不同意わいせつ罪の時効は12年!時効待ち以外にできる3つのこと

不同意わいせつ罪の時効は12年!時効待ち以外にできる3つのこと
弁護士 若林翔
2024年11月27日更新

「不同意わいせつ罪の時効は何年?」

「刑法改正により不同意わいせつ罪の時効はどのように変わったの?」

「時効待ち以外にできることを知りたい」

不同意わいせつ罪には公訴時効がありますので一定期間が経過すると、罪を犯したとしても処罰されることはありません。

しかし、不同意わいせつ罪の時効は、12年と非常に長いため、時効待ちの方針をとるのはリスクが高いといえます。

特に、性犯罪の事案は、数年経ってから被害者が告訴するケースもありますので、いつ逮捕されるかわからない状態で長期間生活しなければならないのは、精神的にも非常に辛いといえるでしょう。

そのため、不同意わいせつ事件を起こしてしまったときは、時効待ちではなく、すぐに被害者と示談するのがおすすめです。

本記事では、

・不同意わいせつ罪の時効

・不同意わいせつ罪の公訴時効に関する注意点

・不同意わいせつ罪で時効待ち以外にできる3つのこと

などについてわかりやすく解説します。

被害者との示談を進めるのであれば弁護士のサポートが不可欠になりますので、まずは性犯罪に強い弁護士に相談するようにしましょう。

不同意わいせつ罪の時効

不同意わいせつ罪の時効

不同意わいせつ罪の時効には、刑事上の時効である「公訴時効」と民事上の時効である「消滅時効」の2種類があります。以下では、公訴時効と消滅時効の概要と期間について説明します。

不同意わいせつ罪の公訴時効|12年

公訴時効とは、犯罪が終わってから一定期間が経過することで、検察官が公訴提起(起訴)できなくなる制度です。公訴時効が成立すると、犯罪行為をしてしまったとしても刑罰が科されることはありません。

公訴時効は、犯罪の法定刑に応じて定められており、不同意わいせつ罪の公訴時効期間は、12年です。

不同意わいせつ罪の消滅時効|3年・5年・20年

消滅時効とは、権利者による権利行使が一定期間ない場合に、その権利を消滅させることができる制度です。

不同意わいせつ罪は、被害者の同意なくわいせつな行為をする犯罪ですので、それにより被害者の性的自由が侵害されています。このような権利侵害に対しては、民法上の不法行為が成立しますので、加害者は、被害者に対して損賠償義務を負います。

もっとも、消滅時効が成立すれば被害者が有する損害賠償請求権も消滅しますので、時効の援用により賠償金の支払いを免れることができます。

なお、不同意わいせつ罪の消滅時効期間は、損害および加害者を知ったときから3年または事件発生から20年で時効になります。ただし、生命・身体に対する不法行為については、被害者保護の観点から「3年」ではなく「5年」の時効期間が適用されますので、暴行などを用いてわいせつ行為をした場合には、時効期間が5年になる可能性があります。

不同意わいせつ罪に関連する犯罪の公訴時効

以下では、不同意わいせつ罪に関連する犯罪の公訴時効を紹介します。

罪名公訴時効
不同意わいせつ罪12年
不同意わいせつ等致傷罪20年
不同意性交等罪15年
監護者わいせつ罪12年

不同意わいせつ等致傷罪|20年

不同意わいせつ致傷罪とは、不同意わいせつ罪や監護者わいせつ罪またはこれらの罪の未遂罪を犯した際に被害者に怪我を負わせてしまった場合に成立する犯罪です(刑法181条1項)。

不同意わいせつ等致傷罪の公訴時効は、20年です。

※「不同意わいせつ致傷」にリンク

不同意性交等罪|15年

不同意性交等罪とは、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態の被害者と性交等を行った場合に成立する犯罪です(刑法177条)。以前は、「強制性交等罪」および「準強制性交等罪」と呼ばれていましたが、2023年7月13日施行の改正刑法により新たに不同意性交等罪が創設されました。

不同意性交等罪の公訴時効は、15年です。

監護者わいせつ罪|12年

監護者わいせつ罪とは、監護者が18歳未満の未成年者に対してわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です(刑法179条1項)。監護者わいせつ罪も2023年7月13日施行の改正刑法により新設された犯罪です。

監護者わいせつ罪の公訴時効は、12年です。

不同意わいせつ罪の公訴時効に関する注意点

不同意わいせつ罪の公訴時効に関する注意点

不同意わいせつ罪の公訴時効を考える際には、以下の点に注意が必要です。

法改正により公訴時効期間が延長された

不同意わいせつ罪は、2023年7月13日施行の改正刑法により新設された犯罪です。以前は、「強制わいせつ罪」と呼ばれていましたが、法改正により「不同意わいせつ罪」に変更になりました。

この法改正に伴い刑事訴訟法の改正も行われ、公訴時効期間が以下のとおり延長されました。

罪名改正前改正後
不同意わいせつ罪(強制わいせつ罪)7年12年
不同意わいせつ等致傷罪(強制わいせつ等致傷罪)15年20年
不同意性交等罪(強制性交等罪)10年15年

なお、2023年7月13日よりも前の行為については、改正前の強制わいせつ罪が適用されることになりますが、公訴時効期間は改正後のものが適用されますので注意が必要です。

