「痴漢事件で不起訴になる割合はどのくらい?」
「痴漢で不起訴処分を獲得するためのポイントを知りたい」
「痴漢事件を弁護士に依頼するとどのようなサポートをしてもらえる?」
法務省が公表している検察統計によると、罪名ごとの痴漢事件の不起訴率は、以下のようになっています。
・不同意わいせつ罪……約61%
・迷惑防止条例違反……約33%(※痴漢のみの統計ではないため参考数値)
この数値からもわかるように、痴漢で検挙されたとしても一定数は不起訴で終わっていることがわかります。早期に弁護士に依頼をして、適切な弁護活動をすることができれば、不起訴率をさらに高めることができますので、一刻も早く弁護士に依頼するようにしましょう。
本記事では、
・統計からみる痴漢の不起訴率
・痴漢で不起訴になる方法
・痴漢で不起訴処分を獲得するために弁護士ができる3つのこと
などについてわかりやすく解説します。
痴漢で不起訴処分を獲得するためには、痴漢事件の弁護に強い弁護士のサポートが不可欠となりますので、早めに相談するのがおすすめです。
目次
痴漢の不起訴率は約6割!逮捕されても不起訴になる可能性は十分ある
痴漢事件で不起訴になるのはどのくらいの割合なのでしょうか。以下では、実際の統計資料に基づいて痴漢事件の不起訴率をみていきましょう。
不同意わいせつ罪(強制わいせつ罪)の不起訴率は約61%
2022年検察統計の「罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」によると不同意わいせつ罪(強制わいせつ罪)の起訴・不起訴の数値は、以下のようになっています。
・総数……3867件
・起訴(公判請求)……1132件
・不起訴……2356件(起訴猶予:1147件、嫌疑不十分:947件、嫌疑なし:1件)
この統計からは、不同意わいせつ罪(強制わいせつ罪)の不起訴率が約61%であることがわかります。
不同意性交等罪の成立要件と冤罪を避けるための証拠6選を弁護士が解説
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迷惑防止条例違反の不起訴率は約33%(起訴されない率は66%)
2022年検察統計の「罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」によると迷惑防止条例違反の起訴・不起訴の数値は、以下のようになっています。
・総数……1万2286件
・起訴……4608件(公判請求:875件、略式命令請求:3733件)
・不起訴……4044件(起訴猶予:3435件、嫌疑不十分:528件、嫌疑なし:2件)
この統計からは、迷惑防止条例違反の不起訴率が約33%であることがわかります。
起訴・不起訴以外については、微罪処分等の処分がなされていると考えられるため、起訴されない確率は66%といえます。
なお、迷惑防止条例違反には痴漢以外にも盗撮、のぞき、つきまといなども含まれていますので、上記数値は痴漢のみの不起訴率を表すものではありません。そのため、あくまでも参考数値として理解しておいてください。
痴漢で不起訴になる方法①|嫌疑なし・嫌疑不十分
痴漢事件の嫌疑をかけられたものの冤罪であるというケースでは、「嫌疑なし・嫌疑不十分」を理由とする不起訴処分を目指すことになります。
嫌疑なし・嫌疑不十分とは
嫌疑なしとは、捜査の結果、犯人でないことが明白になった場合の不起訴処分をいいます。被害者以外に真犯人が見つかったときや被疑者に犯行時のアリバイがあり犯行が不可能なときなどが該当します。
嫌疑不十分とは、犯人でないことが明白になったわけではありませんが、犯人や犯罪の成否を認定するための十分な確証が得られなかった場合の不起訴処分をいいます。起訴したとしても確実に有罪判決が得られるだけの証拠がないような場合がこれに該当します。
証拠に関しては、こちらの関連記事もご覧ください。
痴漢の証拠は8つ|被害者証言だけで逮捕される実態を解説
