「路上痴漢とはどのような犯罪なの?」
「路上痴漢で逮捕されるのはどのようなケースがある?」
「路上痴漢で逮捕されたときの対処法を知りたい」
痴漢というと電車内やバス内での痴漢行為をイメージされる方も多いと思います。
しかし、痴漢には路上で行われる「路上痴漢」という態様もあります。
・路上ですれ違いざまに胸やお尻をさわる
・路上で後ろから突然抱き着く
・夜道で女性を押し倒して無理やりキスをする
などの行為が路上痴漢にあたりますが、このような行為は犯罪ですので、逮捕や起訴されてしまうリスクも十分にあります。
このような路上痴漢をしてしまったときは、すぐに弁護士に相談して、対応してもらうことが重要です。
本記事では、
・路上痴漢で成立する可能性のある犯罪
・路上痴漢で逮捕される2つのケース
・路上痴漢で不起訴処分を獲得するためのポイント
などについてわかりやすく解説します。
路上痴漢の弁護活動はスピードが命ですので、路上痴漢をしてしまったときはすぐに弁護士に相談するようにしましょう。
目次
路上痴漢とは?
路上痴漢とは、路上で行われる痴漢行為を指す言葉です。
痴漢というと電車やバス内などの閉鎖された空間で行われるイメージがありますが、路上などの開放的な空間でも痴漢行為は行われます。
路上痴漢の典型的な例としては、以下の行為が挙げられます。
・路上ですれ違いざまに胸やお尻をさわる
・路上で後ろから突然抱き着く
・夜道で女性を押し倒して無理やりキスをする
・自転車で追い抜くときにお尻を触る
電車やバス内での痴漢は、周囲の人の目があるため、バレないようにお尻を触る、下着に手を入れるなどのケースが多くなりますが、路上痴漢では人目のないところでの犯行が多いため、一般的な痴漢に比べて大胆な犯行になりやすいのが特徴です。
その結果、不同意わいせつ罪や不同意わいせつ致傷罪として厳しく処罰されるケースも少なくありません。
路上痴漢で成立する可能性のある犯罪
路上痴漢で成立する犯罪にはどのようなものがあるのでしょうか。
以下では、路上痴漢で成立する可能性のある犯罪を説明します。
迷惑防止条例違反
路上痴漢は、各都道府県が制定している迷惑防止条例違反に該当する可能性があります。
たとえば、東京都では「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(東京都迷惑防止条例)」で、痴漢行為を以下のように規定しています。
粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止
第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
迷惑防止条例違反となる路上痴漢としては、比較的軽微な痴漢行為が想定されており、具体的には以下のような行為が挙げられます。
・すれ違いざまにお尻に触れた
・スカートをめくって逃げた
このような迷惑防止条例違反となる路上痴漢が行われた場合の罰則は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金と規定されています。
不同意わいせつ罪
不同意わいせつ罪とは、被害者が同意していない状況でわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です(刑法176条1項)。
以前は、「強制わいせつ罪」として規定されていましたが、刑法改正により「不同意わいせつ罪」という名称に変更されました。
不同意わいせつ罪となる路上痴漢としては、悪質な痴漢行為が想定されており、具体的には以下のような行為が挙げられます。
・路上を歩いている女性に突然抱きついて、着衣の中に手を入れて胸や陰部を触る
・人気のない路地に無理やり連れ込んで、押し倒した被害者の身体を触る
・嫌がる相手を無理やり押さえつけてキスをする
・泥酔して路上で倒れている女性の身体を触る
被害者が16歳未満だと単にわいせつな行為をしただけで、不同意わいせつ罪が成立しますので、迷惑防止条例違反になるような行為であっても被害者の年齢によっては不同意わいせつ罪になる可能性もあります。
このような不同意わいせつ罪となる路上痴漢が行われた場合の罰則は、6月以上10年以下の拘禁刑と規定されています。
