「出来心から、つい痴漢してしまった…」
「もしも逮捕されたらと思うと、不安で仕方がない」
「家族や職場にバレたらどうしよう…」
「いっそのこと、自首した方が良いのだろうか」
痴漢で自首するべきか悩み、本記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか?
あなたが深く反省しているのなら、確かに自首も選択肢の1つです。
勇気を振り絞って自首すれば、その代わりに得られるメリットはいくつも存在しています。
ただし、あなたが1人で自首を決断することは全くオススメできません。
「本当に自首するべきなのか」、必ず弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
あえて自首するリスクを取らなくても、被害者と示談するだけで、事件化を防げる場合も多いです。
本記事では、次の内容を取り上げました。
・痴漢で自首するメリット
・自首するリスク
・出頭当日の流れ
痴漢で自首するか悩んでいる方は、是非ご一読ください。
目次
痴漢で自首するメリット|逮捕を回避できる可能性が高い
あなたが痴漢してしまい、それを反省しているなら、自首は選択肢の1つです。
自ら警察に出頭することで、次のようなメリットを得られるからです。
逮捕を回避できる
痴漢で自首すると、逮捕を回避できる可能性が高まります。
自ら警察に出頭することで、逮捕の要件を満たさなくなるからです。
自首すると、過ちを深く反省していることが警察にも伝わります。
逮捕の必要性(逃亡もしくは罪証隠滅のおそれ)が無いと判断されやすくなるため、高い確率で逮捕を防ぐことができるのです。
痴漢の逮捕についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
不起訴になる可能性が高まる
自首によって、不起訴になる可能性も高くなります。
あなたが警察に自首をしたことは、検察官にも伝わるからです。
検察官は、あなたを痴漢で起訴するか判断する際に、次のような事情を考慮します。
・あなたが普段どのような性格なのか ・今何歳で、どのような境遇に置かれているのか ・更生の余地があるのか ・被害者に謝罪や賠償はしているのか ・どの程度反省しているのか |
上記のような事情を総合的に検討して、刑事裁判が必要だと判断した場合のみ、起訴されるのです。
あなたが自首すると、検察官に「あえて刑事裁判にする必要はないのでは?」と判断されやすくなります。
痴漢を深く反省し、更生に向かって進んでいると伝わることで、不起訴になる可能性が高くなるのです。
刑罰が大幅に軽くなる可能性がある
自首には、刑罰を軽くできるというメリットもあります。
自首した場合に刑が軽くなることは、刑法第42条によって決められています。
※刑法第42条(自首等) 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することが「できる」。 |
ポイントは、あくまでも「できる」となっているに過ぎないことです。
せっかく自首しても、「反省の色が見えない」「嘘の供述をしている」といった心証を持たれると、刑が軽くならない場合もあります。
このような事態を防ぐには、自首する前に弁護士に相談して、当日同行してもらうことが効果的です。
痴漢の減軽が認められると、刑罰は最大半分程度まで軽くなります(刑法第68条)。
減軽される前 | 減軽された後 | |
痴漢が迷惑防止条例違反になるケース(軽微な痴漢) | ・6月以下の懲役 ・50万円以下の罰金 (※東京都のケース) | ・3か月以下の懲役 ・25万円以下の罰金 |
痴漢が不同意わいせつ罪になるケース(悪質な痴漢) | 6月以上10年以下の懲役刑 | 3月以上5年以下の懲役刑 |
実名報道を回避できる
実名報道を回避できることも、自首する大きなメリットの1つです。
痴漢の加害者が実名で報道されるかは、次のようなプロセスで決まります。
① 警察がマスコミに対して、事件情報を実名で公表するか判断する ↓ ② マスコミが、実名で報道するかを判断する |
公務員や教師、有名企業の社員など、あなたが社会的信用性が高い仕事に就いている程、実名報道される可能性は高くなります。
ただし、痴漢で実名報道されるのは、基本的に「逮捕直後」「起訴決定」「判決」のいずれかのタイミングです。そのため、自首によって逮捕を回避できた場合は、実名報道される可能性は格段に低くなります。
万が一自首して逮捕されてしまった場合も、警察やマスコミに弁護士から働きかけることができます。
※関連コラム
「痴漢は報道される?実名報道の基準は?ネットの炎上を防ぐ方法も解説」
痴漢の自首は早めの決断が必要|遅くなると認められない
ここまで、痴漢で自首するとあなたにとってメリットがあることをお伝えしました。
逮捕の回避、不起訴や刑の軽減の可能性など、自首によってあなたが得られるメリットはとても大きいです。