犯行を否認するなら取り調べでの対応が重要
痴漢事件の嫌疑をかけられたものの実際には痴漢をしていないという冤罪の場合には、「嫌疑なし・証拠不十分」を理由とする不起訴処分の獲得を目指していきます。
このケースでは、犯行を否認することになりますので、捜査機関からの厳しい取り調べを受けることになります。そのため、不起訴処分を獲得するにあたっては、取り調べでの対応が非常に重要となります。
捜査機関は、さまざまな手段を用いて被疑者からの自白を引き出そうとしてきます。不慣れな環境で長時間の取り調べを受けることになると、精神的に疲弊してやってもいない痴漢を認めてしまうこともあります。
しかし、冤罪であるにもかかわらず自白をしてしまうと後日供述を撤回するのは困難となりますので、冤罪であるなら一貫して否認を続けることが重要です。
また、捜査機関が作成した供述調書に不利な内容が盛り込まれていないかどうかをしっかりとチェックし、少しでもニュアンスが異なる部分があれば訂正を求めることも必要です。被疑者には黙秘権が保障されていますので、場合によっては黙秘権の行使も検討する必要があるでしょう。
こちらの記事も併せてご覧ください。
痴漢冤罪をでっち上げられた!初期対応と冤罪を立証する方法を解説
痴漢で不起訴になる方法②|起訴猶予
実際に痴漢をしてしまったというケースでは、「起訴猶予」を理由とする不起訴処分を目指すことになります。
起訴猶予とは
起訴猶予とは、犯人や犯罪の成否を立証するだけの十分な証拠があるものの、検察官の判断により不起訴とする方法です。検察官は、犯罪が成立するケースであっても必ず起訴しなければならないわけではなく、犯罪の軽重、被疑者の年齢・境遇、反省の有無、示談の状況などを考慮して、不起訴にすることも可能とされています。
令和5年版犯罪白書によると、令和4年に不起訴となった人員総数は14万6617人で、そのうち起訴猶予を理由とする不起訴処分は10万1437人で全体の約70%を占めています。
このように不起訴処分は、起訴猶予を理由とするものがほとんどといえます。
【痴漢で逮捕】今後の流れと不起訴を獲得する方法を弁護士が解説
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犯行を認めているなら被害者との示談が重要
実際に痴漢をしてしまったというケースでは、犯行を認めた上で、起訴猶予を理由とする不起訴処分を目指していきます。
犯行を認めて反省するというのも不起訴処分を獲得する事情の一つとなりますが、それだけでは不十分です。起訴猶予を理由とする不起訴処分を獲得するのであれば、被害者との示談が重要な要素となります。
被害者との間で示談が成立すれば、当事者間で事件がすでに解決済みとなりますので、そのような事件を検察官があえて起訴する理由がなくなります。検察官による起訴・不起訴の判断の前に、被害者と示談を成立させることができれば、起訴猶予を理由とする不起訴処分を獲得できる可能性が高くなりますので、早期に示談交渉に着手することが大切です。
下記の記事も併せてご覧ください。
痴漢示談金(慰謝料)相場は30〜150万円!減額する方法解説
痴漢で不起訴処分を獲得するために弁護士ができる3つのこと
痴漢事件で不起訴処分を獲得するためには、弁護士のサポートが不可欠となります。以下では、不起訴処分を獲得するために弁護士ができる3つのことを説明します。
痴漢冤罪の立証のサポート
痴漢冤罪事件の場合には、「嫌疑なし・嫌疑不十分」を理由とする不起訴処分を目指すことになります。しかし、痴漢事件では、被害者の供述が重視される傾向がありますので、捜査機関により逮捕・勾留され、孤立した状況にある被疑者本人が捜査機関を相手に自身の無実を主張していくのは非常に困難といえるでしょう。
弁護士に依頼をすれば、早期に面会を実施し、取り調べの対応に関するアドバイスをしてもらうことができますので、不当な自白を強要されるリスクを軽減することが可能です。