不同意わいせつ致傷罪
不同意わいせつ致傷とは、不同意わいせつ罪にあたる行為をして、被害者に怪我を負わせた場合に成立する犯罪です(刑法181条1項)。
路上痴漢では、電車やバス内での痴漢とは異なり、人目のない夜道などで行われるため、被害者を押し倒したり、強引なわいせつ行為などにより被害者に怪我を負わせるケースも少なくありません。
このような行為をしてしまうと不同意わいせつ罪よりも重い不同意わいせつ致傷罪が成立し、無期または3年以上の懲役刑が科されます。
路上痴漢で逮捕される2つのケース
路上痴漢による逮捕には、「現行犯逮捕」と「後日逮捕」の2つのケースが考えられます。
現行犯逮捕となるケース
現行犯逮捕とは、現に罪を行い、または現に罪を行い終わって間もない人を逮捕することをいいます。
現行犯逮捕の場合、誤認逮捕のおそれが少ないことから裁判官の発付する逮捕状によらずに犯人を逮捕することが認められています。
路上痴漢の場合、以下のようなケースで現行犯逮捕となることがあります。
・痴漢をされた被害者に取り押さえられて警察に通報される
・被害者の悲鳴を聞いて駆け付けた周囲の人に取り押さえられて警察に通報される
ただし、路上痴漢は、夜間人通りのほとんどない路上などで行われるため、現行犯逮捕に至るケースは多くはありません。
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後日逮捕となるケース
後日逮捕とは、被害者による被害届の提出をきっかけに警察が捜査を開始し、犯人を特定した場合に裁判官の発付する逮捕状に基づいて犯人を逮捕することをいいます。
一般的な逮捕の方法であることから「通常逮捕」とも呼ばれています。
路上痴漢をしてその場から逃走できたとしても、防犯カメラの映像や目撃者の証言などにより犯人として特定されてしまう可能性は十分にあります。
特に、都心部では多くの場所に防犯カメラが設置されていますので、犯人の特定もそれほど難しくはありません。
後日逮捕となるケースでは、突然警察官が自宅を訪ねてきて、逮捕となります。
路上痴漢で逮捕された後の流れ
路上痴漢で逮捕されると以下のような流れでその後の手続きが進んでいきます。
逮捕
路上痴漢で逮捕されると警察署に連行され、警察署内の留置施設で身柄拘束をされます。
身柄拘束中は、警察官による取り調べを受けることになり、その間は、弁護士を除いて誰とも面会をすることができません。
逮捕は、被疑者の自由を奪うという重大な処分になりますので、法律上時間制限が設けられています。
被疑者を逮捕した警察は、48時間以内に被疑者の身柄を釈放するか、検察官に送致しなければなりません。
検察官送致
被疑者の身柄の送致を受けた検察官は、被疑者に対する取り調べを行い、送致から24時間以内に釈放をするか、身柄拘束を継続するかの判断をしなければなりません。
検察官は、被疑者の身柄拘束を継続するのであれば、裁判所に勾留請求をする必要があります。
勾留
検察官から勾留請求があると裁判官は、勾留を認めるかどうかの判断を行います。
裁判官が勾留を認める決定をすると、原則として10日間の身柄拘束となります。
勾留延長
勾留には延長制度がありますので、検察官からの勾留延長請求を裁判官が認めると、さらに最長10日間勾留期間が延長されます。
逮捕から合計すると最大で23日間もの身柄拘束期間となります。
起訴または不起訴
検察官は、勾留期間が満了するまでの間に起訴または不起訴の判断を行います。
事件が起訴されれば刑事裁判になりますが、日本の刑事司法では検察官により起訴された事件は99%以上の割合で有罪となりますので、無罪を争うのは非常に困難となります。
他方、不起訴となればその時点で釈放され、前科が付くこともありません。
このように起訴されるか不起訴になるかによって、被疑者の運命は大きく変わってきますので不起訴処分を獲得することが重要です。
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路上痴漢で不起訴処分を獲得するには被害者との示談が重要
