同意がはっきりしない状態で性行為に及んでしまった翌日…
「本当は嫌だった…無理やりだった…」
「不同意わいせつで被害届を出す」
このように言われてしまい、どうすれば良いか分からず、本記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか?
不同意わいせつ罪で、冤罪が問題になるケースは決して珍しくはありません。
無理やりでなくても、あなたが同意があったと思っていても、被害者の感じ方によって犯罪となる可能性があるからです。
ただし、被害者の証言だけで、直ちに逮捕されて有罪となるわけではありません。
詳しくは本文で紹介しますが、裁判所の判例でも
・被害者の供述が信用できない ・不同意わいせつ罪の故意が認められない |
などの理由で無罪となったケースは、いくつも存在しています。
同意があったことをしっかりと立証すれば、冤罪は十分に証明できるのです。
本記事では次の点を取り上げました。
◉本記事を読んで分かること ・不同意わいせつ罪は証言だけで有罪(冤罪)になるのか ・冤罪が問題になりやすいケース・冤罪を避ける方法 ・不同意わいせつ罪(旧:強制わいせつ罪)で無罪となった裁判例 ・冤罪を疑われたときに弁護士ができること |
不同意わいせつ罪の冤罪を疑われてしまった方は、是非ご一読ください。
目次
不同意わいせつ罪は証言だけで有罪(冤罪)になる?
不同意わいせつ罪では、被害者の証言だけでも有罪となる可能性があります。
客観的な証拠が残りにくい性犯罪において、被害者の証言は、非常に有力な証拠として重視されるからです。
ただし、必ずしも被害者の証言だけで有罪になるわけではありません。
証言の信用性は、次のような点から慎重に判断されます。
・供述している内容に矛盾がないか ・客観的な証拠と整合しているか ・発言に不自然な点はないか ・被害者の勘違いではないか |
供述の内容が具体的で一貫性があるほど、信用性が高い証言だと評価されて、逮捕にいたる可能性は高くなるでしょう。
たとえ事実と異なっていても、「信憑性がある」と判断されて逮捕にいたるケースはゼロではないのです。
一旦逮捕されてしまうと、一般人が、冤罪であると警察に主張することは容易ではありません。
不同意わいせつ罪の冤罪を疑われている場合は、速やかに弁護士に相談することが必要です。
不同意わいせつで冤罪が問題になりやすいケース
不同意わいせつで冤罪が問題になりやすいのは、次のようなケースです。
後から「同意していない」と言われた場合
不同意わいせつによる冤罪の典型例は、後になって「実は同意していなかった」と主張されるケースです。
「本当は嫌と思っていた(断れなかった)」 「その場では同意していたものの、後日になって心変わりした」 「お酒の勢いだったと後悔している」 「そもそもお金目的だった(美人局など)」 など |
理由は様々ですが、このような事案は決して珍しくありません。
前述のとおり、不同意わいせつ罪では「被害者の証言」も有力な証拠として扱われます。
あなたが「同意があった」と思っており、実際に同意があったとしても、それが証明できなければ逮捕される可能性は十分にあるのです。
同意が曖昧な状態でキスやハグをした場合
デートやお酒の席などで、相手の同意を確認せずにキスやハグをしてしまうケースは珍しくありません。
その場の雰囲気であったとしても、相手が不快に感じていたり、同意していないと主張したりすれば、不同意わいせつとなる可能性があるのです。
特に、上司と部下、先輩と後輩、取引先など、立場による影響力を利用した場合は注意が必要です。
あなたが冤罪だと思っていても、相手が断れない状況だったと判断されれば、不同意わいせつ罪になる可能性は十分にあります。
出会い系アプリなどで知り合い、そのままホテルへ行った場合
出会い系アプリも、不同意わいせつ罪の冤罪が問題になりやすい場所の1つです。
特に、知り合っていきなりホテルに行ったり、お酒の勢いで性的関係を持ったケースでは注意が必要です。
後になって「強要された」という主張をされると、不同意わいせつの疑いをかけられる可能性が高くなります。
被害者が未成年だと知らなかった場合
性的行為の同意はあったものの、相手が未成年だったことが原因で、不同意わいせつ罪の疑いをかけられるケースも多く見られます。
