同意のない性行為はホテルや車内などのひと気のない場所でおこなわれやすいので、不同意性交等罪の現行犯逮捕事例は少なく、ある程度の期間をおいて後日逮捕されるケースが多いといえます。
そのため、加害者の立場になったときは、「通常は事件からどのくらい経過したタイミングで逮捕されるのか」「どの程度時間が空けば安心していいのか」など、さまざまな不安に悩まされることになるでしょう。
結論からいうと、不同意性交等罪における逮捕までの期間は、数日から数週間程度が一般的です。
ただし、逮捕までの期間はさまざまな要因によって変動するため、あくまでも目安のひとつとして捉えるようにしてください。
少しでも逮捕される可能性があるのであれば、できるだけ早く弁護士に相談し、今後想定される動きや今やるべきことについて、アドバイスを受けるようにしましょう。
本記事では、不同意性交等罪における逮捕までの期間や逮捕前後の具体的な流れを詳しく解説します。
逮捕を回避するための対処法なども記載しているので、自分自身や家族の未来を守るためにも、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
不同意性交等罪は一般的に数日から数週間の範囲で逮捕がおこなわれる
不同意性交等罪の罪を犯した場合、数日~数週間の間に逮捕されるケースが一般的です。
事件を認知した警察は、捜査のなかで加害者を特定し、十分な証拠を揃えたうえで逮捕に乗り出します。
この流れが数日で終わることもあれば、事件発生から数週間以上かかるケースもあります。
場合によっては1年以上経過したあとに逮捕される可能性もあるので、しばらく何もないからといって安心してはいけません。
自らが加害者になってしまったときは、弁護士に相談して示談を進めるなど、根本的な解決を目指すことが大切です。
逮捕に至る期間は、事件の具体的な状況により大きく異なる。期間に影響する主な3つの要因
不同意性交等罪の疑いで逮捕されるまでの期間は、事件の具体的な状況によって大きく異なります。
逮捕までの期間は主に3つの要因によって変動するので、それぞれ詳しくみていきましょう。
被害者が被害を報告するタイミング
不同意性交等罪における逮捕までの期間は、被害者が被害を報告するタイミングによって変動します。
通常、被害の申告が早ければ早いほど、物的証拠の収集や目撃者の確保が比較的スムーズに進むため、逮捕までの期間も短くなります。
例えば、被害直後に通報を受けた警察官が現場に駆けつけた場合、被害者の破れた衣服や防犯カメラの映像など、多数の証拠を確認できることがあります。
この場合、不同意であったことを覆す特別な事情がない限り、加害者はすぐに逮捕されてもおかしくない状況に追い込まれるわけです。
一方、被害の報告が遅れた場合は、性行為がおこなわれたことを示す証拠や、被害者が不同意であったことがわかる証拠などが見つかりにくくなるため、犯行が事実であっても、逮捕までの期間が長くなります。
証拠収集の進捗度合い
警察が証拠を十分に収集できるかどうかも、逮捕までの期間に影響します。
そもそも、加害者を逮捕するためには「嫌疑の相当性」と「逮捕の必要性」の2要件を満たしていなければなりません。
つまり、証拠が不十分だと嫌疑の相当性を満たすことができず、警察も逮捕に乗り出せない状態が続くわけです。
一方で、以下のような証拠がすぐに見つかった場合には、比較的短期間で逮捕される可能性が高いといえます。
- ・被害者が抵抗して損傷した衣服・持ち物
- ・加害者が同意のない性行為を認めているLINE・アプリなどでのやりとり
- ・防犯カメラの映像
- ・目撃者の証言
- ・DNA検査の結果
- ・被害者が酩酊状態であったことを裏づけるアルコール検査の結果
ただし、客観的証拠がないにも関わらず、被害者の証言を根拠に逮捕される事例も少なからず見受けられます。
捜査の難易度
不同意性交等罪における逮捕までの期間は、捜査の難易度によっても大きく変動します。
例えば、素性がわかっている人物が加害者で、犯行を認めているような事件は捜査の難易度が低く、逮捕までの期間も短くなりやすいです。
一方、加害者の身元が定かではない場合や、被害者の証言が不確かで同意の有無を判断するのが難しい場合などは捜査が難航し、逮捕までの期間が長くなる傾向にあります。
不同意性交等罪で後日逮捕された事例
次に、不同意性交等罪で後日逮捕された実際の事例を2つ紹介します。
犯行から約3週間後に逮捕されたケース
10代の少女に対する不同意性交等の疑いで逮捕された20代男性の事例です。
【事案概要】
逮捕容疑は11月18日午前0時半ごろ、栃木県小山市のアパートで、茨城県南地域に住む10代前半の少女に性的暴行を加えた疑い。同署によると、容疑を認めている。 |
(引用:読売新聞オンライン)
本事案で男性が逮捕されたのは12月上旬であり、犯行から約3週間が経過したタイミングです。