また、弁護士が独自に痴漢冤罪に関する証拠を集めて、捜査機関に提出することで痴漢冤罪を立証することができます。身柄拘束されている被疑者本人では痴漢冤罪の証拠を集めるのは困難といえますので、弁護士によるサポートが不可欠となります。
被害者との示談交渉
痴漢をしたのが事実であるときは、「起訴猶予」を理由とする不起訴処分を目指すことになりますが、その際に重要になるのが被害者との示談です。
性犯罪という性質上、被疑者が被害者と接触して示談交渉をするのは困難ですし、逮捕・勾留により身柄拘束されている状態であれば被疑者本人による示談交渉は不可能といえます。
弁護士であれば早期に被害者との示談交渉を開始し、示談成立を目指して交渉を進めることができます。被疑者本人では難しい示談交渉であっても、痴漢事件に詳しい弁護士であれば適切な条件で示談をまとめることができるでしょう。
早期の身柄解放の実現
痴漢事件で逮捕・勾留されている場合は、不起訴処分の獲得と並行して早期の身柄解放も重要となります。
逮捕・勾留されると最大で23日間も身柄拘束をされることになりますので、仕事や家庭などに多大な影響が生じてしまいます。不起訴処分を獲得できたとしても仕事を解雇されてしまっては、その後の人生にも重大な支障が生じてしまうでしょう。
弁護士であれば、早期に被害者との示談交渉を成立させるなどの方法により、早期の身柄解放を実現することが可能です。身柄拘束による不利益を最小限に抑えるためにも、早めに弁護士に依頼することが大切だといえます。
痴漢事件は迷わず弁護士を呼べ!理由と早期に不起訴獲得した事例
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痴漢で不起訴処分を獲得した当事務所の事例
以下では、痴漢事件で不起訴処分を獲得した当事務所の実際の事例を紹介します。
電車内での痴漢冤罪で逮捕されたものの不起訴となった事例
【事案の概要】
Xさんは通勤途中に電車内で痴漢をしたとして逮捕されてしまいました。
逮捕されてしまったXさんの家族から相談・依頼を受けて、当事務所の弁護士が逮捕当日に警察署に赴き、接見を行ったところ、Xさんは「痴漢行為はしていない、冤罪だ」として無罪を訴えていました。
その後、弁護士が詳細な事実について聞き取りました。
・電車に乗っていたときの状況
・被害者とされる女性との位置関係
・被疑者の手の位置
・その女性から手を掴まれた前後の状況
・逮捕されてしまうまでの経緯
・繊維鑑定の有無
その結果、担当弁護士としても本件が冤罪事件であるとの確信を抱いたため、ご本人と相談し、今後の方針として否認していくことになりました。
【弁護活動】
取調べでは、警察からの誘導で間違った事実を調書に取られないよう助言をし、黙秘権や調書への署名を拒否する権利などがあることを伝えました。
検察と裁判所に対し、本件は勾留すべき事案でないことを主張していく必要があります。
また、逮捕後勾留請求をされると、最大で20日間もの身柄拘束をされてしまいますので、担当弁護士としては勾留請求の阻止に向けた活動を開始しました。
具体的には、
・被疑者に前科前歴がないこと
・逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないこと
・勾留の必要性がないこと
などを具体的に記載した意見書を作成し、ご本人の誓約書、両親の身元引受書を添付して、検察庁へ提出をしました。
しかし、残念ながら検察官からは勾留請求をされてしまいました。
もっとも、その後、迅速に裁判所へ同様に意見書等を提出し、弁護人は裁判官と面談をし、本件は勾留すべき事案ではないと強く伝えました。
その結果、裁判所は勾留すべきではないと判断し、勾留請求が却下され、本人は無事に釈放されました。
釈放後、弁護人は検察官に対して本件は冤罪であり、不起訴にすべきである旨の意見書を提出し、最終的に、検察官としても冤罪の疑いがあるとのことで不起訴処分となりました。
