「キスした相手が未成年だと、後になって分かった」
「同意があっても関係ないって本当?」
「もしかしたら未成年かもしれない」…こんな考えが頭に浮かびつつも、性的な行為に及んしまい、不安になって本記事にたどりついた方も多いのではないでしょうか。
未成年(18歳未満)と性的な行為をすると、本人の同意とは関係なく「不同意わいせつ罪」となる可能性があります。
・相手からキスやハグをしてきた ・女性からホテルへ誘ってきた ・性的な行為について同意していた |
状況は様々かもしれませんが、いずれのケースでも、同意があったとはみなされません。
弊所でも、「未成年の女性と性的な関係をもってしまった」とご相談に来られる方は多いです。
本文で詳しくご紹介しますが、最近も、出会い系アプリで未成年の女性とトラブルになった方からご相談をいただきました。
このケースでは、すぐに弊所の弁護士にご依頼してくださったため、逮捕を免れて不起訴となりましたが、似たような事例は少なくありません。
未成年と性的な関係を持ってしまった場合は、すぐに弁護士へ相談して、逮捕を阻止するための行動を起こすことが必要です。
そこで、本記事では次の点を取り上げました。
◉この記事を読んで分かること ・(年齢別)不同意わいせつ罪が成立するケース ・未成年だと知らなった場合はどうなるのか ・不同意わいせつ事件が発覚する原因 ・逮捕を回避する方法 |
未成年への不同意わいせつ事件を起こしてしまった方は、是非ご一読ください。
目次
【ケース別】未成年への不同意わいせつ罪は成立する?
「不同意わいせつ罪」は、相手が同意していれば成立しないのが原則です。
しかし、18歳未満に対するわいせつ行為は例外で、相手が同意していても犯罪になる可能性があります。
未成年者は判断能力が十分ではないため、たとえ性的行為に同意していても、有効な同意とはみなされないからです。
なお、不同意わいせつ罪が成立するかは、被害者の年齢によっても変わってきます。
そこでここでは、被害者の年齢別に3つのケースに分けて説明します。
被害者が12歳以下の場合
まず、被害者が12歳以下(13歳未満)のケースを見ていきましょう。
この年齢の子どもは、そもそも性的な行為の意味を理解できないことがほとんどです。そのため、被害者が積極的に行為を受け入れていたとしても、有効な同意があったとは扱われません。
つまり、12歳以下の子どもに対してわいせつな行為を行えば、同意の有無に関わらず、不同意わいせつ罪が成立することになります。
例えば、小学6年生の子どもが「自分は同意していた」と主張したとしても、不同意わいせつ罪に問われる可能性が高いです。
被害者が13歳〜15歳の場合
次に、被害者が13歳〜15歳(16歳未満)のケースです。
この年齢になると、性的な意味をある程度理解できるようになります。しかし、相手との関係が対等でなければ、自由な意思決定は難しいと考えられています。
そこで、加害者が被害者より「5歳以上年長」であれば、同意の有無に関わらず不同意わいせつ罪が成立します。
例えば、13歳の中学生に対して、20歳の大学生がわいせつ行為を行えば、被害者が嫌がっていなかったとしても、不同意わいせつ罪に問われる可能性が高いでしょう。
一方で、「15歳の高校生」と「19歳の大学生」で真剣に交際しているといったケースでは、不同意わいせつ罪は成立しません。
被害者の年齢 | 加害者の年齢 | 不同意わいせつ罪 |
13歳 | 18歳〜 | (同意に関わらず)成立する |
14歳 | 19歳〜 | (同意に関わらず)成立する |
15歳 | 21歳〜 | (同意に関わらず)成立する |
弊所でも、出会い系アプリで知り合った自称13歳の女性と、同意の上で肉体関係を持ってしまった40代男性のご相談がありました。
ご依頼者さまは「同意があった」と思われていたものの、ある日突然「被害届を出す」と言われ、戸惑われていました。
結局、弁護士が同行して自首することで、逮捕を免れて不起訴となりましたが、似たような事例は少なくありません。
たとえ「13歳とは知らなかった」と言い張っても、被害届が出されれば、のちに逮捕される可能性があります。
もしかしたら…と思ったら、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
被害者が16歳〜17歳の場合
最後に、被害者が16歳〜17歳の場合です。
この年齢になると、性交同意年齢に達しているため、(同意があれば)不同意わいせつ罪は成立しません。
ただし、他の法律や条例に抵触する可能性はあります。
【18歳未満の未成年者と性行為をした場合に成立する犯罪】
法律・条例 | 罰則 |
青少年健全育成条例違反 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 ※都道府県によって異なる |
児童福祉法違反 | 10年以下の懲役、300万円以下の罰金、またはその併科 |
児童買春・児童ポルノ禁止法違反 | 5年以下の懲役または300万円以下の罰金 |
18歳未満との性的行為は、刑法上の「不同意わいせつ罪」にはならずとも、さまざまな法律や条例に抵触するリスクがあることを覚えておきましょう。
※関連コラム
「18歳未満だと知らなくても犯罪になる?不起訴になり得る4つのケース」
未成年だと知らなかった場合は「不同意わいせつ罪」にならない?