事件後に少女が家族とともに警察を訪れ、被害届を提出したことをきっかけに捜査がスタートし、逮捕に至っています。
犯行から約8か月経過後に逮捕されたケース
女子中学生2人に対する不同意性交等の容疑で逮捕された40代男性の事例です。
【事案概要】
男は4月中旬、横浜市瀬谷区の駐車場に止めた乗用車内で、同区の中学1年と中学2年の女子生徒2人にそれぞれ現金4000円を渡し、性的暴行を加えた疑い。男は「私のやったことに間違いありません」と容疑を認めている。 |
(引用:読売新聞オンライン)
本事案で男性が逮捕されたのは、同年12月です。
つまり、4月の犯行から8か月経過したあとに逮捕されています。
事件の内容にもよりますが、本事案のように犯行から数か月以上経過してから、警察が逮捕に乗り出すケースも決して珍しくありません。
不同意性交等罪で逮捕されるまでの流れ
次に、不同意性交等罪で逮捕されるまでの流れを解説します。
被害者による被害届の提出・告訴
不同意性交等罪で逮捕に至るまでの一連の流れは、被害者による被害届の提出・告訴から始まるケースが一般的といえます。
被害届の提出や告訴をきっかけとして、警察が事件を認知し、捜査をスタートさせるためです。
特に告訴が受理された場合は、警察に捜査義務が生じるため、ほぼ確実に事件化することになるでしょう。
ただし、被害届や告訴の有無に関わらず、目撃者からの通報などによって警察が事件を認知した場合も、独自に捜査を開始するケースがあります。
なお、被害届が提出されたり、告訴がおこなわれたりしても、加害者側がその事実を知ることは基本的にできません。
警察の捜査活動
被害届や告訴によって警察が事件を認知したあとは、迅速かつ慎重に捜査活動が進められます。
主な捜査目的は、加害者を特定し、犯罪の事実関係を明確にする証拠を収集することです。
具体的には、被害者からの詳細な事情聴取、現場検証、防犯カメラ映像の解析、関係者への聞き取り調査などがおこなわれます。
なお、加害者に犯罪を逃れる機会を与えないため、警察の捜査は水面下で進められるケースが一般的です。
逮捕令状の請求・発付
不同意性交等罪の捜査が進展すると、警察は逮捕令状の請求手続きに移ります。
逮捕は人の自由を奪う重大な手続きであり、原則として、警察の独断で実行できるものではありません。
警察からの請求に対して、裁判所が妥当と判断した場合にのみ逮捕令状が発布され、逮捕が実行されます。
とはいえ、警察も逮捕の要件を満たしていることを前提に逮捕令状の請求をおこなうため、裁判所が却下するケースは非常に稀です。
逮捕
裁判所から逮捕令状が発布されると、警察は逮捕に向けて動き出します。
警察が自宅に来ることもあれば、呼び出しを受けて出頭したところで逮捕されることもあります。
なお、逮捕令状の有効期限は発行日の翌日から7日間に設定されていますが、当日中、遅くとも2~3日以内には逮捕に至るケースがほとんどです。
不同意性交等罪で逮捕されたあとの流れ
不同意性交等罪で逮捕されたあとの流れは、おおむね以下のとおりです。
逮捕されたあとは警察署の拘置所で身柄を拘束され、ほとんどの事件で48時間以内に検察に送致されます。
送致されたあとは、検察官が24時間以内に勾留するかどうかを判断します。
検察官が裁判官に対して勾留請求をおこない、認められると原則10日間、最長で20日間の身柄拘束を受けなければなりません。
勾留期間中に検察官は捜査を進め、最終的に起訴・不起訴の判断をおこないます。
この時点で、不起訴処分になれば前科もつかず、元の生活を取り戻すことが可能です。
起訴された場合は、公開の法廷での裁判「公判」が開かれることになります。
なお、不同意性交等罪には罰金刑がないので、略式起訴による簡易的な裁判手続きがとられることはありません。
関連記事:
不同意性交等罪は5年以上の懲役?回避・短縮する方法を解説!
不同意性交等罪で執行猶予が付くのは20%?実刑を避けるポイント
不同意性交等罪での逮捕を回避するためにやるべきこと
次に、不同意性交等罪での逮捕を回避するためにやるべきことを解説します。
事件後の対応次第で逮捕の可能性は大きく変わってくるため、迅速な行動を心がけましょう。
被害者との示談を成立させる
不同意性交等罪での逮捕を回避するためには、被害者との示談成立が極めて重要です。
示談の成立によって被害者の処罰感情を和らげることができれば、被害届の提出や告訴を食い止められる可能性があります。
タイミング次第では、事件化する前に解決できることもあるでしょう。
また、示談の成立は当事者間で和解していることの証明でもあるため、警察があえて逮捕に乗り出す可能性は低くなります。
ただし、恐怖心や怒りの感情を抱いた被害者との示談交渉を、加害者自身がおこなうことは現実的ではありません。
被害者の感情を逆なでしないためにも、示談交渉は弁護士に任せることをおすすめします。
関連記事:
不同意性交罪は親告罪ではない?非親告罪でも示談が必要な理由!