時効の起算点は犯罪行為が終わったとき

公訴時効は、犯罪行為が終わった時点から期間の進行がスタートします。このような時効期間のスタート地点を「起算点」といいます。

不同意わいせつ罪は、わいせつ行為が終了したで犯罪行為が終了しますので、被害者がわいせつ被害に遭ったときから時効期間がスタートします。

被害者が18歳未満だと時効期間が加算される

不同意わいせつ事件の被害者が18歳未満の場合、被害者が18歳に達する日までの期間が公訴時効に加算されます。これは、心身ともに未熟な子どもは、性被害を申告するのが難しいと考えられているため、被害者保護の観点から公訴時効期間を延長したものになります。

たとえば、不同意わいせつ事件を起こし、その被害者が12歳だった場合、公訴時効の完成は、18年(元の時効12年+成人になるまで6年)後になります。

公訴時効が停止することがある

公訴時効は、一定事由が生じると期間の進行がストップすることがあります。このような事由を「公訴時効の停止事由」といいます。

公訴時効の停止事由には、以下のようなものがあります。

・事件が起訴された場合
・共犯者の事件が起訴された場合
・犯人が国外逃亡している場合
・犯人が逃げ隠れしていて起訴状を渡すことができない場合

児童買春・淫行の罪を犯して、海外に逃げていたとしても、その期間は時効期間が進行しませんので、海外逃亡により時効が過ぎるのを待つのは意味がありません。

不同意わいせつ罪の時効待ちはリスク大

不同意わいせつ罪には公訴時効があるからといって、時効期間が経過するまで何もせずに待つのはおすすめできません。

性犯罪の被害者は、性被害を申告するのに勇気がいるため、事件直後には被害の申告ができないことがあります。このようなケースでは、事件から数年経ってから告訴がされることもありますので、時効直前に逮捕・起訴されてしまう可能性もあります。

実際の事案でも、以下のような事件がありました。

7年前の高校生わいせつ、時効まで3か月で男を逮捕…公開映像に「似ている」と情報提供
(読売新聞オンライン)

これは、改正前の強制わいせつ罪の事案になりますが、公訴時効期間7年が迫る直前に逮捕された事例です。このように時効待ちの方針は、逮捕・起訴されるリスクが高いため、時効待ちではなく、次章のような対応を検討すべきでしょう。

不同意わいせつ罪で時効待ち以外にできる3つのこと

不同意わいせつ罪で時効待ち以外にできる3つのこと

不同意わいせつ事件を起こしてしまったときは、時効待ちではなく、以下のような対応を検討しましょう。

被害者と示談

不同意わいせつ事件を起こしてしまったときは、すぐに被害者との示談を行うようにしてください。捜査機関に事件が発覚する前に被害者との示談が成立すれば、刑事事件になる前に解決できますので、逮捕や起訴を回避することが可能です。

また、被害者から告訴がなされた後でも早期に示談を成立させることができれば、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないものとして逮捕を回避できる可能性があります。検察官も当事者間で解決済みの事件をあえて起訴することはありませんので、不起訴処分を獲得できる可能性も高くなります。

このように有利な処分を獲得するためには、被害者との示談が重要になりますので、早期に示談交渉に着手することが大切です。

 

自首

自首とは、事件の発覚または犯人の特定前に、犯人自らが捜査機関に罪を申告することをいいます。

自首をすることによって逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを示すことができますので、逮捕を回避できる可能性があります。また、自首は、任意的な刑の減軽事由とされていますので、不同意わいせつ罪で起訴されてしまったとしても、裁判官の裁量により刑の減軽を受けられる可能性があります。

ただし、自首をするのであれば捜査機関に事件が発覚する前に行わなければなりませんので、早めに行動することが大切です。

弁護士に相談

不同意わいせつ事件を起こしてしまったときはすぐに弁護士に相談するようにしてください。

性犯罪の被害者は、加害者に対して強い処罰感情を抱いていますので、加害者自身では被害者と示談交渉を行うことが困難です。弁護士であれば被害者の処罰感情に配慮しながら適切に示談交渉を進められますので、早期に示談を成立させられる可能性が高くなります。

また、自首をする際にも弁護士が警察署に同行して、警察に逮捕をしないよう強く要請することができますので逮捕を回避できる可能性を高めることができます。

 

不同意わいせつ罪は時効待ちではなくグラディアトル法律事務所に相談を

法改正により不同意わいせつ罪の時効は、7年から12年に延長されました。時効待ちをする場合、12年もの長期間も不安定な状態に置かれることになり、時効直前に逮捕・起訴されてしまうリスクもありますので、時効待ちの方針はおすすめできません。

グラディアトル法律事務所では、性犯罪の事案に関する豊富な経験と実績がありますので、時効待ち以外にできるさまざまな方法を熟知しています。状況に応じて適切な手段を選択することにより、不同意わいせつ罪による逮捕や起訴のリスクを軽減することができますので、まずは当事務所までご相談ください。

当事務所では、24時間365日相談を受け付けており、土日祝日、深夜・早朝などいつでもお電話可能です。刑事事件はスピード勝負と言われるように、早期対応が重要になりますので、不同意わいせつ事件を起こしてしまったときはすぐに当事務所までお問い合わせください。

まとめ

不同意わいせつ罪の時効は、12年ですが、12年間何もせず時効を待つのは得策ではありません。実際の事件でも時効直前に逮捕されたものがありますので、事件から数年後突然警察から連絡が来て逮捕されてしまう可能性も否定できません。

このようなリスクを回避するには、まずは被害者と示談をすることが重要です。グラディアトル法律事務所では、性犯罪の示談交渉に関する豊富な経験と実績がありますので、まずは当事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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