(※未成年の場合、同意があっても不同意わいせつ罪となります)
このようなケースでは、相手が未成年だと知らなければ不同意わいせつ罪は成立しません。
犯罪となるには「犯罪となる事実を認識・認容」していることが必要だからです。
ただし難しいのは、単に「未成年だと知らなかった」と言うだけで、罪を免れられるとは限らないことです。
警察は「本当は気づいていたんでしょ?」という視点で疑ってきます。
冤罪だと主張するには、警察を納得させるだけの証拠が必要となるのです。
どういった方法で立証すればいいかは、具体的な事案によって異なるため、速やかに弁護士へ相談することが必要です。
不同意わいせつの冤罪を避ける方法
不同意わいせつ罪の冤罪を避けるには、「同意を残しておくこと」が何より大切です。
例えば、次のような方法が考えられます。
・事前に同意書を書いたり、録音しておく ・同意を残しておくアプリを使用する ・身分証などで、年齢確認をしておく ・わいせつな行為前後のやり取りを残しておく(LINE・SNSなど) ・翌日、一緒にご飯を食べたり、デートをする |
特に実践しやすいのは、LINEやSNS、メールのやり取りを残しておくことです。
例えば、LINE上のトーク履歴に、事前にホテルへ行く約束が残っていれば、「無理やりだった」という供述は誤っている可能性が高くなります。
事後に「昨日はありがとう!楽しかった!また会いたいな!」といったやり取りをしておけば、その後も良好な関係だったと推定されるでしょう。
さらに、翌日以降に、一緒にご飯を食べるなどしておくことも、良好な関係を推定する材料となります。
「無理やりだった」と証言されても、「前後の状況からして不自然だ」と証明できれば、冤罪を避けられる可能性は高くなるのです。
ただし、実際にどういった証拠が必要となるか、どういった方法で「同意があった」ことを立証するべきかは、具体的な事案によって大きく異なります。
不同意わいせつ罪で冤罪を疑われたら、一人で悩まずに、速やかに弁護士へ相談しましょう。
こちらの記事でも冤罪を避けるための証拠について記載していますので、ご覧ください。
不同意わいせつ罪を立証する6つの証拠と同意を立証する4つの証拠
冤罪は認めてはダメ!自白後に覆すのはかなり難しい
あなたが冤罪を争うのであれば、不同意わいせつであったことは絶対に認めてはいけません。
できるだけ早いタイミングで弁護士に依頼し、警察にどう対応するべきかアドバイスを受けることが必要です。
不同意わいせつ罪で行われる警察の取り調べは非常に過酷です。
取調官は、あなたの言葉尻をとらえたり、矛盾を指摘したりして、厳しく追求してくるでしょう。
「認めれば早く終わるぞ」などと言って、自白を迫ってくるケースもあるかもしれません。
しかし、どういった経緯であれ、取り調べの際に一度でも認めてしまうと、その自白は決定的な証拠として扱われます。
「その場をしのぐため」「早く解放されたい」という気持ちから安易に認めてしまうと、裁判で無実を主張するのは極めて難しくなるのです。
さらに、いったん起訴されてしまうと、日本の刑事裁判の有罪率は99%とも言われています。
裁判で冤罪を晴らそうとすれば、膨大な時間と労力、そして費用がかかります。
不同意わいせつ罪で冤罪の疑いをかけられたら、できるだけ早く弁護士に相談し、誤った供述や不利益な発言を避けることが必要です。
これができるかどうかが、その後の展開を大きく左右すると言っても過言ではありません。
不同意わいせつの冤罪で無罪となった裁判例
ここまで説明したとおり、不同意わいせつ罪の冤罪を証明することは容易ではありません。
しかし決して不可能というわけではなく、刑事裁判で争った結果、無実を証明できた裁判例も存在しています。
不同意わいせつ罪(旧:強制わいせつ罪)で冤罪が証明された判例を2つ紹介します。
供述の信用性に疑問があるとして無罪となった判例
この事案は、温水器の修理に訪れた女性宅で、被告が女性に強制わいせつ未遂の行為を行ったとして起訴されたものです。
(出典:強制わいせつ未遂事件|札幌高判 平成21年10月22日)