自首を検討する
不同意性交等罪での逮捕を回避したいのであれば、自首も検討してみてください。
自ら出頭し、罪を認めれば、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されやすくなります。
また、自首によって反省の姿勢を示すことができるため、起訴・不起訴や量刑の判断にも好影響を与える可能性があります。
ただし、本来隠し通せていたかも知れない罪を自ら明らかにしなければならないため、自首は加害者にとってリスクの高い選択といえるでしょう。
また、自首後の取り調べに対する振る舞い方も重要になってくるため、自首を検討する場合は、まず弁護士にアドバイスを求めるようにしてください。
関連記事:
不同意性交等罪|弁護士が自首に同行し逮捕を避け不起訴になった事例
できるだけ早く弁護士に相談する
不同意性交等罪での逮捕を回避するためには、できるだけ早く弁護士に相談することも大切です。
刑事事件では、初動対応がその後の処遇を大きく左右します。
つまり、早い段階で弁護士に相談し、法的な知識と経験に基づくアドバイスを受けたうえで、適切な対応をとることができれば、逮捕のリスクを最小限に抑えられるのです。
また、被害者と迅速に接触し、示談交渉を進めてもらえることも、弁護士に相談・依頼する大きなメリットといえるでしょう。
万が一逮捕された場合でも、弁護士による弁護活動があれば、早期釈放や不起訴獲得の可能性が大幅に高まります。
不同意性交等罪での逮捕に関するよくある質問
最後に、不同意性交等罪での逮捕に関するよくある質問を紹介します。
不同意性交等罪の時効は?
不同意性交等罪の公訴時効は15年です。
犯罪行為が終了した時点から15年が経過すると、原則として起訴されなくなります。
とはいえ、時効の成立を待って15年も不安や恐怖心を抱えながら生活することは、賢い選択とはいえません。
まずは、弁護士に相談したうえで、根本的な解決を目指すべきです。
なお、民事上の損害賠償請求権に関しては、「被害者が損害および加害者を知った時点から3年(人の生命・身体を害した場合は5年)」もしくは「事件が発生した時点から20年」が時効期限とされています。
関連記事:
不同意性交等罪の時効は15年〜20年|時効を待つべきでない理由
不同意性交等罪で警察から連絡がきたらどう対処すべき?
不同意性交等罪を疑われ、警察から連絡がきた場合、基本的には応じるようにしましょう。
正当な理由もなく拒否すると、逮捕される可能性が高くなります。
ただし、何の準備もせずに出頭し、取り調べを受けると、不用意な言動によって不利な立場に追い込まれてしまうかもしれません。
そのため、まずは弁護士に相談し、取り調べでの振る舞い方などをアドバイスしてもらうことが重要です。
場合によっては、弁護士に同行を依頼するのもよいでしょう。
不同意性交等罪は必ず逮捕される?
同意のない性行為が事実であったとしても、不同意性交等罪で必ず逮捕されるわけではありません。
逃亡・証拠隠滅のおそれがないと判断された場合には、在宅事件になることもあります。
なお、不同意性交等罪の前身である、強制性交等罪の逮捕率は約57%です。(参照:令和5年版 犯罪白書)
検挙された事件のうち、4割以上は逮捕されずに済んでいるため、投げやりになるのではなく、迅速にしかるべき対処を講じることが重要です。
関連記事:
不同意性交等罪の逮捕率は57%?|流れと逮捕を防ぐ方法を解説!
不同意性交等罪で逮捕されるおそれがあるなら弁護士に相談を!
本記事のポイントは以下のとおりです。
- ・不同意性交等罪は一般的に数日から数週間の間に逮捕がおこなわれる
- ・逮捕までの期間は、被害者が被害を報告するタイミングや証拠収集の進捗度合いなどによって変わる
- ・被害届の提出・告訴により警察の捜査が始まり、逮捕令状の発布を経て、逮捕に至る
- ・逮捕を回避するには示談の成立や自首が重要
不同意性交等罪で逮捕されると、家族や職場にもバレる可能性があるため、何としても回避する必要があります。
しかし、自力で対応できることには限界があるので、不同意性交等罪で逮捕されるおそれがある場合は、できるだけ早く弁護士にサポートを求めてください。
刑事事件が得意な弁護士であれば、個々の状況に合わせた最善の対応策を提案・実行してくれるはずです。
実際にグラディアトル法律事務所では、これまでに数々の性犯罪事件を解決に導いてきました。
経験豊富な弁護士が24時間365日体制で相談を受け付けているので、迅速な対応が可能です。
初回相談は無料、LINE相談にも対応しているため、まずはお気軽にお問い合わせください。