録音で合意を立証?不同意性交等罪による冤罪を防ぐために有効な証拠

録音で合意を立証?不同意性交等罪による冤罪を防ぐために有効な証拠
弁護士 若林翔
2024年11月17日更新

「合意の上で性行為をしたのに不同意性交等罪で訴えられてしまった」

「後から不同意だったと言われないようにするために録音をしても問題はない?」

「不同意性交等罪による冤罪を防ぐために有効な証拠とは?」

2023年7月13日施行の改正刑法により「不同意性交等罪」という犯罪が新設されました。

不同意性交等罪は、性行為にあたって同意があったかどうかが犯罪の成否のポイントになりますので、自分の身を守るためにもお互いに同意の上で性行為に及んだ証拠を残しておくことが大切です。

性行為の様子を録音しておくことも一つの方法ですが、相手の同意なく録音をするとトラブルの原因にもなりますので、その他の証拠により同意があったことを立証することがおすすめです。

本記事では、

・性行為の録音や録画が不同意性交等罪の証拠になるのか

・録音や録画以外に不同意性交等罪の冤罪を防ぐのに役立つ証拠5選

・不同意性交等罪を疑われたときすぐに弁護士に相談すべき3つの理由

などについてわかりやすく解説します。

不同意性交等罪は冤罪のリスクもありますので、面倒かもしれませんがお互いに同意の上で性行為をしたことの証拠をしっかりと残しておきましょう。

性行為の録画は性的姿態等撮影罪になるためNG

性行為の一部始終を録画しておけば、無理やり性行為をしていない証拠になりますが、絶対にしてはいけません。

相手の同意なく性行為を録画する行為は、性的姿態撮影等処罰法違反(撮影罪)や迷惑防止条例違反により処罰される可能性があります。不同意性交等罪で冤罪になるリスクを防げたとしても、別の犯罪で処罰されるおそれがありますので、性行為の録画はNGです。

なお、相手の同意があれば性的姿態等撮影罪は成立しませんが、後から「撮影に同意していない」などと言われるリスクもありますので、相手の同意があったとしても性行為の録画は避けるのが賢明でしょう。

性行為の録音は法的に問題はないがトラブルの原因になる可能性あり

性行為の録音は、性行為の録画と異なり、それ自体を禁止・処罰する法律はありません。そのため、性行為の音声を録音したとしても法的な問題はありません。

性行為の一部始終を録音しておけば、相手が嫌がる言葉を発していなかったことを明らかにできますので、不同意性交等罪の冤罪を防ぐ有効な証拠となります。

ただし、性行為の録音自体は法的な問題がなくても、それに付随する行為が法に触れることもありますので注意が必要です。具体的には、以下のような行為が挙げられます。

・盗聴器を仕掛けるために相手の家に勝手に侵入する行為(住居侵入罪)
・盗聴器を設置するために家具や壁などを破壊する行為(器物損壊罪)
・録音データを利用して相手を脅迫する行為(脅迫罪)
・録音データをインターネット上にアップロードする行為(名誉毀損罪、わいせつ物頒布等罪)

また、相手に無断で性行為の録音をしたことが相手にバレてしまうと、民事上のトラブルに発展する可能性もあります。

このように性行為の録音は、不同意性交等罪の冤罪を防ぐ証拠になりますが、その反面トラブルのリスクもあるため、積極的におすすめできる方法とはいえません。

性行為前後のやり取りの録画・録音は重要な証拠になる

不同意性交等罪の冤罪を防ぐ証拠となるもの

性行為の一部始終の録音・録画は、上記のとおり問題がある行為になりますが、性行為前後のやり取りを録画・録音したものであれば、法的な問題はなく、不同意性交等罪の冤罪を防ぐ重要な証拠となります。

なぜなら、性行為前後のやり取りは、性行為の同意・不同意を証明する直接的な証拠にはなりませんが、性行為前後の状況から性行為に同意があったかどうかを推認することが可能だからです。

たとえば、被害者が「無理やりホテルに連れていかれて性行為をされた」と主張していたとします。

性行為前の録音・録画で、仲良く会話しながらホテルに入室するところが残っていれば、無理やりホテルに連れていかれたという主張と矛盾する状況になります。

また、無理やり性行為をされたのであれば、一刻も早くその場を立ち去りたいと考えるのが通常ですが、性行為後の録音・録画で仲良く会話していたり、そのまま一緒に食事に行っているところが残っていれば、被害者の主張と矛盾する状況になります。

このように性行為前後のやり取りに関する録音や録画を残しておくことで、不同意性交等罪の冤罪を防ぐことが可能です。

録音・録画以外に不同意性交等罪の冤罪を防ぐのに役立つ証拠5選

録音や録画以外にも以下のような証拠も不同意性交等罪の冤罪を防ぐ証拠として役立ちます。

録音・録画以外に不同意性交等罪の冤罪を防ぐのに役立つ証拠5選

性交同意書

性交同意書とは、性行為の前に取り交わす書面でお互いが合意の上で性行為に及んだことを示す証拠として利用することができます。

性行為をする前にお互いが性交同意書に署名をすることで、後から「無理やり性行為をされた」と言われる事態を回避することが可能です。

ただし、初対面の相手に対して、いきなり性交同意書を提示して署名を求めるのは、ハードルが高いといえます。また、せっかくいい雰囲気になったのに性交同意書を提示したことで台無しになってしまうこともあります。