しかし、これらのメリットを受けるには、重要な条件があります。
それは、なるべく早いタイミングで警察に出頭することです。
具体的には、警察が犯人を特定する前に、あなたが出頭しないと自首は成立しません。
自首する前に、警察の捜査であなたが犯人だと特定されてしまうと、自首とはみなされず、単なる「任意の出頭」として扱われてしまうのです。
こうなると、自首のメリットを受けることはできなくなります。
痴漢で被害届が提出されると、痴漢事件が発生したことが警察に伝わります。
防犯カメラの映像や、目撃者への聞き込みを行い、犯人の特定を進めていくでしょう。
時間が経てば経つほど、あなたが犯人だと特定されるリスクは高まる一方です。
あなたが気づいていないだけで、既に被害届が提出されており、警察が捜査をスタートしているケースは決して少なくありません。
そのため、痴漢で自首する決意が固まったら、できるだけ早く行動に移すことが大切です。
事前に弁護士に相談するなどの準備は必要ですが「もう少しだけ様子を見てから」などと先延ばしにすることは、オススメできません。
勇気を出して行動に移しましょう。
タイミングを逃してしまえば、自首するメリットは大きく低下してしまいます。
痴漢で自首するリスクは?知っておくべき3つの注意点
ここまでは、痴漢で自首するメリットを中心にお伝えしてきました。
しかし、自首にはリスクがあることも知っておく必要があります。
この章では、痴漢で自首する際の注意点を解説します。
自首するからといって、必ずしも有利な結果になるとは限らないのです。
リスクも念頭に置いたうえで、慎重に検討していきましょう。
自首によって痴漢がバレるケースもある
まず注意したいのが、「自首によって痴漢が警察にバレるケースもある」という点です。
本来なら事件化しなかったはずの痴漢行為が、自首をきっかけに刑事事件へと発展するリスクは否定できません。加害者側からすると、被害届が出ているのかどうか、警察が捜査しているのかどうかを知る方法はないのです。
ただし、痴漢の公訴時効は最長12年です。
つまり、自首しなければ、12年間も警察が突然やってくるのではないかという不安を抱えながら生活し続けなければなりません。
自首して罪を清算した方が、その後の人生に良い影響を与えるケースは多いです。
そのまま逮捕される可能性がある
自首したからといって、必ず逮捕を免れられるわけではありません。
痴漢行為が悪質だったり、前科があったりする場合は、そのまま逮捕されてしまうケースもゼロではないからです。
万が一逮捕されてしまうと、最短でも2〜3日は身柄を拘束されます。
現実的に逮捕される可能性があるのかは、事前に確認しておきましょう。
痴漢事件の経験が豊富な弁護士であれば、自身の経験から、ある程度の目安を伝えてくれるはずです。
必ず減刑(減軽)になるわけではない
最後に「必ず減刑(減軽)になるわけではない」点にも注意が必要です。
前述の通り、刑法ではあくまで、「刑を減軽することができる」と定められているに過ぎません。
裁判官の判断次第では、減軽されないケースもあり得るのです。
自首して刑が軽くなる可能性があるのか、弁護士に相談して、事前にアドバイスを受けることをおすすめします。
痴漢で自首することを決めたら?出頭当日の流れ
痴漢で自首する当日は、次のような流れで進んでいきます。
① 必要なものを準備する ② 警察に出頭する ③ 取調べ(事情聴取)を受ける ④ 逮捕または釈放される |
詳しく見ていきましょう。
①必要なものを準備する
まずは、自首に必要なものを準備します。
万が一逮捕されると、数日間は自宅に帰れなくなる可能性があるため、最低限の着替えや現金は用意しておくことをおすすめします。
また、証拠になりそうなものがある場合は、それらも持参してください。
・痴漢当日に着ていた服 ・電車で痴漢した場合は、ICカードの入場記録 など |
さらに、身元引受人を決めておくことも大切です。
痴漢で自首することを家族に知られたくない場合は、弁護士に身元引受人を依頼することもできます。
②警察に出頭する
必要な物を準備したら、警察署に出向きましょう。
出頭する警察署は、痴漢をした場所を管轄する警察署です。
いきなり出頭するケースもありますが、弁護士から事前に連絡して、日程調整するケースもあります。
電話で自首することも可能ですが、その後は警察の指示に従う必要があります。
例えば、「自宅に警察が行くので待っていてください」や「今すぐ〇〇署に出頭してください」などの指示が出ることがあります。
③取調べ(事情聴取)を受ける|自首調書の作成
警察署に出頭したら、取調べ(任意の事情聴取)を受けることになります。
自首が認められると、自首調書が作成されます。
この調書には、本人の身上や痴漢の内容、動機や自首した理由などが記載されます。
ここで答えた内容によって、その後の流れが大きく変わってくるため、慎重に対応することが重要です。