未成年に対するわいせつ行為は、同意があっても犯罪になる可能性が高いことをお伝えしました。
では、相手が未成年だと知らなかった場合はどうなるのでしょうか?
結論から言えば、未成年だと知らなかったのであれば、不同意わいせつ罪にはなりません。
犯罪が成立するには、自分の行為が犯罪だと認識・認容していることが必要だからです。
(故意)刑法 第三十八 条罪を犯す意思がない行為は、罰しない。 |
ただし、「知らなかった」と主張するだけで、すぐに罪を免れることは難しいでしょう。
警察や検察は「本当は知っていたのではないか?」と疑い、厳しく追及してきます。
例えば、年齢確認を一切せず、「もしかしたら未成年かも?」という認識があっただけでも、不同意わいせつ罪となる可能性は十分にあります。
罪を免れるには、「未成年だと知らなかった」ことを立証することが必要です。
・相手に年齢を聞いており、そのやりとりがチャットなどに残っている ・18歳未満が利用できないマッチングアプリなどで出会っている ・身分証を提示してもらい、年齢を確認している など |
いずれにせよ、自分の主張だけでは、警察や検察を説得するのは難しいでしょう。
万が一、18歳未満だと知らずにわいせつ行為をしてしまったら、一人で抱え込まずに、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
未成年への不同意わいせつが発覚する原因
未成年に対するわいせつ行為は、同意の有無に関わらず犯罪になる可能性が高いことを説明しました。そうすると、次のように考える人もいるかもしれません。
「未成年だと、そもそも被害にあったことが分かっていないのでは?」
「周囲がわいせつ行為に気づかなければ逮捕されない?」
しかし、未成年に対するわいせつ行為は、様々なことがきっかけとなって発覚します。
具体的な要因を見ていきましょう。
わいせつ行為の現場を目撃される
最も直接的な原因は、「わいせつ行為の現場を目撃される」ことです。
例えば、公園や駐車場、人通りの多い路地裏などで行為に及んだ場合、第三者に目撃されるリスクが高まります。
また、犯行現場がスマートフォンで撮影されていたり、防犯カメラの映像に残っているケースも少なくありません。
大型商業施設で、13歳未満の児童の身体を触るなどのわいせつな行為。 一緒に買い物に来ていた家族が犯行を目撃し、店に届け出て、通報を受けた警察が捜査し、逮捕されたケース。 (出典:テレビユー福島) |
被害者が両親や友達に相談する
被害者が両親や友達に相談して、後日になって発覚することもあります。
加害者は「被害者が誰にも話さないだろう」と思っている人もいるでしょう。
しかし、後日になって被害者が家族や友人に相談し、事件が発覚するケースは珍しくありません。
12歳の女児を車で送迎していたドライバーが、10月〜4月の半年間にわたって、助手席の女児の尻を触るなどのわいせつ行為。 同年7月、女児から事情を明かされた母親が署に相談して、事件が発覚。 事件から3ヶ月後に逮捕されたケース。 (出典:ABCテレビ) |
SNSなどのやり取りから発覚する
近年増加しているのが、「SNSなどのやり取りから発覚する」ケースです。
例えば、次のようなケースが挙げられます。
・両親が子どものスマートフォンをチェックし、出会い系アプリや、LINE等のやり取りを発見する ・被害者自身がSNSで呟いて、それが拡散されて発覚する |
さらに警察の捜査過程で、スマートフォンやパソコン、SNSのアカウント等が調べられて、やり取りが証拠として使われることもあります。
未成年の証言だけでも不同意わいせつ罪で逮捕される?
