不同意わいせつ事件の量刑相場は懲役1~3年・執行猶予率は約77%

不同意わいせつ事件の量刑相場は懲役1~3年・執行猶予率は約77%
弁護士 若林翔
2024年11月27日更新

「不同意わいせつ罪の量刑相場はどのくらい?」

「不同意わいせつ罪の量刑はどのような要素で判断されている?」

「不同意わいせつ罪で弁護士をつけると量刑上どのようなメリットがある?」

不同意わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑と定められていますので、量刑上罰金刑は存在しません。検察官によって起訴され有罪になれば、法定刑の範囲内で拘禁刑(法改正までは懲役刑)が言い渡されます。

実際に有罪になった場合の刑期は、事案によってケースバイケースですが、量刑相場としては懲役1~3年程度になります。また、約77%の事案で執行猶予が付いていますので、適切な弁護活動により執行猶予を獲得できる可能性は十分にあるといえるでしょう。

本記事では、

・不同意わいせつ罪の量刑相場と執行猶予の確率

・不同意わいせつ罪の量刑の判断要素

・不同意わいせつ罪で弁護士をつけることによる量刑上のメリット

などについてわかりやすく解説します。

少しでも軽い刑を希望するのであれば、刑事事件に強い弁護士のサポートが不可欠となりますので、早めに弁護士に相談をするようにしましょう。

不同意わいせつ罪の量刑相場と執行猶予の確率

有罪になると懲役1~3年程度が相場

不同意わいせつ罪は、2023年7月13日施行の改正刑法により新設された犯罪ですので、量刑相場のわかる資料はまだ存在しません。しかし、不同意わいせつ罪と改正前の強制わいせつ罪の量刑は、刑の種類を除いて共通ですので、強制わいせつ罪の量刑相場が参考になります。

法務省が公表している「性犯罪の量刑に関する資料」によると、令和元年に強制わいせつ罪で有罪となった事件の量刑は、以下のようになっています。

1年以下2年以下3年以下5年以下7年以下10年以下
29件(4.05%)550件(65.19%)189件(26.34%)28件(3.51%)3件(0.50%)1件(0.29%)

この表からは、懲役1~3年が全体の約9割を占めていますので、不同意わいせつ罪の量刑相場は、懲役1~3年といえるでしょう。

不同意わいせつ罪の執行猶予率は約77%

不同意わいせつ罪で有罪になったとしても、執行猶予が付けばただちに刑務所に収容される心配はありません。日本の刑事司法では、起訴された事件の99%以上が有罪になっていますので、不同意わいせつ罪で起訴されてしまったときは執行猶予が付くかどうかが重要なポイントになります。

法務省が公表している「性犯罪の量刑に関する資料」によると、2019年に強制わいせつ罪で有罪になった事件は800件で、そのうち執行猶予が付いた事件は614件でした。そのため、不同意わいせつ罪(強制わいせつ罪)の執行猶予率は約77%ということになります。

起訴されたとしても約4人に3人が執行猶予付きの判決を獲得していますので、執行猶予付きの判決を目指すのは決して難しいことではありません。

 

不同意わいせつ罪の量刑の判断要素

不同意わいせつ罪の量刑の判断要素としては、主に以下のようなものが挙げられます。実際の裁判では、以下の要素を総合考慮して量刑が決められています。

項目内容詳細
犯行の手段・方法・態様犯行の具体的な方法や態様が量刑に影響・被害者の服の上から触る vs. 下着内に手を入れる
・悪質な手段・方法ほど刑が重くなる
犯行の動機・計画性の有無犯行の動機や計画性の有無が考慮される・偶発的な犯行 vs. 計画的な犯行
・計画性が高いほど刑が重くなる(例:睡眠薬の使用)
結果の重大性被害者の数や被害の程度が量刑に影響・被害者が未成年や16歳未満の場合、結果の重大性が増し刑が重くなる
被害者との示談の有無示談の成立は量刑において有利に働く・示談成立で執行猶予が付く可能性が高まる(悪質な事案を除く)
被告人の反省の有無被告人の態度が量刑判断に影響・反省が見られる場合は刑が軽減される可能性あり
・否認や反省の欠如で刑が重くなる
前科・前歴の有無性犯罪の前科・前歴がある場合、刑が重くなる・同種前科がある場合、更生の可能性が低いと評価される

犯行の手段・方法・態様

犯行の手段・方法・態様は、量刑判断における重要な考慮要素になります。

たとえば、服の上から被害者の胸や臀部を触るのと、下着の中に手を入れて胸や性器をさわるのとを比較すると、当然後者の方が悪質な犯行態様といえますので、量刑判断においても刑が重くなりやすくなります。

犯行の動機・計画性の有無

犯行の動機や計画性も量刑判断において考慮されます。

たとえば、偶然見かけた女性に対してわいせつな行為をした事案とストーカーのように以前から執拗に付け回していた女性に対してわいせつな行為をした事案とを比較すると、後者の方が悪質な犯行といえますので刑が重くなる傾向になります。

また、あらかじめ睡眠薬を準備して被害者に飲ませた上でわいせつな行為に及んだ事案では、計画性のある犯行といえますので、重い刑罰が科される可能性が高いでしょう。

結果の重大性

被害者の数や被害の程度などの犯罪結果も量刑判断の一要素となります。

不同意わいせつ罪のような性犯罪は、被害者の心身に多大な負担を与えることになりますが、そのような負担は被害者の年齢が低ければ低いほど大きくなります。被害者が未成年者であったり、性交同意年齢に満たない16歳未満の子どもであったりすると、結果が重大であると評価され、重い刑罰が科される可能性があります。

