不同意わいせつ罪は親告罪ではない!刑事処分への影響と示談の重要性 

不同意わいせつ罪は親告罪ではない!刑事処分への影響と示談の重要性
弁護士 若林翔
2024年12月04日更新

「不同意わいせつ罪は親告罪?」

「告訴が不要な非親告罪だと刑事処分にどのような影響があるの?」

「親告罪でない場合、被害者と示談する意味はある?」

不同意わいせつ罪は、親告罪ではありません

そのため、被害者による告訴がなかったとしても、検察官は起訴することが可能です。つまり、被害者との示談で告訴を取り下げてもらったとしても、起訴される可能性があるということです。

しかし、当事者間で示談が成立している場合、被害者の意向を尊重して不起訴にする傾向がありますので、非親告罪であったとしても被害者との示談は重要な要素の一つとなります。

不同意わいせつ罪を犯してしまったときは、すぐに被害者との示談を行うことが大切です。

本記事では、

・不同意わいせつ罪が非親告罪になった経緯

・不同意わいせつ罪が非親告罪だと刑事処分にどのような影響があるのか

・非親告罪である不同意わいせつ罪における示談の重要性

などについてわかりやすく解説します。

被害者との示談交渉には、刑事事件に強い弁護士のサポートが不可欠ですので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

不同意わいせつ罪は親告罪ではない!

不同意わいせつ罪は、親告罪ではありません。

親告罪とは、告訴権者からの告訴がなければ検察官が起訴することができない犯罪をいいます。また、告訴とは、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、訴追や処罰を求める意思表示をいい、告訴ができるのは、被害者やその法定代理人など一定の範囲の人に限られています。

親告罪か非親告罪かは、法律により定められており、不同意わいせつ罪は、親告罪である旨の規定がないため、非親告罪ということになります。

すなわち、被害者からの告訴がなかったとしても検察官は、被疑者を起訴して刑事裁判にかけることができるのです。

 

不同意わいせつ罪(強制わいせつ罪)が非親告罪になった経緯

不同意わいせつ罪は、2023年7月13日施行の改正刑法により新設された犯罪で、改正前は、強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪により処罰されていました。

強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪は、2017年の刑法改正以前は、親告罪として扱われていましたが、2017年7月13日施行の改正刑法により親告罪から非親告罪に変更になりました。

そもそも、強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪のような性犯罪は、事件化することにより被害者の名誉やプライバシーが害されるおそれがあったため、公訴提起にあたり被害者の意思を尊重するために親告罪とされていました。

しかし、性犯罪により肉体的・精神的な被害を受けた被害者に対して、告訴するかどうかの選択を迫るのはさらなる負担を負わせることになってしまいます。そこで、被害者の負担を経験するために親告罪から非親告罪に改正されたのです。

不同意わいせつ罪もこのような流れを汲んで、非親告罪として扱われています。

不同意わいせつ罪が非親告罪だと刑事処分にどのような影響がある?

不同意わいせつ罪が非親告罪だと刑事処分にどのような影響がある?

不同意わいせつ罪が非親告罪だと刑事処分にどのような影響があるのでしょうか。

被害者の告訴がなくても起訴が可能

不同意わいせつ罪は、親告罪ではありませんので、被害者の告訴がなかったとしても捜査機関が事件を認知した場合には、捜査を進めて、起訴することが可能です。

また、被疑者に逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがある場合には、逮捕・勾留されることもあり、そうなれば最長23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになります。

さらに、検察官により起訴されてしまうと、不同意わいせつ罪の法定刑には罰金刑がありませんので、必ず公判請求され、正式裁判が開かれることになります。日本の刑事司法では、非常に高い有罪率となっていますので、99%以上の確率で有罪となってしまうでしょう。

刑事処分にあたっては被害者の心情に配慮した運用がなされている

不同意わいせつ罪が非親告罪であるとはいっても、性犯罪については被害者の名誉やプライバシー保護が重要になりますので、被害者の意向を無視して、起訴されることはありません。

過去に強制わいせつ罪などの性犯罪が親告罪から非親告罪へと改正される際に、法務省は、検察に対して、以下のような通達を出しています。

第3 留意事項

1 強姦罪等の非親告罪化について

性犯罪については、もとより、被害者のプライバシー等の保護が特に重要であり、事件の処分等に当たっても被害者の心情に配慮することが必要であることは、強姦罪等を非親告罪化した後も変わるものではない。