では、未成年の証言だけで、不同意わいせつ罪での逮捕に至るのでしょうか。
結論から言えば、証言だけで即座に逮捕されるわけではありません。
しかし、証言をきっかけに捜査が開始され、様々な証拠が見つかれば、逮捕される可能性は十分にあります。
【未成年の不同意わいせつ罪で証拠になり得るもの】
・被害者(未成年者)の証言 (※未成年でも証拠能力は認められる) ・両親や友人、目撃者の証言 ・防犯カメラの映像 ・被害者の身体の状態(傷や痕跡など) ・LINEやSNSのやりとりの履歴 など |
特に注意が必要なのは、未成年に対する不同意わいせつ罪では「同意がなかったのか」についての証拠は必要ないことです。
つまり、「わいせつな行為があったこと」さえ分かれば、それが同意の下であったとしても逮捕されるリスクがあるのです。
ただし、実際に逮捕されるかの判断は、証拠の有無だけで決まりません。
事件の内容、加害者の年齢や境遇、被害者との関係性など、様々な要素が考慮されます。
・加害者と被害者の年齢差はどうだったのか ・被害者は何歳なのか(小学生・中学生・高校生など) ・どういった関係性なのか(初対面、教師と生徒、義父と娘…等) ・どのような経緯でわいせつな行為に至ったのか など |
被害が大きかったり、事件が悪質だったりするほど、逮捕にいたる可能性は高くなるでしょう。
逮捕を防ぐには、速やかに弁護士に相談して、逮捕を阻止するための行動を起こすことが必要です。
未成年への不同意わいせつで弁護士ができること
未成年への不同意わいせつ事件で、弁護士ができることは次の3つです。
未成年だと知らなかったことを立証する
相手が未成年だと知らずにわいせつ行為を行った場合、弁護士はそれを立証するために闘ってくれます。
「犯罪の成立を否定するにはどうすればいいのか」、具体的な方法についてアドバイスをもらえるでしょう。
・出会い系サイトやSNSでのやり取りの記録を提出する ・マッチングアプリの利用規約などを示す ・相手の外見や言動から、成人だと信じて当然なことを説明する ・年齢確認を行った形跡を示す ・明らかに成人のように見えたことを説明する(当時の写真など) など |
ただし、「どのような証拠があれば良いのか」「どうやって証拠を収集すればいいのか」は具体的な事案によって大きく異なります。
どう立証していくのかは、経験に左右される面が大きいため、不同意わいせつ事件のノウハウを持った弁護士に依頼することが大切です。
被害者の両親(保護者)と示談をする
被害者の連絡先が分かる場合、弁護士から、両親に示談交渉を持ちかけることもできます。
被害届が出される前に示談できれば、刑事事件化を阻止し、逮捕・起訴のリスクを大幅に下げられるでしょう。
警察の捜査が始まった後でも、示談するメリットは大きいです。
わいせつ行為の内容にもよりますが、スムーズに示談が成立し、誠実に謝罪や賠償を行えば、逮捕に至る可能性は格段に低くなります。
自首・出頭するべきかアドバイスできる
わいせつ事件の内容によっては、自首・出頭した方が良いケースもあります。
例えば、以下のような状況では、不同意わいせつ罪の成立は避けられません。
・未成年であることが分かっていた ・わいせつ行為をしたことも明らか ・相手が被害届を出すと言っている |
このような場合は、事件が発覚する前に警察へ出頭し、自首として受理してもらうことが重要です。
わいせつ事件を反省しており、逃亡や罪証隠滅の可能性が低いと伝われば、逮捕のリスクも下げられます。
ただし、自首・出頭は自己判断で行うのではなく、必ず弁護士に相談してから決めましょう。
場合によっては、自首・出頭するのではなく、先に示談交渉した方が良いケースもあるからです。
さらに、自首・出頭する当日も、弁護士が同行することでリスクを最小限に抑えられます。
・自首した結果、そのまま逮捕されてしまう ・パニックになって、取り調べで嘘をついてしまう ・支離滅裂な証言をしてしまう 等 |
当日、弁護士がサポートすることで、こういったリスクに対処できるのです。
【グラディアトルの解決事例】出会い系アプリで未成年(13歳)と不同意性交|逮捕を避けて不起訴に!