被害者との示談の有無

被害者との示談により、事後的に被害が回復されていれば、量刑判断においては有利な情状として考慮されます。

不同意わいせつ罪では、被害者との間で示談が成立していれば、余程悪質な事案でない限りは執行猶予が付く可能性が高いでしょう。

被告人の反省の有無

被告人の態度も量刑判断に影響を及ぼします。

罪を認めて十分に反省をしていれば量刑判断において有利に働きますが、犯行を否認するなど反省が認められない場合には刑が重くなる可能性があります。

前科・前歴の有無

被告人に前科・前歴がある場合、再犯のおそれが高いと評価され、刑が重くなる傾向があります。特に、不同意わいせつ罪で起訴された場合、性犯罪の同種前科があると、更生の可能性が低いと判断され、重い刑が科される可能性があります。

不同意わいせつ罪の量刑を軽くするには被害者との示談が重要

不同意わいせつ罪の量刑を軽くするには被害者との示談が重要

不同意わいせつ罪の量刑判断要素のうち、「犯行の手段・方法・態様」、「犯行の動機・計画性の有無」、「結果の重大性」、「前科・前歴の有無」については、すでに犯行を終えた後だと本人の力ではどうすることもできない事情になります。そのため、少しでも有利な刑の言い渡しを受けるためには、被害者との示談が重要になります。

被害者との間で示談が成立していれば、量刑判断において有利な事情として考慮されますので、示談が成立していない場合に比べて刑が軽くなるとともに、執行猶予付きの判決を獲得できる可能性が高くなります。

執行猶予が付けば有罪判決が言い渡されても刑務所に収容されることはありませんので、通常の社会生活を送ることが可能です。刑務所に収容されるか、通常の社会生活を送れるかは、被告人にとって人生の大きな分岐点になります。実刑判決を避けるためにも、早期に被害者との示談交渉に着手して示談の成立を目指しましょう。

 

不同意わいせつ罪で弁護士をつけることによる量刑上のメリット

不同意わいせつ罪で弁護士をつけることによる量刑上のメリット

不同意わいせつ事件では、弁護士をつけることによって、以下のような量刑上のメリットが得られます。

酌量減軽を受けられる可能性が高くなる

酌量減軽とは、犯罪の情状に酌量すべきものがあるときに、裁判官の裁量により刑を減軽することができる制度です。酌量減軽が認められれば、懲役刑であれば刑期の上限と下限が2分の1になりますので、不同意わいせつ罪であれば「3月以上5年以下の拘禁刑」の範囲で刑が言い渡されます。

酌量減軽を求めるには、刑事裁判において被告人に有利な情状を立証していかなければなりません。そのためには、被害者との示談、再犯防止に向けた取り組み、環境整備などを行う必要がありますので、専門家である弁護士のサポートが不可欠です。

経験豊富な弁護士に依頼をすれば、具体的な事案に応じた適切な情状立証を行ってくれますので、酌量減軽を受けられる可能性が高くなるでしょう。

執行猶予の獲得に向けたサポート

不同意わいせつ罪で起訴された場合の執行猶予率は約77%ですので、執行猶予付き判決を狙うことも十分に可能です。執行猶予を獲得する可能性を高めるには、被害者との示談など有利な情状の積み重ねが不可欠になりますので、被疑者・被告人だけでは対応が難しいといえるでしょう。

事件後すぐに弁護士に依頼をすれば、早い段階から弁護活動に取り掛かることができますので、適切な弁護活動により執行猶予獲得の可能性を高めることが可能です。

早期の示談成立により不起訴処分を獲得できる

被害者との示談は、執行猶予付きの判決を獲得するためだけでなく、不起訴処分を獲得するためにも重要な要素となります。

検察官による起訴・不起訴の判断前に、被害者との示談を成立させることができれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。加害者本人では被害者に接触することすらできない事案でも弁護士が窓口になって対応することにより、被害者も交渉に応じやすくなりますので、示談成立の可能性を高めることができます。

 

不同意わいせつ事件で量刑を有利にするならグラディアトル法律事務所に相談を

不同意わいせつ事件で量刑を有利にするならグラディアトル法律事務所に相談を

不同意わいせつ事件における量刑相場は、懲役1~3年程度になりますが、量刑相場の中でも有利な判決を獲得するには、経験豊富な弁護士による適切な弁護活動が欠かせません。刑事事件に強い弁護士に依頼すれば、本来の刑期よりも軽減される可能性もありますので、誰に弁護を依頼するかが重要なポイントになります。

グラディアトル法律事務所では、不同意わいせつ事件のような性犯罪に関する豊富な経験と実績がありますので、有利な量刑を希望される方は、当事務所までご相談ください。経験豊富な弁護士が被害者との示談交渉や再犯防止に向けた取り組みの提案、環境調整などを行い、有利な処分の獲得に向けて全力でサポートいたします。

当事務所では、初回法律相談料無料、24時間365日いつでも相談を受け付けています。土日・祝日や深夜・早朝でもお問い合わせ可能ですので、不同意わいせつ罪を犯してしまったときは一刻も早く当事務所までご連絡ください。

まとめ

不同意わいせつ罪で有罪になった場合の量刑相場は、懲役1~3年程度になります。しかし、実際にはさまざまな要素を踏まえて量刑判断がなされますので、相場を上回る量刑になるケースもあります。

少しでも有利な量刑にするには、被害者との示談が重要になりますので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。不同意わいせつ事件を起こしてしまったという方は、すぐにグラディアトル法律事務所までご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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