事前に弁護士と打ち合わせを行い、供述する内容を決めておくとよいでしょう
④逮捕または釈放される
取調べの結果、在宅事件となった場合は釈放されます。
自宅に帰って普段通りの生活を送りながら、捜査が進められることになります。
その後、警察から検察に事件が送致され、起訴されるかが決まります。
一方、そのまま逮捕された場合は、留置場に入れられ、最長23日間の身体拘束を受けることになります。
※逮捕後の流れについては、次の記事で詳しく解説しています。
「【痴漢で逮捕】今後の流れと不起訴を獲得する方法を弁護士が解説」
自己判断は危険?痴漢の自首に弁護士が同行するメリット
痴漢で自首する場合は、弁護士に同行してもらうことを強くおすすめします。
少なくとも「本当に自首するべきなのか」については、必ず事前に相談するべきです。
場合によっては、自首する前に被害者と示談することで、刑事事件化を防げる場合もあるでしょう。
自首は、痴漢事件を解決するために効果的な方法ではありますが、必ずしも最善の方法ではないのです。
自首することが最善と考えられる場合も、1人で自首することは全くオススメできません。
家族だけが付き添うケースも同様です。
せっかく勇気を振り絞って自首するなら、自首のメリットを最大限に発揮できる方法を選択しましょう。
ここからは、痴漢の自首に弁護士が同行する具体的なメリットを3つ解説します。
家族や職場にバレることを防げる
痴漢したことが、家族・職場にバレたくないと思っているご依頼者は多いです。
痴漢が在宅事件となった場合は、弁護士が身元引受人になることで、家族や職場にバレないように進めることができます。
弁護士が身元引受人になれば、捜査機関からの連絡が家族や職場に行くことはありません。
また、痴漢は自宅に証拠が残りにくいため、自宅捜査が入るケースも少ないです。
そのため、弁護士が自首に同行し、身元引受人になることで、高い確率で家族や職場へのバレを防ぐことができます。
事前に取り調べのアドバイスを受けられる
警察の取調べにどう対応するべきか、事前にアドバイスを受けられることも大きなメリットです。
自首した後、痴漢が在宅事件として進められるか、そのまま逮捕されるかは、あなたが供述した内容によって変わってきます。
不利な供述をしたり、嘘をついていると判断されたりすると、そのまま逮捕される可能性が高くなるでしょう。
不用意に不利な証言をしてしまうと、覆すのはかなり難しいです。
弁護士のアドバイスを受けずに、自己判断で取り調べに臨むことは非常にリスクが高い行為です。
取り調べ中も近くで待機してもらえる
弁護士は取調べ中も、あなたの近くで待機しています。
取調が実施されている部屋にいることはできませんが、同じフロアで待機しているため、何かあればいつでも相談できます。
威圧的な取調べがされたり、不明な点があればすぐに確認できるでしょう。
取調中の安心感につながることはもちろん、弁護士が待機していること自体が取調官への牽制になります。
さらに、弁護士から「罪証隠滅・逃亡の恐れがない」ことを念押しすることで、当日釈放される可能性も高くなります。
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痴漢で自首する場合は、同時に示談交渉もするべき
痴漢で自首する場合は、同時に被害者と示談交渉を進めることも必要です。
事件によっては、あえて警察に自首しなくても、示談を成立させるだけで刑事事件化を防げる場合もあるからです。
さらに、示談交渉を進めることで、自首した当日に釈放される可能性も高くなります。
自首当日までに示談成立が間に合わなくても、問題はありません。
自首するタイミングで、弁護士から「被害者と示談交渉を進めている」と伝えるだけで一定の効果があります。
万が一、自首して逮捕されたとしても、その後示談が成立すれば、早期に釈放される可能性が高くなるでしょう。
ただし痴漢事件では、被害者の連絡先が分からないことが通常です。
そのため、示談交渉をするには、弁護士から捜査機関に照会する等して連絡先を入手する必要があります。
自首する前に弁護士に相談して、示談交渉を開始しましょう。
スムーズに示談できれば、日常への影響を最小限に防ぎつつ、痴漢事件を解決できる可能性が格段に高くなります。
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性犯罪に強い「グラディアトル」の解決事例
痴漢で自首するべきか悩んだら、性犯罪に強い「グラディアトル法律事務所」にお任せください。
当事務所は性犯罪を得意としており、数多くの事件を解決に導いてきました。
痴漢事件の解決実績も豊富に有しており、ご依頼者さまにとって最善の結果を出すためのノウハウを身につけています。
例えば、痴漢よりもさらに重大な「不同意性交等罪(強制性交)」で、弁護士が自首に同行し、逮捕を避けて不起訴になった事例もあります。
性犯罪で弁護士が自首に同行し、逮捕を避けて不起訴に!