性的同意記録アプリ

性交同意書はハードルが高いという方は、性的同意記録アプリの利用がおすすめです。

性的同意記録アプリとは、スマートフォンなどの端末を操作するだけで、簡単に性行為への同意を記録することができるアプリです。紙媒体での性的同意書に比べて、手軽に利用できますので、雰囲気を壊すことなく、冤罪から身を守ることができます。

ただし、性的同意記録アプリには、後から同意を取り消すことができる機能がありますので、性行為後に相手が同意を取り消してしまうと、証拠としての意味がなくなってしまいます。

相手とのメールやLINEの履歴

相手とのメールやLINEの履歴も不同意性交等罪の冤罪を防ぐ有効な証拠となります。

性行為に至る前の関係が良好であること、性行為後も普段と変わらずメッセージのやり取りをしていることなどがメールやLINEの履歴からわかれば、無理やり性行為をしたのではないことを推認する証拠として利用することができます。

防犯カメラの映像

ラブホテルの防犯カメラには、ホテルに入室する状況やホテルから退室する状況が録画されていますので、性行為前後の様子を立証する証拠として利用することができます。

たとえば、仲良く手をつないでホテルに入室した状況が録画されていれば、「無理やりホテルに連れ込まれた」という状況と矛盾することになります。また、同様に仲良く手をつないでホテルから退室した状況が録画されていれば、「無理やり性行為をされた」という状況と矛盾することになります。

ホテルの防犯カメラ映像を一般の方が入手するのは困難ですので、証拠を確保する際には弁護士に依頼するようにしてください。

目撃者の証言

合コンなどで知り合ってそのまま性行為をしたようなケースでは、合コンに同席した友人の証言も冤罪を防ぐ証拠として利用することができます。

たとえば、「2人は意気投合して、一緒に帰って行った」、「翌日も変わった様子はなかった」などの証言が得られれば、無理やり性行為をしたのではないことを証明するのに役立つでしょう。

 

不同意性交等罪の成立要件と冤罪を避けるための証拠についての詳細は、以下の記事もご参照ください。

不同意性交等罪の成立要件と冤罪を避けるための証拠6選を弁護士が解説

 

不同意性交等罪を疑われたときすぐに弁護士に相談すべき3つの理由

不同意性交等罪を疑われたときは、以下のような理由からすぐに弁護士に相談するようにしましょう。

不同意性交等罪を疑われたときすぐに弁護士に相談すべき3つの理由

冤罪の立証に必要な証拠収集をサポートできる

不同意性交等罪の疑いを晴らすためには、同意に基づいて性行為をしたことを証拠により立証していかなければなりません。どのような証拠が必要になるかは具体的な状況によって異なりますので、まずは弁護士に相談してアドバイスをもらうとよいでしょう。

特に、防犯カメラの映像などは一般の方では入手することが困難ですので、弁護士のサポート不可欠です。

相手から不同意性交等罪の疑いをかけられてしまったときは、冤罪を立証するための適切な証拠を集めるためにも、早めに弁護士に相談するようにしてください。

 

弁護士が代理人として対応することで冤罪を回避できる

刑法改正により「不同意性交等罪」が新設されたことで、同意・不同意が犯罪の成否のポイントになります。これにより、同意の上で性行為をしたにもかかわらず後から「同意はなかた」と言い、金銭などを要求するいわゆる「美人局」のような事案が増えてきています。

弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として対応することができますので、相手からの違法な要求を排除することが可能です。

冤罪でないなら示談により逮捕・起訴を回避できる

冤罪ではなく実際に不同意性交等罪が成立する事案については、弁護士に依頼することで早期に示談をまとめることができますので、逮捕や起訴を回避できる可能性が高くなります。

逮捕・勾留されると最長で23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになり、起訴されてしまえば初犯であっても実刑になる可能性があります。このようなリスクを回避するためも、同意なく性行為をしてしまったときはすぐに弁護士に相談するようにしましょう。

下記の記事も併せてご覧ください。

不同意性交等罪は今すぐ弁護士に依頼するべき!選び方と費用も解説

不同意性交等罪の弁護はグラディアトル法律事務所にお任せください

不同意性交等罪の弁護はグラディアトル法律事務所にお任せください

不同意性交等罪の弁護を依頼するなら、不同意性交事件についての経験や実績が豊富な弁護士に依頼するのが重要なポイントです。弁護士の能力は、経験や実績に大きく左右されますので、経験や実績が豊富な弁護士であれば安心して任せることができます。

グラディアトル法律事務所では、これまで不同意性交事件をはじめとした多数の性犯罪事件を取り扱ってきました。性犯罪事件特有の対応なども熟知していますので、不同意性交等罪の弁護であれば当事務所にお任せください。

ご依頼があれば最短で当日から弁護活動に着手し、被害者との示談を成立させるなどの方法で、刑事事件化の回避や有利な処分の獲得に向けて全力でサポートいたします。

刑事事件に関する相談は、初回相談料無料で24時間365日受け付けております。刑事事件は、迅速な対応がカギになりますので、同意なく性行為をしてしまったときはすぐに当事務所までお問い合わせください。

まとめ

不同意性交等罪による冤罪から自分の身を守るためには、同意の上で性行為をしたことを立証する証拠を残しておくことが大切です。性行為前後の様子を録音・録画したもの、性交同意書、性的同意記録アプリなどさまざまな証拠が考えられますので、普段から意識して行動するようにしましょう。

万が一、相手から不同意性交等罪の疑いをかけられてしまったときは、すぐに対応する必要がありますので、経験と実績豊富なグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

お悩み別相談方法

弁護プラン一覧

よく読まれるキーワード