・被害時刻に関する供述が、テレビ番組の放送時間や表示された時刻と一致せず不自然だった ・被害者の供述が、被告人の携帯電話の通話履歴と矛盾していた。 ・被害者(女性)は事件前に、自ら電話番号を被告人にメモで渡しており、被害後の行動も通常の被害者の心理状態と一致しないとされた ・被害後の行動に関する供述が変遷しており、信用性が低かった |
以上のような点が考慮されて、被害者供述は唯一の証拠ではあるものの、合理的な疑いを払拭するには不十分であると認定されました。
その結果、被告人が強制わいせつ未遂行為を行ったと認めることはできず、被告人に無罪が言い渡されました。
故意が無かったとして無罪となった判例
次の紹介するのは、外国人男性である被告人が、電車内で女性に無理やりキスをした等として、強制わいせつ罪で起訴されたものです。
(出典:日本経済新聞|名地判平成29年9月5日)
・自分に好意を抱いていると誤信した可能性があり、女性の意思に反すると認識していなかった ・女性は隣に座った男性に名前や勤務先を教えており、男性を受け入れているようにも見える。周囲に助けも求めなかった ・女性から私的な情報を教えてもらい、男性が好意を抱かれていると誤信した可能性がある |
以上のような点が考慮されて、わいせつ行為自体は行っているものの、故意が無かったと認定されて、無罪が言い渡されました。
不同意わいせつの冤罪を疑われたとき弁護士ができること
不同意わいせつの冤罪を疑われたら、速やかに弁護士へ相談することが必要です。
特に、警察から連絡が来る前に相談し、スピーディに対応できればその後の展開が大きく変わってきます。
冤罪を立証するための弁護活動
不同意わいせつが冤罪であると主張するためには、それを立証する必要があります。
弁護士は豊富な経験と専門的なノウハウを武器に、あなたの疑いを晴らすために尽力してくれるでしょう。
・そもそも「不同意わいせつ罪」が成立するのか ・冤罪だと認めてもらうためにはどのように主張すれば良いのか ・どのような証拠が必要なのか など |
不同意わいせつの冤罪を立証するポイントは事案によって大きく異なります。
弁護士の経験やノウハウも影響するため、実績のある弁護士に依頼することが欠かせません。
経験豊富な弁護士に依頼するほど、スムーズに解決できる可能性は高くなるでしょう。
警察の取り調べに対するアドバイス
弁護士は、警察の取り調べにどのように対応するべきか、具体的なアドバイスをしてくれます。
・「拒否したいけど断れなかった」 ・「無理やりキスをされてしまった」 |
被害者が、警察でこういった供述をすれば、あなたの元に連絡が来る可能性があります。
取り調べの回答次第で、その後の展開は大きく変わってくるでしょう。
不同意わいせつが冤罪の場合、決して認めてはいけません。ただし、知識がない状態で否定し続けるのが難しいことも事実です。
事前に、弁護士に相談しておけば、取り調べに備えることができます。
・どのような権利が保証されているのか(黙秘権など) ・違法な取り調べとはどのようなものか ・困ったらどう回答すればよいのか ・どう回答すれば、自分に不利益になるのか など |
上記のようなポイントを確認しておくだけでも、対応が大きく変わってくるはずです。
示談によって被害届の提出を阻止できる
あなたが「同意があった」と思っていても、法的に認められないケースもあります。
・お酒が入っていて、同意が不十分だった場合 ・相手が未成年だった場合 ・上司と部下、先輩と後輩など、立場的に断れなかった場合 など |
同意が有効だと認められなければ、冤罪を主張するだけでは解決が難しいでしょう。
故意がなかったと証明できない限り、不同意わいせつ罪となることは避けられないからです。
しかし、このようなケースでも、弁護士に相談すれば、被害者と示談することで解決できる可能性があります。
・被害者が警察に行く前であれば、示談によって被害届の提出を防ぎ、刑事事件化を阻止する ・既に捜査が開始されていれば、示談によって、被害届の取り下げてもらう など |
万が一、逮捕されてしまった場合でも、示談が成立すれば早期に釈放される可能性が高くなります。
不同意わいせつ罪の成立が避けられない・あるいは同意があったことが証明できないのであれば、すぐに被害者と示談することが賢明な判断だと言えるでしょう。
不同意わいせつで冤罪を疑われたら、グラディアトル法律事務所へご相談ください!