したがって、本法施行後においても、引き続き、事件の処分に当たって被害者の意思を丁寧に確認するなど被害者の心情に適切に配慮する必要があることに留意されたい。

これにより、不同意わいせつ罪などの性犯罪に関しては、起訴・不起訴の判断にあたって被害者の意向を確認するなどの運用がなされていますので、非親告罪であっても被害者の意向がある程度処分に反映されるといえるでしょう。

不同意わいせつ罪が非親告罪であっても示談が重要

不同意わいせつ罪が非親告罪であっても示談が重要

上記のように不同意わいせつ罪は、非親告罪であるものの、処分にあたっては被害者の心情に配慮することが求められていますので、被害者との示談が重要な意味を持ちます。被害者との間で示談を成立させることができれば、以下のようなメリットが得られます。

逮捕を回避できる可能性が高くなる

捜査機関に犯行が発覚する前に被害者と示談することができれば、逮捕を回避できる可能性を飛躍的に高めることができます。

このタイミングで示談すれば、そもそも捜査機関が犯行を認知するきっかけがなくなりますので、逮捕やそれに続く刑事処分を回避できるという効果が期待できます。逮捕・勾留となれば、最長23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになりますので、実名報道をされなかったとしても、長期間の欠勤を理由として職場を解雇されてしまうリスクが生じます。

そのため、逮捕を回避するというのは刑事事件において非常に重要な意味があります。不同意わいせつ事件を起こしてしまったときは、そのまま放置するのではなくすぐに被害者との示談交渉に着手するようにしましょう。

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早期の身柄解放を実現できる可能性が高くなる

被害者による被害申告や告訴があると、事案によっては警察により逮捕されてしまう可能性があります。

しかし、逮捕されたとしても被害者との示談が成立すれば、その時点で身柄拘束を続ける必要性がなくなりますので、早期の身柄解放を実現できる可能性が高くなります。逮捕・勾留による身柄拘束は、時間が経てば経つほど被疑者本人に生じる不利益が大きくなりますので、一日でも早く釈放してもらうことが重要です。

大切なご家族が不同意わいせつ罪で逮捕されてしまったときは、すぐに被害者との示談交渉を進めていくようにしましょう。

不起訴処分獲得の可能性が高くなる

不同意わいせつ罪は非親告罪ですが、検察官が起訴・不起訴の判断をする際には、被害者の心情に配慮することが求められています。

加害者と被害者との間で示談が成立している事案であれば、被害者の判断を尊重して不起訴処分にする可能性があります。特に、示談書に「処罰を求めない」などの宥恕文言が設けられている場合には、不起訴になる可能性が高くなるでしょう。

このように非親告罪であっても被害者との示談は重要な意味を持っていますので、有利な処分を獲得するためにも、できるだけ早く被害者との示談を成立させることが大切です。

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性犯罪の弁護に関する豊富な実績と経験

当事務所では、不同意わいせつ罪などの性犯罪の弁護に関する豊富な実績と経験を有しています。性犯罪事件における被害者対応も得意としていますので、処罰感情の強い被害者が相手であっても、相手の処罰感情に配慮しながら粘り強く交渉を続けることで、示談を成立させることが可能です。

性犯罪の被害者との示談交渉は、加害者本人で対応するのは困難ですので、実績と経験豊富な当事務所の弁護士にお任せください。

複数弁護士在籍の強みを活かした迅速対応

刑事事件は、スピード勝負といわれるように、迅速な対応が処分の内容を左右することになります。対応が遅れれば、逮捕・勾留・起訴などの不利な処分を受ける可能性が高くなりますので、弁護士に依頼するなら迅速な対応が可能な弁護士を探すべきです。

当事務所では、複数弁護士在籍の強みを活かしていつでも迅速な対応が可能な体制を整えてみなさまからのご連絡をお待ちしています。最短で当日対応も可能ですので、不同意わいせつ事件を起こしてしまったときはすぐに当事務所にご連絡ください。

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当事務所では、24時間365日相談を受け付けておりますので、土日・祝日、早朝・深夜いつでもお電話可能です。初回相談料も無料で対応していますのでお気軽にお問い合わせください。

 

まとめ

不同意わいせつ罪は、親告罪ではありません。そのため、被害者の告訴がなくても検察官は起訴することができます。

しかし、性犯罪という性質上、被害者の意向を無視して事件を起訴することはありませんので、非親告罪であっても被害者との示談が重要な意味を持ちます。早期に被害者との示談を成立させ、有利な処分を獲得するには、経験豊富な弁護士によるサポートが不可欠となりますので、まずはグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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