「不同意性交等罪は親告罪って本当?」
「性行為の翌日になって、同意がなかったと言われた」
「告訴されなければ、逮捕・起訴されない?」
こんな不安を抱えて、本記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか?
結論から伝えると、不同意性交罪は「親告罪」ではありません。
そのため、被害者が告訴しなくても逮捕・起訴される可能性があります。
ただし、親告罪でなくでも、被害者の意向は刑事処分に大きな影響を与えます。
示談するなどして、被害者から許してもらうことができれば、逮捕・起訴を回避できる可能性は格段に高くなるでしょう。
本記事では、次の点を取り上げました。
◉この記事を読んで分かること ・親告罪と非親告罪の違い ・不同意性交罪で示談が重要な理由 ・不同意性交罪で示談を成立させる方法 |
不同意性交事件を起こしてしまい、不安な方は是非ご一読ください。
目次
不同意性交等罪は親告罪ではない!
不同意性交等罪は、「親告罪」ではなく「非親告罪」に分類される犯罪です。
実は、2017年より前、「不同意性交等罪」は「強姦罪」と呼ばれており「親告罪」とされていました。被害者のプライバシーを保護し、その意思を尊重するべきという理由からです。
しかし一方で、性犯罪の被害者にとって、自分で告訴することは大きな負担になるという批判の声もありました。
そこで、2017年の刑法改正により、「強姦罪」は「強制性交等罪(現:不同意性交等罪)」へと名称が改められ、「非親告罪」となったのです。
これにより、警察の捜査により犯罪が発覚すれば、被害者が告訴しなくても、検察官の裁量で起訴できるようになりました。
親告罪と非親告罪の違いとは?
そもそも、「親告罪」と「非親告罪」では、何が異なるのでしょうか?
両者の違いについて、改めて説明します。
【親告罪と非親告罪の違い】
内容 | 親告罪 | 非申告罪 |
---|---|---|
定義 | 被害者の告訴がなければ起訴できない犯罪 | 被害者の告訴がなくても起訴できる犯罪 |
該当する犯罪の例 | ・名誉毀損罪 ・侮辱罪 ・過失傷害罪 など | ・不同意性交罪 ・不同わいせつ罪 ・性的姿態等撮影罪 など ※ほぼ全ての犯罪 |
告訴の必要性 | 必要 | 不要 |
被害者の意思 | 被害者が処罰を望まなければ(告訴しなければ)起訴されない | 告訴なしでも起訴される※被害者の意思も考慮される |
親告罪とは、被害者の「告訴」がなければ起訴できない犯罪です。
代表的なものとして、名誉毀損罪、侮辱罪、過失傷害罪などがあげられます。被害者が処罰を望まない限り、加害者を訴追することはできません。
一方、非親告罪とは、被害者の告訴がなくとも起訴できる犯罪です。
刑法上のほとんどの犯罪は、非親告罪に該当します。
不同意性交罪のほか、不同わいせつ罪、性的姿態等撮影罪なども非親告罪とされています。そのため、被害者が告訴しなくても、検察官の判断で起訴される可能性があります。
告訴と被害届の違いとは?
「告訴」と聞くと、似た言葉である「被害届」と混同してしまう方もいるかもしれません。
「告訴」と「被害届」の大きな違いは、「犯人の処罰を求める意思表示が含まれているか」という点です。
【告訴と被害届の違い】
内容 | 告訴 | 被害届 |
---|---|---|
目的 | 犯罪事実を警察などに申告して、犯人への処罰を求める意思表示 | 犯罪の被害にあった事実を警察などに伝えること ※処罰を求める意思表示は含まれない |
法律上の効果 | 捜査する義務が発生する | 捜査するかは、捜査機関の判断に委ねられている |
告訴とは、犯罪事実を捜査機関に伝えて、犯人を処罰してほしいという被害者の意思表示を含むものを指しています。
一方、被害届とは、犯罪の被害にあった事実を警察に届け出るものです。あくまでも、事実の申告であって、処罰を求める意思表示は含まれていません。
親告罪では、被害届の提出ではなく、「告訴」があって初めて起訴することができます。
非親告罪であっても、不同意性交等罪で示談が重要な理由
ここまで、不同意性交等罪は親告罪ではないため、被害者の告訴なしで起訴されることを説明してきました。
そうすると、「告訴なしで起訴されるなら、被害者と示談しても意味がないのでは?」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、非親告罪であっても、被害者との示談が事件解決のカギを握っていることに変わりはありません。なぜなら、次のような理由があるからです。
逮捕・起訴のリスクを軽減できるから
非親告罪であっても、示談をすることで、逮捕・起訴されるリスクは格段に低くなります。
なぜなら、不同意性交等罪のような被害者がいる犯罪では、被害者の意向が捜査に大きく影響するからです。
「あなたが不同意性交を後悔し、真摯に反省している」
「被害者に謝罪して、示談金を支払っている」
「被害者もあなたを許しており、処罰を求めていない」