未成年への不同意わいせつ罪で逮捕されることを防ぐなら、私たち「グラディアトル法律事務所」へご相談ください。
私たちは刑事事件に強く、難しい性犯罪の事件も数多く取り扱ってきた法律事務所です。
ここでは、未成年への不同意性交事件について、グラディアトル法律事務所の実際の解決事例をご紹介します。
今回の事例は、未成年(13歳)の女性と援助交際をしてしまったケースです。
被害届が出されそうになったものの、弁護士が同行して自首した結果、逮捕を避け、不起訴処分となりました。
【未成年への不同意性交で不起訴処分になった事例】
<ご依頼者さま> 40代の既婚男性 <事件の概要> 出会い系アプリで自称13歳の女性と仲良くなったご依頼者さま。 相手の女性から「実際に会ってみたい」と連絡があったため、了承して会うことに。 現れた女性の見た目は、自称どおり13歳程度。ご依頼者さまは、「16歳未満かもしれない」と認識しながらも、ラブホテルへ行って肉体関係を持ってしまいます。 その後も変わらず連絡を取り合っていましたが、ある日突然、女性の態度が一変。「被害届を出す」と言われてしまいます。 説得に応じる様子は無かったため、刑事事件に強い弊所にご相談をいただきました。 <グラディアトルが行った弁護活動> 今回のケースでは、不同意性交等罪が成立することが明らかです。 そこで、逮捕を回避し、刑を減軽してもらうため、ご依頼者さまの意向を聞いた上で、弁護士同行で自首に行くことを勧めました。 自首当日は、警察まで弁護士が同行して、手続が円滑に進むようにサポート。 その後もこまめに連絡を取り、法律面・精神面それぞれでサポートを続けて、今後の不安が解消されるよう尽力します。 さらに、ご依頼者さまは、ご家族や職場の方に事件のことがバレてしまうことについて、強い不安を抱えられていました。 そこで、弁護士が警察にその旨を説明し、万が一ご家族などに連絡をする場合、先にご依頼者様に連絡をしてもらうことにします。 <結果> 逮捕されることなく事件は終結。 不起訴処分。 家族や職場に事件がバレることもありませんでした。 |
今回のケースでは、すぐに弁護士にご相談・ご依頼をいただけたので、迅速に必要なサポートをすることができました。
未成年と性的な行為に及んでしまった場合は、被害届が出されていない場合や、逮捕には至っていない状況でも、できるだけ早く弁護士に相談することが必要です。
万が一、未成年と不同意性交・わいせつ事件を起こしてしまった場合は、お早めに当事務所の弁護士までご相談ください。
不起訴に関してはこちらの記事でも詳しく記載がありますので、ご覧ください。
不同意わいせつ罪の不起訴率は約60%!不起訴獲得のポイントを解説
【Q&A】未成年への不同意わいせつでよくある質問
性交同意年齢は13歳未満ではなかったのですか?
以前は、性交同意年齢は「13歳未満」とされていました。
しかし2023年の法改正によって「16歳未満」へと引き上げられました。
未成年と真剣に交際していても犯罪になりますか?
未成年者(18歳未満)と真剣に交際しているだけでは、犯罪にはなりません。
ただし、相手が12歳以下であったり、13歳〜15歳で5歳以上の年齢差があるケースで性的行為を行うと、犯罪になる可能性があります。
未成年にキスしただけでも不同意わいせつ罪になりますか?
キスが「わいせつな行為」だと認められると、不同意わいせつ罪となる場合があります。
保護者に被害届を出されたら逮捕されますか?
被害届が出されて、警察が必要と判断すれば、捜査が開始されます。
まずは話し合いを促されるケースもありますが、年齢差があったり、事件が悪質な場合は、逮捕される可能性があるでしょう。
まとめ
最後に、今回の記事のポイントをまとめます。
・未成年へわいせつ行為をすると、同意があっても「不同意わいせつ罪」となる可能性がある。
・被害者の年齢別でまとめると次のとおり
・被害者が12歳以下の場合 →無条件で「不同意わいせつ罪」が成立する ・13〜15歳の場合 →加害者が年長者(5歳以上)の場合に成立する ・16〜17歳の場合 →不同意わいせつ罪にはならないが、別の法律・条例に違反する可能性がある |
・未成年だと知らなかった場合は成立しないが「知らなかったこと」の立証が必要
・「単に気づかなかった」というだけでは危険
・未成年への不同意わいせつ罪で弁護士ができることは次の3つ
・未成年だと「知らなかったこと」の立証 ・被害者の両親(保護者)と示談して、逮捕を回避、刑の減軽 ・自首、出頭するべきかのアドバイス |
以上です。
未成年への不同意わいせつ事件を起こしてしまった方は、この記事を読み終わったら、すぐに弁護士に相談して、逮捕を防ぐための行動を起こしましょう。
一刻も早く、事件が解決し、あなたの不安が解消されることを願っています。
この記事が役に立った、参考になったと感じましたら、是非グラディアトル法律事務所にもご相談ください。