【ご依頼者】 40代の既婚男性 【ご相談の経緯】 13歳の女性と援助交際をして、不同意性交等罪が成立。被害届を出すと言われてしまい、刑事事件に強い当事務所へご相談に来られました。 【当事務所の対応・結果】 弁護士から警察へ連絡し、自首当日は警察まで同行しました。 無事に自首として受理されて、ご依頼者様が逮捕されることもありませんでした。 その後も、ご依頼者様とこまめに連絡をとって、今後の動きについて説明。 ご相談者様が、ご家族や職場の方に事件のことがバレてしまうことを避けたいと強く希望されていたため、弁護士から警察に連絡し、万が一ご家族などに連絡をする場合、先にご依頼者様に連絡をしてもらうことに。 結果、ご家族や職場の方に事件のことがバレることもなく、不起訴処分となることができました。 |
当事務所は、他にも数多くの類似事件を取り扱っています。
難しいと言われている性犯罪事件をスムーズに解決に導けるのは、当事務所が性犯罪に強い弁護士事務所だからです。
「逮捕されたくない」
「不起訴になりたい」
「家族や職場にバレたくない」
といった気持ちにも寄り添って、ご依頼者様が望む形で解決できるように、ご依頼者様のために全力で闘います。
【Q&A】痴漢で自首する場合のよくある質問
痴漢で自首したら、家族や会社にバレますか?
逮捕されなければ、弁護士が身元引受人になることで、家族や会社バレを高い確率で防げます。逮捕された場合は、ご家族には伝わってしまう可能性が高いです。
会社に連絡はいきませんが、身柄拘束が長期化すると、発覚する可能性があります。
自首すれば必ず不起訴になりますか?
必ず不起訴になるとは限りません。
ただし、不起訴になる可能性が高くなることは確かです。
自首する場合はどこに行けばいいですか?
自首する場合は、警察署に出頭することが必要です。
ただし、事前に弁護士に相談することを強くおすすめします。
自首するときに持っていくものはありますか?
最低限の着替えや現金を持っていくと良いでしょう。
痴漢した証拠がない場合も自首できますか?
証拠がない場合も自首は可能です。
ただし、被害届が提出されておらず、証拠もない場合は、自首しても受理されない場合があります。事前に弁護士に相談することをおすすめします。
自首したら刑はどのくらい軽くなりますか?
痴漢で自首すると、最大で半分程度まで刑が軽くなります。
息子が痴漢した場合、自首は親が同伴すればよいですか?
親御さんと一緒に、弁護士にも同行してもらうことを強くおすすめします。
弁護士が同行することで、御子息の逮捕を防げる可能性が格段に高くなるからです。
まとめ
最後に、今回の記事のポイントを整理します。
【痴漢で自首するメリットは4つ】
・逮捕を避けられる ・不起訴になる可能性が高まる ・刑が半分程度まで軽くなる ・実名報道を回避できる |
【痴漢で自首するリスクは3つ】
・自首して痴漢がバレるケースもある →ただし、自首によって不安が解消される人も多い ・そのまま逮捕される可能性もゼロではない ・必ず減軽になるわけではない |
【自首する場合は、必ず弁護士に同行してもらうことが大切】
・弁護士を身元引受人にすれば、高い確率で家族や職場バレを防げるから ・供述する内容のアドバイスを受けることができるから ・取調べの途中も近くで待機して、何かあったときに対処してもらえるから |
痴漢で自首すると決めたら、できる限り早めの行動が必要です。
すぐに弁護士に相談して、本当に自首するべきなのかを相談し、同時に示談交渉も開始しましょう。
あなたが深く反省していることが伝われば、きっと事態は改善するはずです。
無事に痴漢事件が解決し、平穏な日常を取り戻せることを願っています。