このように、当事者間で問題が解決しているのであれば、わざわざ逮捕・起訴する必要はないと判断される可能性は高まります。
・早期の示談によって、逮捕を避けることができた ・逮捕されていても、釈放された ・検察官が、刑事裁判にかける程ではないと判断されて不起訴になった(起訴猶予) |
被害者と示談が成立することで事態が好転し、解決に向かっていくケースは珍しくありません。
懲役(拘禁)の期間が短くなるから
不同意性交等罪の法定刑は「5年以上20年以下の懲役」とされています。そして、懲役が3年を超えると、執行猶予をつけることもできません。
つまり、有罪になれば必ず5年以上も刑務所に入ることになるのです。
しかし、被害者との示談が成立していれば状況は大きく変わります。
なぜなら、示談が被告人にとって有利な情状として考慮されると、懲役が減軽される可能性があるからです。
裁判所の判断次第ですが、最大で半分の2年半〜3年程度にまで減軽されるケースもあります。
さらに、刑期が3年以下になれば、執行猶予がつく可能性も出てきます。
つまり、示談が成立していると、たとえ起訴されて有罪判決を受けても、実刑を回避できる可能性があるのです。
家族や知人、職場に広まるのを阻止できるから
不同意性交等罪を犯したことが、家族や知人、職場に知られるのを恐れている人もいるでしょう。特に、被害者が知り合いだった場合、周囲に広まって気まずくなるリスクは無視できません。
しかし、示談の内容次第では、こうした問題を阻止できる可能性もあります。
例えば、示談書に「口外禁止条項」を加えるという方法が考えられます。
あなたと被害者の間で起きた問題を、友人や同僚に口外しないことを示談書に記載するのです。
もちろん、これに同意するかどうかは、被害者の意向次第です。
事件の状況や被害者との関係性によっては、提案すること自体を避けるべきケースもあるでしょう。
あなたが置かれている状況を弁護士に伝え、柔軟に対応してもらうことが必要です。
不同意性交等罪の示談金相場は100万〜300万
ここまで、不同意性交等罪において示談が重要な理由をお伝えしてきました。
では、実際に支払うべき示談金の相場はどの程度なのでしょうか?
一般的には、不同意性交等罪の示談金は「100万〜300万円」程度が相場だと言われています。しかし、これはあくまでも目安でしかなく。明確な基準はありません。
実際の金額は、次のような要素によって大きく変動します。
・事件の内容(行為の悪質性) ・不同意性交に至った経緯 (強姦に近い状況だったのか、それとも同意が曖昧だったのか) ・あなたと被害者との関係性(上司と部下、友人関係、ナンパなど) ・相手の被害感情の強さ など |
例えば、被害者が未成年だったり、妊娠してしまったり、心身に傷害(ケガ、PTSDなど)を負ってしまった場合は、示談金が高額になる可能性が高くなるでしょう。
一方で、中にはそもそも金銭目的で近づいており、法外な慰謝料を請求してくるケースもあります。そのような場合は無理に応じる必要はありません。
結局のところ、不同意性交等罪の示談金の相場は、あってないようなものなのです。
事案によって大きく変わるため、自分の判断だけで金額を決めるのは非常に危険です。
必ず弁護士に相談して、事案に応じた妥当な金額で、示談交渉を進めましょう。
不同意性交等罪の示談は、必ず弁護士へ依頼するべき
ここまで、非親告罪であっても示談が重要なことをご説明しました。
お相手の連絡先が分かる場合、「連絡して示談を打診してみようかな」と思い始めた方もいるかもしれません。
しかし、不同意性交の被害者に、自分で連絡することは決しておすすめできません。
示談交渉は必ず弁護士に依頼しましょう。その理由を詳しく説明します。
被害者が示談に応じやすくなる
不同意性交等罪で、示談が重要なのはここまで説明したとおりです。
そして、被害者との示談交渉は、必ず弁護士に依頼してから行いましょう。
なぜなら、不同意性交等罪の被害者は、加害者と二度と会いたくないと思っているのが通常だからです。
自分で連絡したり、ご家族から連絡してもらい交渉することは絶対に避けるべきです。
無理に連絡すると、スムーズに示談が成立するどころか、逆に状況を悪化させる原因になってしまいます。
・被害感情をさらに悪化させてしまった ・感情的なトラブルに発展した ・法外な慰謝料を請求された 等 |
このように、自分で交渉したことが原因で問題が深刻化するケースは珍しくありません。
第三者である弁護士を通じて交渉すれば、被害者も冷静に対応できるため、示談に応じてくれる可能性は高くなります。
精神的な負担が軽減される
不同意性交事件を起こしたことは、精神的に大きな負担となっているはずです。
「お酒の勢いとはいえ、どうしてあんなことをしてしまったのか」 「同意があると思っていたのに、嫌だったと今更言われても」 「こんなことで本当に逮捕・起訴されてしまうのだろうか」 |
状況は様々かもしれませんが、こんな不安で頭がいっぱいになっているのではないでしょうか?