もしもあなたが、不同意わいせつ罪の冤罪を疑われているのなら、私たちグラディアトル法律事務所へご相談ください。
私たちは、刑事事件に強く、性犯罪事件や冤罪事件をいくつも解決した実績があります。
【グラディアトル法律事務所の解決実績】
・通勤途中の電車内で痴漢の冤罪で逮捕。 →避妊して、逮捕後3日以内の早期釈放と不起訴処分を獲得した解決事例 ・盗撮を疑われ,支払いの示談書にサインしてしまった盗撮冤罪事件 →示談金の支払いなしで0円解決!相談から解決までわずか6時間のスピード解決 ・ナンパからホテルへ連れ込んで性行為を行い、被害届が出されて逮捕。 →示談を成立させて、執行猶予付きの判決を獲得することに成功 |
難しい性犯罪の事件を数多く取り扱ってきた私たちだからこそ、不同意わいせつの疑いをかけられてしまったあなたに寄り添い、スムーズに解決に導くことができます。
「同意があったと言えるのか相談したい」
「刑事事件になるリスクがあるのか知りたい」
こういったご相談だけでも構いません。
弊所では、あなたの不安を解消するため、初回の相談については無料でお受けしております。
まずはお話を聞かせていただければと思います。
不同意わいせつの冤罪に関するよくある質問
被害者の証言だけでも有罪になりますか?
被害者の証言だけでも、有罪になる可能性はあります。
ただし、証言だけで直ちに有罪となるわけではなく、証言の信憑性やその他の証拠が考慮されます。
同意があっても示談は必要ですか?
示談をした方が良いかは、具体的な事案によって異なります。
「同意の有無」でトラブルになっている場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
最後に、今回の記事のポイントをまとめます。
・不同意わいせつ罪は、被害者の証言だけでも有罪になる可能性がある
・次のようなケースでは冤罪が問題になりやすい
・後から「同意していない」と言われた場合 ・同意が曖昧だったり、その場の雰囲気でキスやハグをした場合 ・出会い系アプリなどで知り合い、そのままホテルへ行った場合 ・被害者が未成年だった場合 |
・不同意わいせつ罪の冤罪を防ぐには、証拠を残しておくことが重要
・警察で一度でも冤罪を認めると、覆すには多大な労力が必要となる
・取り調べの前に弁護士に相談することが大切
・不同意わいせつ罪の冤罪を疑われたとき、弁護士ができることは次の3つ
・冤罪を立証するための弁護活動 ・警察の取り調べにどう対応するかのアドバイス ・示談によって被害届の提出を防ぎ、刑事事件化を回避する |
以上です。
不同意わいせつ事件で冤罪を疑われてしまった方は、この記事を読み終わったら、すぐに弁護士に相談して、冤罪を証明するための行動を起こしましょう。
一刻も早く、あなたの疑いが晴れて、不安が解消されることを願っています。
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