性交等罪の疑いをかけられたときは、示談の成立もしくは冤罪の証拠収集を急ぐ

不同意性交等罪は「5年以上20年以下の有期拘禁刑」に処されるおそれのある、非常に重たい罪です。

同意のない性行為が事実であっても冤罪であっても、疑いをかけられたときは、できるだけ早く弁護士に相談してください。

刑事事件を得意とする弁護士であれば、個々の状況に合わせた最善策を提案・実行してくれるはずです。

実際にグラディアトル法律事務所でも、これまでに数多くの性犯罪事件を解決してきました。

経験豊富な弁護士が24時間365日体制で相談に応じているので、困ったときはいつでもお問い合わせください。

初回相談は無料、LINEでの相談も受け付けています。

 

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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