そうであれば、是非一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
・本当に、事件性があるのか ・同意があったことを立証できないのか ・逮捕・起訴されるリスクはどの程度あるのか |
様々な事情を踏まえて、専門的な知識や経験から、必要なアドバイスを受けることができるでしょう。具体的なリスクや対処法が分かるだけでも、不安はかなり解消されるはずです。
冤罪・美人局などのトラブルにも対応できる
不同意性交等罪は、思わぬトラブルに発展することがある犯罪です。
近年の改正によって処罰範囲が拡大されており、暴行・脅迫などの要件が必要なくなったからです。
「同意していなかった」
「お酒を飲まされて、判断できなくなっていた」
「断れない状況だった」
このように被害者が主張すれば、あなたが同意があったと思っていても、不同意性交等罪にあたる可能性は十分にあります。
冤罪が生まれたり、これを悪用した美人局等の被害に巻き込まれてしまうケースもゼロではありません。
こういったトラブルに対処できるのは弁護士だけです。
あなた自身の身を守るためにも、少しでもおかしいなと感じたら、弁護士に相談することをおすすめします。
不同意性交等罪のご相談はグラディアトル法律事務所へ
不同意性交罪の事件を起こしてしまった方は、是非グラディアトル法律事務所へご相談ください。
性犯罪に強く、難しい示談交渉を成立させた実績が豊富
私たちは、性犯罪の事件に強く、難しい示談交渉も数多く成立させてきた法律事務所です。
まずはご相談者さまの状況を詳細にお伺いし、双方のご事情に配慮したうえで、迅速に示談交渉を開始させていただきます。
・被害者の気持ちに配慮したうえで、刑事事件化を回避する ・被害者の言い分が事実と異なる場合、しっかりと主張する ・法外な示談金の請求には、毅然と対応する |
数多くの性犯罪事件で培ってきたノウハウを活かして、グラディアトルが早期の示談成立に向けてサポートします。
24時間365日相談受付、初回相談無料
不同意性交罪が刑事事件化することを阻止するには、スピーディな対応が欠かせません。
そこで当事務所では、24時間365日全国対応可能な体制で、ご相談を受付しております。
「弁護士に依頼するべきなのか知りたい」
「不安で相談したいけど、費用が心配」
「信頼できる事務所なのか話を聞いてみたい」
このような方も、まずは一度お話をお聞かせください。
弊所では、初回の相談は無料でお受けさせていただきます。実際にお話させていただいた上で、どうするのが良いかご自身で判断いただければと思います。
※こちらの記事もご一読ください。
「不同意性交等罪は今すぐ弁護士に依頼するべき!選び方と費用も解説」
【Q&A】不同意性交等罪のよくある質問
被害者からの親告だけでも逮捕されますか?
被害者からの親告だけで、逮捕されるわけではありません。
被害届の提出後、対処が必要かについて警察が判断し、捜査が開始されることになります。
「不同意性交等罪の逮捕率は57%?|流れと逮捕を防ぐ方法を解説!」
後から「同意がなかった」と言われただけで逮捕されますか?
後から「同意がなかった」と言われれば、不同意性交等罪が成立する可能性はあります。
ただし、それだけで必ず逮捕されるわけではなく、様々な要素が考慮されます。
同意があったことはどう証明すれば良いですか?
LINE、メッセージなどで、性交前後のやり取りを残しておくことが効果的です。
冤罪を立証する証拠は、次の記事で詳しく解説しています。
「不同意性交等罪の成立要件と冤罪を避けるための証拠6選を弁護士が解説」
まとめ
最後に、今回の記事のポイントを整理します。
・不同意性交罪は親告罪ではない(非親告罪)
・親告罪でなくても、被害者との示談が重要な理由は次のとおり
・逮捕、起訴されるリスクが低くなるから ・懲役(拘禁)が軽くなるから ・家族や知人、職場バレを阻止できるから |
・示談交渉を弁護士に依頼するべき理由は次のとおり
・スムーズに示談が成立しやすくなるから ・精神的な不安が解消されるから ・冤罪、美人局などのトラブルから守ってくれるから |
以上です。
不同意性交事件を起こして不安な方は、この記事を読み終わったら、すぐに弁護士に相談して、必要な行動を起こしましょう。
一刻も早く事件が解決し、あなたの不安が解消されることを願っています。
この記事が役に立った、参考になったと感じましたら、是非グラディアトル法律事務所にもご相談ください。