路上痴漢で逮捕されるも不起訴処分となった事例
【事案の概要】
Xさんは、お酒をたくさん飲み、酷く酔った状態で東京の繁華街を歩いていました。酩酊状態にあるXさんは、道端で知らない女性の身体を触るなどの痴漢行為をしてしまい、その場で警察を呼ばれ逮捕されてしまいました。
Xさんは、その後すぐに釈放されたものの、起訴される可能性もあったことから当事務所に相談し、正式にご依頼いただくことになりました。
【弁護活動】
担当弁護士はすぐに検察官に連絡をして示談したい旨などを伝えました。
その結果、検察官から被害者の連絡先を教えてもらい、被害者の方に連絡をとりましたが、被害者の方は、「Xさんに反省の様子がなかった」と大変ご立腹でした。
このままでは示談の成立は困難であると考え、Xさんが反省していることを示すために、担当弁護士からXさんの反省の気持ちを伝えるとともに、謝罪文をお渡ししました。
その結果、被害者の方にXさんの反省の気持ちが伝わり、示談金20万円で示談を成立させることができました。
示談成立後は、ご依頼者様の反省文と謝罪文、示談成立の合意書を捜査機関に提出し、無事に不起訴処分となりました。
痴漢で不起訴処分を目指すならグラディアトル法律事務所に相談を
痴漢事件で不起訴処分を目指すなら、痴漢事件の弁護士に強いグラディアトル法律事務所にご相談ください。
刑事事件に強い弁護士が被害者との示談交渉をサポート
痴漢事件で起訴猶予を理由とする不起訴処分を目指すのであれば、被害者との示談が重要になります。
しかし、痴漢事件は、性犯罪という性質上、被害者の処罰感情が強く、示談交渉が難航するケースも少なくありません。このようなケースで示談を成立させるには、痴漢事件に強い弁護士に依頼するのが重要なポイントとなります。
グラディアトル法律事務所では、痴漢事件の弁護に関する豊富な経験と実績がありますので、痴漢事件の示談交渉の方法を熟知しています。被害者の処罰感情が強いケースであっても、被害者の立場に寄り添って丁寧に交渉を続けることで、示談を成立させることが可能です。痴漢事件の弁護は、誰に依頼するかによって示談成立の可能性が変わりますので、痴漢事件の示談交渉は、痴漢事件の弁護に強い当事務所にお任せください。
迅速に不起訴処分獲得に向けた弁護活動に着手
被疑者が逮捕・勾留されている場合、最大で23日間もの身柄拘束を受けることになります。身柄拘束による不利益を最小限に抑えるためには迅速に弁護活動に着手して、身柄解放を実現する必要があります。
また、不起訴処分を目指すなら勾留期間が満了するまでの間に示談交渉をまとめなければならず、時間的な余裕はほとんどありません。
グラディアトル法律事務所では、痴漢事件の弁護のご依頼があれば、早ければ当日に、遅くても翌日には弁護活動に着手しますので、限られた時間の中でも質の高いサポートを受けることができます。
初回相談無料・24時間365日全国対応
グラディアトル法律事務所では、刑事事件に関する法律相談については、初回相談料無料で対応しています。相談したからといって必ず依頼しなければならないというわけではありません。相談するかどうかを躊躇して時間が過ぎてしまうのを避けるためにも、まずは当事務所までご相談ください。
また、当事務所では、24時間365日相談を受け付けていますので、早朝や深夜の痴漢であっても困ったときはすぐにご連絡いただける体制になっています。痴漢事件の弁護はスピード勝負となりますので、一刻も早く当事務所までお問い合わせください。
まとめ
痴漢で検挙されたとしても、一定数は不起訴処分で終わっています。実際に痴漢をしてしまったケースでも起訴猶予を理由とする不起訴処分を獲得できる可能性がありますので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
痴漢をしてしまったという方は、痴漢事件の弁護に強いグラディアトル法律事務所までお早めにご相談ください。