路上痴漢をしてしまった場合、逮捕され起訴される可能性がありますが、検察官により起訴・不起訴の判断前に被害者と示談を成立させることができれば、不起訴処分となる可能性が高くなります。
そのため、不起訴処分を獲得するためには、被害者との示談が重要となります。
もっとも、路上痴漢をした加害者本人が被害者に接触しようとしても、被害者からは拒絶されてしまいますので、加害者自身では示談交渉を行うことは困難です。
また、路上痴漢ではお互いに面識がないケースがほとんどですので、示談交渉をしたくても相手の連絡先がわかりません。
このように加害者本人による示談交渉には困難を伴いますので、弁護士に示談交渉を依頼するのがおすすめです。
弁護士であれば、捜査機関を通じて被害者と連絡をとることができ、被害者としても弁護士が窓口になれば安心して交渉に臨むことができます。
路上痴漢で逮捕されるも不起訴処分となった事例
グラディアトル法律事務所では、痴漢事件に関する豊富な解決実績があります。
以下では、当事務所の弁護士が担当した事件のうち、路上痴漢で逮捕されたものの不起訴処分を獲得できた実際の事例を紹介します。
【事案の概要】
Xさんは、お酒をたくさん飲み、酷く酔った状態で東京の繁華街を歩いていました。
酩酊状態にあるXさんは、道端で知らない女性の身体を触るなどの痴漢行為をしてしまい、その場で警察を呼ばれ逮捕されてしまいました。
Xさんは、その後すぐに釈放されたものの、起訴される可能性もあったことから当事務所に相談し、正式にご依頼いただくことになりました。
【弁護活動】
担当弁護士はすぐに検察官に連絡をして示談したい旨などを伝えました。
その結果、検察官から被害者の連絡先を教えてもらい、被害者の方に連絡をとりましたが、被害者の方は、「Xさんに反省の様子がなかった」と大変ご立腹でした。
このままでは示談の成立は困難であると考え、Xさんが反省していることを示すために、担当弁護士からXさんの反省の気持ちを伝えるとともに、謝罪文をお渡ししました。
その結果、被害者の方にXさんの反省の気持ちが伝わり、示談金20万円で示談を成立させることができました。
示談成立後は、ご依頼者様の反省文と謝罪文、示談成立の合意書を捜査機関に提出し、無事に不起訴処分となりました。
路上痴漢で不起訴処分を目指すならグラディアトル法律事務所に相談を
路上痴漢で不起訴処分を目指すなら、実績と経験豊富なグラディアトル法律事務所までご相談ください。
刑事事件に強い弁護士が被害者との示談交渉をサポート
路上痴漢で不起訴処分を獲得した実績があることからもわかるように、当事務所では痴漢事件に関する弁護を得意としています。
痴漢事件では、被害者との示談が重要になりますが、示談を成立させるポイントを熟知していますので、スムーズに被害者との示談を成立させるためも、まずは当事務所までご相談ください。
迅速に不起訴処分獲得に向けた弁護活動に着手
路上痴漢で不起訴処分を獲得するためには、検察官による起訴・不起訴の判断が出る前に示談を成立させる必要があります。
身柄事件の場合、逮捕されてから最大でも23日間という限られた時間の中で対応していかなければなりませんので、迅速な対応が重要になります。
当事務所では、複数の弁護士が在籍していますので、他の弁護士とも連携しながら事件の処理にあたることができ、不起訴処分に向けた迅速な対応が可能です。
初回相談無料・24時間365日全国対応
当事務所では、刑事事件に関する法律相談については初回相談料無料で対応しています。
また、相談の受付は24時間365日対応していますので、家族が逮捕されてしまったという場合には、夜間や休日でもお気軽にお問い合わせください。
刑事事件は、スピード対応が重要ですので、路上痴漢をしてしまったという場合はすぐにグラディアトル法律事務所までご相談ください。
まとめ
路上痴漢は、電車やバス内での一般的な痴漢に比べて、悪質な痴漢行為になることが多く、重い刑罰が科される可能性があります。
適用される犯罪によっては、初犯であっても実刑になる可能性も十分にありますので、すぐに弁護士に相談して、弁護活動に着手してもらうことが必要です。
路上痴漢をしてしまったという方は、すぐに実績と経験豊富なグラディアトル法律事務所までご相談ください。